仮面ライダーののX

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1ナナシマン
 前スレが500KB超に達してしまったので、僭越ながら新スレ
立てました。
2 :02/10/26 14:23 ID:AhEKcfGr
3過去スレ:02/10/26 14:23 ID:EMwTX3LV
4ディカブラッド拓哉拓哉:02/10/26 14:24 ID:FYecyAq+
うん
5主な登場人物と変身後:02/10/26 14:24 ID:EMwTX3LV
仮面ライダー1号       辻
仮面ライダー2号       加護
仮面ライダーV3        矢口
ライダーマン         ミカ
仮面ライダーX         高橋
仮面ライダーアマゾン     保田
仮面ライダーストロンガー   安倍
スカイライダー        紺野
仮面ライダースーパー1    飯田
仮面ライダーZX        小川
仮面ライダーG3        新垣
電波人間タックル       あさみ8死亡)

キカイダー          吉澤
ビジンダー          石川
ハカイダー          後藤
 
快傑ズバット         市井
兄弟拳バイクロッサー     大谷・村田
イナズマン          新垣
6名無し:02/10/26 14:30 ID:wu3SSvDK
>>1
乙。
7ナナシマン:02/10/26 14:38 ID:NiRCa2De
前スレは拙作の第29話の途中までで終わっています。
8ナナシマン:02/10/26 14:40 ID:NiRCa2De
29話これまでのあらすじ
 自由の戦士イナズマンこと新垣里沙はたった一人で地上世界に
放り出された。夜の街で彼女は荒井紗紀という女性に出会うが・・・


 「レッドクインは裏の世界の通り名・・・なぜ、その名を?」

 自分がそのような異名を取る存在であることを特別隠そうともせず、
少女の言葉に答える沙紀。こうなると、里沙には理解不能な世界の
出来事だった。沙紀の言葉に少女はこう答えた。

 「実の娘が殺し屋家業とは、お父上が聞いたらなんて言うだろうね?
いいかい?そいつは国際指名手配中の殺し屋、レッドクインだ」

 そう言い放つ謎の少女。一方、亡き父の思いとは裏腹に社会の裏道を
歩いてきたことは、娘である沙紀の心にも暗い影を落としていた。

 「奴らが、デスパー軍団が父を殺したりしなければ、あたしもそう
呼ばれることはなかった!」

 少女の言葉に激して言い放つ沙紀。しかし、彼女のその言葉に里沙の
肩がびくっ、とすくむを感じると、すぐにその体を強く抱き寄せる。

 「その娘のことを、自分の復讐のために利用したいんなら止めておく
んだね。その娘の心を傷つけることになるよ」

9ナナシマン:02/10/26 14:41 ID:NiRCa2De
 「見も知らぬ他人に言われる筋合いはないね!あんたこそ、デスパー
軍団が雇った刺客なんじゃないの?!」

 あまりにも無遠慮に沙紀の心をえぐる少女の言葉に、沙紀の怒りに火
がついてしまった。しかし、今にもつかみかからんばかりの沙紀を止めた
のは、意外にも里沙だった。

 里沙は謎の少女の前に立つと、彼女の目をまっすぐに見て言った。

 「この人は・・・沙紀さんは今私が頼れるただ一人の人なんです」

 「・・・その女より、あんたにふさわしい仲間たちがいるとしたら
どうする?」

 そう言って謎の少女は不敵に笑う。だが、里沙はその言葉を聞き入れ
ようとはしなかった。

 「それが誰であっても、今は一緒には行けません」

 「そう・・・判ったよ。でも気をつけることだね。そいつの目的は
ガイゼル総統だ。そのためには犠牲はいとわないはずだから」

 テンガロンハットを被った謎の少女は、そう言って踵を返すと、夜の
闇に消えていった。
10ナナシマン:02/10/26 14:42 ID:NiRCa2De
 スレ立てやってる間に出勤時間になってしまいました。今日はここまで
です。中途半端ですいません。
11名無し天狗:02/10/26 21:42 ID:1xEY03zo
>ナナシマンさん
容量が500を切っていたので、いつ感想を返信しようかと思ってましたが、
新しく「〜ののX」が出来てホッとしました。
では、前スレの29話前半部についてですが・・・。
沙紀の父親はICPO→彼女の姓は荒井・・・意外なところを衝かれましたね。
あと「残りの三人」は、沙紀の監視のためデスパーが放った女戦闘員・・・てのは、
やっぱダメですかね?
そして今スレ。突然現れた「人呼んでさすらいのヒロイン」が明かす沙紀の過去に
心揺らぐ里沙・・・以前ナナシマンさんが言っていた「苦難」の意味がわかりました・・・。
その苦難を乗り越え、いつか彼女も中澤軍団と合流する日がきっと訪れることでしょう。
その日を信じて応援チェーースト!!!
12ナナシマン:02/10/27 21:19 ID:TUnA0Yq9
 自分を助けてくれた謎の女性の正体は、国際指名手配中の殺し屋
だった。そんな女性と一緒について行って良いものかどうか、里沙の
脳裏に浮かんだそんな疑問を察知したように、沙紀が言った。

 「さっきのコの言ったこと・・・気になる?」

 その言葉に、ゆっくりと頷く里沙。そんな姿を見た沙紀は、言葉を
続ける。

 「父を、家族を殺されたあたしは復讐を決意したの。裏の仕事に手を
染めたあたしは、やがて暗殺の女王『レッドクイン』と呼ばれる暗殺者
になった。でも、皮肉なモンでね。その通り名をくれたのは・・・
デスパー軍団なの」

 「えっ・・・?!」

 デスパー軍団。その言葉に反応し、里沙の濃い眉がぴくりと動く。

 「でも信じて。あたしは奴らの手先になった訳じゃない。全ては父の
仇を討つためなの。あなただって、五郎さんの仇は取りたいでしょ?」

 急に里沙の両肩を強くつかみ、興奮してまくし立てる沙紀。その姿に
里沙は明らかに戸惑いの表情を見せた。それに気づいた沙紀はようやく
落ち着きを取り戻すと、

 「ごめんなさい・・・おかしいよね、こんな話するの」

一言だけそう言って詫びた。
13ナナシマン:02/10/27 21:20 ID:TUnA0Yq9
 それから小一時間ほど過ぎただろうか。二人は沙紀のアパートにいた。
夜もすっかり遅くなったので、里沙は沙紀に促されてベッドで眠った。
里沙のその姿を見届けた沙紀は、毛布にくるまる少女に背を向けると、
何事かを始めた。すると。

 「沙紀さんは、ガイゼル総統を狙っているんですね?」

 床についた里沙はなかなか寝付くことが出来なかった。不意の言葉に
沙紀は振り向くとゆっくり頷く。

 「そのためだけにあたしは、命令を遂行しながらひたすら待った。
そしてようやく、あたしはそのチャンスを得た」

 「どういうことですか?」

 毛布にくるまったまま、里沙は沙紀の方に顔を向ける。その時里沙
の目に飛び込んできたのは、バイオリンケースからライフル銃を
取り出して組み立てている沙紀の姿だった。暗殺者レッドクインとして
の沙紀の顔。見てはいけないものを見てしまったような気がした。

 「ガイゼル総統が地上に姿を現すための格好の理由が出来たの。
里沙ちゃん、あなたを利用させてもらう」
14ナナシマン:02/10/27 21:20 ID:TUnA0Yq9
 その冷酷な響きに、里沙は戦慄を覚えた。自分の命が危険に晒される
からというよりも、さっきとは別人のような紗紀の言葉があまりにも
冷たい響きを伴って里沙の心に投げかけられたからだ。


 「さっきの娘の言ってたことね、当たってるかも知れない」

 紗紀はそんなことを言いながら一人銃の手入れに没頭していた。

 「復讐なんて止めてください。総統なら私が・・・」

 ガイゼル総統は私が倒す、そう言いかけた里沙の言葉を遮るように
紗紀は言った。

 「たとえあなたがイナズマンでも、あたしは誰の手も借りないよ」

 銃から目が離せないのか、それとも意識的に目を合わせないのか定か
ではなかったが、紗紀は里沙に背を向けたままだ。そんな彼女の姿に
やるせない思いの里沙は黙って俯くしかなかった。と、その時。


 視線を落とした先に里沙が見たのは、ピアノの練習用の楽譜だった。
無造作に放り投げられたそれを手に取った里沙は、さらに部屋の周りに
視線を走らせる。すると、部屋の一角にピアノがあるのを見つけた。
彼女にとって、それは小さな驚きだった。
15ナナシマン:02/10/27 21:22 ID:TUnA0Yq9
 「ピアノ・・・弾くんですか?」
 里沙の問いかけに、一瞬紗紀の手が止まった。

 「家族を殺されて・・・暗殺者になってなけりゃ一端のピアニスト
にでもなれたかな?判らないけど」
 「弾いて見せてくれませんか?」

 ベッドから身を起こし、目を輝かせて紗紀を見る里沙。しかし、
そんな里沙の言葉に紗紀が応じる様子はない。再び黙って銃の手入れを
始める紗紀に、里沙はベッドから出て駆け寄る。

 「一度聴いてみたいんです。弾いてもらえませんか?」
 そう言って里沙は紗紀の手の上に自分の小さな手を重ねる。紗紀が
手にした、手入れ油の染みたコットンのことなど構いもしなかった。
そんな里沙の言葉に、紗紀は銃の手入れを止めてピアノに向かう。

 「一応ウチは防音壁だけど・・・夜だし、少しだけだよ?」
 紗紀の姿を嬉々として見つめる里沙。そして聞こえてきたのは、荘厳
ながらどことなく悲しげな曲だった。やがて演奏が終わると、たった一人
の観客はこのピアニストに精一杯の拍手を送った。

 「これはね、レクイエムと言ってね。死んだ人の魂を鎮めるための曲
なの。『仕事』の前には必ず弾いてる」
 紗紀の言葉に、里沙は微笑んでいった。
 「やっぱり紗紀さんは悪い人じゃなかった。本当に悪い人なら、殺した
相手のことなんて考えないと思う。アイツらみたいに」

 父親の復讐のためには手段を選ばず、あえて軍団の命に従い殺しを
続けてきた紗紀。しかし、彼女の本性は悪ではなかった。里沙の言葉を
聞いた紗紀は、再び里沙に背を向けると銃の手入れを始めた。その時、
彼女の肩は小さく震えていた。
16ナナシマン:02/10/27 21:24 ID:TUnA0Yq9
 こうして、里沙は眠りについた。決して気の休まる場所ではなかったが、
今の彼女にとって、地上で安全な場所は紗紀のそばだけだった。そして
その夜、里沙は不思議な夢を見た。

 それは、スーツを着た若い男がデスパー軍団と戦っている様子だった。
夢の中で悪の手から里沙を守る若い男、それは若かりし頃の五郎の姿だった。
やがて彼は両腕を交差するや天に向かって叫ぶ。

 「ゴーリキショーライ!」

 叫びと共に五郎の身体から渦巻き状の光が放たれたかと思うと、その直後
彼は全身土気色の怪人に姿を変えた。

 「サナギマン!」

 思いがけず里沙の口をついて出た言葉。これが五郎の言っていた「蛹から
蝶」の「蛹」であるサナギマンだった。怪力にものを言わせて軍団の兵士を
叩きのめすと、怒りのエネルギーを全身にみなぎらせたサナギマンは更なる
変転の時を得て叫ぶ。

 「チョーリキショーライ!!」

 かけ声と共に走るまばゆい閃光。そしてサナギマンの身体が爆発したかと
思うと、そこから現れたのは青色の異形の戦士、イナズマンだった。やがて
イナズマンはその能力を駆使してデスパー軍団を一掃すると、怯えて
縮こまっていた里沙の元へ手をさしのべて言った。

 「お前が正しいと思ったことのために、この変転の力を使いなさい」

 その声は紛れもなく、あの五郎老人のものだった。彼が託したビジョンは
この瞬間、里沙に伝わったのだ。
17ナナシマン:02/10/27 21:25 ID:TUnA0Yq9
 その翌日。
 アパートに里沙一人を残し、紗紀は一人公園にいた。軍団の工作員と
接触するためだ。公園のベンチに腰掛け、ぼんやりと空を眺めていると
紗紀は自分の背後に何者かの気配を感じ、素早く立ち上がって振り返る。

 「久しぶりね、レッドクイン・・・荒井紗紀」

 聞き覚えのあるその声にハッとする紗紀。目の前に立っていたのは
暗殺者稼業に身を投じるに当たって別離したはずの旧友の姿だった。

 「真己・・・あんた無事だったの?」
 「末永真己・・・今じゃそう呼ばれることも無くなったけどね」

 末永真己。デスパー軍団が差し向けた工作員は彼女だった。

 「それで、指令の方はうまくいきそうなの?」

 再会を喜ぶことも、昔を懐かしむこともなく淡々と工作員としての
つとめを果たそうとする友の姿に、紗紀は薄ら寒いものを覚えた。

 「身柄は確保してる。あとは明日にでも軍団に引き取りに来て
欲しいの」

 出来るだけ冷静を装おうとする紗紀。しかし、そんな彼女に真己の
言葉は冷たかった。

 「軍団からの指令は『抹殺』のはずよ。あんたまさか情でも湧いた
んじゃないでしょうね?」
18ナナシマン:02/10/27 21:26 ID:TUnA0Yq9
 真己の言葉に動揺の色を隠せない紗紀。それを知ってか知らずか、
真己は更に言葉を続けた。

 「紗紀、あんた最初の標的が誰だったか、まさか忘れた訳じゃない
でしょうね。総統の命を狙ってるのは知ってる。だけどそのために
あんたは・・・」

 そう言いかけて、真己は肩を震わせる。

 「その話は止めて!!」

 二人きりの公園に紗紀の声が響く。しかし、真己は目に涙を浮かべた
まま言い放った。

 「あんたは自分の復讐のために、伊吹とアミを殺したんだからね!!」

 かつて紗紀は暗殺者として軍団に加入するために「素養試験」を受けた
ことがあった。暗殺者としての資質を問うべく軍団が指名した標的、それ
が当時紗紀の親友だった大木伊吹と北上アミという二人の少女だった。
紗紀がレッドクインという通り名を受けたことを考えれば、無辜の少女たち
の運命をあえて語る必要はあるまい。そのことを思い出し、がっくりと
膝をつく紗紀。

 「ホントは今すぐにでも二人の仇を取りたい。でもそれはやめとく。
復讐とウチらの絆と・・・死ぬまで板挟みになってればいいんだ!」

 そう言うと、真己は紗紀の前から姿を消した。公園には一人泣き崩れる
紗紀の姿だけが残されていた。
19ナナシマン:02/10/27 21:27 ID:TUnA0Yq9
 本日はここまでです。日曜までには終わりませんでした。(w
明日一日お休みをいただき、火曜日から再開です。
>>名無し天狗さん
 アイデアありがとうございます。頂いたアイデアを元に早速
追加しました。紗紀の負った「業」、みたいなものが少しでも
伝われば、と思うのですが・・・。
20名無しんじー:02/10/27 23:40 ID:6qvYeli3
V3が動いてないのでひょっとして?と思い探したら
やっぱり新スレ出来てたんですね。
ナナシマン様
いや、こーゆーやり方もあるんですね。
斎藤、柴田の過去物語を今考えているのですが
本編とはあまり関係ないので、いんたーみっしょんとして
やろうかと思ってましたが、長編にしてみようかな。
21登場人物その他:02/10/28 00:12 ID:5ArKyCo/
その他登場人物
中澤裕子    ライダー達の保護者?(おやっさん)
石黒彩     中澤のサポート役
稲葉貴子    FBI捜査官(滝?)
福田明日香   安倍・市井の友人(死亡)
アヤカ     ミカの元同僚、現在友人協力者
レファ     ミカの元同僚(死亡)
ダニエル    レファと同じ
りんね     飯田(スーパー1)の開発助手、あさみの親友(死亡)
斎藤瞳     村田・大谷のお隣さん二人に協力
柴田あゆみ   斎藤と同じ

加護博士    加護の祖父人造人間や改造人間の生みの親
つんく博士   加護博士の助手
和田さん    昔の矢口の近所のおっさん


番外編
平家みちよ   G3
松浦亜弥    G3開発者
りんね     G3開発助手

ルル      稲葉の同僚?
石井リカ    FBI捜査官
22名無し娘。:02/10/28 00:34 ID:w0Nim8Uz
>>5
G3のところに新垣の名前がはいってるのは間違いでつか?
重箱のスミをつつくような質問で申し訳ない。
23名無し1号:02/10/28 01:45 ID:jldxOuQm
>名無シンジーさん、ナナシマンさん
 お疲れさまです。
 久しぶりに来て、読ませていただきました。
 クォリティ高いですね。
 私も、もう少ししたらZX編の続き書かせて頂く予定です。
 辻加護の最終形態を出す予定も考えています。
24名無し天狗:02/10/28 14:29 ID:M3552ENa
>ナナシマンさん
「業」ですか・・・。充分すぎるほど伝わりましたよ。
おのれの利益のために何の罪もない者の肉親を殺し、友情を踏みにじってまで
組織の歯車として酷使するガイゼル=デスパー許すまじ!
怒れ!戦え!イナズマン!!チェーースト!!!

>名無し1号さん
ZX編、楽しみにしてます!ZXの中澤軍団加入、そして辻加護の進化・・・
見てみた〜い!!!
25名無しんじー:02/10/28 19:34 ID:rp4Zm/zX
>>22
新垣>G3の予定はあったと思いますが、お話としての実現はなかったはず。

名無し1号様
感想ありがとう御座います。ZX編楽しみにしています。
>名無しんじーさん
斉藤&柴田の過去ですか・・・ぜひ平和な過去を!
27名無し1号:02/10/29 00:42 ID:iWC+4P3d
ちょっと松浦編を思いついたんですけど、石ノ森シリーズとは
関係無くなってしまうので、書くかどうか迷ってます。
とりあえず、ZX編の後になるとは思いますけど。
28ナナシマン:02/10/29 16:16 ID:tdDiqjgw
 翌日。レッドクインこと荒井紗紀が、デスパー軍団との接触場所に選んだ
のは市民球場だった。紗紀は里沙一人をスタンド席に残すと、事前に設定して
おいた総統を狙できるポイントまで移動し、機会を待つことにした。

 そして、20分ほど過ぎた頃だろうか。入り口のあたりから姿を
現したのはデスパー軍団の兵士達を伴った一体のデスパーロボだった。
 新たに頭に二つのハンマーを配し、すっかり元通りになった左腕の
ハンマーを誇示するように現れたのはあのハンマーデスパーだった。彼は
強化改造を受け、ハンマーデスパーUとして生まれ変わったのだ。

 「閣下、間違いありません。あの時の小娘です」

 そんな声を耳にしてか、ここでようやくウデスパー参謀を伴いガイゼル
総統が姿を現した。生まれて初めて目にする、デスパー軍団の長の姿。
今まで肖像画ぐらいでしか見たことのなかった、憎き五郎の仇がすぐ目の
前にいる。

 「ん?レッドクインの姿が見えんが・・・娘、ヤツはどうしている?」

 ウデスパー参謀の質問に、里沙は目を大きく見開いて言った。

 「お前達は私に用があるんでしょ?沙紀さんは関係ない!!」

 臆することなくそう言い放つ里沙に、逆に面食らったのはウデスパーの
方だった。
29ナナシマン:02/10/29 16:16 ID:tdDiqjgw
 「うぬ・・・たいした小娘よ」

 デスパー軍団ナンバー2の自分と相対してもなお、怯える様子のない少女。
すると、傍らに控えていたハンマーデスパーUがそんなウデスパーを
押しのけて前に出た。

 「レッドクインだと?あんなヤツはどうでも良い。俺はこのガキを殺す
だけだ!」

 いきり立つハンマーデスパーUは今にも里沙に殴りかからんばかりだ。
殺気をみなぎらせた敵を目の前にして里沙も覚悟を決めた、その時だった。

 「ダーン!!」

 どこからともなく聞こえてきた銃声。そして次の瞬間、真っ赤な血と共に
スタンドの床に落ちたのは・・・誰あろう、ガイゼル総統の耳だった。

 「何やつ!!」

 「総統、ご無事ですか?!」

 狼狽する二人のデスパーロボ。撃たれて欠け落ちた耳のあたりを押さえ
ながら、痛みに顔を歪ませるガイゼル総統。

30ナナシマン:02/10/29 16:18 ID:tdDiqjgw
 やがて、スタンド席でうろたえるデスパー軍団に向かって駆けてくる者
がいた。それは紗紀だった。今を逃せばチャンスはない、その思いが彼女
の暗殺者としての心理を狂わせた。あろう事か、彼女は更なる追撃のため
にターゲットの前に姿を現したのだ。

 「レッドクイン!裏切ったか!!」

 ウデスパー参謀はそう言うや、兵士達に一斉射撃を命じた。

 「構わぬ、撃ち殺せ!」

 誰もいない球場に轟く銃声。その直後、紗紀の身体は糸の切れた操り人形
のごとく崩れ落ちた。

 「紗紀さん!!」

 硝煙の煙るスタンドを駆ける里沙。血まみれの紗紀の元にたどり着くと、
必死の思いで名前を叫ぶ。その声に紗紀はかろうじて答える。

 「罰が当たったんだね・・・復讐のために里沙ちゃんを利用しようとした
罰が・・・ごめんね」

 「沙紀さん、しっかりして!紗紀さん!!」

 「アミ・・伊吹・・・里沙ちゃん・・・ごめんね」

 紗紀の薄れゆく意識をつなぎ止めるように、里沙は紗紀の手を握りしめて
いたが、もう紗紀は里沙の言葉に応えることはなかった。
31ナナシマン:02/10/30 17:49 ID:B+BArwUU
 一方、こちらは市民球場そばを走る街道。朝のラッシュを縫うようにして
二人の少女を乗せて走る一台のサイドカーの姿があった。

 「・・・銃声?」

 それは紗紀がデスパー軍団の一斉射撃の前に命を落とした、その瞬間だった。
やがて少女は道の脇にサイドカーを止め、銃声のした方向へと耳を澄ます。

 「梨華ちゃんにも聞こえた?」

そう言って少女−ひとみはヘルメットを脱ぎ、周囲を見回す。彼女の言葉
にもう一人の少女、梨華は答えた。

 「うん。あっちからだと思う」

 そう言って梨華は市民球場の方を指さす。異変を察知した二人は市民球場
の方へとサイドカー〜サイドマシンを走らせた。

 「中澤さんから言われた買い出し、間に合わなくなるかも」

そんな梨華の言葉に、ひとみはただ一言だけ言った。

 「大丈夫。多分、みんな判ってくれる」

 程なく二人は市民球場に到着した。入場規制の柵を跳び越え、二人は
球場の中へと入っていった。
32ナナシマン:02/10/30 17:49 ID:B+BArwUU
「総統、この場はデスパーシティにお戻り下さい!」

 反逆者は始末した。命に関わる傷ではないにしても、怪我を負った
総統の身を案じてウデスパー参謀が退却を進言する。

 「やむを得ん・・・」

 そう言うと、傷を負ったガイゼル総統はマントを翻し姿を消した。
その様子を見届けるとウデスパー参謀も一旦戦線を離脱する。

 「ハンマーデスパーU、この場は任せた!」

そう言い残して姿を消した。左腕のハンマーを振りかざし、既に臨戦
体勢のハンマーデスパーUは里沙に言い放つ。

 「死んでしまった者を嘆いたところでどうする。それより俺と決着
をつけようじゃないか」

 敵の吐いたその言葉に、目に涙を浮かべて里沙は決然として
立ち上がる。

 「おじいちゃんも、沙紀さんも死んじゃった・・・。だけど私は
無駄にはしない。これが私の運命なら・・・戦ってやる!最後まで
戦い抜くんだ!」

 戦いに向けての覚悟を決めた里沙。立ちはだかる敵を目の前にして
運命を克服するために天に叫ぶ。

 「見ててね、私の『変転』・・・ゴーリキショーライ!!」
33ナナシマン:02/10/30 17:50 ID:B+BArwUU
 かけ声と共にほとばしる渦状の光。夢で見たイメージそのままに、
里沙の姿は土気色の怪人、サナギマンに変化した。全身を覆う襞状の
皮膚、とても少女の姿から変化したとは考えられない、不気味な姿。
それを見たハンマーデスパーUは兵士達に一斉射撃を命じる。

