仮面ライダーののX

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197白い名無し娘。
 銃を構えてその少女を調べに1人の隊員が近づいていった。そこに隙が出来た。妻は隊員に
体当たりを見舞うと、娘と夫に逃げろと叫んだ。その声に、残りの2人の隊員が振り向き、銃を
向けた。そして反射的に妻に向かって引き金を引く。銃は唸りをあげて妻に鉛の弾を吐き出す
が、妻を庇うように夫が覆い被さる。しかし、弾は夫の体を貫きその下に居る妻にまで襲い掛
かった。血飛沫が、少女の頬を濡らす。ヌルリとした血の感触が、眠っていた少女のスイッチ
を入れた。

 目覚めた少女は、自らの体を拘束していた鎖を、何の抵抗も無く引き剥がした。鎖の束が地
面に落ち、けたたましく鳴り響く。銃声は止み、治安部隊は一斉に少女の方を振り向く。今、
この場所で聞こえるのは、両親を無くした子の泣き声だけだった。

198保全:02/12/22 23:58 ID:nN9nZmht
龍騎鯖威武
199名無し募集中。。。 :02/12/24 00:28 ID:mdrzlvLi
メリークリスマス保全
200ISHIKAWANOMANKONAMETAI:02/12/24 23:33 ID:Cp9MnlZk
ishikawanomankonametai200
201白い名無し娘。:02/12/24 23:39 ID:9i4T0fjS
 少女が久しぶりに見た世界。全身を白いプロテクターで覆った、銃を構えた人間が3人。
地面には命を失った夫婦。そして、泣きじゃくる子供。何かを確かめるように、少女は自分の
体に目を落とした。幸いな事に、衣服は身に纏っていた。上着には、レザージャケット。下に
は、ホットパンツ。そしてショートブーツ。カラーは黒で統一されている。
 まだ、霞がかかった頭の中で少女はふと思った。
(一体どっちの趣味なんだろ?)
2人の男性の顔が頭に浮かぶ。初老の男と若い男。しかし、名前は思い出せないでいる。

 銃を突きつけられているのだが、それを全く厭わないように今度は部屋を見渡した。
少女には、ほんのちょっと前のような感じがするのだが、とても荒廃している。
なんでだろう?
少女は何か、懐かしいような感じがした。同時に、何か大切な物がそこにあったかのような感
覚。少し前の事を思い出そうとしてみた。やはり、なにか霞がかかったようで思い出せない。

 そして、今この現実である。銃を突きつけて立っている、白い人間。血まみれの夫婦。子供
の泣き声…。隊員の1人が少女に再び銃を突きつける。
瞬間、少女の思考に稲妻が走った。

 白い人間。動物や植物を掛け合わせたような怪物。そして、機械剥き出しの人間のような物。
実家の居酒屋を手伝っている時に、いきなり平和が崩れ去った瞬間。
目の前で崩れ去る母親。私と逃がそうと、命を投げ出した姉達。
幸いにして、家に居なかった弟。
そして…。そして…。どうなったんだっけ?何で私はここに居るんだっけ?


202白い名無し娘。:02/12/24 23:42 ID:9i4T0fjS
 分らなかった。稲妻のように走った記憶は、再び霞に覆われてしまった。
少女は、自らの名前を思い出そうとする。私の名前…。
そんな少女に銃を突きつけて隊員は叫ぶ。
「貴様、一体何者だ!!」
隊員は、突きつけたまま少女ににじり寄る。
1人の隊員の銃口が少女の眉間に、こつりと当たった。
「私の名前…。」
少女は何かを言おうと口を動かす。隊員たちも少女が名乗ると思ったのだろう、しかし
見事に裏切られた。少女が左手で銃を掴み、グッと右下に引き込むと、隊員は体のバランスを
崩した。無防備に晒された頭部に、少女の拳がめり込んだ。多少の衝撃には耐えられるヘルメ
ットごと、頭の半分近くまで拳がめり込んだ隊員は、瞬間的に絶命した。
残りの隊員が少女に向かって引き金を引いた。
弾は少女と、背後にある壁に突き刺さった。止む事の無い弾の雨は、少女の姿を煙で包む。
銃声が止み隊員が近づいていくと、おもむろに頭をつかまれた。
それは、先ほどの少女の腕ではない。
どこからか一陣の風が吹き、煙を洗い流した。
そこに立っていたのは、黒き異形。
剥き出しの脳は半透明のカバーで覆われており。
血の色をした眼に、稲妻を模したマーキング。
暗闇色の体。
まさに異形。そして伺う事のできる表情は、一言で言えば『怒り』であろう。
「私の名前は。」
元は少女であった、その異形は隊員の頭部を持ちそのまま持ち上げると。
グッと力をこめた。
「ハカイダー。」
まるで、トマトが握りつぶされるような音がして、その隊員は地面に崩れ落ちた。