 「怯むな、撃ち殺せ!」

 「ディー!ディー!!」

 命令とともに銃を構える兵士達。そして、サナギマンめがけて火を
噴く兵士達の銃。みるみるうちに硝煙に包まれるサナギマンの身体。
しかし、サナギマンは決して怯まず、倒れない。全身に銃弾を浴び
ながらも前進してくるその姿に、逆に兵士達が恐れおののいてしまって
いた。
 既にその身に怒りのエネルギーをみなぎらせているサナギマンは、
怒りの形相でデスパー兵士達を次々となぎ倒すと、更に変転を果たす
べく叫んだ。

 「チョーリキショーライ!!」

 ほとばしる稲妻、砕け散るサナギマンの身体。閃光と共に現れた
のは稲妻走る青い戦士、自由の戦士イナズマンだ。
34ナナシマン:02/10/30 17:51 ID:B+BArwUU
 「自由の戦士、イナズマン!沙紀さんの仇、許さない!!」

 身体に漲る怒りのエネルギーが稲妻となって走る。憎き敵を前にして
身構えるイナズマンに対し、ハンマーデスパーUと残るデスパー兵士が
素早く取り囲む。

 「ようやく現れたか。だが、ここが貴様の墓場だ!かかれ!!」

 ハンマーデスパーUの命令が下るや、一斉に襲いかかる兵士達。しかし
彼らは今のイナズマン−里沙の敵ではない。正に鎧袖一触、触れること
すら敵わず次々と吹っ飛ばされていく。イナズマンの拳が、脚が、雑兵
たちを木の葉のように蹴散らしていく。

 「くっ・・・やるな!」

 ばったばったとなぎ倒される兵士達。その様子に顔色を失うデスパー
ロボ。

 「今度こそ・・・逃がさない!!」

 そう言ってイナズマンはハンマーデスパーUに駆け寄ると、たたみ掛ける
ようにパンチ、キックを繰り出す。
35ナナシマン:02/10/30 17:54 ID:86//pyg6
 「稲妻拳法、念力パンチ!念力キック!!」

 一方のハンマーデスパーUはと言えば、強化改造を施されて復活した
にも関わらず、イナズマンが繰り出す怒濤の攻撃に何一つ手が出せない。
里沙の怒りのパワーが敵の実力を上回っているのか、ハンマーデスパーの
素質そのものに問題があったのかは定かではないが、圧倒的な不利を負う
展開である。

 「ぐっ!そんなバカな!!」

 猛ラッシュを凌ぎきれないハンマーデスパーUはそのままごろごろと
スタンド席を転がり落ちていく。やがてかろうじて立ち上がると、
どうにか体勢を整え反撃に転じようとするが、それを許すイナズマンでは
ない。

 「チェースト!!」

 気合いとともに大ジャンプすると、足取りもおぼつかない敵に跳び蹴り
を食らわすイナズマン。電光石火の一撃が、ハンマーデスパーUの身体を
更に吹っ飛ばさんばかりに炸裂する。

 「イナズマンフラッシュキーック!」

 強烈なキックを食らい、もんどり打って倒れるハンマーデスパーU。
既にイナズマンの怒りの連続攻撃を受けて這々の体だったが、左腕の
ハンマーを振りかざして破れかぶれの突撃を敢行する。
36ナナシマン:02/10/30 17:54 ID:86//pyg6
 「死なばもろともよ!覚悟しろイナズマン!!」

 イナズマンめがけて駆けてくるハンマーデスパーU。それを迎え撃つ
かのごとく、イナズマンは腰のベルトから何かを取り出した。それは
五郎老人に授けられたあの「ゼーバー」である。イナズマンはそれを空に
かざすと、声の限りに叫ぶ。

 「ゼーバー!イナズマンフラーッシュ!!」

 かけ声と共に空がにわかにかき曇る。そして次の瞬間、天空から
放たれた雷がハンマーデスパーUを直撃した。

 「グッ・・・グワアアアアア!」

 スタンド席をも巻き込んで轟音とともに爆発四散するハンマーデスパーU。
かくしてイナズマンはデスパー軍団の刺客を退けた。
37ナナシマン:02/10/30 17:55 ID:86//pyg6
 PCのアクシデントにより更新が途中で切れてしまって申し訳
ありません。明日の更新で29話終了となります。気がつけば
前回の倍くらいの長さになってしまいましたが、おつきあい頂き
ありがとうございます。
38ナナシマン:02/10/30 21:19 ID:O2Fpxj5u
ここで訂正です。買い出しを頼んだのは
×中澤さん
○石黒さん
です。実は名無し1号さんの26話掲載と同じ頃書き始めた話
なので、拉致に際しての訂正を忘れたまま書き込んでしまった
んです。すいません。

>>22さん
 前スレからコピペしたんですが、出勤時間前にあわててスレ
立てたらやってしまいました。きちんとテンプレ作っておけば
よかった・・・すいません。
39ナナシマン:02/10/31 15:04 ID:in6NR0s4
所要により更新が明日になってしまいます。申し訳ありません!
40ナナシマン:02/11/01 09:34 ID:BBH+VAAG
 一方、ひとみと梨華は物陰からこの戦いの様子を見ていた。

 「よっすぃ〜、今の見た?雷が落ちたよ?」

 「初めて見るタイプだ・・・少なくとも敵じゃないようだけど」

 自分たちの仲間〜改造人間の少女達とは違う、新しい戦士の戦いを
目の当たりにした二人。戦いが終わったことを確認すると、急いで
戦士の元へと駆け寄る。

 「あなたも・・・ゼティマやダークと戦っているの?」

梨華のその言葉に、青い戦士は答えた。

 「ゼティマとかダークとかは知りませんが・・・『悪』と戦うこと
を誓ったのは間違いありません」

そんな青い戦士〜イナズマンの言葉に梨華は言った。

 「私たちの仲間に会ってみない?きっと力になってくれるよ」

 梨華の言葉にひとみも頷いてみせる。その時、イナズマン−里沙は
あの少女の言葉を思い出した。
41ナナシマン:02/11/01 09:35 ID:BBH+VAAG
「あんたにふさわしい仲間たちがいるとしたらどうする?」

「仲間」。それは今の里沙にとってはあまりにも不確かな言葉だった。
この数日間、里沙が手に入れた絆はデスパー軍団によって悉く
断ち切られてしまっていたからだ。

 頼るべき人を目の前で失った。見ず知らずの女性のために、信頼と
裏切りとの間で綱渡りを演じる羽目になった。だが、このまま誰も
信じないで、誰の助けも借りずに地上で生きていくことは出来ない。
ガイゼル総統と戦うことも難しいことだろう。黙ったまま考え込む
里沙。と、その時。

 「チェンジ1・2・3!」

 かけ声とともに変身ポーズをとる二人の少女。そして次の瞬間、里沙
の目の前に現れたのは体色が赤と青の半分に分かれた異形のロボットと
ピンク色の女性的なフォルムを持つロボットの姿だった。突然の出来事
に面食らってしまった里沙ーイナズマン。

 「これで信じてくれたかな?」

 「『同じ運命と闘う仲間』って、私たちの仲間は言ってたの」

 そう言って互いに顔を見合わせる二人の人造人間−キカイダーと
ビジンダー。しかし、自分たちの発した言葉に何故かきょとんとした
顔を見せる。
42ナナシマン:02/11/01 09:35 ID:BBH+VAAG
 「『運命』って言葉の意味が・・・実はよく判らないけど」

 その理由をこんな風にキカイダーは言った。そもそも、人造人間に
仲間と言う言葉や、運命という概念が存在するかどうかは判らない。
人間と同じようにそれらを理解する「心」と呼ぶべきものはは、まだ
生まれてはいないのかも知れない。
 そんな二人を所詮人の作りしモノ、と言うのは容易いだろう。
しかし、二人の持つ「良心回路」は決して空の器ではない。彼女たち
なりの咀嚼や理解によって満たされていくものもある、と言うこと
かも知れない。

 一方里沙にしてみれば、地上に出てきてからこれまで不確かな感覚
だった、仲間と言う言葉に対する確信が生まれた瞬間だった。あの夜に
出会った少女の言葉は嘘ではなかった。同じ運命の苦難に立ち向かう
少女達は本当にいたのだ。その瞬間、イナズマンの身体が再び電光に
包まれる。やがて収束した光の向こうに、一人の少女の姿が現れた。

 「新垣里沙です。私も・・・私も皆さんについていきます!」

 里沙の目に強い決意の光が宿る。二人の人造人間も、その言葉に
力強く頷いた。
43ナナシマン:02/11/01 09:38 ID:KB+M+Dgs
 一方、こちらはデスパーシティ、ガイゼル総統の館。ファントム団
の残党狩りを終えたデスパー軍団の戦士達が、報告のために総統の元を
訪れていた。

 「ファントム団の残党を捕獲しました。いかがいたしましょう」

 捕獲した異形のロボットを伴って現れたのは、デスパー軍団の戦士、
マシンガンデスパーとノコギリデスパーの二人だった。そして彼らに
捕らわれた異形のロボットは、全身バラの花に覆われた姿をしていた。

 「こいつ以外にはもう生き残りはいない。ところでウデスパー、
この『女』面白いものを持っていたぞ」

 そう言ってマシンガンデスパーはウデスパー参謀に何かを差し出した。

 「これは・・・ロケットではないか」
 「いかにも。まずは開けて見るがいい」

 ウデスパーの無骨な手で開かれるロケット。パチン、という小気味よい
音と共に現れたのは、少女の写真だった。

 「これはもしや!!女、名は何という?」
 「聞いてどうする・・・」
44ナナシマン:02/11/01 09:39 ID:KB+M+Dgs
 参謀の問いに口答えしてみせるミュータンロボ。すると、すぐさま
両脇のデスパーロボが拳を振り上げて打ち据える。再びウデスパー参謀
が尋問する。

 「女、もう一度聞くぞ。貴様の名は?」
 「バラバンバラ」

 バラのロボットは苦しそうに一言だけ答えた。おそらくミュータンロボ
としての名であろう。ミュータンロボとデスパーロボは、両者とも新人類
と呼ばれる超能力者を改造したものである。

 「フン・・まぁよい。バラバンバラよ、本来ならファントム団は閣下
の憎むべき敵だ。だが、貴様だけは生かしておいてやる」

 打ち据えられてうずくまっていたバラバンバラは、ウデスパー参謀の
思いがけない言葉にゆっくりと顔を上げた。

 「娘が恋しかろう。いずれ会わせてやろうと思うが、どうだ?」

 その言葉にハッとするバラバンバラ。傍らで聞いていたガイゼル総統
の口元に残酷な笑みが浮かんだ。
45ナナシマン:02/11/01 09:39 ID:KB+M+Dgs
 数日後、郊外のとある墓地。そこに、霊前に手を合わせる里沙と
新しい仲間達の姿があった。デスパー軍団によって運命を狂わされた
一人の女。その亡骸は、稲葉貴子の計らいによってこの墓地に葬られる
こととなったのである。

 「荒井の友達だったっていう女から電話があってな。親友を殺された
ことは一生許せへんけど、さりとて親友を憎みきることもできん言うて」

 貴子に電話をしたその女−末永真己はデスパー軍団の工作員であった
過去を告白し、知りうる全ての情報と引き替えに身の安全を保証すると
いう司法取引の後、身柄を確保されたという。FBIは彼女がゼティマ
にスパイとして潜入していた経歴を持つことを重要視し、この条件を
提示したという。

 「沙紀さん・・・総統は必ず私が倒します。もう誰にも復讐なんて
考えて欲しくないから」

 復讐心を超え、その禍根を断つために。世界を脅かす悪の脅威と、
自らに課せられた運命を克服するために里沙は戦い抜くことを誓った。

 自由の戦士として変転能力を得た少女、里沙。再び彼女を襲った辛い
別れの後、里沙はついに本当の絆を手に入れた。しかし、新たな悪の
陰謀と、逃れ得ぬ宿命の戦いが里沙を待ち受けていることを、まだ知る
よしはない。


第29話「紅い暗殺者」 終
46ナナシマン:02/11/01 09:40 ID:KB+M+Dgs
 以上で29話はおしまいです。おつきあい頂き本当にありがとう
ございました。
 加筆、訂正を加えたらかなり長くなってしまいました。実は今回
は2つの話を一つにしたストーリーなんです。シェキの荒井紗紀に
ついては名無し天狗さんのご指摘通り、「イナズマンF」の荒井誠
と引っかけてます。


>>名無し1号さん
 ZX編の続きは気になるところですので、とても楽しみです。
あと松浦編も気になるところですが、石之森ワールドの括りと
話の両立、一つの課題ですよね。。

>>名無し天狗さん
 そんな総統の内面にもほんのちょこっと触れつつ、イナズマン編は
ついにニィニィが宿命の戦いに直面します。その話はまたいずれ。

>>名無しんじ〜さん
 やり方っていっても、そこはもう名無しんじ〜さんのスタイルで。
メロンの柴田・斉藤サイドのストーリー、楽しみです。

 次回はホントにどの話の進行にも影響しない(予定)1話完結の
ストーリーをやってみようと思ってます。
47名無し天狗:02/11/01 20:23 ID:eUZ+B18D
>ナナシマンさん
更新お疲れチェーースト!!
微量ながらネタばらし(荒井の件)を詫びつつこれからに期待。
しかし、バラバンバラとは一体・・・?
48名無しんじー:02/11/02 00:32 ID:SAr09SZT
ナナシマン様
お疲れさまでした。イナズマンの元ネタを知らないながらも
楽しめました。斎藤・柴田は、やはり元のままで行こうと思います。

名無し天狗様
と言う事なので、二人の過去編はご期待に添えるかどうか・・
平和って言えばそんな気もしますが、
「戦う理由」がテーマなので・・後は見てのお楽しみって事で!
49名無し天狗:02/11/02 01:55 ID:iFM6yOJ2
>名無しんじーさん
期待してます&お待ちしてます。
50名無しスター:02/11/03 01:22 ID:+pAqIyH8
えーい、書いちゃえ!
初めて書き込みます。
51名無しスター:02/11/03 01:23 ID:+pAqIyH8
うららかな秋の午後、函館市内の公園。
子供達が砂場やブランコで遊んでいる。
周りでは母親達がそれを談笑しながら見守っている。
ベンチでは若い男女が肩を寄せ合ってうたた寝をしている。
平和な日だった。

「うわっ!」

突然ベンチの方から男性の悲鳴が上がった。
母親達が振り返ると、うたた寝をしていた若い男に子犬が吠えかかっている。

「あ、あっちへ行け!」
「ごめんなさいね」

飼い主の上品そうな女性が笑いながら去って行く。
女の方は眠り続けたままだった。男はそれを見ると座り直し、
またうたた寝を始めた。

やはり何事も無い平和な日のようであった・・・
52名無しスター:02/11/03 01:26 ID:+pAqIyH8
3日ほど前、公園から数km離れた市街地では異変が起きていた。

函館駅前のビルの一室。
「暴力団事務所ではないか?」と噂されていた部屋である。
中はめちゃくちゃに壊されていた。

そこに2人の怪人がいた。

「一体どういうことだ?誰にやられた!」
「そ・それが何も分からないんで・・・」

全身を包帯で包まれた怪人が怯えながら答える。顔は豚のように鼻が大きく
せり出しており、包帯の隙間から半分折れた牙がのぞいている。

バキッ!

もう一人の赤い怪人が大きな手を振り払うと、傷だらけの怪人は部屋の
反対側に吹っ飛んだ。

「ウ・ウウウ・・・」
「キバイノシシ!お前とて改造人間だろう。生身の人間がここまでできるわけがない!
 『ライダー』の仕業に決まっている!」

「い、いえ・・他の怪人も誰も敵の姿を見ていないんで・・・。まるで影のような奴でして・・」

「そうか・・わかった。『サタン帝国』は今日で解散だ。もっとももう潰されているがな・・。
 函館はゼティマ北海道支部が直接支配する」

「それで、ザリガニアン様・・俺たちはどうなるんで?・・・」

「用無しだ」
53名無しスター:02/11/03 01:28 ID:+pAqIyH8
そう言うと赤い怪人、ザリガニアンはキバイノシシとの距離をゆっくり詰める。

「く・くそっ!」

すべてを悟ったキバイノシシは体勢を整えるとザリガニアンに突進した。

ガシッ!

決死の体当たりもザリガニアンの右手一本で止められてしまった。いや、
手というより「ハサミ」である。
ザリガニアンはキバイノシシの首を巨大なハサミで掴み、持ち上げた。
キバイノシシの体は痙攣し、やがて動かなくなった。

ドサッと音がしてキバイノシシの体が床に落ちた。体からは血液がほとんど吸い取られていた。
54名無しスター:02/11/03 01:30 ID:+pAqIyH8
「他の怪人どもも始末しておけ」

ザリガニアンは戦闘員にそう言うと考え込んだ。
ゼティマ北海道支部の下部組織である「サタン帝国」が何者かに攻撃されている
という情報が入ったのは1ヶ月ほど前、そして壊滅したという報告が入ったのが昨日。

ザリガニアンが事務所に偽装したアジトに来てみると、アジトは壊され、中で怪人たちが倒れていた。
下部組織がゼティマから溢れた出来損ない怪人の集まりであるとはいえ、生身の人間が
勝てるはずもない。
しかも怪人は倒されてもとどめを刺されることなく生きている。

生き残った怪人たちによると闘い方も「ライダー」とは全く違うようだ。
それに本部から「ライダー」が北海道に来たなどという情報は入っていない。
新しいライダーか、それとも・・・

「あぶり出してみるか・・・」
55名無しスター:02/11/03 01:33 ID:+pAqIyH8
その日から函館市内で、首に傷跡のある血を抜かれた死体が次々発見されるようになった。
大きなハサミを持ったエビのような怪人を見た、という噂も立ち始めていた。

「そろそろ現れてもいい頃だが・・・」
「た・・助けて・・・」

市街地の路地の奥、ビルの裏側。
ザリガニアンのハサミに若い女性が挟まれ、か細い声を上げている。

「もっと大きな悲鳴を出せ!」
「た・・・助けてー!!」

「・・誰だ!」
「・・どうした?」

男性の声が聞こえ、数人が叫びながら向かってくる足音がした。
「ギャ・・・」
ザリガニアンはハサミに少し力を入れると女性を放り出し、戦闘員と共にゆっくりと逃げ出した。
こんなことをこの3日間で何十回も繰り返している。

しかし今回は違った。いつもならアジトに戻るか次の標的を見つけるが、今回は
市街地を抜け郊外の人気のない林の中に逃げ込む。

林の中を進むと木が切り倒され、少し広い空間ができているところがあった。

「このあたりでいいか」

ザリガニアンは立ち止まり、振り返って林の中に向かって叫んだ。

「出て来い!さっきから追って来ているのは分かっているぞ!」
56名無しスター:02/11/03 01:35 ID:+pAqIyH8
すると女性と思われる人物が林の中から歩み出てきた。

「・・・・・」

ザリガニアンはその姿を見て落胆した。仮装した女性であった。
星の模様の大きなマント、白いノースリーブ、白い手袋とブーツ、そして仮装パーティーか
SMショーのようなマスクとミニスカート・・・・
ただの変質者か?・・・

「おい、どかして来い・・・」

ザリガニアンがそう言うと、戦闘員の一人が女性に近づいて肩に手をかけようとする。
女性はその手を振り払うと、戦闘員軽く裏拳を一発お見舞いした。
戦闘員はその場で倒れ、動かなくなった。

「貴、貴様・・・ただの変質者では無いな。何者だ!サタン帝国を潰したのも貴様か!」

「私は、影の戦士・・・」


「ベルスター!」
57名無しスター:02/11/03 01:36 ID:+pAqIyH8
「えーい・・かかれ!」

残りの戦闘員が一斉に飛びかかる。
ベルスターは軽やかな動きで相手の攻撃をかわし、次々に戦闘員を倒していく。
瞬く間に戦闘員はすべて倒され、残りはザリガニアン一人となった。

「ふん、なかなかやるな!俺が相手だ」

ザリガニアンが猛然と襲い掛かる。
ベルスターはヒラリとザリガニアンの突進をかわすと次々とパンチを浴びせていく。

「ベルパンチ!」
「ベルチョップ!」

攻撃を一方的に受け続けるザリガニアン。

「とどめよ!ベルキック!」

渾身の蹴りがザリガニアンにヒットした。

「・・・その程度か?」


「・・・そんな・・」
58名無しスター:02/11/03 01:39 ID:+pAqIyH8
ベルスターはあわてて距離を取り、ザリガニアンと対峙する。

「効いてないの?・・・」
「サタン帝国の出来損ない怪人と一緒にするなよ。俺はゼティマの正規軍だ!」

再び襲い掛かるザリガニアン。ベルスターは攻撃をすべてかわし、パンチ・キックを打ち込む。
しかしザリガニアンに目立ったダメージは無い。
ベルスターに疲労の色が見え始めた。

「いつまで逃げ続けられるかな?」

ベルスターは再び距離を取り、息を整えた。

「バカめ!」

その瞬間、ザリガニアンの手から何かが発射された。

「しまった!」

飛んできたのは右手のハサミであった。ベルスターは首をハサミに挟れたまま
後ろの木に磔にされ、身動きがとれなくなった。
ハサミが徐々に食い込み、意識が遠のく
59名無しスター:02/11/03 01:42 ID:+pAqIyH8
「ワハハハハ!それでは自慢のフットワークも使えまい!」

ゆっくりザリガニアンが近づいていく。

「くっ!」

その時、目の前を赤い影が通った。

「何だ、今のは?」

あわててまわりを見回すザリガニアン。再び前を見るとベルスターの姿が無く、
地面に折れたハサミが落ちていた。

「何っ?・・・何者だ!姿を見せろ!」

木の陰から赤いマントを着た何者かが現れた。


「カゲスターだ!」
60名無しスター:02/11/03 01:44 ID:+pAqIyH8
「化、化け物!」

赤いマントに赤い体、白い手袋とブーツ、白いスカーフ。そしてその顔は異様であった。
赤い皮膚にギョロっとした大きな目、目の下には大きな逆放物線形の「クマ」にしか見えない黒い模様。
頭は白をベースに左右に2つの青い渦巻きのような模様。脳みそのようにも見える。
一言で言えば「怖い」、「趣味が悪い」。改造人間を見慣れたザリガニアンですらその異形にたじろいだ。

「遅いじゃないの!」

ベルスターがカゲスターに向かって怒鳴る。

「ごめん、ちょっと『本体』にトラブルが・・・」
「どうせかわいいコでもいたんでしょ?」
「ちがうよ、犬が・・・」

「死ね!」

ハサミが飛んでくる。カゲスターは間一髪でよけると一気にザリガニアンとの距離を詰める。
61名無しスター:02/11/03 01:46 ID:+pAqIyH8
「カゲパンチ!」
「カゲチョップ!」

ベルスターとはパワーが違う。あっという間にザリガニアンを追い詰める。

「とどめだ!カゲキーーーック!」

カゲスターは高々とジャンプし、ザリガニアンに強烈な飛び蹴りをお見舞いした。
膝を付くザリガニアン。

「どうだ?」
「危ない!」

ベルスターが声を上げる。
ザリガニアンが膝をついたまま、いつの間にか再生したハサミでカゲスターの首を狙う。

「うっ!」

カゲスターの首を挟んだまま持ち上げ、そのまま地面に叩きつける。

「ぐわっ!」

カゲスターはハサミを両手で持つと「ガゲスター投げ」で無理矢理引きはがし、距離を取る。
62名無しスター:02/11/03 01:47 ID:+pAqIyH8
「な、何だこいつは・・・」
「気を付けて、今まで闘ってきた相手とはレベルが違うわ。」

「よし、2人で行くぞ」

2人がかりで連続攻撃を仕掛ける。しかし決定的なダメージは与えられない。
逆に時折カゲスターに当たるザリガニアンの攻撃は重く、ダメージが蓄積していく。

「カゲキーーーック!」

4発目のカゲキックが命中する。たまらずザリガニアンが倒れる

「今だ!カゲファイヤー!」
「ベルファイヤー!」

地面に拳を突き刺すと衝撃波が地面を伝い、ザリガニアンが炎に包まれる。

「ダブル車輪!」

さらに追い討ちをかける。
ザリガニアンは天高く舞い上がり、地面に叩きつけられ、そのまま動かなくなった。

63名無しスター:02/11/03 01:50 ID:+pAqIyH8
「なぜとどめを刺さない・・・そういえばサタンの奴らにも・・・」

ザリガニアンは虫の息だ。カゲスターが答える。

「怪人は殺さない主義だ。それより聞きたいことがある」
「何だ?」
「加護博士を知っているか?つんく博士でもいい」
「当然知っているとも、俺たち改造人間の生みの親だ」
「どこにいる!」
「おれは地方支部の下っ端だ。本部の幹部クラスのことなんぞ詳しくは知らん。」

「やっぱり2人ともゼティマの人間だったのか・・・そうだ、おい!
 後藤真希という女性については何か知らないか?」

「聞いたことはないな。構成員の本名なぞ誰も知らない。『マキ』なんて
 名前の女は組織にいくらでもいる。ああ、 そういえば本部にいた頃、
 殺したい幹部クラスの改造人間がいたが、そいつも『マキ』と名乗っていたな・・・」
64名無しスター:02/11/03 01:53 ID:+pAqIyH8
「聞きたいことはそれだけか?とどめを刺さないとは全く甘い奴らだ・・・」
「じゃあ支部か本部の場所を教えてくれないかしら?」

ベルスターが言った。

「そんなことを話すと思っているのか?・・・それに俺より遥かに強い改造人間が
 いるんだ、行ったところで・・・いや、しかしお前達なら俺の・・・」

ザリガニアンは黙り込んだ

「どうしたの?」
「なんでもない、いいだろう教えてやる。どうせ俺はもう・・・」

その時、ザリガニアンの腰のあたりで何かの作動音がした。

「離れろ!」

ザリガニアンが叫んだ。
65名無しスター:02/11/03 01:54 ID:+pAqIyH8
次の瞬間ザリガニアンが巨大な炎に包まれ爆発した。
ギリギリのところで爆発に巻き込まれることを逃れたカゲスターとベルスター。

「自爆した?」
「いや、消されたのかも・・・」

林に炎が燃え移りみるみる広がっていく。消防車が集まってきた。

「行きましょ、カゲスター」
「そうだな・・・」
66名無しスター:02/11/03 01:57 ID:+pAqIyH8
函館市内の公園
ベンチの若い男女がゆっくり目を覚ました。
男の方は目を覚ますや否やベンチからずり落ちて地面に膝を付いた。
女のほうが駆け寄る。

「ユウキ、大丈夫?」
「だ、大丈夫。でもあんなのが下っ端だなんて・・・」
「やっと『本体』が出てきたわね。もう後戻りはできないわよ」
「ああ・・でも、お姉ちゃんが出入りしてた所はやっぱりゼティマの研究所だったんだ。
 きっとお姉ちゃんは奴らに・・・ちくしょう!」

「希望を捨てちゃダメよ。きっと生きているわ。それより北海道にあるのが
 『支部』と分かっただけでも収穫よ。」

「収穫?」
「本部の場所を探さないと。」

「いきなりそんな・・本部なんてどんな怪人がいるか、まずは北海道支部を探したほうが・・・」
「情報は全部本部に集まるのよ、あんたの姉さんの情報も。怪事件が続出してるから
 函館に来たけど、ここは支部しか無いんだし、用は無いわ。」
(注:サタン帝国はあまりにマヌケなので報道されてしまっている)

「そうだね・・ところでいつもちゃんと答えてくれないけど、ソニンさんは
 何のために戦ってるの?」
67名無しスター:02/11/03 01:59 ID:+pAqIyH8
「私は・・・私の記憶を取り戻すため、そして家族のため・・・」
「またそれ?」

「うるさいわね、いいじゃない目的が何でも。敵は同じでしょ?・・・
 さあ、帰って夕食にするわよ」
「またカレー?」

「文句があるなら食べなくていいわよ。それと帰ったら荷物をまとめないとね。
 明日には津軽海峡を越えるわよ」
「どこへ行くの?何か情報でも?」

「『本部』と言ったらだいたい東京じゃない?カンだけど。それに最近怪事件多いみたいだし。」
「相変わらず無計画だなあ・・・いいよ、行こう。」

そう言うと2人は立ち上がり、公園の近くのアパートに帰って行った。
2人の影は昼間にもかかわらず、夕方のように長く伸びていた・・・
68名無しスター:02/11/03 02:04 ID:+pAqIyH8

終わりでーす。
つまんなかったり、使おうとしてたメンバーだったりしたら無視してください。

しかし「ザ・カゲスター」知ってる人何人いるか(w
69名無しX:02/11/03 15:40 ID:jSzoQNjb
>名無しスター様

カゲスター?・・・知らねー
というわけで検索してみますた

ttp://www4.justnet.ne.jp/~heroak/MH5.html

面白かったけど石ノ森作品じゃないんだね。
他の作者さんに問題がなければ続きが見たいけど・・・。

>ALL作者様
やっと新スレに気づきました(w
これからも期待してますのでがんばってください。
自分としては近々短編一本行きたいと思ってます、その節はよろしくお願いします。


70名無しんじー:02/11/03 21:53 ID:stLtV9FP
カゲスター
1976・東映・テレビ朝日系
カゲスター・姿 影夫
ベルスター・風村鈴子
元ナチスの科学者ドクター・サタンのサタン帝国とカゲスターとの戦いを
主軸とした作品
私も見たことないですね。

名無しスター様
ユウキとソニンで来ましたか。いや面白かったです。
私も続きが見たいですね。
「八手三郎」って戦隊物とか宇宙刑事系のメタルヒーローとか
いっぱいありますよね。「八手三郎」って東映全体のペンネームみたいな
感じなのでしょうか?サンライズの矢立肇みたいに。
711読者:02/11/03 22:55 ID:LU8mPf4c
>カゲスター
>東映・テレビ朝日系1976年

1976年だったら、俺は生まれてないから知らない訳だ。
72名無しスター:02/11/04 12:30 ID:zLZaaNWv
>>69
>石ノ森作品じゃない
そこは気になってたんだけど、本編とは影響無いのでいいかな、と勝手に判断して
しまいました。
EEジャンプでやろうと思うと男女2人組のヒーローってあんまりいないので。
そもそも男性の登場人物って全体の雰囲気を壊しかねないのでユウキは出しにくかった
けど、せっかくの姉弟キャラだし・・・
まあ気に入らなかったら「史実」どおりユウキに消えてもらえばよろし(w

>>70,71
私もカゲスターは良く知りません。リアルで見てたはずなんだけど。
2人組で「顔が怖い」ぐらいは覚えていたんですが。
ちなみに、今回は「技のベルスター、力のカゲスター」的な書き方をしましたが、
実際のストーリーでは能力が同じ。
現実ではユウキよりソニンのほうが強そうですが。

ご迷惑でなければ本編とあまりかかわらない範囲で続編を書いてみようと思います。
73名無し天狗:02/11/04 22:57 ID:zQAWRwGn
>名無しスターさん
カゲスターは知ってました。でも、やはり微妙なところですね・・・。
(酷な言い方で申し訳ないですけど)
石ノ森ブランドじゃないけど、東映作品・・・う゛〜〜〜ん・・・。
でも、物語そのものは楽しめましたよ。
74名無しさん:02/11/04 23:29 ID:8BGF1uRW
ttp://www3.justnet.ne.jp/~a_matsu/kagestar.HTM

ここによると、カゲスターにも小林昭二、納谷悟朗 が出演していたから
ライダーワールドと繋がっているとも言えるね。
75名無し募集中。。。 :02/11/05 20:48 ID:9fPY6F77
>カゲスター
一読者としては面白かったのでアリ。
後藤姉との繋がりも興味深いし是非続きがみたいです。

ちなみに
>>70
「八手三郎」って東映全体のペンネームみたいな感じなのでしょうか?サンライズの矢立肇みたいに。

確かその通りです。ひとりの人だとすごい才能のような(w

76ナナシマン:02/11/05 22:03 ID:GvmNLEFs
>>名無しスターさん
 「そうきたか!」これが第一印象でした。
 こう言っては何ですけど、個人的には「カゲスター」って一番
「ない」って思っていた路線のヒーローなんですよ。でも続きの
気になる話です。「石之森作品じゃないから違う」っていう一言
では片づけられない一編だと僕は思います。


 本来僕が決めたりする事ではないので、一読者一作者としての
意見ということで読んで頂きたいのですが、僕としては枠組みを
少し広げて石之森ものという枠組みから少し広げて「東映もの」
としての枠組みの中であればOK、ということにしてはと思うん
ですがどうでしょう?
77名無しんじー:02/11/05 22:03 ID:JXMRgvnV
>>75
やっぱりそうでしたか。ありがとうございます。
>ひとりの人だとすごい才能のような(w
確かに・・
78名無し天狗:02/11/05 23:08 ID:c0C4PMuf
>ナナシマンさん
「東映作品全般」ですか・・・。
何かいいですね、それ。
79名無しスター:02/11/06 02:00 ID:dQj1uqtE
もっと批判されるかとドキドキしてましたが、概ね好印象のようでホッとしました。
でも名無し天狗さんの意見も正しいし。
とりあえず、積極的には書き込まず、スレが死亡寸前になったら保全代わりに
外伝的なネタを書く、ということでお許し願えませんでしょうか。
ハカイダーとの絡みは避けて通れないでしょうが、なるべく他のキャラとの接触は
避けますので・・・

事前に相談すればよかったんだけど、ネタバラシになるし・・・
キョーダインにすればよかったかな・・・
80名無し1号:02/11/06 05:01 ID:j9JKu9H7
キカイダー01の話のほうが先に出来ましたので、
そちのほうを書かせていただきます。よろしくお願いします。
81名無し1号:02/11/06 05:06 ID:j9JKu9H7
第30話「もう1人の人造人間」

ここは、北海道は札幌市。
人口130万人をほこる政令指定都市である。
ゼティマの侵略が首都東京を中心としている事を考えると、
のどかな町であると言える。
しかし、この町には大きな秘密が隠されていた。
いや、正確に言えば町すべてではなく、そのいっかくにだが・・・。
82名無し1号:02/11/06 05:09 ID:j9JKu9H7
札幌の町の郊外に一つの寺院があった。
そこには、いつ誰が安置したのか分からないが、1体の仁王像が
建立されていた。
もともとその寺院にあったものではない。
ここ数年の間にある科学書が研究の成功を祈って寄進したものだった。
それも本来なら2体で1つのはずの仁王像が1体だけ・・・。
83名無しんじー:02/11/06 23:53 ID:ea8UVZg+
名無し1号様
01の話できていたんですね。実は密かにいつやってくれるのか
待ってました。頑張って下さい。

名無しスター様
死亡寸前とは言わず、しばらく話の間があいたらやってみては?
私が時々書く「いんたーみんしょん」は短編ですが
外伝みたいな感じでやってますので。
84名無し天狗:02/11/07 14:24 ID:3IiijgtP
>名無し1号さん
元を正せば私の「出しゃばり」がそもそもの原因・・・。
名無し1号さんには申し訳ないことをしたと思っています。
でも・・・面白そうですね。
85 :02/11/09 17:41 ID:6tmjjYvC
保全
86スーパー弁護士:02/11/10 23:33 ID:saqbKo2g
「ゴローちゃん、保全頼むよ」
「はい、先生」
87名無し:02/11/11 21:49 ID:Uv873mLu
保全
88名無し:02/11/12 22:55 ID:0HXNqtcj
また保全
89名無しんじー:02/11/14 13:33 ID:G3urWXZ0
名無し1号さんは何処に。
つなぎの意味も込めて
いんたーみっしょん【斎藤・柴田過去物語序章】

中澤家での出来事の翌日!
(デンワダヨー!デンワダヨー!)
村田の携帯が鳴った。
「もしもし、あっ、ののちゃんどうしたの?」
(村田さん、大変なのれす。すぐ来てほしいのれす。)
「大変って、何かあったの?えっ・・うん解ったすぐ行くよ。じゃね。」
その様子を見たいた柴田。
「どうしたの?事件?」
すると村田は笑い出した。
「ふふふ・・ちがうの、ののちゃんがね、テーブル壊しちゃったんだって
 それで、今中澤さん出かけてるからその間に直してくれって。」
「あゆみも一緒に行く?」
「うん。」
「じゃ行こうか。まさえ、店番お願いね。」
「あいよー。」
二人は中澤家に向かった。
90名無しんじー:02/11/14 14:02 ID:JC7edjEw
中澤家に到着すると辻があわてて出てきた。
「村田さん、ありがとうれす、裕ちゃんにばれたら飯抜きなのれす。」
村田と柴田と辻はリビングへ、するとテーブルの足が見事に折れていた。
「どうれすか?直りそうれすか?」
辻は不安そうに聞いてきた。村田は微笑みながら
「大丈夫、すぐ直るよ。」
「良かったれす。お願いするのれす。」
村田は修理を始めた。そこに保田がやって来た。
「ごめんね。手間かけさちゃって。まったくののったら。」
村田は作業しながら
「大した事ないですよ。ほら終わりました。」
辻が嬉しそうに
「さすが村田さんれす、本当にごめんなさいれす。」
作業も終わり保田の勧めもあって四人でお茶の時間、そこで柴田が
「何だか小さい時の事思い出しちゃった。」
保田が聞いた
「何?よかったら、聞かせてよ。」
「はい、私もめぐみ姉ちゃんに同じ様な事してもらった事があるんですよ。」

柴田が村田を姉ちゃんと呼ぶ理由、続きは【過去物語柴田編】で!

91名無しんじー:02/11/14 14:05 ID:JC7edjEw
名無し1号様
またしても間に書いた事お詫び申し上げます。
早く帰ってきて下さい。お待ちしています。
92名無し1号:02/11/15 00:20 ID:LSo4W9vJ
しかし、そんなのどかな北海道にもゼティマの魔の手は迫りつつあった。
ゼティマの下部組織ダークを初め、ゼティマ本体も札幌を始め、室蘭
等に精力を伸ばそうとしていた。
室蘭に巣食ったゼティマは安倍なつみこと仮面ライダーストロンガーと
あさみこと電波人間タックルの手によって撃破されていた。
しかし、ダークやゼティマ本部の北海道進行は続く。
もう、誰もゼティマの進行を食い止める者はいないのか・・・。
だが・・・!
93名無し1号:02/11/15 00:33 ID:LSo4W9vJ
ある日、札幌郊外の仁王象に変化が起きた。
仁王像の両目が目映いばかりの光を放ち点滅しだしたのだ。
そして、その光の点滅がものすごいスピードに達した時!
「ドカーーーン!」
大爆音とともに、仁王像は粉々に砕け散った。
そして・・・その土煙の中から異形の姿の者が立っていた。
94名無し1号:02/11/15 00:42 ID:LSo4W9vJ
その姿は、赤と青に塗り別けられた体。
ちょうどキカイダーひとみとは左右対称だ。
そして、頭は透明なカバーで被われ、また胸も同じカバーで被われている。
頭にをはじめ透明な部分は機械が剥き出しに見え、頭の中央には激しく
回転する太陽電池が収められていた。
それは・・・まさに人造人間。

ゆっくりと両手を左右に下ろすと、凛とした女性の声で人造人間は叫んだ。
「キカイダー01!」と。

彼女こそ、加護博士とつんく博士が万が一ゼティマが暴走を始めた時の
為に最初に造りあげた人造人間であった。
つまりは、梨華やひとみの姉にあたる事になるのである。
95名無し募集中。。。:02/11/17 21:26 ID:NefI0wjQ
作者の皆さん乙です。
またK点越えそうなので1度ageますね。
96名無し募集中。。。:02/11/18 23:52 ID:xBaApv1V
保全
97名無し募集中。。。 :02/11/20 20:57 ID:irz+OBFD
舞台が函館や札幌など道内なので、「雅楽戦隊ホワイトストーンズ」を連想するのはヲレだけか?
98某蛇男:02/11/22 00:15 ID:AAnIn4ni
保全しないとイライラする
99名無し1号:02/11/22 01:15 ID:OghFGbr/
そして、彼女は姿を変える。
髪の長い美しい少女の姿に。
「・・・ゼティマが動き出した。私の回路が作動してる。」
「それに、ひとみと梨華ももう動き出してるみたい。・・・苦戦してるのかも」
彼女は誰に言うでもなく呟いた。
人間体になった彼女の名は「まい」。
100名無し1号:02/11/22 01:20 ID:OghFGbr/
「・・・行かなきゃ、ひとみと梨華のところへ。」
彼女は、ゆっくりと歩み出した。
まだ見ぬ妹達とそして加護博士の願いをかなえるために。
しかし、これから彼女を待ちうけるものが何なのか。
彼女はまだ知らない・・・。

                第30話「もう1人の人造人間」完
    
101名無し1号:02/11/22 01:23 ID:OghFGbr/
お待たせしてさらに短くて申し訳ないです。
実は作成して保存してあったファイルが消えてしまったので、
別に展開をさせていこうと思ったので。
一応、これで私の話は終わりです。
102名無し天狗:02/11/22 01:56 ID:tUHCI1eS
>名無し1号さん
こちらこそ、私の「出しゃばり」のせいでご迷惑をおかけして
大変申し訳ないです!・・・でもこれで話の幅が広がって益々楽しみです。
お詫びも含めて期待&応援してます!
103 :02/11/22 16:00 ID:lsYzh+mP
ほぜん
104:02/11/22 16:11 ID:lsYzh+mP
ほぜ
105名無し募集中。。。 :02/11/24 11:37 ID:7MkKVSo4

若者がいた。
歳は30前後。おそらく剣道家か空手家であろう。
武道家らしい佇まいとがっしりとした体つき。眼光鋭く、肩をいからせ歩いている。

老人がいた。
見た目は80歳近くに見えるが、実際はもっと歳をとっていそうだ。
顔は皺だらけだが背すじは伸びている。

若者が道を歩いていると正面から老人が歩いてきた。
若者は最初気にもとめなかったが、老人が近づくにつれ体に異変が起きはじめた。
汗がにじみ、足が重くなる。
ついに老人の手前数メートルで足が止まってしまった。
「まさか・・この爺さんが?・・・」
若者は気付かなかったが既に老人の「間合い」に入っていたのである。

老人は若者のことなどまるで気にしていない様子で歩き続ける。2人の距離が詰まる。
若者は本能的に構えをとろうとするが、体が動かない。足が震えて立っているのがやっとである。

老人は若者の目前まで来るとすっと脇によけ、若者の横をすり抜けた。
老人が通り過ぎた数秒後、若者はがっくりと膝をついた。額は汗びっしょりである。

老人は10メートルほど歩いたところで振り返りもせず一言呟いた・・・・・



「保全・・・」
106名無しんじー:02/11/24 21:17 ID:IXTThBAr
名無し1号さま
続きを楽しみに、お待ちしております。
>>105
おもしろい!
107名無しんじー:02/11/24 21:19 ID:15IRGsY/
それでは、はじめさせていただきます。
108名無しんじー:02/11/24 21:45 ID:BhGhZcJ5
いんたーみっしょん
      【斎藤・柴田過去物語・柴田編】
>>89も見てください

中澤家に出かけた、柴田と村田、柴田はそこで自分の過去を語った。

柴田は幼い頃から、警察官の父親と二人暮しだった。
柴田がまだ小学校に入って間もない頃、いつもの様に父親と夕食をとっていた。
だが、まもなく父親は緊急の呼び出しを受け、出かけて行く。
そして、それが柴田が最後に見た父親の元気な姿だった。
その後柴田は、頼れる親戚もなく、施設へ引き取られた。
学園長の上原先生をはじめ、みんな柴田を暖かく迎えてくれたが
幼い柴田は、ショックからなかなか心を開こうとしなかった。

柴田がここに来てから半年位経ったある日、学園に二人の女の子がやって来た。
この二人こそ、村田と大谷であった。運命の出会いである。
109名無しんじー:02/11/24 22:10 ID:FOCYQ+6A
柴田は、いつも学校が終わると一人で遊んでいる事が多かった。
別に、みんなが嫌いとかそう言う理由でもない。ただ何となくきっかけが
掴めなかったのかもしれない。それにお気に入りの木馬があった。
柴田はいつもそれで遊んでいたのである。
村田と大谷もまた、二人でいる事が多かった。二人もみんなと馴染んでいない
訳でもないが、いつもスケッチブックを広げて何かしていた。
そんなある日、柴田はいつもの様に談話室の木馬で遊び、村田と大谷も
談話室の隅でいつもの様にスケッチブックを広げていた。
柴田は、外で遊んでいる他の子達を眺めながら遊んでいたその時だった。
(バキッ!)柴田の乗った木馬の足が折れた。幸い怪我はなかったが
そのショックから柴田の目からは涙がこぼれていた。
その様子を部屋の隅で見ていた村田と大谷は、直ぐに柴田の所へ駆け寄った。
「あゆみちゃん、大丈夫?」
泣いている柴田に大谷が話し掛ける。柴田はただ頷くだけだった。
「木馬、壊れちゃったんだ・・・・よし!」
村田は何かを決心した様にこう言った。
「まさえ、ちょっといい?」
村田と大谷は何か相談し始めた。すると間もなく大谷は談話室を出て行った。
「あゆみちゃん、ちょっといいかな?」
村田はそう言うと、いつも腰に下げているポーチからメジャーを取り出した。
110名無しんじー:02/11/24 22:37 ID:2SIlwzrr
村田はそのメジャーで木馬の足の長さや太さなどを測りはじめる。
手際良くメジャーを使いその寸法をノートにメモしている村田
柴田はその作業をただ黙って見つめていた。
しばらくすると、道具や木材を持った大谷が園長先生を連れて戻って来た。
「めぐみ、持って来たよ。」
大谷が村田に持っている物を渡す、村田はそれを受け取った。
「めぐみくん、それで何とかなるかのう?わしゃぁ、こう言う事が苦手でのう
 よろしく頼むよ。」
園長先生は村田にそう言うと
「あゆみくん、今からめぐみくんがこの木馬を直してくれるそうじゃ、
 一緒に手伝ってみようじゃないか。」
今度は柴田にこう言った。
村田は木馬を直すつもりでいるらしい。柴田は半信半疑だったが
直るならと思い手伝う事にした。
古い足の切断や新しい足の加工、色塗りなど三人の作業は三日かかった。
それでも何とか木馬は元通りになった。

111名無し天狗:02/11/24 23:01 ID:FYm44hzo
>名無しんじーさん
ついに柴田の過去が語られましたね。でも「父親を見た最後」ってことは、まさか・・・!?
それと気になったのは、やはり上原園長。この人って、ひょっとして・・・・・・
袈裟俊さん?ホラ、「ア○さ○!」のドラマに出演してた、あの人の良さそうなおじいちゃん・・・。
112名無しんじー:02/11/24 23:07 ID:104DBpgb
「三人ともよく頑張ったのう、凄いじゃないか、めぐみくん、
 これならお父さんの後を継げそうじゃ、まさえくんも材料集めに
 頑張ったし、二人ともこれなら将来は立派にやっていけそうじゃ。」
完成した木馬を見て、園長先生はこう言ってほめてくれた。
この事がきっかけで、柴田は二人について回る事が多くなった。
また村田は、みんなから何か壊れた時頼りされる事もあったので
三人は自然と学園に溶け込んでいった。
それから数年後、村田と大谷が学園を出て行く日がやってきた。
「二人とも、今日から新しい生活が始まるが、頑張るんじゃぞ。
 【インテリアショップ・ペガサス】の開店が楽しみじゃ。
 木馬を直した二人のお店がペガサスか、運命を感じるのう。」
「めぐみ姉ちゃん、まさえ姉ちゃん、今までありがとう。
 お店のオープン待ってるからね。」
園長先生と柴田は、こう言って二人を送り出した。そして
「二人は夢に向かって歩きだしたんじゃな、あゆみの夢はどうなんじゃ?」
園長先生の言葉に柴田は、考えた。
自分の夢・・今まで考えた事もなかった。 
113名無しんじー:02/11/24 23:29 ID:n7PceJjG
私の夢・・柴田は自分が今、何をやりたいのか解らなかった。
あえて言うなら、『強くなる事。』これは母親を早くに無くした柴田に父親が
いつも言っていた事だ、合気道を始めたのもそのためだ。
「先生、強くなるってどう言うことですかね?」
突然の質問に園長先生は
「強くなる・・それがあゆみの夢か?難しい質問じゃのう。
 ここを出て行った者達は、皆何かしらの強さを持っていた奴らばかりじゃ
 めぐみやまさえだってそうじゃ、あゆみ、お前も既に十分な強さを
 持っていると思うぞ。」
園長先生にそう言われ、柴田はこう言った。
「私も高校卒業したらここを出ます。頑張って働いて園長先生達を助ける。
 出て行ったみんなもそうしてる。だから私もそうする。そうすれば
 もっと強くなれますよね?」
柴田の言葉に園長先生は、黙って頷いた。 
114名無しんじー:02/11/24 23:57 ID:2vTOYX6J
それからさらに数年後、柴田も学園を出て働いていた。
ここでまた柴田の運命を変える事件が起こったのだ。
不況の時代の日本、柴田の働く会社も不況の煽りで倒産してしまった。
「どうしよう。このままじゃ、仕送りもできないし、自分の生活だって・・・」
落ち込みながら町を歩いていると、一人の男性が声をかけてきた。
「おーい、あゆみ。」
振り返るとそこには、学園時代アニキと慕っていた佐々木の姿があった。
佐々木は学園によく出入りしていた宅配便に配達員で、今このあたりを
回って帰る所らしい。柴田は今どうしたら良いか佐々木に相談した。
「そうか、そりゃ大変だな。園長にも言いにくいよな・・俺も力に
 なれそうもないしな・・あっ、そうだ、めぐみ達に相談してみたら
 どうだ?あいつらこの前俺の会社来て、店が出来たからって
 引越し頼みにきて、引越しの仕事やったばっかりだぞ。」
115名無しんじー:02/11/25 00:26 ID:bf2lTXt1
佐々木の思わぬ言葉に柴田は驚いた。
「うそ、私何も聞いてないよ。」
柴田の言葉に佐々木は言った。
「そりゃそうだろう。だって引越し一昨日の話しだからな。あいつらだって
 いろいろ忙しいんだろうな、まだ誰にも連絡してないって言ってたから。」
それから佐々木とは少し話をして別れた。
家に帰って夕食の支度をしていると
(メールが届いたよー!メールが届いたよー!)
柴田の携帯にメールが届いた。
{あゆみ元気?しばらく連絡できなくてごめんね。それよりビックニュースです
 ついにお店がオープンしました。あゆみに一番に知らせるね。園長先生にも
 これからメールします。でも、アニキは知ってるからあゆみは二番目かな
 アニキには引越し手伝ってもらったから。とにかく早くきてね。待ってるよ。
                             めぐみ・雅恵}
二人からオープンを知らせるメールだった。
柴田は行く決心をした。いつも困っていると助けてくれた二人の姉の所へ。
そう、今は困った時に頼れる家族が柴田には居たのであった。