203白い名無し娘。:02/12/24 23:43 ID:9i4T0fjS
 間の前で仲間を瞬時に殺されてしまった隊員は、踵を翻し出口に向かって一目散に
走りだした。圧倒的な力の差を見せられては、いくら元老院によって教育されたとしても
逃げざるをえない。
 ハカイダーはゆっくりとその隊員に向かい歩き始めた。隊員はすぐに出口へとたどり着いた。
そのままの勢いで部屋を出ようとしたがそれは叶わなかった。先ほど入ってきた時には止まっ
ていなかったバイクがそこにあったからだ。バイクを凄い勢いで蹴るような形になった隊員は
その場に蹲ってしまった。いくらプロテクターを身に着けているとしても痛かったようだ。
 しかし、いつまでも痛がっている場合ではなかった。こちらに向かってくるハカイダーに
向かい、隊員は銃を乱射した。それは無駄だと知りつつも撃つしかなかった。だが、隊員の
予想に反しハカイダーは横を通り過ぎた。バイクの前で何かを確認するとハカイダーはそれに
跨った。
「た、助かった…。のか?」
震えながら呟いた隊員の後ろで、バイクの咆哮が空気を振るわせる。その音に反射的に振り向
いた隊員が目にしたものは、ショットガンを突きつけるハカイダーの姿だった。それが、隊員
の見た最後の世界だった。

 ハカイダーはバイクに跨ったまま考えていた。機械が考えると言うのはおかしいのだが、
ハカイダーは確かに考えていた。さっき隊員に問われた時に反射的に出てきた名前…。
『ハカイダー』
この姿はハカイダーと言う名前だったはずだ。バイクのミラーに映るこの黒い異形はそう言う
名前だった。確か私がつけたんだっけこの名前を…。そしてその異形は私。私が私に名前をつ
けた?それじゃあ、私は…。ハカイダーという名前を与えた私の名前は…?
もう一度バイクのミラーを覗き込むと、異形ではなく少女の姿があった。特徴的な鼻、少し魚に
似ている顔、茶髪の長い髪。そう、コレが私の姿。私、私の名前は…。
頭の中で何かがはじけた。白い意識の濁流に飲み込まれていく感じがして、頭を抱えた。
「私の名前は…。後藤…真希…。私は誰なの…?」
204白い名無し娘。:02/12/24 23:46 ID:9i4T0fjS
仮面ライダーののX

 〜特別編〜

人造人間ハカイダー
   Act.1 終了

205白い名無し娘。:02/12/24 23:48 ID:9i4T0fjS
これ以上スレを占拠するのはよくないと思ったので、区切りのいいところで
一旦終了させていただきます。なるべく早く完成させてまた戻ってきます。
わがまま言って申し訳ありません。
206神崎優衣:02/12/26 21:57 ID:cELqrVja
保全しないと、消えちゃうの・・・
207名無し募集中。。。:02/12/27 19:47 ID:MaXXhPOk
俺の闘う理由・・・

保全だ!
208神崎士郎:02/12/27 19:51 ID:/iyDyTJ6
心配するな、優衣。このスレが消えることはない。
209ナナシマン:02/12/27 22:46 ID:LI8ZxlOb
 ご無沙汰してました。

>>白い名無し娘。さん
 これから、と言うところでいったん終了というのが正直惜しいです。
続き、楽しみにしてますよ。

 僭越ながら、保全の意味も込めまして「冬休み劇場」と題して番外編に
入らせて頂ければと思います。ただ、まだ全部書き上がっていませんので
完成なさった作者さんが居られましたら言ってください。