いんたーみっしょん【過去物語・柴田編】終わり
  
116名無し天狗:02/11/25 00:34 ID:YM9E9qqH
>名無しんじーさん
ぎゃー!また割り込んでもーたぁ!!
名無しんじーさん、申し訳ない!
お詫びも込めて斉藤の過去も期待&応援します!
(ところで「佐々木」って・・・さすがにこれはちょっと・・・)
117名無しんじー:02/11/25 00:39 ID:co3juPsj
今日はここまでです。明日、斎藤編を書きますのでよろしくお願いします。
名無し天狗さま
一応その、まさか・・・とお考え下さい。前にご期待に添えるかと言ったのは
このためです。園長先生はご想像の通りですね。
イメージ的にあの方がぴったりきたので。
なんか私の話のサブキャラって・・「○イ○が!」の関係者ばっかですね
どーしてもメロンだとこーなってしまう。
118名無し天狗:02/11/25 01:58 ID:6M34RPBE
>名無しんじーさん
改めてお疲れ様でした。「佐々木」君は・・・なるほど。
次の斉藤編がますます楽しみです。Fight!
119名無しんじー:02/11/25 15:35 ID:Z9b7W8S7
いんたーみっしょん
        【斎藤・柴田過去物語・斎藤編】

柴田が自分の話をしているのと同じ頃【ペガサス】では

「ただいまー!」
買い物に行っていた斎藤が帰ってきた。
「お帰り・・って何でこっちに来るの?今日は夕食そっちの当番でしょ。」
大谷達四人は家事を当番制にしていた。そして今日は斎藤の当番なので
夕食は斎藤の家になるはずであった。
「そうだけど、さっき買い物してたら安倍さん達に会って、
 みんなが、ここ見たいって言ったから案内してきたの。」
見ると斎藤の後ろには、安倍、高橋、紺野がいた。
「こんにちは、大谷さん達のお店が見たかったから、斎藤さんについて来たべ。
 忙しかった?」
安倍はそう言ったが既に椅子に座っていた。
「大丈夫ですよ、今日は暇だし、ゆっくりして行って下さい。」
大谷はそう言うと四人にお茶を出した。
120名無しんじー:02/11/25 15:50 ID:dZFxWJ3I
「他の二人は?」
安倍の質問に大谷は
「ちょっと前に、ののちゃんから電話があって、そちらにおじゃましてると
 思います。あっでも、もう帰ってくるかな?」
「・・・?何しに行ったべさ?」
「・・・えーっと・・中澤さんには内緒ですよ。ののちゃんが昨日のテーブル
 壊したから直してくれって。あゆみも一緒に行ってます。」
「・・・・・」「・・・・・」「・・・・・」
安倍も高橋も紺野も言葉を失った。そして
「ごめんねー、ののったら、すぐこれだべさ。」
そんな話をしながら五人の話はいつしか自分の身の上話になっていた。
友を失った者、家族を失った者、皆何かしらの傷を負っていた。
しかし、その中で一人そうで無い者がいた。斎藤である。
121名無しんじー:02/11/25 16:20 ID:ZMsQqXhj
初代【ペガサス】の右隣は斎藤家、左隣は大谷家、お店は共同経営だったが
本来は村田の家であった。ちなみに現在の大谷家跡地は、月極め駐車場に
なっており、学園時代二人の生活費はここから出ていたのである。
さらに今は大事な収入源の一つだ。
斎藤の両親は、大手興信所に勤務する探偵だった。
母親は、ひとみ誕生を期に探偵をやめが、父親はいつも家にいない生活が
続いていた。斎藤は、いつも父親が家にいるめぐみや雅恵が羨ましかった。
そんな斎藤の様子を見ていた父親は、独立を決心したのである。
【斎藤探偵事務所】斎藤の家には最初そんな看板が掛かっていた。
しかし、仕事の依頼はあまり無く生活はかなり苦しかった。
それでも斎藤は良かった。父親と一緒にいられる時間が増えたのだ。
そんな時あの忌まわしい事件が起こった。両親を失った村田と大谷を
斎藤家では是非とも引き取りたかった。三軒とも家族の様に暮していたからだ。
しかし、今の斎藤家にはそんな余裕はなかった。
「残念だけど、今のおじさんには二人とも養えるほどの余裕がないんだ。
 でも、辛かったらいつでも遊びにおいで。」
斎藤の父親が二人に言える精一杯の言葉だった。
122名無しんじー:02/11/25 16:44 ID:XbzXJcq+
事件の後も事務所は相変わらずだった。父親が勤めていた興信所から仕事を
貰って何とかやって行ける状況だったのだ。そんな中、斎藤の父親は
「探偵事務所じゃ、やって行けないから、何でも屋を始めようと思う。」
斎藤の父親、大吉はそう妻と娘に告げた。
「何でも屋?」
斎藤は大吉に聞いた。
「そうだ、何でも屋だ。どんな仕事でも引き受ける仕事だ。今も時々変な依頼が
 あるだろう、今までは断ってたが、それも引き受けようと思う。
 名前は・・いろんな仕事があるから、職安みたいに・・よし、
 【ハローワーク商会】だ。」
【ハローワーク商会】はこの瞬間誕生した。
その後仕事は大変だったが、依頼は頻繁にくる様になり、会社も軌道にのった。
そして数年後、【ペガサス】が復活する二年前のある日、大吉の所へ
奇妙な男達がやって来た。大吉はその男達の依頼を受けた。
それから大吉は、日本中を飛び回る様になり、あまり帰って来なくなった。
会社の方は、斎藤と母親でやれる依頼を引き受ける程度で、大吉の仕事の
依頼主から毎月入金があるのでやって行けた。
123名無しんじー:02/11/25 17:13 ID:rr4ACJ7Q
さらにそれから一年後のある日、斎藤は隣の空き地に数人の人が立っているのを
見つけた。それは帰って来た村田と大谷、それに二人が連れてきた建設業者だ。
「・・・めぐみ・・・雅恵・・・お帰り!」
二人を見つけた斎藤はそう言ったが感動で声にならなかった。
二人もまた同じであった。半年後【ペガサス】工事は始まった。
丁度その頃、久々に大吉が帰って来た。
「そうか、二人とも立派になったな。おじさんもうれしいぞ。」
大吉は村田と大谷にそう言うと今度は斎藤に
「なあ、ひとみ、二人とも戻ってきたんなら会社は一人でも大丈夫だよな?」
突然の大吉の言葉に斎藤は聞いた。
「どう言うこと?お母さんは?」
「実はな、今度はお母さんにもこっちの仕事を手伝ってもらおうと思ってるんだ
 それにな、海外に行く事になるかもしれないんだ。」
そんな大吉に斎藤は初めて聞いた。
「お父さんの仕事って何やってるの?」
「詳しくは言えんが、ある組織について調べていてな、ただ俺だけじゃ
 手におえなくなって来てるんだ。お母さんだって昔は優秀な探偵だ
 他の奴に頼むより安心だしな。なーに大丈夫!危険はないよ。」
そして、両親は旅立って行き、【ペガサス】は完成した。

いんたーみっしょん【過去物語・斎藤編】終わり
124名無しんじー:02/11/25 17:27 ID:HVw9ReHc
いんたーみっしょん
    【過去物語・その後】

【ペガサス】が開店して数日後、二人の所へ柴田がやって来た。
「開店おめでとう、来るの遅くなってごめんね。」
そう言うと柴田は二人に、今の自分の事を話し始めた。
「そうか・・こまったなー、どうする?まさえ。」
「だったら、ひとみに頼めば。おじさん達いなくなって
 人が足りないって言ってたし、なんとかなるでしょう。」
人手不足の【ハローワーク商会】にとって柴田はありがたい人材だった。
斎藤と柴田は過去に面識があった。斎藤が学園に二人を訪ねた時に
何度も会っているからだ。
「いやー、助かるよ。あゆみがここで働いてくれるなんて。
 ついでに引っ越しておいでよ。空き部屋いっぱいあるし。」
斎藤の申し出を柴田は快く受けた。
125名無しんじー:02/11/25 17:46 ID:dtu+U4ag
そして今現在【ペガサス】では
「うーん、解らないなー。それじゃあ斎藤さんは無理して戦う事ないべさ。」
安倍にそう言われて斎藤は答える。
「別に理由なんて必要ないですよ。めぐみもまさえもあゆみもみんな
 私の姉妹です。身内を助けるのは当然でしょう?それにやっぱり私は父の
 娘なんですよ。父も同じような事やってる様だし、ひょっとしたら
 父が調べてる組織ってゼティマかもしれない・・」
斎藤の言葉を聞いて紺野が言った。
「安部さん、私には斎藤さんの言ってる事わかる様な気がします。」
それを聞いて
「うーん、解った様な解らない様な・・なっち微妙だよー。」
その言葉に笑いが起きた。
同じ頃、中澤家でも保田が柴田に同じような質問をしていた。
126名無しんじー:02/11/25 18:06 ID:4k/wmfYd
「でも、それって・・いいの?柴田さんは直接は戦う理由がないんだよ。
 私、できれば誰も巻き込みたくない。」
保田はそう言ったが柴田は
「保田さん、私は誰の為でもない、自分の為に戦うんです。さっきも話したけど
 私の父は警察官でした。父だって時には人の為に命をかけた事もあったと
 思います。でも結局は父が自分で選んだ道です。だから私もそうします。」
柴田がそう言うと後ろから声が聞こえた。
「いやー、ええ話聞かせてもらったわ。柴田、それでええんや。頑張りや。」
そこには中澤他、が立っていた。
「そうやで、みんなで助けあえばいいんや、ところであんたら
 なんでここにいるん?」
中澤の視線は村田の道具箱に向いていた。
その後辻の悪事が全てばれてしまった。
「村田さんがちゃんと道具をしまっていれば、ばれなかったのれす。」
辻は村田に八つ当たりしている。
「こら辻!人のせいにするんじゃないの、いつも言ってるでしょう。」
矢口が辻を叱った。
「辻は今晩ご飯抜きやな。」
中澤にそう言われ辻が言った。
「おやびん、それだけはカンベンをー!」
 
いんたーみっしょん【斎藤・柴田過去編】完結!
127名無しんじー:02/11/25 19:08 ID:ggCk6Qc/
過去編はこれで終わりです。
なかなか皆さんの様にはいかないですね。がんばります。

名無し天狗さま
やっぱりアニキはだめですかね、本当はサイボーグの柴田の恋の話に出てきた
彼をイメージしていたんですが、名前が解らなかったので。
それに多分もうアニキは出でてこない。
>>111は私も悪いです。皆さんの様にファイルを作ってからやってないですから

128名無し天狗:02/11/25 23:02 ID:2pzeCCIn
>名無しんじーさん
こちらこそとんでもない!どうかお気になさらず・・・。
斉藤編・・・「依頼主」が気になりますね。さすがの私も今度ばかりは・・・。
ともあれ、楽しかったです。お疲れ様でした。次回も期待しています。
129名無し募集中。。。 :02/11/27 19:51 ID:A9XmuaMV
>>105つづき

あの老人は何者だったのか・・・

若者は未熟とは言え数々の大会で優勝し、「日本一」にまでなったことがある男である。
それが気迫だけであそこまで追い詰められるとは・・・

さぞかし高名な武道家に違いないと思い調べてみたが分からなかった。
様々なジャンルの武道の達人についても調べたが、あの老人らしき人物は見つからなかった。
武道家ではないのか?

手がかりは全く見つからなかった。しかし老人に出会った場所の近くで聞いてみると
あっさりその正体が分かった。

近くの寺の住職であるという。

その寺は檀家が無いためかなり寂れているが歴史は古く、戦国時代には厳しい修行場として
名を馳せていたらしい。忍者の隠れ家との伝説があったことまで教えてくれた。
今は年寄りの住職が1人だけで暮らしているという。

若者はその寺を訪れてみた。

はたしてその老人がいた。

庭を竹ぼうきで掃いている。不思議なことに今日はあの老人から威圧感は全く感じられない。
老人は若者に気が付いた。驚いた様子は見せず、むしろ「やっと来たか」といった感じで
笑顔を浮かべ、言った。


「・・・・保全」
130保全教授:02/11/30 00:00 ID:MkFMtGC7
保全こそ英雄的行為なのです
131名無し募集中。。。 :02/11/30 23:55 ID:OcLmnlIb
>>129つづき

若者は寺の本堂に通された。
老人と2人で差し向かいである。
お茶が出ていた。

寺の建物は古いが手入れが行き届いている。境内には本道の他にもう一つ大きな
建物があった。座禅堂だろうか。

老人は黙って座っていた。
若者も何から尋ねたものか分からず黙り込んでしまった。


この老人は何者なのか。
あの時自分を金縛りにしたようなあれはなんだったのか。
なぜ今日は平気なのだろうか。
なぜ黙って本堂に上げ、茶まで出すのか・・・


「・・・あ、あの・・・」


若者はようやく口を開いた。そして出た言葉は自分でも驚くような意外なものであった。


「ほ・・・保全!」
132105=129=131=名無しスター:02/12/01 00:02 ID:8rc1jQC2
つーかこんなもん書いてる暇があったらカゲスター書け>俺

ネタが無いよぉ・・・

保全ネタもマンネリでつまらんし・・・
133悪の系譜@ライダーのの編:02/12/01 13:41 ID:rAZqfSu7
ゼティマ

 謎の大首領の下、世界征服をたくらむ悪の秘密結社。改造人間技術と
人造人間(ロボット)技術を悪用し、日々世界征服の尖兵達を送り込んで
いる最大の敵。また、この組織はその手先となる怪人達を誕生させている
ほか仮面ライダーストロンガー、タックル、ハカイダー(notオリジナル)
パーフェクトサイボーグZXの誕生に直接関与している。

過去に登場した幹部(順不同)
 ・一つ目タイタン
 ・ヨロイ元帥
 ・ゾル大佐
 ・死神博士
 ・地獄大使
 ・アポロガイスト
 ・ゼネラルシャドウ
 ・悪魔元帥

134内部組織:02/12/01 13:42 ID:rAZqfSu7
 ・ヨロイ軍団
  ヨロイ元帥に率いられた軍団。装甲の如き頑丈な皮膚を持つ怪人達
 を擁する。ミサイルによる東京大破壊計画「Z計画」が密かに進行中。
 (主な怪人:シーラカンスキッド、オニヒトデ)

 ・デルザー軍団
  魔人や妖怪の末裔が集う闇の眷属。互いに他の面々を出し抜こうと
 狙っている。
 (主な怪人:ドクターケイト)

 ・秘密警察
  室長はアポロガイスト。組織の内部監査を活動の主目的としており
 それゆえ他の幹部からは煙たがられている。

 ・幹部会議
   内部組織とは言えないが、ゾル大佐や死神博士、地獄大使らは
  幹部会議を開いてライダーのの達に対する作戦を協議していた。
  参加者は他にアポロガイスト、ゼネラルシャドウ。

 ・GWS
   独立攻撃部隊。開発中のG−4システムを強奪してゼティマに
  反乱を起こしたが、怪人たちによって掃討されてしまった。
135傘下組織:02/12/01 13:43 ID:rAZqfSu7
 ダーク(DARK)
  プロフェッサー・ギル率いる悪の戦闘ロボット軍団。ゼティマから
 脱走したハカイダー・マキの身柄は現在この組織の掌握下にある。
 (主な怪人:グレイサイキング、グリーンマンティス)

 テンタクル
  悪の天才科学者プロフェッサーK(本編未登場)が子供をいじめる
 ためだけに結成。主な活動は改造人間の素体としての子供の誘拐。
 いつの間にか登場しなくなった。
 (主な怪人:ドリル男、和田さん)

 デスター
  悪の天才科学者ドクターQが魔神ゴーラの像からダイヤを引き出す
 ために結成した、子供の鳴き声を求めて暗躍する犯罪組織。傘下組織
 ではダークに続いて登場回数が多い。
(主な怪人:オニガン、ドラクロス)

 サタン帝国
  函館限定のゼティマ下部組織。カゲスターの活躍によって壊滅し、
 以後同地区はゼティマ北海道支部の直接支配地域になる。
 (主な怪人:ザリガニアン、キバイノシシ)

136第3勢力:02/12/01 13:45 ID:rAZqfSu7
グロンギ族(本編未登場の名称。便宜上先行的に使用)
  首魁ン・ダクバ・ゼバが突如登場して圧倒的な実力を見せつけた後、
 続いて「バラのタトゥーの女」ラ・バルバ・デが登場したがそれ以降
 の動向は不明。彼らが再び姿を見せるのは果たしていつ?!

 デスパー軍団
  超能力者ガイゼル総統によって支配されるサイボーグ軍団。東京の
 地下に5万人の市民が住む地底都市デスパーシティを建設している。
 総統の発言やスパイを潜入させている事実からゼティマとは緊張した
 関係にあるようだ。(主な怪人:ハンマーデスパー、ウデスパー)

 ファントム団
  首領は新人類帝国建国を目論む帝王バンバ。デスパー軍団との抗争
 により壊滅した。(主な怪人:バラバンバラ)
137名無しスター:02/12/02 00:14 ID:+zD0zYjj
>>133-136
おかげさまで話がまとまりました。
では行きます。
138名無しスター:02/12/02 00:17 ID:+zD0zYjj
津軽海峡を渡る連絡フェリーの上。
ユウキは1人船室を抜け出し、デッキにいた。
夜の海をぼんやり眺めながらこれまでのことを考えていた。

ユウキとマキには父親がいなかった。いわゆる母子家庭である。
姉弟二人は仲が良かった。というよりユウキは姉が大好きだった。
子供の頃は姉が行く所にユウキはどこへでもついて行った。

時々姉は父親がいないことが理由でいじめられることがあった。
そんな時ユウキは体を張って姉を助けようとした。

「お姉ちゃんは僕が守るんだ」

それがユウキの口癖だった。
結局いつも逆に姉に助けてもらうことになるのだが・・・

ユウキは中学に進むようになると悪い仲間と付き合うようになっていた。
相変わらず姉のことは大好きだったが、仲間の手前あまりベタベタすることはしなくなった。
思春期でもあった。

悪い仲間に誘われて時々外泊をすることもあった。長い時には一週間も帰らないこともあった。
姉が行方不明になった時もユウキは仲間の家にいた。
139名無しスター:02/12/02 00:22 ID:+zD0zYjj

仲間の家でふざけあっている時にに近所のおばさんが泣きながら飛び込んできた。
ずいぶん探していたらしい。
ユウキはその知らせを聞いてその場に崩れ落ちた。あとで聞くと呼吸も出来ないぐらい動揺していたらしい。

雑用のアルバイトに行っていた研究所が爆発事故を起こし、消息が分からないのだという。
研究所の跡地から黒焦げの男性2人・女性1人の遺体が見つかった。
警察も消防も姉が爆発事故に巻き込まれて死亡したものと断定した。

ユウキは自分を責めた。たとえ家にいたところで助けられるものではないだろう。
しかしユウキはあの時遊んでいた自分を許せなかった。

葬式が済み49日の法要も終わり家の中が落ち着いて来たころ、おかしな噂が流れ始めた。
事故の後「姉を見かけた」という人が何人も出はじめたのである。

中には「間違いない」とまで言うものまでいた。
140名無しスター:02/12/02 00:26 ID:+zD0zYjj

母親はその噂を信じようとしなかった。

いや、一番信じたかったのかもしれない。しかし遺体が出たのである。
それに変に期待をもって後で落胆したくないのであろう。

ユウキはあの遺体が姉のものとは思えなかった。
理由は判らない。だかあれは姉では無い。実は母親も「あの死体、本当に真希なのかねえ・・」
と何度も言っていた。

その遺体が姉のものだと信じたくないわけではない。何か違和感が有ったのだ。
警察の鑑定では同一人物だと言っていたが証拠資料は見せてもらえなかった。

「あれはお姉ちゃんじゃない、お姉ちゃんは生きている」

ユウキは段々そう信じるようになった。
目撃談を集めるなど、自分で調べ始めた。
141名無しスター:02/12/02 00:30 ID:+zD0zYjj

目撃情報が集中する場所があった。

郊外の山の山道の入り口辺りである。この山は戦時中トンネルが掘られ、
司令部として使われていた。今は立ち入り禁止となっている。
幽霊が出るという話もよくある場所である。

まさか、幽霊だったのか?・・・
ユウキは時間ができるとその山に行き、辺りを調べるようになった。

そのうちトンネルの入り口を発見した。入り口は厳重に封鎖されている。
いかにも「何か出そう」な雰囲気だった。

「幽霊でもいい、もう一度お姉ちゃんに合えるなら・・・・」

ユウキはバリケードを壊し、トンネルの中に入っていった

しばらく進むと突然けたたましい警報音が鳴り響いた。
慌てて引き返そうとするとトンネルの奥から足音と人の声がした。


ものすごい勢いでソニンが走って来た。
142名無しスター:02/12/02 00:48 ID:+zD0zYjj

とりあえず今日はここまでです。
143白い名無し娘。:02/12/02 00:56 ID:iEkXrHLG
名無しスターさんの次にやってもよろしいですか?
まだ、3割ほどしか完成してないんですが、こうでもし
ないとやならないもので…。

それから、自分のは映画版のハカイダーを下書きにやってるので、本スレとは
関係ない方向で楽しんでもらえればと思います。
判断は皆様にお任せします。

なるべく早くに完結はさせるつもりですが、途中に入ってくださっても構いま
せんので。
それでは、名無しスターさん頑張って下さい。
144名無し:02/12/02 22:17 ID:/zeN6cP/
まだ前スレのV3はhtml化されてないみたい
145名無しスター:02/12/03 02:03 ID:FgPzV6SR

「・・・あの時のソニンさんはすごかったな・・・」
ユウキは黒い海を見つめながら笑った。
風が冷たくなってきた。

ユウキが船室に戻ろうとした時、手すりの下からペタペタと奇妙な物音がした。
下を覗き込むとフェリーの側面の壁を何かが這い上がって来ている。
なんだ?と思った瞬間それはいきなり跳び上がり、ユウキのすぐ隣に着地した。

「カゲスターだな?」
「貴様は!?」
「俺は『蛙怪人』ザリガニアン兄貴の仇だ、死んでもらう!」

そう言うと蛙怪人は長い舌を伸ばしユウキの体に巻きつけた。

「うわっ!」
「くくく・・この暗さでは影が出来まい。影が無ければ変身できないことは分かっているぞ。」
「ソ!ソニンさ・・・」
「静かにしろ。・・・1人ずつなぶり殺しにしてやる。まずはお前からだ!」

蛙怪人は吸盤の付いた手でユウキの口をふさいだ。
146名無しスター:02/12/03 02:06 ID:FgPzV6SR

「支部の上の連中は『追うな』と言っていたが、変身できなければ恐れることは無い。
 たっぷり時間をかけていたぶってやる」
「ぐぐ・・・」

「待ちなさい!」

暗闇の中から何者かが叫んだ。

「ベルスターか!」

蛙怪人が振り向くと、ソニンが立っていた。

「貴様・・・ベルスターだな!変身せずに来るとはバカな奴め。二人揃って地獄に送ってやる!」
「怪人の前ならともかく、人目のあるところであんな恥ずかしい格好ができるわけないでしょ?」
「???・・・死にたいのか?生身の人間が俺に勝てるとでも・・・」

ソニンはつかつかと蛙怪人に近づくと無造作に顔面にパンチをお見舞いした
147名無しスター:02/12/03 02:07 ID:FgPzV6SR

「ぐうっ!!」
蛙怪人の顔色が変わった。
もう一発。
蛙怪人はユウキを放り出し、両手で顔面を押さえてうずくまった。
そこにソニンの蹴りが飛ぶ。
蛙怪人はサッカーボールの様に蹴り上げられ、数メートル後ろに飛ばされた。

「き、貴様・・・一体何者だ!」
腹と顔を押さえ、悶絶しながら蛙怪人は叫んだ。

「さあね、こっちが聞きたいわよ。・・・・ユウキ!」

ソニンはポケットから使い捨てカメラを出すとユウキに向けた。

「うん!」
フラッシュが焚かれた。一瞬ユウキの後ろに大きな影ができる。

「カゲスター!」

そう叫ぶと、ユウキは力が抜けたようにグッタリと倒れた。
そしてユウキと蛙怪人の間にカゲスターが現れた。

「く、くそっ!」

あわてて海に逃げようとする蛙怪人。
「待て!・・・カゲファイヤー!」

「ギャァァァ・・・・」
蛙怪人は炎に包まれながら津軽海峡の海に落ちて行った。
148名無しスター:02/12/03 02:09 ID:FgPzV6SR

「ありがとうソニンさん。助かったよ」
「夜は気をつけなさいっていつも言ってるじゃない。離れちゃダメよ」
「ちょっと1人で考えたいことがあって・・・」
「姉さんのこと?」
「うん・・・それよりソニンさん相変わらず強いね。変身しないほうがいいんじゃない?」
「パワーだけよ。技が使えないしスピードは遅いし、ベルスターの方が強いわよ」
「そうかなあ・・・」

パワーだけならベルスターより、いやカゲスターより上かも知れない。
実際一度だけカゲスターとソニンは闘ったことがある。
原因はユウキがソニンの裸を見てしまったことであった。

のぞいた訳ではない。同じ部屋に住んでいればよくある「事故」である。
しかし、その時ユウキはソニンの胸をじっと見てしまった・・・
正確には「胸の刺青」だが。

そこには「ZETIMA」と描いてあったような気がする・・・
とにかく胸を見られたせいか刺青を見られたせいか、ソニンは少し「切れた」
ソニンの強さを知っているユウキはカゲスターに変身して抵抗した。
そりゃもう必死で抵抗した。
しかしカゲスターのパワーだけでは止め切れなかった。まさかソニン相手に
必殺技を使うわけにもいかない。

5分ほど暴れて落ち着いたが、まだソニンは本気を出していないようにも見えた・・・
149名無しスター:02/12/03 02:25 ID:FgPzV6SR
船室へ戻るソニンの後ろ姿を見ながらユウキは考えた。

一体この人は何者だろうか。

あの胸の刺青。そして強靭な体。
時速50km/hで一時間走り続けられる。しかも息を切らさずに。
100mを5秒台で走ることができる。
しかもまだ本気で走ったことが無いと言う。理由は「スピードが怖いから・・・」

とにかく体力は超人並みである。
今回も東京へ向かうと言った時、当然電車で行くとユウキは思った。
しかし、ソニンは走って行こうと言う・・・
港まで来たら泳いで渡ろうと言う・・・
さすがに泣いて頼んでフェリーに乗せてもらった。
青森に着いたら本気で東京まで走る気だろうか・・・

ユウキは少し憂鬱になった
150名無しスター:02/12/03 02:31 ID:FgPzV6SR

間もなく青森に到着する、とアナウンスが入った。半年振りの本州だ。

ソニンは少し昔のことを思い出していた。
ソニンとユウキがトンネルの中で初めて出会ったのは1年前。

ソニンが記憶喪失で歩いている所を保護されたのはその更に半年ほど前である。


後で聞いた話だが、街中で保護された時は大騒ぎだったらしい・・・
151名無しスター:02/12/03 02:32 ID:FgPzV6SR

今日はここまでです。
明日には完結させるつもりです。
152名無しスター:02/12/05 02:42 ID:bH5hvUsj

首都圏の中都市の中心街、国道の交差点のど真ん中にその少女は立っていた。
青信号で歩道からふらふらと進入し、ボーっと突っ立っている。
信号が変わり、クラクションが一斉に鳴らされる。
少女はそれを聞くと驚いた様子で耳を塞ぎ、その場に座り込んだ。
かなり怯えている様子であった。
ゆっくりとその少女の手前までトラックを進めていた運転手が車から降りて駆け寄る。

「おい姉ちゃん、大丈夫か?」

手を取って立ち上がらせようとする。

「あああああああああ!!」

少女はその手を振り払うように動かした。
運転手は物凄い力で振り回され、トラックに叩きつけられた。

「こ、この!」

運転手は力ずくでどかせようとする。

「うあああああ!!」

やはり振り回され今度は地面に叩きつけられた。
その様子を見ていた周りの運転手が数人で止めにかかるが、まるで歯が立たない。

パトカーがやって来た。
数人の警察官が取り押さえようとする。しかしどうにも手が付けられない。
パトカーの台数が増えていく。
機動隊が投入される。

すべて蹴散らされた。
153名無しスター:02/12/05 02:45 ID:bH5hvUsj
国道を封鎖し、距離をおいて警察が2重3重に取り囲む。
手が出せない。
後は警視庁の「SAT」か自衛隊ぐらいである。

黒塗りの乗用車と装甲車がやって来た。

黒いスーツとサングラスの男が降りてきた。
絵に描いたような「秘密組織」の人間である。

「ここは我々に任せてもらう」

公安であった。

彼らは慣れた様子で電磁ネットと麻酔弾を使い、少女の身柄を拘束した。
到着から10分足らず、あっという間の出来事であった。

少女とはもちろんソニンのことである。
154名無しスター:02/12/05 02:47 ID:bH5hvUsj

ソニンが目を覚ますと、防弾ガラスの箱の中にいた。

箱と言っても一辺が10メートルはある。小部屋と言った方がいいかも知れない。
箱の外では白衣を着た研究員が何人も歩き回り、検査用の機材やカメラが並べられていた。
ソニンの体には各種センサーが取り付けられていた。

ソニンはセンサーをコードごと引きちぎると防弾ガラスの壁に突進する。
何度も何度も体当たりをする。しかしびくともしない。
そのうち疲れて寝てしまった。

そして目を覚ます。また体当たりをする。その繰り返しだった。
155名無しスター:02/12/05 02:49 ID:bH5hvUsj

「まるで猛獣だな」
初老の研究員が言った。ここの責任者らしい。

「猛獣でももう少し学習能力がありますよ。もう10日目ですよ?」
そばにいた助手が言った。

「検査の結果は?」
「人体改造の跡はありません。レントゲンの結果も問題ありません。DNA鑑定でも全く異常無しです」

「これがただの人間だと言うのか?」
「結論から言えばそうです。ただし筋力だけは通常の人間の数十倍の・・・」

「薬物の使用は?」
「筋肉増強剤、興奮剤の使用は無いようです、ただ・・・」

「なんだ?」
「洗脳に使われる薬物の数値が異常な値です。この影響で人間としての記憶が完全に
 失われているようです」

「赤ん坊以下か・・・例の組織との関係は?」
「今のところ何も、胸の刺青以外には・・・」

「ふうむ・・・」
156名無しスター:02/12/05 02:55 ID:bH5hvUsj

ソニンの記憶を蘇らせる作業が始まった。

写真、音声など様々な刺激を与えるが興味を示そうとはしない。
まるで解決の糸口は見出せなかった。

1ヶ月以上が過ぎたある日、食事にカレーライスが運ばれてきた。
いつもは手すら使わず、犬のように食べていたソニンだったが、少し様子が違った。

カレーの匂いを嗅ぐとその前にちょこんと座り、スプーンに手を伸ばした。

カレーを一口頬張ると、ここに来て初めて言葉を喋った。


「おいしい・・・」
157名無しスター:02/12/05 02:58 ID:bH5hvUsj

すいません、終わりませんでした。
もう少しお付き合い下さい。

・・・しかし長いな、俺の話・・・
158名無しスター:02/12/06 02:56 ID:JzU8AV2o

それをきっかけにソニンは少しずつ人間らしさを取り戻していった。

ちょうど薬物の効果が切れる時期と重なったのか、カレーライスに特別の
思い入れがあったのか・・・

催眠治療などにより少しずつ記憶も取り戻していった。

防弾ガラスの部屋から鉄格子、そして病室と少しずつ監視の目も緩くなっていった。

そしてある日、ソニンは病室から姿を消した。
159名無しスター:02/12/06 02:57 ID:JzU8AV2o

ソニンは生まれ故郷の高知にいた。

病院の医師には出身地のことは話していなかった。

駅に着くと少しずつ霧が晴れるように記憶が戻ってくる。
家までの道順は記憶よりむしろ体が覚えていた。
体が勝手に家の方に向かう。何百回も何千回も歩いた道だ。
次の門を曲がると家があるはずだ。
ソニンはたまらず走り出して門を曲がった


・・・しかしそこには何も無かった。
きれいに整地された空き地だった。
立て札が立てられていた。

「管理地 ○○不動産」
160名無しスター:02/12/06 02:59 ID:JzU8AV2o
記憶違いではない。段々はっきりと思い出してきた。自分はここで生まれ、
少なくとも16歳までここで育った。

そして空白の3年。
一体何があったのか・・・

隣の家に行く。ひょとしたら家族がどこに行ったか知っているかもしれない。
呼び鈴を鳴らすと見慣れた顔のおばさんが出てきた。

「おばさん!」


「あら・・・どなた?」


・・・他に何軒か周ったが同じであった。

町中の知り合いという知り合いが自分のことを忘れてしまっている。
こんなことがあるのだろうか・・・

河原で呆然と座り込むソニン。そこに中年の女性が話し掛けてきた。

「ソニンちゃんじゃない?」
161名無しスター:02/12/06 03:02 ID:JzU8AV2o

驚いて振り向くと、小学校時代の担任であった。

「せ・・先生!」

ソニンはまるで子供のように声を上げて泣いた。そして、先生にこれまでのことをすべて話した。

「・・・とても信じられないけど・・・私も最近この町に戻ってきたばかりなの。
 ソニンちゃんが卒業してから他の町の小学校に行ってたから・・」
「私、高校入ってからの記憶がほとんど無いんです・・・」

「あなた、高校にはほとんど行ってないのよ。」
「え?」

「ものすごく優秀だったから。特例の飛び級で16歳の時に東京の大学に進学したのよ、覚えてないの?」
「いえ・・全然」

「私にとっても自慢の生徒だったわ。というか、町中であなたのことを知らない人はいないはずよ・・・
 とにかく今日は用事があるから、明日うちにいらっしゃい。相談に乗るから。」

「はい・・・」
162名無しスター:02/12/06 03:03 ID:JzU8AV2o

ソニンは駅の待合室で一夜を過ごし、朝一番で女性の家を訪ねた。
呼び鈴を鳴らすと、先生が出てきた。

「先生。おはようございます!」


「・・・・あなた、誰?」



ソニンは高知を離れ、再び東京に向かった。
163名無し募集中。。。:02/12/07 11:47 ID:pyJ3KwNm
164名無しスター:02/12/08 01:13 ID:w11Hj7Uw

東京に(走って)到着したソニンだったが、途方に暮れていた。
自分が東京の大学に来たことは分かったが、東京の大学と言っても星の数ほどある。
たとえ分かっていても高知と同じことになるだけだ。これ以上他人に迷惑はかけたくない。
病院に戻るわけにもいかない。今度は厳重に監視されるだろう。鉄格子に逆戻りかもしれない。

それにしても、先生は誰に記憶を消されたのか・・・
大きな組織が動いている気がする。
そしてその組織に自分は監視されている。
脱走した直後から何者かに尾行されている気配はあった。
最初は病院か公安の者かと思っていたがどうやら違うようだ。

どうして自分を直接拘束しようとしないのか?何故遠くから監視しているだけなのだろうか?
東京にいた頃自分とその組織とは何か関係があるのだろうか?
東京での3年間に自分の身に何があったのか?

手がかりと呼べるものは胸の刺青と、この常識外れの自分のパワーだけ・・・
165名無しスター:02/12/08 01:15 ID:w11Hj7Uw

あてもなく東京の郊外をさまよいながら野宿をする日が続いた。
脱走する時に拝借した医者の財布のお金も尽きてきた。
このままだと本当に病院に戻るしかないかもしれない。

何日目かの野宿の時、物陰から自分をじっと見ている男に気が付いた。
気付かないフリをして見ていると、明け方にもう1人やって来た。2人で何か話すと、
元から居た1人が帰って行った。

後を追いかけてみた。
するとさっきのもう1人が慌てた様子で現れた。
ソニンはその男の前にサッと立ちはだかると尋ねた。

「あなた達、一体何者なの?何の目的で私を監視してるの?」
「あ、いや・・」

そう言うとその男は振り返って逃げ出した。

「待って!お願い・・・」
「ぐあああああああ!!!」

ソニンに後ろから抱きつかれ、男は悲鳴を上げて気を失った。
少し力を入れ過ぎたようだ・・・

男の両腕が体の内側に向かって「くの字」に折れ曲がっている。

「しまった・・」
166名無しスター:02/12/08 01:18 ID:w11Hj7Uw

ソニンは仕方なく、もう1人の男の尾行を再会した。

尾行と行っても少し離れてついて行くだけだが、相手は全く気付かない。
監視のときも感じたが、まるで素人だ。新米なのだろうか・・・

男は山の中に入って行った。
大きな杉の木の下まで来ると、携帯のようなもので何か話し始めた。
足元から「カチッ」と金属音がすると男は扉を開け、地下にもぐっていった。

ソニンが男が姿を消した辺りを探すと金属の扉と取っ手が出てきた。
引っ張ってみるが動かない。ロックされているようだ。
力を入れると「バキッ」と音がして扉ごと外れた。中にハシゴがあった。

ハシゴを10mほど下りると長い通路があった。
通路の向こうは暗くてよく見えない。
少し迷ったが他に方法はない。
ソニンは通路を奥へと進み始めた。
167名無し募集中。。。:02/12/08 10:15 ID:0RGP3PbA
1000 名前:ファイナルベント 投稿日:02/12/08 09:33 ID:xB3Otktx
             __________
     ___   /
   /´∀`;:::\<  …出してくれ!
  /    /::::::::::| |  俺は帰らなくちゃいけないんだ
  | ./|  /:::::|::::::| |   俺の世界に!!
  | ||/::::::::|::::::|  \__________
             __________
     ___   /
   /´∀`;:::\<  出して…百合絵さん!!
  /    /::::::::::| \__________
  | ./|  /:::::|::::::|
  :::::::::::::::::::::::::::::::
             __________
     ___   /
   /´∀`;::::::::..<  なんでこうなるんだよ…
  /    /::::::::::: \__________
  :::::::::::::::::::::::::::::::
  :::::::::::::::::::::::::::::::
            
     ............. 
   ::::::::::::::::::::::  
  :::::::::::::::::::::::::::::::俺は… 
  ::::::::::::::::::::::::::::::: 幸せになりたかっただけなのに… 
  ::::: :::: :::::: ::::: ::::
168名無し鯖:02/12/08 23:44 ID:+vJilh+x
>>167 今日の龍騎か
169名無しスター:02/12/09 01:20 ID:t0S7eeZn

暗いトンネルを進むとドアに突き当たった。
ソニンが前に立つとドアが自動的に開き、明るく清潔な通路があった。
通路の両側にはいくつも部屋がある。
その一つに入ってみると、引っ越した後らしく古い机が一つだけ残っていた。
元は事務室か何かだったようだ。

その机の上に書類が何枚か散らばっていた。
ソニンの目はその書類の一つに釘付けになった。
書類の宛て名が「zetima本部」になっている。

胸の刺青と同じ文字・・・

書類を読んでみるが、定期報告らしく大したことは書いていない。ここが「江戸川研究所」
と呼ばれていたことが分かったぐらいだ。
他の部屋も見てみるが手がかりになるようなものは何もなかった。
170名無しスター:02/12/09 01:23 ID:t0S7eeZn
さらに進んでいくと、一番奥に大きく頑丈そうな金属のドアがあった。
オートロックの機械がついているが、今は動いていないようだ。
押してみるとあっさりと開いた。

中にさっきの男と他に何人かいた。大きな筒状のものを運び出そうとしていた。
ソニンがその筒をよく見るとガラスの水槽であった。
その中には・・・解剖された改造人間の標本が入っていた・・・

「きゃああああ!」

ソニンは思わず悲鳴を上げた。
男たちが一斉にこちらを向いた。
「しまった!」

逃げ出そうとすると警報が鳴り始めた。
171名無しスター:02/12/09 01:25 ID:t0S7eeZn
あちこちから足音が聞こえてくる。
数人なら自分の怪力で何とかならないかとも思ったが、巨大な蟻や戦闘員、
おまけに改造人間まで現れたところで素直に逃げることにした。
「一体ここは何なの?」

あちこち逃げ回っているうちに道に迷い、帰り道を見失ってしまった。
ソニンはあちこちの扉を力任せに破りながら逃げ回った。
やっと外に出られそうなトンネルを見つけるとそこへ逃げ込んだ。
走り続けると向こうに外の明かりが見える。
スピードを上げて一気に駆け抜けようとする。

すると目の前に人影が現れた。
ユウキだった。
172名無しスター:02/12/09 01:27 ID:t0S7eeZn
ソニンは驚いてスピードを緩めた。
ユウキはあっけに取られてこちらを見ている。
さっきの連中の仲間ではないようだ。ソニンは無視してユウキの横をすり抜けた。

ソニンはトンネルを抜け、外へ出た。
これで一安心・・・・

・・・さっきの子は大丈夫だろうか?
自分には関係無い・・・でも・・・
ソニンはもう一度トンネルに入り、来た道を戻って行った。

「うわああ!」
案の定、ユウキが怪人たちに追いかけられていた。
ソニンはユウキと怪人の間に入り、戦闘員を2人ばかり投げ飛ばした。
ユウキは驚いた顔でそれを見ている。

「何やってるの?逃げるわよ!」
ソニンはユウキの手を持って逃げ出した。
173名無しスター:02/12/09 01:27 ID:t0S7eeZn
「いだだだだだ!!」
ユウキはソニンのスピードに付いていけず引きずられている。
「あー!もう!」
ソニンはユウキを持ち上げ、抱えて走り出した。

やっとトンネルを抜けたが、今度は戦闘員がいた。
「一体どこから?」

後ろからは怪人が迫ってきている。
「ええい!」

ソニンはユウキを抱えたままジャンプした。
戦闘員を飛び越え、一気に山を下って行った。
しかし山道は足元が悪く、思ったようにスピードが上がらない。

慌てたソニンはバランスを崩し、谷底へ転落した
174名無しスター:02/12/09 01:30 ID:t0S7eeZn
ユウキと二人揃って落ちていく。ソニンはとっさにロープのようなものを掴んだ。
高圧電線だった。

高圧電流が二人の体を流れ、そのまま二人とも気を失った。

ソニンは気を失う直前、目の前に赤い怪人と白い怪人が現れたのを見た。


気を失った二人は同じ夢を見た。
ユウキが赤い怪人・カゲスターに、ソニンが白い怪人・ベルスターに変身し、
戦闘員や怪人を倒していく夢だった・・・

二人が目を覚ますと怪人と戦闘員がすべて倒されていた。
夢で見たのと全く同じ倒され方であった。


「・・・夢じゃなかったの?」
「俺達がやったのか?・・・」


「ところであなたは誰?ここで何をやっていたの?」
「俺は・・・」


・・・こうして二人の旅は始まった。
175名無しスター:02/12/09 01:38 ID:t0S7eeZn

・・・・フェリーがようやく青森の港に着いた。

ソニンは船から下りるなり準備運動を始めた。


「やっぱり走る気だ・・・」
ユウキはうなだれた

「どうしたのユウキ。あ、そうか夕飯まだだったね」

そう言うとソニンはキャンプ用のコンロを取り出し、お湯を沸かし始めた。
お湯が沸くと真空パックのご飯とレトルトカレーを取り出した。

「やっぱりカレー・・・」
ユウキはへたり込んだ

・・・二人の旅はまだまだ続く
176名無しスター:02/12/09 01:40 ID:t0S7eeZn

一応終わりました。
話が長すぎましたね。反省してます。マジで。

それからカゲスター&ベルスターの誕生に関するツッコミは勘弁してください。
「原作」どおりなんです・・・
177名無し募集中。。。:02/12/09 11:33 ID:VZ60/laq
ユリエさん!  ユ リ エ さ ん ! ! 出してくれ…出 し て く れ ェ ッ !  

出してくれ…出 し て く れ ェ ッ ! !

ユリエさん!  ユ リ エ さ ん ! ! ! !

「ガ シ ャ ー ン !」 出 し て く れ ェ ッ ! !

ユリエさん! ユ リ エ さ ん ! ! ユ リ エ さ ぁ ん ! ! 

ユリエさん! 出してくれっ! 出 し て く れ よ ぉ っ ! !

俺 は 帰 ら な く ち ゃ い け な い ん だ 俺 の 世 界 に ! !

「シ ュ ワ ァ ァ ァ ァ …」 ! !……いやだ……い や だ ァ ッ ! ! 

出 し て く れ …… 出 し て ェ ! !



……なんでこうなるんだよ

……俺は……おれは……しあわせになりたかっただけなのに………………
178名無し募集中。。。 :02/12/10 00:37 ID:AqzRtOy2
保全
179名無し募集中。。。:02/12/10 21:41 ID:/ntp07Iy
インペラー・・・合掌・・・。
次はタイガか・・・。
180名無し天狗:02/12/11 18:09 ID:I99NjSBD
暫く見ないうちに、ズンズン話が進んでますね。
「V3」、早く自由閲覧できるといいなぁ・・・。

>名無しスターさん
私も「ザ・カゲスター」はよく覚えてません。
何せ、私が生まれて間もない頃の作品ですから・・・。
でも、この話はよかったですよ。これからもガンバッテ!

>177の名無し募集中。。。さん
私は「龍騎」をよく見てないのでわかりませんが、
>>177のシチュエーションは「処刑」と考えて差し支えないでしょうか?
181白い名無し娘。:02/12/11 23:37 ID:7F/BMM+4
>名無しスターさん
 お疲れ様でした。カゲスターの原作ってそう言う話だったんですね。
デザインとOP・EDくらいしか知らなかったんで面白かったです。


 それでは、やらせていただきます。当分の間使わせてもらうようになるかもし
れません。なるべく年内には終らせる予定ではいます。なるべく頑張るので、
お付き合いくださいませ。
182白い名無し娘。:02/12/11 23:40 ID:7F/BMM+4
  

  仮面ライダーののX
    〜特別編〜

 人造人間 ハカイダー
183白い名無し娘。:02/12/11 23:42 ID:7F/BMM+4
 世界征服を企む『ゼティマ』は悪の秘密結社である。

 そして、各幹部を筆頭に色々な軍団がある。世界征服を目的と掲げている
以上、敵対する者や組織が有る。

 仮面ライダー達や新人類達のデスパー軍団、デスター等様々である。

 もし、ゼティマが世界を征服したらどうだろうか?