 
210ナナシマン:02/12/27 22:47 ID:LI8ZxlOb
冬休み劇場「仮面ライダーのの 破れゼティマ拳法・地獄谷の死闘!」



 雲一つ無く晴れ渡った、日曜の朝。
 暖かい日差しが朝の冷たい空気を少しだけ和らげてくれる、そんな気持ち
の良い朝の出来事だった。

 リサイクルショップ「ペガサス」は本日休業日。めぐみと雅恵はこの休日
を利用して、近くの公園で開かれるフリーマーケットをのぞきに行くことに
した。めぐみの提案で先週から言っていたことだったが、二人は当初の予定
よりもだいぶ遅れて出発することになってしまった。言い出しっぺのはずの
めぐみが、朝寝坊してしまったのだ。

 「『狙ってるものがあったら朝早くから出かけること。それがフリマの掟
よ』って言ってたの、誰でしたっけ?もう8時半だよ」

 本来時間のことをうるさく言う方ではないのだが、それでも1時間半も
待たされた雅恵は少々お冠のご様子。それに対してめぐみはバサバサの髪も
そのままに、眠い目をこすりながら言う。
211ナナシマン:02/12/27 22:48 ID:LI8ZxlOb
 「自分だって起こしてくれたら良いじゃないよぉ。それなのにさぁ」

 雅恵は開場の朝7時に備えて6時半には目を覚まし、特別興味もない朝の
釣り番組を見ながらめぐみが起きてくるのを待っていた。しかし、その後
始まった通販番組に登場した「ハリ○ッドダイエット」なるダイエット食品
にすっかり目を奪われ、めぐみを起こすのを忘れていたのである。それは
ダイエットをライフワークとまでとらえていた、雅恵の性であった。

 「でもさぁ終了はお昼だし、今からでもまだ何かあるかも知れないよ?」

 「ったく・・・掟はどうしたの、掟は」

 そんなことを言いながら、支度をすっかり終えた二人はフリーマーケット
の開かれている公園へと向かった。
212ナナシマン:02/12/27 22:48 ID:LI8ZxlOb
 すっかり葉も枯れ落ちた銀杏並木。暖かい日差しの中を冷たい北風が吹き
抜けていく。目指す公園は角を曲がったすぐのところにある。時折かじかむ
手をこすりながら二人は通りを歩いていた。

 すると、その時二人の目の前に一人の男が姿を現した。ぼろぼろの衣服を
纏った、あまり綺麗とは言えない身なりのその男は、おぼつかない足取りで
二人に近づいてくる。

 「ちょ、ちょっとまってよ」

 男の不審な挙動に、二人はじりじりと後ずさる。息をのむめぐみと雅恵。
すると、男が何か話しかけてきた。

 『この鍵を・・・この鍵を守ってくれ・・・』


 しかし、二人とも彼の言葉の意味がわからずに、引きつった顔を互いに
見合わせる。男の言葉は二人には通じていない。そう、彼は日本人では
無かったのだ。
213ナナシマン:02/12/27 22:50 ID:LI8ZxlOb
 そして男は必死の形相で雅恵の手に何かを強引に握らせる。突然の
ことに不安で顔をこわばらせる雅恵。ゴツゴツとした固い何かを無理矢理
手のひらに押し込まれ、それを拒否できない。

 『これは大事なもの・・・黒龍会には渡さないでくれ・・・』

 「やだっ・・・ちょっとお!!」

 男の手を振り払って逃げようとするが、男は何事かを呻きながら握った
手を離そうとはしない。とうとう雅恵はあきらめて男から固い何か−それ
が「鍵」であることはまだ判らずにいる−を受け取った。すると、その
様子を見届けた男は一瞬安堵の表情を浮かべると、まるで糸の切れた人形
の様にがっくりと崩れ落ち、二度と立ち上がることはなかった。

 「キャアアアアアア!!」

 朝の静かな空気を引き裂くような少女の悲鳴。めぐみと雅恵はまさに
脱兎のごとく駆け出し、その場を後にした。