 人類にとってそこは地獄となり得るのだろうか。

 その回答は1つの場所にあった。

 その場所の名は…『ジーザスタウン』。
184白い名無し娘。:02/12/11 23:44 ID:7F/BMM+4
 ジーザスタウンはゼティマの科学者グルジェフによって発案された。管理
は、グルジェフを筆頭とした元老院によって行われている。目的はゼティマ
によって征服された後と想定された世界の運営実験である。
 ここでの実験結果は、ジーザスタウンの中央に有るセンタータワーに蓄え
られる。そして半年に一度、ゼティマの本部コンピューターに送られる。

 ジーザスタウンの建設は、ゼティマが台頭する約1月前である。ゼティマ
の息がかかった政治家によってダムを開発すると言う事になり、とある田舎
町が候補に上がった。当然その町には住人がいた。普通ならば立ち退き要
求が出るのだろうが、ゼティマは町を手に入れるために1つの手段にでた。
実験段階である改造人間や生物兵器の運用も兼ねた、住民の皆殺しである。
 しかし、この様な派手な行為が表に出る事は無かった。情報操作や政治家
の隠蔽工作によるものだった。そうした犠牲の上にこの町は作られた。
185白い名無し娘。:02/12/11 23:45 ID:7F/BMM+4
 この町の住人は、安全な場所はジーザスタウンしかないと思っている。
住人は、もとは普通に生活していた人たちだ。だが、強引に連れて来られた
訳では無い。ゼティマは偽りの企業を装って1つの広告を出した。安く、家と土
地が買えるという物だった。それに食いついた家族を、一つ一つ丹念に調べて
選んだ家庭を、この町に住まわせた。町の説明会と称して、まずは講習会を行った。
その時に、人々は洗脳された。ゼティマにとって洗脳はもっとも得意とす
るものなので、住人は今までの環境を忘れ、新しいゼティマの価値観や世界観を植
え付けられた。こうして数万人の人間が連れて来られた。
 そして彼らは何事も無かったかのように、この町で暮らしている。まるで、この
町が自分達の生まれた場所であるかのように。
186白い名無し娘。:02/12/11 23:46 ID:7F/BMM+4
 本日は以上で。説明臭い文ですいません。
187名無しんじー:02/12/12 00:21 ID:/X+htByY
名無しスター様
お疲れ様でした。ソニンとユウキの描写が素敵です。
先が楽しみな展開で続きを期待します。

白い名無し娘。様
ハカイダー編の続きですね。頑張って下さいませ。

名無し天狗様
依頼者・・・正直そこまで考えていなかった・・・
それを絡めて次の話を考えてみますか、ありがとうございます。
188名無しスター:02/12/14 00:06 ID:QkeF0ZFY
>>180
>>181
>>187

ありがとうございます。

書き終ってから2日ぐらい放置されたので、不評だったかと正直かなり不安でした。
次回はもう少し簡潔にしたいと思います。
2日で終わらせるつもりが、ソニンの話になったらなんか終わらなくなって・・・

>お疲れ様でした。カゲスターの原作ってそう言う話だったんですね。

カゲスターの誕生エピソード(高圧電線に触れて云々・・)だけ原作どおりです。
原作ではベルスターが社長令嬢、カゲスターが社員と、ヒロインがヒーローより
立場が上だったのですが、その辺も同じですね(w
189名無し募集中。。。:02/12/14 17:48 ID:cm+Qx1ER
ゴ・ガトル・バ保全
190白い名無し娘。:02/12/15 23:32 ID:tGDmgtSX
 そんなジーザスタウンだが、無法地帯と言うわけでは無い。法は存在する。
法を守る者も存在する。そして、人々の罪は3段階に分けられている。

 もっとも軽い段階の犯罪は、それこそ数多くある。一般的な犯罪全てがそうであると
言ってもよい。その罪を犯したものは、セントラルタワーに捕らえられ、約10日で
釈放される。その10日の間に再び犯罪を犯さぬように教育される。

 次に重い犯罪は、ジーザスタウンから脱出を試みる事。洗脳はある日突然に解ける場
合がある。洗脳が解けなくても、ジーザスタウンの外に好奇心を抱く者や、生活に困っ
て逃げ出す者等がこの罪を犯す。捕らえられた者は、教育された後にジーザスタウンの
治安維持部隊に送られ、元老院の忠実なしもべとして働く事になる。

 一番重い罪は元老院に反抗する事である。この町では比較的簡単に銃が手に入る。そ
の手に入れた銃で、元老院の輸送部隊が襲われる事がある。治安維持部隊が殺されたり
もする。この罪を犯した場合の処罰は決まってはいない。大体は収容施設に入れられる。
いまだかつてここから出てきた人間はいない。
191白い名無し娘。:02/12/15 23:34 ID:tGDmgtSX
例外が出るときもある。それは、この町を治安維持部隊を統括している、1人の人造
人間が決める事なのだが…。

 ジーザスタウン設立より幾つかの季節が流れていった。そして、今日もまた1つの名
も無い家族がジーザスタウンより逃げ出した。ジーザスタウンから半径3キロは監視の
為に、何も無い荒野になっている。しかしその家族は偶然にも、荒野の先にある小高い
山の中腹に廃墟になった病院を見つける事が出来た。家族は、その病院目指して走り出
した。

 先日、治安部隊の隊員がゲリラによって数名死亡した。その補充の為にその家族を逃
したのだ。家族を捕らえる為に、3名の隊員が出動した。武器は携帯したいるのだが、
あくまで脅しである。逃げる家族に威嚇の為に数発発砲したが、不幸にもその銃弾は子供
の手をひく父親の肩に命中してしまった。隊員が、しまったと思った時には遅かった。
逃げ出したとはいえ、住民を傷つけてしまったのだ。そのことを本部に報告しなければな
らない。報告をしている間に家族は山に消えていった。報告を終えた隊員は急いで家族を
追った。中腹に建つ廃墟目指し輸送車を走らせた。
192名無し天狗:02/12/16 17:58 ID:F4iMLAch
>白い名無し娘。さん
マイペースでGANBA!!
193白い名無し娘。:02/12/17 20:43 ID:uUnU7H99
妻が夫に肩をかし、夫は子供の手をひいて何とか廃墟と化した病院にたどり着けた。
途中にある監視所は無人になっていたが、家族はわき目も振らずにこの場所を目指して
いたので気がつかなかった。当然無人になっていたのも、元老院の計画のうちなのだが…。

 廃墟の文字が示す通り、病院の半分以上は崩れ落ちていた。まるで何十年も放置され
ていた様な崩れ方であるが、どことなく人為的に破壊されたような感じを受ける場所もある。
しかし、この家族にとってはどうでもよい事であった。隊員から身を隠し、一晩やり過ごせ
る場所を確保できればそれでよいのであった。廃墟化した病院を散策していた家族が1つの
扉を見つけた。黒く煤けた金属の扉である。この区画は比較的崩壊が少なかった。この扉の
向こうで夜を過ごす事を決めた家族は、力を合わせて扉を開けた。扉は重く徐々に開いてい
った。扉の向こうには鎖を体に厳重に巻かれた少女が、何かの台の上に縛りつけられていた。
台は衝撃かなにかで動いたかしたのだろう。扉を開けたら正面に少女が張り付けになっている
様に見えた。
194白い名無し娘。:02/12/17 20:44 ID:uUnU7H99
 家族はそれに驚いたが、気にしている場合ではなかった。部屋を散策した妻は夫の応急処
置に使えそうなものを探してきて手当てを施した。家族は1つの場所に固まると、寄り添う
ように横になった。決して夜になったわけではないのだが、精神的に疲れたのであろう。
子供と妻はすぐに寝息を立て始めた。
 
しかし、その静寂は簡単に破られた。後を追ってきた隊員達がこの部屋に踏み込んできたの
だ。家族はあっという間に3人の隊員に囲まれてしまった。そして、隊員の1人が
慎重に、この部屋にいたもう1人の人物に近づいていく。まるで張り付けにされてるかのように、
鎖で拘束されている少女。いくらジーザスタウンの治安部隊といえども、こんな光景は有り得
ないと思ってしまう。
195白い名無し娘。:02/12/17 20:46 ID:uUnU7H99
>>名無し天狗さん。全ての皆様。

 本当にマイペースで、迷惑掛けるかもしれませんが頑張ります。
196-:02/12/20 00:26 ID:HekFKjIt
保全
197白い名無し娘。:02/12/20 18:46 ID:GjGMx8in
 銃を構えてその少女を調べに1人の隊員が近づいていった。そこに隙が出来た。妻は隊員に
体当たりを見舞うと、娘と夫に逃げろと叫んだ。その声に、残りの2人の隊員が振り向き、銃を
向けた。そして反射的に妻に向かって引き金を引く。銃は唸りをあげて妻に鉛の弾を吐き出す
が、妻を庇うように夫が覆い被さる。しかし、弾は夫の体を貫きその下に居る妻にまで襲い掛
かった。血飛沫が、少女の頬を濡らす。ヌルリとした血の感触が、眠っていた少女のスイッチ
を入れた。

 目覚めた少女は、自らの体を拘束していた鎖を、何の抵抗も無く引き剥がした。鎖の束が地
面に落ち、けたたましく鳴り響く。銃声は止み、治安部隊は一斉に少女の方を振り向く。今、
この場所で聞こえるのは、両親を無くした子の泣き声だけだった。

198保全:02/12/22 23:58 ID:nN9nZmht
龍騎鯖威武
199名無し募集中。。。 :02/12/24 00:28 ID:mdrzlvLi
メリークリスマス保全
200ISHIKAWANOMANKONAMETAI:02/12/24 23:33 ID:Cp9MnlZk
ishikawanomankonametai200
201白い名無し娘。:02/12/24 23:39 ID:9i4T0fjS
 少女が久しぶりに見た世界。全身を白いプロテクターで覆った、銃を構えた人間が3人。
地面には命を失った夫婦。そして、泣きじゃくる子供。何かを確かめるように、少女は自分の
体に目を落とした。幸いな事に、衣服は身に纏っていた。上着には、レザージャケット。下に
は、ホットパンツ。そしてショートブーツ。カラーは黒で統一されている。
 まだ、霞がかかった頭の中で少女はふと思った。
(一体どっちの趣味なんだろ?)
2人の男性の顔が頭に浮かぶ。初老の男と若い男。しかし、名前は思い出せないでいる。

 銃を突きつけられているのだが、それを全く厭わないように今度は部屋を見渡した。
少女には、ほんのちょっと前のような感じがするのだが、とても荒廃している。
なんでだろう?
少女は何か、懐かしいような感じがした。同時に、何か大切な物がそこにあったかのような感
覚。少し前の事を思い出そうとしてみた。やはり、なにか霞がかかったようで思い出せない。

 そして、今この現実である。銃を突きつけて立っている、白い人間。血まみれの夫婦。子供
の泣き声…。隊員の1人が少女に再び銃を突きつける。
瞬間、少女の思考に稲妻が走った。

 白い人間。動物や植物を掛け合わせたような怪物。そして、機械剥き出しの人間のような物。
実家の居酒屋を手伝っている時に、いきなり平和が崩れ去った瞬間。
目の前で崩れ去る母親。私と逃がそうと、命を投げ出した姉達。
幸いにして、家に居なかった弟。
そして…。そして…。どうなったんだっけ?何で私はここに居るんだっけ?


202白い名無し娘。:02/12/24 23:42 ID:9i4T0fjS
 分らなかった。稲妻のように走った記憶は、再び霞に覆われてしまった。
少女は、自らの名前を思い出そうとする。私の名前…。
そんな少女に銃を突きつけて隊員は叫ぶ。
「貴様、一体何者だ!!」
隊員は、突きつけたまま少女ににじり寄る。
1人の隊員の銃口が少女の眉間に、こつりと当たった。
「私の名前…。」
少女は何かを言おうと口を動かす。隊員たちも少女が名乗ると思ったのだろう、しかし
見事に裏切られた。少女が左手で銃を掴み、グッと右下に引き込むと、隊員は体のバランスを
崩した。無防備に晒された頭部に、少女の拳がめり込んだ。多少の衝撃には耐えられるヘルメ
ットごと、頭の半分近くまで拳がめり込んだ隊員は、瞬間的に絶命した。
残りの隊員が少女に向かって引き金を引いた。
弾は少女と、背後にある壁に突き刺さった。止む事の無い弾の雨は、少女の姿を煙で包む。
銃声が止み隊員が近づいていくと、おもむろに頭をつかまれた。
それは、先ほどの少女の腕ではない。
どこからか一陣の風が吹き、煙を洗い流した。
そこに立っていたのは、黒き異形。
剥き出しの脳は半透明のカバーで覆われており。
血の色をした眼に、稲妻を模したマーキング。
暗闇色の体。
まさに異形。そして伺う事のできる表情は、一言で言えば『怒り』であろう。
「私の名前は。」
元は少女であった、その異形は隊員の頭部を持ちそのまま持ち上げると。
グッと力をこめた。
「ハカイダー。」
まるで、トマトが握りつぶされるような音がして、その隊員は地面に崩れ落ちた。

203白い名無し娘。:02/12/24 23:43 ID:9i4T0fjS
 間の前で仲間を瞬時に殺されてしまった隊員は、踵を翻し出口に向かって一目散に
走りだした。圧倒的な力の差を見せられては、いくら元老院によって教育されたとしても
逃げざるをえない。
 ハカイダーはゆっくりとその隊員に向かい歩き始めた。隊員はすぐに出口へとたどり着いた。
そのままの勢いで部屋を出ようとしたがそれは叶わなかった。先ほど入ってきた時には止まっ
ていなかったバイクがそこにあったからだ。バイクを凄い勢いで蹴るような形になった隊員は
その場に蹲ってしまった。いくらプロテクターを身に着けているとしても痛かったようだ。
 しかし、いつまでも痛がっている場合ではなかった。こちらに向かってくるハカイダーに
向かい、隊員は銃を乱射した。それは無駄だと知りつつも撃つしかなかった。だが、隊員の
予想に反しハカイダーは横を通り過ぎた。バイクの前で何かを確認するとハカイダーはそれに
跨った。
「た、助かった…。のか?」
震えながら呟いた隊員の後ろで、バイクの咆哮が空気を振るわせる。その音に反射的に振り向
いた隊員が目にしたものは、ショットガンを突きつけるハカイダーの姿だった。それが、隊員
の見た最後の世界だった。

 ハカイダーはバイクに跨ったまま考えていた。機械が考えると言うのはおかしいのだが、
ハカイダーは確かに考えていた。さっき隊員に問われた時に反射的に出てきた名前…。
『ハカイダー』
この姿はハカイダーと言う名前だったはずだ。バイクのミラーに映るこの黒い異形はそう言う
名前だった。確か私がつけたんだっけこの名前を…。そしてその異形は私。私が私に名前をつ
けた?それじゃあ、私は…。ハカイダーという名前を与えた私の名前は…?
もう一度バイクのミラーを覗き込むと、異形ではなく少女の姿があった。特徴的な鼻、少し魚に
似ている顔、茶髪の長い髪。そう、コレが私の姿。私、私の名前は…。
頭の中で何かがはじけた。白い意識の濁流に飲み込まれていく感じがして、頭を抱えた。
「私の名前は…。後藤…真希…。私は誰なの…?」
204白い名無し娘。:02/12/24 23:46 ID:9i4T0fjS
仮面ライダーののX

 〜特別編〜

人造人間ハカイダー
   Act.1 終了

205白い名無し娘。:02/12/24 23:48 ID:9i4T0fjS
これ以上スレを占拠するのはよくないと思ったので、区切りのいいところで
一旦終了させていただきます。なるべく早く完成させてまた戻ってきます。
わがまま言って申し訳ありません。
206神崎優衣:02/12/26 21:57 ID:cELqrVja
保全しないと、消えちゃうの・・・
207名無し募集中。。。:02/12/27 19:47 ID:MaXXhPOk
俺の闘う理由・・・

保全だ!
208神崎士郎:02/12/27 19:51 ID:/iyDyTJ6
心配するな、優衣。このスレが消えることはない。
209ナナシマン:02/12/27 22:46 ID:LI8ZxlOb
 ご無沙汰してました。

>>白い名無し娘。さん
 これから、と言うところでいったん終了というのが正直惜しいです。
続き、楽しみにしてますよ。

 僭越ながら、保全の意味も込めまして「冬休み劇場」と題して番外編に
入らせて頂ければと思います。ただ、まだ全部書き上がっていませんので
完成なさった作者さんが居られましたら言ってください。

 
210ナナシマン:02/12/27 22:47 ID:LI8ZxlOb
冬休み劇場「仮面ライダーのの 破れゼティマ拳法・地獄谷の死闘!」



 雲一つ無く晴れ渡った、日曜の朝。
 暖かい日差しが朝の冷たい空気を少しだけ和らげてくれる、そんな気持ち
の良い朝の出来事だった。

 リサイクルショップ「ペガサス」は本日休業日。めぐみと雅恵はこの休日
を利用して、近くの公園で開かれるフリーマーケットをのぞきに行くことに
した。めぐみの提案で先週から言っていたことだったが、二人は当初の予定
よりもだいぶ遅れて出発することになってしまった。言い出しっぺのはずの
めぐみが、朝寝坊してしまったのだ。

 「『狙ってるものがあったら朝早くから出かけること。それがフリマの掟
よ』って言ってたの、誰でしたっけ?もう8時半だよ」

 本来時間のことをうるさく言う方ではないのだが、それでも1時間半も
待たされた雅恵は少々お冠のご様子。それに対してめぐみはバサバサの髪も
そのままに、眠い目をこすりながら言う。
211ナナシマン:02/12/27 22:48 ID:LI8ZxlOb
 「自分だって起こしてくれたら良いじゃないよぉ。それなのにさぁ」

 雅恵は開場の朝7時に備えて6時半には目を覚まし、特別興味もない朝の
釣り番組を見ながらめぐみが起きてくるのを待っていた。しかし、その後
始まった通販番組に登場した「ハリ○ッドダイエット」なるダイエット食品
にすっかり目を奪われ、めぐみを起こすのを忘れていたのである。それは
ダイエットをライフワークとまでとらえていた、雅恵の性であった。

 「でもさぁ終了はお昼だし、今からでもまだ何かあるかも知れないよ?」

 「ったく・・・掟はどうしたの、掟は」

 そんなことを言いながら、支度をすっかり終えた二人はフリーマーケット
の開かれている公園へと向かった。
212ナナシマン:02/12/27 22:48 ID:LI8ZxlOb
 すっかり葉も枯れ落ちた銀杏並木。暖かい日差しの中を冷たい北風が吹き
抜けていく。目指す公園は角を曲がったすぐのところにある。時折かじかむ
手をこすりながら二人は通りを歩いていた。

 すると、その時二人の目の前に一人の男が姿を現した。ぼろぼろの衣服を
纏った、あまり綺麗とは言えない身なりのその男は、おぼつかない足取りで
二人に近づいてくる。

 「ちょ、ちょっとまってよ」

 男の不審な挙動に、二人はじりじりと後ずさる。息をのむめぐみと雅恵。
すると、男が何か話しかけてきた。

 『この鍵を・・・この鍵を守ってくれ・・・』


 しかし、二人とも彼の言葉の意味がわからずに、引きつった顔を互いに
見合わせる。男の言葉は二人には通じていない。そう、彼は日本人では
無かったのだ。
213ナナシマン:02/12/27 22:50 ID:LI8ZxlOb
 そして男は必死の形相で雅恵の手に何かを強引に握らせる。突然の
ことに不安で顔をこわばらせる雅恵。ゴツゴツとした固い何かを無理矢理
手のひらに押し込まれ、それを拒否できない。

 『これは大事なもの・・・黒龍会には渡さないでくれ・・・』

 「やだっ・・・ちょっとお!!」

 男の手を振り払って逃げようとするが、男は何事かを呻きながら握った
手を離そうとはしない。とうとう雅恵はあきらめて男から固い何か−それ
が「鍵」であることはまだ判らずにいる−を受け取った。すると、その
様子を見届けた男は一瞬安堵の表情を浮かべると、まるで糸の切れた人形
の様にがっくりと崩れ落ち、二度と立ち上がることはなかった。

 「キャアアアアアア!!」

 朝の静かな空気を引き裂くような少女の悲鳴。めぐみと雅恵はまさに
脱兎のごとく駆け出し、その場を後にした。
214ナナシマン:02/12/27 22:51 ID:LI8ZxlOb
今日の分は以上です。続きはまた明日の更新に。
215ナナシマン:02/12/28 16:30 ID:urE3CSCQ
 必死の思いで通りを後にし、ペガサスへ逃げ帰っためぐみと雅恵。特に
雅恵は男に無理矢理渡された物が一体何なのか判らないまま、まだ手の中に
握りしめていた。突然の出来事に、雅恵はそのことすらも忘れてしまって
いたのだ。

 「ねぇ・・・さっきのアレ、何だったの?」

 「あ、そうだ」

 未だ息も絶え絶えなめぐみの言葉に、やっと雅恵は自分の手の中にある物
の事を思い出した。ゴツゴツとした感触で、大きさはそれほど大きくない。
金属か何かでできているような、そんな感触を手のひらで感じた彼女は恐る
恐る手を開いてそれを見てみることにした。
216ナナシマン:02/12/28 16:30 ID:urE3CSCQ
 だが、気持ちとは裏腹に体が動かない。手の中に握られた物の正体を
おそれるあまり、雅恵の手がなかなか開かないのだ。

 「ちょっと、いつまでも握ってたって仕方ないじゃないよ」
 
 「そんなこと言ったってぇ〜。マジでイヤなんだってば」

 すっかり涙声の雅恵。必死に顔を背けて手を開こうとするが、思うに
任せない。

 「大きさはどれくらい?固いの?生きてるの?」

 何を思ったか、形状や強度を尋ねるめぐみ。そんなことを聞いて
どうなるものでもないが、いてもたってもいられずに何かしなければと
思うのは人の常である。その言葉に激しく首を横に振りながら雅恵が
言う。

 「100円ライターくらいでね・・・ゴツゴツしてて固くてね・・・
でも、生き物じゃないの」

なんだかんだで、以外と冷静に分析できている。
217ナナシマン:02/12/28 16:31 ID:urE3CSCQ
 そしてついに、小指から順番にぎこちなく開いていく雅恵の手のひら。
何かとんでもない物だったら・・・そんな想いが彼女をすっかり萎縮させて
いた。だがそれも無理はない話だ。

 やがて、彼女の指の間から金色の光がのぞく。そして、雅恵の手のひら
が完全に開ききったとき、それはその姿を明らかにした。

 「これって・・・鍵?」

 「ひょっとして・・・金で出来てるとか?!」

 それは龍の頭をかたどった、金色に輝く鍵たった。眼球には翡翠が
埋め込まれ、口から吐く炎を模した装飾には珊瑚が用いられていた。
そして、両の手が握りしめた珠はダイヤモンド。素人目にもそれが非常に
手の込んだ装飾であることが見て取れるその鍵は、一見しただけで高価
な、価値のあるものであることが推測できた。
218ナナシマン:02/12/28 16:32 ID:urE3CSCQ
 「すごいよこれ。『○でも鑑定団』とかに出してみたら良いかも」

 「盗まれた文化財とかだったらどうすんの。私たちが疑われるって」

 見事な装飾が施された黄金の鍵。それが尋常ならざる代物であることは
二人にも容易に判ることだった。思いがけず手にした物だが、自分たち
にはあまりに不釣り合いな代物である。出所を疑われ、痛くもない腹を
探られるのは彼女たちにとっても本意ではない。

 「どうしよう、これ・・・」

 こうして二人はしばらくの間、鍵を見つめたまま途方に暮れていた。
219ナナシマン:02/12/28 16:38 ID:qUX0Ozm5
今日はここまでです。明日一日おいて、月曜からの再開を予定してます。
 そう言えば「龍騎」終了後もテレ朝ライダーシリーズ続くみたいですね。
「ザ・テレビジョン」でのコメントによると「クウガ・アギト・龍騎を
へてようやく究極のライダーを送り出すことが出来る」とのこと。
期待しましょう。

>>名無しんじーさん
 実は最近「アイさが」のDVDを買いまして。それによって更に
具体的なイメージが浮かんできました。
 それにしても、インターミッションだけで、っていうのももったいない
お話なので、出来れば今後本編にも絡ませて頂ければ、と一読者として
思う次第です。

>>名無し1号さん
 ZXと並んで気になるキャラクターが登場ですね。眠りから目覚めた
01=まいの活躍に期待です。あと個人的には、さらわれた裕ちゃんが
どうなってるのかが気になります。

>>名無しスターさん
>一体この人は何者だろうか。
 ホント、ソニンってば何者なんですか・・・?(w
今後の展開も気になります。そう言えばカゲスター役の俳優さんは
「ジャンボーグA」の人だったと思うのですが、覚醒剤所持か何かで
タイーホされてたような・・・ユウキの今後が不安です。(w
 それと「保全シリーズ」、あの緊張感が素晴らしいのでネタが出来たら
また是非。

「V3」がまだhtml化しませんね。一応ストーリーを考える上であれは
読んでおきたかったんですが。2chブラウザ入れた方がいいんでしょうか。
220ナナシマン:02/12/28 21:40 ID:viON5XGv
>>219
 たった今特撮板経由で新ライダー見てきました・・・すげぇデザイン。
龍騎ライダーのファーストインパクトを超えるデザイン・・・なんだか
宇宙刑事みたいですた。自己レススマソ。
221名無しんじー:02/12/28 21:52 ID:UBRYlWPX
白い名無し娘。様
続きが早く見たい、お早いお帰りお待ちしています。

ナナシマン様
カゲスターの俳優さんって立花直樹さんですね、確かにジャンボーグAも
やってますね。
いんたーみっしょん過去編は一応本編とリンクしていると思って下さい。
ただ、最近、他もやってましてこっちは話がまだまとまってません。
名無し天狗さんの言ってた「依頼人」の話を製作中です。
222ナナシマン:02/12/30 12:17 ID:bJgTk2Up
 ちょうどその頃、失われた黄金の鍵を求めて暗躍する者達がいた。
世界征服をたくらむ悪の秘密結社「ゼティマ」の下部組織の一つ、
中国系マフィア組織「黒龍会」である。彼らは香港・上海を中心に、
ゼティマの国際的な犯罪行為に荷担している集団である。

 本来黒龍会は「ゼティマ拳法」の継承を目的として設立された武術
集団であった。ゼティマ拳法とは、中国武術において禁技とされてきた
手技手法を追求し、屍山血河の果てにその集大成として完成された
暗殺拳である。

 道場では選りすぐりの怪人、戦闘員に対してこの拳法の奥義を伝授
していた。創始者テラー・マクロを頂点に選ばれし門弟は100余名。
一流派としては小規模の様な気もするが、プロの暗殺者集団としては
実に恐ろしい人数である。

 そして、黒龍会の存在意義は組織拡大に伴って変化していき、暗殺拳
伝承者としての手技を買われてアジア圏で組織の尖兵として活動してきた
彼らはいつしか、同圏での「組織」そのものになっていった。今では
実質的な東南アジア支部と言っても差し支えないほどの存在である。
223ナナシマン:02/12/30 12:18 ID:bJgTk2Up
 そして舞台は香港。雅恵とめぐみが黄金の鍵を手渡される数日前に
物語は遡る。


 「100万ドルの夜景」と言われた美しいイルミネーションが注ぐ
夜の海。その一角にある港に停泊している、一隻の貨物船があった。
そして、その貨物船に次々と貨物を積み込む、怪しい一団。彼らこそ、
「黒龍会」の構成員達だった。着々と作業が進むその傍らで、数人の男が
集まってなにやら話をしている。その中の一人は、どこかに携帯電話で
話をしていた。

 『申し訳ありません兄貴、若いモンも血眼になって捜してるんですが』

電話の向こうの相手にしきりに弁解する男。その風体は黒いダブルのスーツ
に、青いラメのシャツ。繁華街で見かけたら間違いなく道を譲りたくなる
ような、柄の悪い男である。彼の取り巻きもまた絵に描いたようなヤクザ風
の身なりであった。ヤクザ者の風体は日本も中国も、そう大差ないようだ。

 『ドラゴンの兄貴のお怒りもごもっともで・・・”鍵”は命に代えても。
はい、本当です!!わざわざ歌舞伎町からお疲れ様です・・・』

 電話の主、ドラゴンと呼ばれた人物はどうやら日本にいるようだ。黒龍会
の日本での活動拠点、新宿は歌舞伎町からの電話だった。すると、ラメシャツ
の男のそばで、別の男が携帯を切るなり吐き捨てた。
224ナナシマン:02/12/30 12:19 ID:bJgTk2Up
 『クソッタレが、ナメやがって・・・』

彼の様子に、日本に電話を掛けていた男が通話を中断して何事か尋ねる。

 『どうした?』

電話を切った男は、忌々しそうな顔で携帯をポケットにしまうと、懐から
たばこを取り出して言った。

 『鍵の在処が判ったぜ。先週末送り込んだ連中だ。奴らの一人が持ち逃げ
しやがったんだと!』

 その言葉にはたと膝を打つ男。急いで再度電話を取ると、中座していた
日本からの電話に出る。

 『・・・もしもし兄貴?・・・判りました。ええ、鍵は日本に!』
225ナナシマン:02/12/30 12:20 ID:bJgTk2Up
 やがて、黒龍会の船は港を後にする。次第に遠くなっていく船の灯りを
見ながら、埠頭で先ほどの男達が何やら話をしている。

 『ドラゴンの兄貴は何て言ってた?』

 そう言って、男は青いラメシャツの男にたばこを差し出す。ラメシャツは
そのたばこを口にくわえ、さっと火をつける。

 『日本の連中に先を越されないようにしろ、とは言われたけどな。アレの
ことは日本にはあまり知られたくないみたいだ』

 『ゼティマと黒龍会は杯を交わした者同士だ、何故そんなことを気にする
必要がある?それに、改造人間の素体を供給してるのは俺たち黒龍会だぞ?』

 彼ら黒龍会は中国各地からだましてつれてきた密入国志望者達を日本にある
ゼティマの施設へと送り込むことをその使命の一つとしている。彼らが
改造人間の素体となる人間全てを賄っているわけではないが、黒龍会が
送り込んでいる人数は、決して馬鹿に出来ない数だった。

 『まぁ、兄貴にも事情があるんだよ』

 そう言ってラメシャツは相方の男の肩を叩く。やがて港に黒いセダンが
乗り込んでくると、男達の前でゆっくりと停車した。こうして、船が出航
したのを見届けた男達はそれぞれ車に乗り込むと、何処かへと走り去って
いった。
226ナナシマン:02/12/30 12:21 ID:bJgTk2Up
 本日は以上です。
 ここへ来てようやく「ゼティマ拳法」と言う単語が登場したわけですが、
元ネタは仮面ライダースーパー1の敵結社「ドグマ」の怪人が操る殺人拳
「ドグマ拳法」です。確か黒龍会はその道場かなんかだったと思います。
赤心寺一門と対立する道場、みたいな位置づけではなかったでしょうか。
227 :02/12/30 18:00 ID:l/gRmwNo
500番台なのでhoze
228名無し天狗:02/12/30 21:51 ID:4QCMnWVs
お久しぶりです。

>白い名無し娘。さん
ハカイダーの映画は見たことないので、あまりあれこれとは言えませんが、
今後を楽しみにしてます。マイペースマイペース!

>名無しんじーさん
「依頼者」・・・・・・一体何者なのでしょうか。
楽しみにしてますので焦らずがんばってください。

>ナナシマンさん
ここのテラーマクロは以前スーパー1(飯田)に倒されたカイザークロウとは
別人と考えて差し支えないでしょうか?(失礼なこと聞くようで申し訳ありませんが・・・)
あと、黒龍会は赤心寺の敵・・・と言うことは飯田は!?うわ〜〜〜気になる!!
229ナナシマン:02/12/31 15:13 ID:v6OaKGcL
 そして、舞台は再び日本。
 朝の日差しが差し込むリビングで、家計簿とにらめっこしている女が一人。
電卓の数字とレシートの束とを交互に見比べながら、ため息が一つ。

 「今月もギリギリだぁ・・・こんなんで年越せんのかな?」
 
 そう言って彼女は手にしたボールペンをくるくると回してみる。辛うじて
赤字だけは免れたものの、厳しい台所事情が続くことは間違いなさそうだ。
やがて彼女〜石黒彩は憂鬱な気分を振り切るように家計簿を閉じる。その
音がリビングに響くと、彼女はキッチンに向かう。朝食の準備のためだ。
逼迫した家計故に贅沢はできないが、せめて心のこもった食事を、と願う
彼女は、努めて店屋物や出来合の総菜ではすませないようにしている。
奥の寝室で眠りについている少女達のことを思いながら、彩は冷蔵庫のドア
を開ける。とその時、彼女の目に覚えのない異様な食材が映った。
230ナナシマン:02/12/31 15:13 ID:v6OaKGcL
 「うわっ!?蜂の子とかカミキリムシの幼虫とか誰が食べんのよ。これ
採ってきたの圭ちゃん?何族の食卓なのよ、全く」

 冷蔵庫を開けたとたん、袋詰めにされた幼虫が視界に飛び込んだ。
思わず絶句する彩。それがいつのまに入れられたものなのかは判らなかった
が、同居している少女たちの一人、仮面ライダーアマゾンこと圭が家計の
足しになればと山から採ってきたものだと言うことはすぐに理解できた。
彩にしてみれば気持ちはありがたいのだが、出来れば都市生活者が容易に
食べれるものが欲しいというのが本音だ。

 「その前はイノシシ一匹だったのよね。あのコ泥だらけになってイノシシ
担いできてさ、玄関で見たときは新手の怪人かと思ったよ」

 そんなことを考えながら彩は袋をいったん退かすと、その奥にあるハムの
切れ端が入ったビニール袋に手を伸ばす。袋の中には数種類のハムの切れ端
がたくさん入っている。その中からひとつかみのハムを取り出すと、彩は
まず鼻先にそれを持っていく。

 「変なにおいは・・・しないね。まぁ、一昨日買ったヤツだから大丈夫か」
231ナナシマン:02/12/31 15:14 ID:v6OaKGcL
 続いて彼女は冷蔵庫の野菜室からほうれん草を2把ほど掴むと、手早く
水洗いして刻んでいく。やがて、刻んだほうれん草にさらにもやしを加え、
先ほどのハムの切れ端を加えた具をフライパンで炒める。

 それから数分後、具に火が通ったのを確認した彼女は、卵を取り出すと
次々とそれをボウルに開け、なれた手つきでかき混ぜた後、先ほどまで
具を炒めていたフライパンに注ぎ入れた。薄く広がった卵に程よく火が
通ったところで具を投入。

 「オムレツ上手は愛情上手〜♪だっけ?憶えてないけど」

 歌声も軽やかに、朝食の準備が進んでいく。こうしてほうれん草とハム、
もやしの具のオムレツが次々とできあがる。後はトーストとコーヒーの準備
をするだけだ。ご飯が食べたい娘のために一応電子ジャーにはご飯も炊いて
ある。コーヒーはインスタントより豆だよね、などと考えながら、彩は
コーヒーメーカーを準備する。程なくしてコーヒーの薫りがキッチンから
漂い始めた。
232ナナシマン:02/12/31 15:15 ID:v6OaKGcL
 寝室の方から人の気配がする。誰かが目を覚ましたのだ。眠い目をこすり
ながら現れたのは、よく見ると裕子だった。

 「あ・・・あぁ、おはよう裕ちゃん。誰かと思ったよ」

 「彩っぺおはよ。最近飲んでないから朝早くって・・・コーヒーの薫りで
目ぇ覚めてね・・・。手伝うことある?」

 はれぼったい瞼。彼女は少女達の戦いが始まってからと言うもの、自身が
入手した関係資料と毎晩格闘していた。それはひとえに、正面切って戦えない
生身の身体の自分でも彼女たちのために出来ることをしたい、と言う切なる
願いの現れであると彩は思っている。彼女はそんな裕子の心中を察すると
いたたまれない気持ちになる。だがこの気持ちの良い朝のひととき、出来れば
戦いのことは忘れていたい。彩は気を取り直すと笑顔で言った。

 「そうだね、じゃウチのお寝坊娘たちを起こしてきてくれないかな?」

 清々しい日曜の朝の日差しですら、寝室の眠り姫を目覚めさせるには不足
らしい。裕子はその言葉に黙ってうなずくと、寝室へと戻っていく。
233ナナシマン:02/12/31 15:18 ID:yAFwZB+0
 裕子に起こされたせいなのかは判らなかったが、早速起き出してきた少女が
2人。ひとみと梨華だった。殆どが改造人間である他の少女達と違い、人造人間
の二人は目覚めがやたらと良い。もしかしたら眠っていないのかも知れないが。
そんな二人の姿を認めた彩は、笑顔で声を掛ける。

 「二人ともおはよ。他のコ達は?」

 「今、中澤さんが一人ずつ起こしてるはずですけど・・・」

 と、梨華がそう言いかけたその時だった。

 「いやァ!ちょっ・・・イヤァァァ〜っ!!」

 突如寝室から聞こえる少女の悲鳴・・・声の主は真里だった。しかし、その
悲鳴の理由をリビングの三人は知っていた。割と普通に。

 「ねぇよっすぃー、どうしよう?」

 「どうするって言われても・・・」

 困惑する二人に、いつものことだから、といった風な顔をして彩が言った。

 「裕ちゃんの頭一発殴って来な。どうせまた『目覚めのチュー』とかしてる
に決まってるんだから。真里も真里だよ、裕ちゃんといる時はマッパで寝るの
止めなって言ってるのに・・・」
234ナナシマン:02/12/31 15:19 ID:yAFwZB+0
>>名無し天狗さん
 いえいえ。その点については特別もったい付けるつもりはありません
ので先にお答えしますと、「勝手に」別人にしてます(w。
 本編のストーリーに全く反映しない劇場版ノリの話(一部のプロット
はスーパー1劇場版から頂いてます。)ですので、その分好き勝手な
設定になっています。その点は他の作者さん方にはちょっと申し訳ない
ところではあります。


 今年の分は以上で終わりです。続きはまた来年(元旦スタートです)。
 今年一年ご愛顧頂き、まことにありがとうございました。
いつもインスピレーション創作意欲を与えてくださる作者の皆様と、
そして何より読者の皆様に心より感謝申し上げます。新しい年が皆様に
とって幸多き年になりますよう、お祈り申し上げます。


#ところで皆さんにお伺いしたいんですが、どなたか「空飛ぶ火の車」
の詳しいディテールをご存じの方居られませんか?
235名無しんじー:02/12/31 16:06 ID:XfLBXg90
ナナシマン様
空飛ぶ火の車って劇場版に出てきたやつですか?
たしか、かなりしょぼいディテールだった様な・・・
なんか亀甲船みたいなやつが空飛んでてガメラみたいにジェット?噴射が下から
出てて船首?に龍かなんかの首があってそこから火を吹く、そんな感じでは?
違ったかな、なんか車じゃなくて船じゃんって思った気がしたのですが・・
236名無し天狗:02/12/31 20:59 ID:rrJI1qeP
作家の皆様、今年一年魅力溢れるストーリーを
どうもありがとうございました。来年も期待してますので
無理せずがんばってください!

>ナナシマンさん
「火の車」のデザインですか。それなら・・・・・・

・まず、金色の竜を折りたたむように縦に曲げた形をご想像ください。
 ちなみに竜の脚は(確か)前脚一対のみです。
・その周りを金色の輪で囲み、竜と輪の間を「上から見ると米の字になるように」
 棒で固定した形をご想像ください。

・・・これで「火の車」のデザインは出来上がりです。
輪の八方向から火を噴き、上から見た形が丁度車輪の形に見えるところから
おそらくこの名が付いたのだと思います。(わかりにくい説明で恐縮です・・・)

では、お体に気をつけて来年もがんばってください。

皆様、よいお年を!!
237名無し天狗:02/12/31 21:12 ID:rrJI1qeP
またやっちゃった!すいません、Sage保全です。
では改めまして、よいお年を・・・。
238名無し天狗:03/01/01 09:47 ID:wBtyDrGB
>作家ご一同様
あけましておめでとうございます。
今年も血沸き肉踊り手に汗握るストーリーを期待してます。
239ナナシマン:03/01/01 21:16 ID:/fIL2b2p
 同じ頃、秩父の山奥。通称「地獄谷」と呼ばれる場所があった。何故かその
一帯だけは有毒ガスが発生するという怪現象が起きるという場所であり、昔
から地元の人々が近寄ることはまず無かった。その人外の地に、実は黒龍会の
道場があることを知るものはいない。


 道場の偉容はまさに流派の総本山と呼ぶに相応しく堂々としており、歴史ある
寺院のような佇まいであった。広い中庭をもつ本堂と離れの建物、違うとすれば
仏典を収める塔などが無いことくらいだろうか。そして山門と呼んだ方がしっくり
来そうな門の両側には、仁王像宜しく巨大なカラスの魔神像が睨みをきかせている。

 そして今まさに、その山門をくぐる五人の怪しい者達の姿があった。山門から
敷地に入るや五人は人間の姿から、怪人へと姿を変える。それぞれ熊、蛇、
鷹、虎、象の姿をしており一見するとかなり奇怪な風貌だが、実は彼らこそ、
暗殺拳「ゼティマ拳法」を修めた流派きっての高弟、「地獄谷五人衆」である。

 「五師兄、お待ちしておりました」

 そう言って五人衆を本堂の前で出迎えたのは、屹立した背びれも猛々しい
大トカゲの怪人である。彼の名はドラゴンキング、黒龍会の日本での拠点を仕切る
のはこの怪人なのだ。
240ナナシマン:03/01/01 21:18 ID:/fIL2b2p
 「弟よ、師父テラー・マクロの命によって我らは日本に来た。『空飛ぶ火の
車』を動かす『鍵』、ここ日本にあるそうだな?」

 そう言って鷹の怪人〜サタンホークは隣に居並ぶ4人を差し置き歩み出る。
実はこの鷹の怪人は五人衆のリーダーであると同時に紅一点、つまり女性
なのである。

 「日本に送り込まれた素体が持ち逃げしたと聞いています」

 ドラゴンキングはサタンホークの言葉にそう答えた。そんな彼の言葉に、
激しくいきり立つ者がある。象の姿をした怪人、象拳の使い手ゾゾンガーだ。

 「貴様、まさかまだ手を打っていないというのではあるまいな!」

 「ご安心を、既に手配はしてあります」

 兄弟子の怒りをなだめるようにドラゴンキングが言う。そのとき五人衆の
一人がこう言った。

 「いっそのこと、ゼティマ日本支部の力を借りてはどうだろう?」

 声の主は蛇の姿をした怪人、蛇拳の使い手ヘビンダーだった。黒龍会が
独力で捜索するのは困難なので、事情を話して協力を仰ごうというのだ。
241ナナシマン:03/01/01 21:19 ID:/fIL2b2p
 「しかしそれは師父の意図に反するのではないか?」

 ヘビンダーの提案に異議を唱えるのは虎の怪人、クレイジータイガーだ。
彼はその容姿の通り、虎拳の達人である。

 「この際仕方ないではないか」

 「何のためにゼティマに秘せよと命じられたか判らぬか。師父はあれを連中
に渡したくないのだ」

 どうやら、彼らの捜し物はゼティマに知られたくない物のようである。そこへ
口を挟むのは、熊拳の達人、ストロングベアだ。

 「空飛ぶ火の車さえ起動できれば問題なし!姉上、ひとまずここは日本支部へ
出向き捜索の助力を依頼すべきだ」

 四人の怪人が言い争う中、しばらく考えていたサタンホークは何事かを決心
すると、こう命じた。

 「よし、ひとまず我らはゼティマ日本支部へと向かう。ドラゴンキングよ、
お前は道場にて師父のお越しを待つのだ」

 サタンホークの言葉を聞いたドラゴンキングの表情が一瞬曇る。

 「儀式のためと聞いていますが・・・まさか鍵のことは?」

 「師父はまだ鍵のことは知らぬ」

そう言って、サタンホークはその経緯を語り始めた。
242ナナシマン:03/01/01 21:20 ID:/fIL2b2p
 数日前、黒龍会の総本部。
 誰もいない自室で一人物思いにふける、青白い顔の老人。亡霊のような
風体のこの老人こそが、ゼティマの重鎮テラー・マクロである。彼は一人
になると決まってあることを思い出し、怨念を募らせていた。

 「我が弟子よ。仇は必ずとってやる。お前は偉大なるゼティマのために
命を捧げたのだ」

 目を閉じたまま一人つぶやくテラー・マクロ。彼は将来を期待していた
門弟の一人をライダーに殺されていた。彼の弟子はアメリカにある
改造人間技術の研究所を襲撃するという使命を帯びていたが、任務半ば
にして命を落としていたのだ。弟子の仇は「スーパー1」という
仮面ライダーの一人だという。仮面ライダーといえば彼ら組織の敵だが、
彼にとってはそれ以上に愛弟子の仇として激しい憎悪の対象であった。

 「お前を殺した『スーパー1』・・・儂の手で葬り去ってくれる」

 再び目を見開き、血走る目で睨み付けた先にあったものは組織の版図
を示すべく掲げられた世界地図だった。彼は門弟の一人を部屋へと
呼びつけこう命じた。

 「五人衆に伝えよ。『魔神の血の儀式』のために儂自らが出向くと。
空飛ぶ火の車の準備も、もちろん忘れるでない」
243ナナシマン:03/01/01 21:21 ID:/fIL2b2p
 かくしてテラー・マクロ自らが日本にやってくることとなった訳だが、
実は「空飛ぶ火の車」を起動するために必要な黄金の鍵が盗まれていた
ことは数日前まで黒龍会の人間は誰も知らなかった。ドラゴンキングが
その事実を隠していたからだ。

 「それにしても、何故師父は空飛ぶ火の車を・・・」

 「あれを使って日本各地を破壊することが本来の目的だ。儀式は
あくまで師父の個人的な復讐のためだろう。しかし、私には逆としか
思えぬが」

 「では何故ゼティマに隠すのでしょう」

 「師父は黒龍会がゼティマに取って代わることを望んでおられる。
空飛ぶ火の車が一度動き出せば止められる者はいない」

 サタンホークの言葉に、黙ってうなずくドラゴンキング。

 「それから・・・同郷のよしみとはいえ、部下の失態を隠し立てする
とは何事か。舎弟思いなのは結構だが、自分の首まで絞めることになるぞ?」

サタンホークはそう言ってドラゴンキングを一瞬見やると、他の4人と共に
道場を後にした。ドラゴンキングは5人の姿を黙って見送っていた。
244ナナシマン:03/01/01 21:24 ID:/fIL2b2p
 皆様、今年もよろしくお願いいたします。
>>名無しんじーさん、名無し天狗さん
 早速情報をいただきましてありがとうございます。以前これついて
ネットで調べてみたんですけど有力な情報が全くなくて・・・。
 あるサイトでライダーマシンの番外編としてネオショッカー戦車
なんかと一緒に載ってたものも「龍の口から火を吐く」くらいしか
載って無くて。ありがとうございます!

 続きは次回、また明日お目にかかります。今回の話は松の開ける7日頃
終了予定です。長丁場ですが、今しばらくおつきあい下さい。
245名無しんじー:03/01/01 22:59 ID:n7ocL+M7
皆様本年もよろしくお願いします。
ナナシマン様
スイマセン、私の持っている本に火の車出てました。
剄文社の全怪獣怪人「下巻」のスーパー1の項です。
もっともかなりマニアックな本だから本屋さんで見つけるの大変かな。
ディテールは名無し天狗さんが書かれている通りですね。
246ナナシマン:03/01/02 19:47 ID:lrt07vn+
 「で、これがその鍵って訳ね?」

 雅恵から鍵の事を聞きつけてやってきた斉藤瞳は、当にその実物を手にとって
しげしげと眺めて言った。それをそばにいた柴田あゆみが不思議そうに見つめて
いる。謎の黄金の鍵を目の前にして、少女達は何やら話し合いをしていた。この
鍵が一体何なのか、いつ頃作られた物なのかという話に始まり、果ては売れば
いくらになるか、などという少々下世話な話題も飛び出していた。少女達は
この鍵をどうするか、思案に暮れていた。

 「どっかに売っちゃえばいいんだって。ウチらが持ってても仕方ないよ」

 何処の何かも判らない物をいつまでも手元に置きたくない雅恵は、そう
言って無造作に鍵を放る。あゆみも出来ればやっかいごとには関わりたくない、
と雅恵の意見に同意した。と、雅恵に放られた鍵をすかさずキャッチして、
めぐみが言う。

 「やっぱ鑑定だよ、鑑定♪紳助さんに会いに行こうよ」

 3人の意見は聞いた。その上で、瞳は3人にある提案をした。

 「せっかくここまで来たなら、その鍵の正体を調べてみようよ。ホラ、力に
なってくれそうな人達がいるじゃない?」

 瞳のその言葉に、思い浮かべたのは3人とも同じ事だった。

 「持っていってみようよ、中澤さんとこに!!」
247ナナシマン:03/01/02 19:48 ID:lrt07vn+
 「それで朝っぱらからウチに来たわけやな。でも、ウチは考古学とか
詳しくないしなぁ・・・」

 4人が訪れた頃、大所帯の朝食は一区切りつき、少女達はそれぞれの
時間を過ごしていた。パトロールに買い出し、アルバイト・・・殆どの少女
達は出払っていたが、裕子と彩、亜依と希美は家に残っていた。

 「とりあえず、ブツを見ておいた方がいいんじゃないの?」

 洗濯物を物干しに掛けながら彩が言う。うららかな朝の光がリビングに
差し込む。

 「彩っぺ、ブツて何やのブツて・・・でも言うとおりやな。ブツ見せて」

どっちもどっちである。
248ナナシマン:03/01/02 19:49 ID:lrt07vn+
 こうして中澤家の面々に黄金の鍵が初めて公開された。

 「これ・・・本物の金?純金?」

 物珍しさに身を乗り出してのぞき込む。とりあえず第一当事者のめぐみと
雅恵が、事の発端と一部始終を裕子に話した。


 「そうか・・・」
 
そう言いながら、裕子はおもむろにノートパソコンを起動させる。すぐさま
生化学研究所のデータベースにアクセスしてみるが、それらしいものを検索
することは出来なかった。謎の鍵を目の前にして、頭を抱える面々。と、
その時玄関から声がする。


 「ただいま〜。今帰りましたぁ」

 「ALOHA!おじゃましまース!」

 買い出しを終えて帰ってきたあさ美と、スーパーで偶然出会い、そのまま
合流して家にやってきたミカだった。とりあえず、二人にも鍵を見せてみる
ことにした。
249ナナシマン:03/01/02 19:50 ID:lrt07vn+
 「何か鍵の感じが中国っぽいですよね・・・」

 あさ美の指摘にうなずく一同。言われてみれば、確かにその鍵には中国の
美術的な様式に酷似するモチーフが見られる。「中国っぽい」という言葉が
一番ぴったりな表現だ。

 「古代中国の遺物、って線が一番強いですね。その辺をもう一度当たって
みましょう」

 「そやね。材質や作られた年代とか、研究所に持ってって良く調べてみよ!」

 ミカの言葉に亜依が応え、かくして鍵はいったん3人に預けられた。その
正体を探るべく、3人は生化学研究所へと向かった。
250ナナシマン:03/01/02 19:51 ID:lrt07vn+
 一方、同じ頃ゼティマ日本支部では、地獄谷五人衆が事の一部始終を居並ぶ
幹部達に説明し、協力を求めていた。

 「『空飛ぶ火の車』を起動させるためには、その鍵が必要なわけだな」

 「是非とも我ら黒龍会にご協力をいただきたく存じます」

 そう言って五人衆は幹部達の前に傅く。その様子を見て、悪魔元帥が言う。

 「しかし、肝心の鍵の在処が日本と言うだけでは、すぐに見つけるのは至難
の業よのう・・・どうするか」

その言葉に、彼の傍らにいた一人の女性幹部が応じた。

 「元帥、それならば私めにお任せ下さい」

 黒髪も美しい妖艶な女。口元を覆うヴェールが更に妖艶さを際だたせている。

 「ほほぅ・・・ならばやってみせよ、魔女参謀」
251ナナシマン:03/01/02 19:52 ID:lrt07vn+
 その女性幹部〜魔女参謀は、立ち上がっておもむろに目を閉じると、何やら
呪文を唱え始めた。呪文の詠唱はしばらく続いたが、数分後再び目を大きく
見開いた彼女は、作戦会議用のモニターを指さして念を込めた。すると
どうだろう。

 「おおっ!この小娘達は!!」

 そこに映し出されたのは、10人からの娘達の姿。それが一人ずつ次々と
スライドショーのように映し出されていく。幹部達にとって、それは見覚え
のある忌々しい顔である。鍵の在処を示した後、魔女参謀は言った。

 「うぬら、鍵は一番やっかいな相手に渡ったようだな・・・敵の名は
『仮面ライダー』、心致せ」
252ナナシマン:03/01/02 19:55 ID:gfILV/Uu
 「鍵の奪還は一筋縄ではいかぬ。儂が手を貸してやろう」

 そう言って立ち上がったのは、黒いマントに身を包んだ老科学者。誰あろう、
死神博士その人である。

 「『ゼティマ復讐兵団』、遂にその出番がきたようだ。これを見るが良い」

 そう言って死神博士はモニターを指し示す。すると、画面が切り替わって
基地内のとある施設が映し出された。そこには溶液を満たした円筒形のガラス
容器に封入された怪人達が安置されていた。

 「これは・・・『怪人墓場』ではないか」

 目を見張り声を挙げたのは幹部の一人、地獄大使である。今まで任務に失敗
し落命した怪人達が回収され、収容されているこの施設を人は「怪人墓場」と
呼んでいた。低温環境の元に安置された怪人達が並ぶ様は、確かに墓場か死体
置き場のそれである。それ故組織の人間達に忌み嫌われている場所なのだ。
253ナナシマン:03/01/02 19:56 ID:gfILV/Uu
 「ふふふ・・・口の悪い連中は皆そう言うが、墓場ではない。立派な再生
改造施設なのだぞ。まぁ、見ておれ」

 そう言って、モニターのそばまで来た死神博士はおもむろにマイクを手に
する。

 「ゼティマのために命を捧げた怪人達よ。今こそ復讐の時が来た。さぁ
立ち上がれ!憎き仮面ライダーに恨みを晴らすのだ!」

 やがて、死神博士の声に応えるかのように、容器に安置された怪人達の目に
次々と不気味な輝きが宿る。そしてロックが解除され、次々と怪人達が容器の
外へ出て行く。蜘蛛男、蝙蝠男、ゴキブリ男、ナメクジ男、ハサミジャガー、
カメバズーカ、ワニ獣人、クモ獣人、奇戒人ガンガル、ネプチューン、
シーラカンスキッド、オニヒトデ、そしてカナリコブラ。かつてライダーに
倒され、命を落としたと思われた怪人達が「復讐兵団」の名の通り、復讐の
ために甦ったのだ。居並ぶ幹部達のどよめきの声の中、死神博士はその様子を
満足げに眺めていた。
254ナナシマン:03/01/02 19:57 ID:gfILV/Uu
本日はここまでです。続きはまた明日。
255ズレませんように:03/01/02 19:58 ID:gfILV/Uu
  ライダーののカードを集めよう!その1
    ┏━┳┯┯┯┯┯┯┯┯┳━┓
    ┃の┗┷┷┷┷┷┷┷┷┛辻┃
    ┃. MASKED RIDER-NONO.  ┃
    ┃  .仮面ライダー.のの    ┃
    ┃┌──────────┐┃
    ┃│:::+..*::::::::::::::::: ::*.::: .::*::.│┃
    ┃│+ :. .\●∨●. /. ::::* │┃
    ┃│ .:*:.:   (´D`∩〜:.**.:│┃
    ┃│ −−⊂/∞ ..ノ..─ .─.│┃
    ┃│::::*    「 ◎ |.::. .*..::*: │┃
    ┃│ /:::  .∪ヽ│ \.::::  :│┃
    ┃│+:: /::: :   ∪   ::\ .. │┃ 
    ┃│:::::* ::  ‖| :::.* ::*  ::│┃
    ┃└──────────┘┃
    ┃   AP/6000 DP/3000..  ┃
    ┃.必.殺.技./ライダーののキック ┃
    ┃戦え. !力のライダーのの! .┃
    ┗━━━━━━━━━━━━┛

 ( ´D`)<たくさんあつめてなかよくあそぼー!
256名無し天狗:03/01/02 20:47 ID:PWZdxvWq
>ナナシマンさん
おお!新幹部初登場にライダーの(いい意味で)伝統・再生怪人軍団!!
段々スケールアップしてきてますね、こりゃ明日以降が楽しみだ!ガンバッテ!!
257ナナシマン:03/01/03 17:48 ID:Dc1RtPk+
 翌朝。港には香港から黒龍会の船が到着していた。香港から改造人間の
素体となる人々を積んだ船は、大胆にも正面切ってこの港に入港した。
この港について言えば税関や入管内部に既にゼティマの息のかかった人間達
がおり、他の犯罪組織よりも安全に仕事を進めることが出来るからだ。

 『さぁ、お前達、ここが新天地日本だぞ。陸で組織の人間が待ってる。早く
降りろ』

 黒龍会の人間に促され次々と船を下りていく密入国者達。しかし、前述の
通り港はいわば「ザル」であり、こうなると「密入国」でも何でもない。
黒龍会の男達は全く悪びれる風もなく淡々と仕事をこなしていく。

 『おーい、こいつら死んでるけどどうする?』

 船の上から声がする。仲間の一人が、コンテナ内で死んでいる者を発見した
のだ。港はともかく、第三国などに洋上で拿捕されるようなことがあっては
ならないので、一応用心のために密入国者はコンテナに入れて送られる。中は
温度調節など出来ようはずもなく、用すら中ですまさなければならない。その
ような劣悪な環境の中で命を落としていく密入国者は少なくない。

 『そんなモン、帰りに公海上でコンテナごと捨てちまえ!潮の流れ次第じゃ
台湾あたりに流れ着くだろうさ』

 そう言って笑い飛ばす男達。彼らには、密入国者たちが人間であるという
意識は欠片もない。密入国者の命も黒龍会にとっては「商品」でしかないのだ。
と、その時である。
258ナナシマン:03/01/03 17:49 ID:Dc1RtPk+
 「黒龍会!お前達の悪行、この眼ではっきり見せて貰ったよ」

 『誰だ!出てこい!!』

 どこからもなく聞こえてきた謎の声に、周囲を見回す黒龍会の男達。すぐさま
拳銃や青龍刀など物騒な武器を携えた拳法着の男達が、続々と船の中から現れた。

 『隠れてないで出てこい!怖じ気づいたか!!』

 数の上なら明らかにこちらが有利とばかりに勢いづく黒龍会の男達。だが、
肝心の声の主は何処にも見あたらない。すると、男達の一人が物陰に人の気配を
感じて叫ぶ。男の視線の先にあるのは、積み上げられたコンテナだった。

 『そこか!』

 果たして声の主はそこにいた。コンテナの影から姿を現した声の主は、黒い
レザージャケットを羽織り、テンガロンハットを被っていた。一見すると少年
のようにも見えなくはなかったが、その声は少女のそれである。

 「拳銃に青龍刀・・・小娘一人に随分な歓迎じゃない?」

 20人はゆうに居ろうかという黒龍会一派を目の前にして、臆面もなく
少女〜市井紗耶香は姿を現すと、ギター片手に余裕の投げキッスだ。
259ナナシマン:03/01/03 17:50 ID:Dc1RtPk+
 『ナメやがって!構うこたぁねぇ、殺せ!』

 リーダーらしき男の号令が下ると、一斉に黒龍会の男達は紗耶香に襲いかかる。
しかし、紗耶香は巧みに敵の攻撃をかいくぐると、絶妙のカウンターで次々と
拳一つで敵を叩きのめす。ある者は海へ投げ出され、そしてある者は急所に一撃を
食らって悶絶する。ゼティマ拳法を修めた猛者達ですら見事に手玉に取られ、
気がつけば徒手空拳で挑みかかった者達は全て冬の港にはいつくばる有様だ。

 「こんなモン?次は?」

 不敵に笑い、人差し指で手招きして挑発する紗耶香。素手でかなわないと
見た黒龍会、続いては青龍刀軍団の登場となったが、これもまた敵では
なかった。紗耶香は五人の男達が次々と繰り出す白刃をすんでの所でかわすと、
そのうちの一人の腕を逆手にとって捻りあげ、青龍刀を奪い取ると柄で顔面に
一撃を食らわした。
 それから怯む男達を一瞥すると、反撃の隙も与えず次々と男達の身体に
青龍刀をたたき込む。その様は中国武術と言うよりは剣道のそれに近かったが、
ともあれ青龍刀の男達も瞬く間に一網打尽にされてしまった。

 「安心しなよ、峰打ちだから」

 果たして青龍刀に峰があるかどうかは定かではないが、致命傷を与える
ことなく敵を圧倒したその腕っ節はさすがとしか言いようがない。しかし、
残る敵はやっかいだ。
260ナナシマソ:03/01/03 17:50 ID:Dc1RtPk+
 『刀を捨てろ、動くな!』

 一斉に手にした拳銃を紗耶香に向ける男達。目の前で仲間を倒された
以上、脅しではなく本気で撃つつもりなのは明らかだ。ひとまず青龍刀を
足下に置くと、ゆっくりと手を挙げる。

 『聞き分けの良いヤツだ。苦しまぬよう一瞬で殺してやる』

 男達の指が引き金にかかろうとした、その時だ。紗耶香は一瞬のうちに
横っ飛びになって身をかわすと、懐から拳銃を取り出し男達に向かって
ぶっ放した。その華麗なガンプレイに一瞬魅了されたのか、男達は銃を
撃てずにいた。弾丸は正確に男達の銃や手に命中し、先ほどまで銃を構えて
いた男達は一様に皆手元から銃を落とし、苦痛に顔をゆがめながら蹲る。
そして紗耶香は男達の元へ歩み寄ると、先ほどのリーダーらしきの男の
胸ぐらを掴み、こう問いただした。

 『明日香ってコ・・・知ってる?』

 『・・・何のことだ?』

 しらばっくれているのか、それとも本当に知らないのか。紗耶香は更に
語気を強めて問いつめる。

 『4月18日・・・お前たちは何処で何をしていた?!』

首も折れよとばかりに胸ぐらを掴む手に力が入る。息も絶え絶えになり
ながら、男は必死に応えた。

 『その日はウチの若い者の結婚式で・・・上海で上海蟹を食ってた!
本当だ、信じてくれ!』
261ナナシマン:03/01/03 17:53 ID:9aCiSP5B
 どうやらこの男も福田明日香の事は知らないらしい。紗耶香は男の
顔面に一発パンチをたたき込むと、男は大の字になって延びてしまった。

 「ズバットスーツ、着るまでもなかったな・・・自称何とか日本一も
いなかったし、ちょっと物足りないな」

そう言って紗耶香は懐から一枚のカードを取り出す。

 「一応決まり事だからね」

 おもむろに手に取り、投げつけたそのカードにはこう書かれていた。
『この者、密入国現行犯!』と。
262ナナシマン:03/01/03 17:55 ID:9aCiSP5B
 今日の分は以上です。明日一日私用でお休みをいただくことになりました。
予定より少し終了が遅くなりそうです。申し訳ありません。
263名無し天狗:03/01/03 19:00 ID:/F5PBqaT
>ナナシマンさん
ズバッ!と参上!!・・・って、紗耶香って中国語話せたんだ(明日香の件を訊くくだり)・・・。
彼女って、何ヶ国語を話せるんですか?
264ナナシマン:03/01/03 20:07 ID:hN8DiLgt
 ホントは「日本一対決」とかさせたかったんですが、それはまた
別の機会に。いずれズバットのストーリーをやらせて頂ける機会が
あれば、と思ってます。

>>名無しんじーさん
 「全怪獣怪人大百科」昔は僕も持ってました。アレって昔は確か
アニメも収録してましたよね。そのころはマジンガーZとかも収録
してましたっけ。剄文社(当時はケイブンシャ)って、今はもう
無くなってしまったんですよね。無くなる前に出た上下巻の「全怪獣
怪人」、買っとけばよかったな、と思ってます。


>>名無し天狗さん
 怪人軍団はシリーズのお約束ですよね。(w
あんまり強くなくて、戦闘員に毛の生えた程度の扱いでしかない
んですけど、何故か「再生怪人軍団」というフレーズだけで熱く
なれてしまいます。劇場版としては最新作の「龍騎エピソード
ファイナル」のシアゴーストや、「アギトプロジェクトG4」の
アントロードなどもこの伝統に則ったキャラクタではないでしょうか?
 子供の頃は、敵怪人や怪獣が大挙して登場すると言うだけで盆と正月
がいっぺんに来たような気分になれるタイプでしたから、怪人軍団との
戦いは力のはいるところです。
 市井の中国語・・・出来ないことは無いんです、多分。(w
265名無しんじー:03/01/03 21:44 ID:re379gMN
ナナシマン様
剄文社って今無いんですか。確かに上巻は10年以上前に買いましたが
下巻は半年前に購入しました。って良く見りゃ平成4年発行の第2版だ。
たまたま立ち寄った本屋で発見して購入しましたが、まさかその本屋には
10年在庫としてあったのか!
あと火の車が載っている本は私が持っている限りでは竹書房の仮面ライダー画報
○○画報シリーズで色々出てますがその内の一つです。
ただし、コマが小さいので解り難い。
こちらは、さすがにどこの本屋さんでも見かけるので見つけられると思いますが
もうお持ちですか?
266保全:03/01/03 23:12 ID:5Oj8KfPs
ヒトよ 見えているか ヒトよ 聞こえているか
神は嘆き悲しんでいる 愛さなければよかったとな
そうして流した 黒い涙の中から 俺たちは来た
俺たちは「ゼティマ」神に愛されし者
ヒトよ スデに手遅れだ キサマらに未来はない
267名無し天狗:03/01/04 12:51 ID:JWYV43UZ
>作家ご一同様
ゼティマの戦闘員に女性はいるんでしょうか?
(番外編以外で。くだらないこと聞くようで申し訳ありませんが、
 アマゾン初登場の回の戦闘員が何者か知りたくて・・・)
268ナナシマン:03/01/05 14:23 ID:wrqK29R8
 舞台は変わって秩父地獄谷。
 人跡も絶えたかに見えたこの地に数名の供の者達を引き連れた、謎の
老人の姿があった。青白い死霊のような顔に白いひげが覆い、片方の眼には
機械の眼が埋め込まれている。老人が歩を進めるたびに、谷を渡る寒風に
黒いローブが怪しくはためく。ゼティマ拳法の開祖テラー・マクロがついに
日本に到着したのだ。

 すぐさまテラー・マクロは出迎えたドラゴンキングと共に道場へと
入っていく。その道すがら、テラー・マクロはドラゴンキングに言った。

 「黄金の鍵、奪われたそうだな?あれがなければ、この地に眠る火の車
を動かすことは出来ぬ」

 師の言葉に一気に顔色をなくすドラゴンキング。遠く離れた地で、既に
師は全てを知っていたのだ。事を取り繕うのをあきらめ、弟子は全てを
打ち明ける。

 「火の車の事、ゼティマに知れたか・・・やむを得ん。まもなく
五人衆が鍵の持ち主を捜し出し、連れて来るであろう。お前は儂と共に
『魔神の血の儀式』を執行せよ。しかる後、汚名を濯ぐ機会をやろう」

 師の言葉に深々と頭を下げるドラゴンキング。かくして彼らは、道場の
奥にある儀式の間へと消えていった。
269ナナシマン:03/01/05 14:24 ID:wrqK29R8
 ちょうどその頃、仮面ライダースーパー1こと飯田圭織は、希美と二人
で大掃除用品の買い出しに商店街に来ていた。

 二人仲良く手をつないで街を歩く。心は姉と妹の気分の二人。しかし
見た目は母と娘、背丈は親子ほどにも違う。希美の事を愛おしそうに
眺めながら、圭織は必要な買い物を確認してみる。

 「ねぇ、のんちゃん。ヨゴレオチール買ったし、新しい雑巾買ったし、
あと掃除機のフィルター買ったら何か買うものあった?」

 「んーと・・・んーっと」

 精一杯思い出そうと努力する希美。しかし、彼女の知る限りではもう
買い物はなかったように思えた。そんな彼女に刹那の閃きが走る。
そして口をついて出た言葉は・・・

 「8段アイス!!」

 「ちょっとのんちゃーん、それは頼まれた買い物じゃないよぉ」

 「アイス!アイス!いいらさん、アイスがいい!」

 そう言って希美はつないだ手を激しく振る。手の痛さとかわいらしさ
両方に根負けした圭織は仕方ない、といった表情で言った。

 「もう・・・わかった、買ってあげるから。帰りにいつものところに
寄ろうね?」
270ナナシマン:03/01/05 14:24 ID:wrqK29R8
 しばらくして、念願の8段アイス片手にご満悦の希美を連れて、圭織
はバイク−Vマシンを止めた駐車場に来ていた。通常はドラッガータイプ
のアメリカンバイクにカムフラージュされているので、それがVマシン
だと暴露されるおそれは少ない。希美がアイスを食べ終わったら、圭織は
二人で家路に着くつもりでいた。

 「のんちゃん、それ食べたらおうちにかえろうね?」

 「へい」

 口の周りにはクリームがべったり。そんな希美の口を、ハンカチで
拭いてやる圭織。何ともほほえましい風景。しかし、そんなひとときを
ぶちこわす、無粋な輩が二人の前に現れた。

 「ゲゲゲ・・・飯田圭織、いや仮面ライダースーパー1。お前達、
こんなところで油を売ってていいのか?」

 そう言って姿を現したのは、ゼティマの怪人ナメクジ男と奇戒人ガンガル
だった。
271ナナシマン:03/01/05 14:25 ID:wrqK29R8
 「黒龍会がお前達を狙っているぞ。早く家に帰った方が良くないか?」

 ナメクジ男の言う「黒龍会」、その言葉に思い当たる節があるか思い返して
いる圭織。そんな彼女の前に身を乗り出したのは奇戒人ガンガルだ。鍵を持って
いるなら寄こせ、そう言わんばかりに不気味に手を伸ばす。

 「おとなしく黄金の鍵を差し出せ。そうすれば連中も手出しはしない」

更に思い返してみるが、どうしても思い出せない。ガンガルは言葉を続ける。

 「さもないと仲間の身の安全は保証しない・・・って、聞いてるか?」

 「えっ?!」

 どうやら、まともに聞いていなかったらしい。呆れて二の句の継げない怪人
二人。気を取り直し、ガンガルとナメクジ男は言った。

 「・・・とにかく鍵のことを知っているなら、おとなしく渡すことだ!」

 「次に会うときまで、お前達の命はしばし預かる!」

そう言うや、怪人達は不思議なほどおとなしく立ち去っていった。

 「いいらさん・・・」

 「うん。ウチに帰ってみよう。何かあってからじゃ遅いから」

 圭織は希美にヘルメットを渡すと、後ろに乗るように促す。そして自らも
ヘルメットを被ると、Vマシンを飛ばして家路を急いだ。
272ナナシマン:03/01/05 14:28 ID:A46Z7wvw
 同じ頃、「ペガサス」。そこに、年末の大掃除に励む瞳とあゆみの姿が
あった。雅恵とめぐみももちろん大掃除に加わっていたのだが、昼食時が
近いと言うこともあり、近くのコンビニまで買い出しに出かけたのだ。
 
 本日は年越し準備のため開店休業状態。しかし、そんなペガサスを訪れた
者がいた。黒いコートを被った、ちょっと怪しげな男の客である。

 「すいません、捜し物があって来たんですが・・・」

 そう言って男は店の中へ入ろうとする。
 
 「ちょっと今店の者は出払っているんですが、ご用件お伺いしましょうか?」

 掃除の手を止め、瞳が言う。すると男はにやりと笑って一言言った。

 「あなた達のお友達が受け取った・・・鍵を捜してるんですがねぇ」

 「はっ?!」

男の言葉に危険を感じ、瞳とあゆみはすぐさま店を飛び出そうとする。だが、
店の入り口近くから現れたゼティマの怪人、蜘蛛男と蝙蝠男に行く手を
阻まれてしまった。そして二人の目の前で男はコートを脱ぎ捨てると、そこに
現れたのは外の連中と同じくゼティマの怪人、シーラカンスキッドだった。

 「もしお前達が持っていなくとも、仲間が持っているのはお見通しだ!
此奴らを地獄谷へ連れて行け!!」
273ナナシマン:03/01/05 14:29 ID:A46Z7wvw
 一方、加護生化学研究所。
 黄金の鍵の正体を突き止めるべく解析を急いでいた亜依とミカだったが、
調べれば調べるほど謎は深まるばかりだった。

 まず鍵の作られた年代を調べてみると、これが中国のものだとすると実に
周の時代にまで遡ることが判った。中国は文明誕生の地の一つであることは
今更言うまでもないが、それにしても当時ここまで見事な装飾技術があった
かどうかは謎である。それは「オーパーツ」と呼ぶに相応しいものだった。
 また、材質は純金と各種貴金属による装飾であることがはっきりした。
歴史的価値だけでなく、美術品・貴金属としても非常に価値があることだけ
は間違いないようだ。

 「価値のある物、ってことは判ったんやけど・・・」

 「何に使うのかが全然判りませんネ」

 頭を抱える二人。と、そんな彼女たちの元に、資料を抱えてあさ美が
やってきた。裕子が家で調べて判らなかった分を、外部資料を収集する
ことで補っていたのだ。

 「二人とも、これ見てくれませんか?」

 そう言って彼女は、プリントアウトした用紙の束を机の上に置く。亜依と
ミカはその一枚一枚に目を通し、驚愕した。

 「これは一体?!」

 「この鍵がゼティマの手に渡ったらえらい事になる」

 そんな二人を前に、手元の資料に視線を落としながらあさ美が言った。
274ナナシマン:03/01/05 14:30 ID:A46Z7wvw
 「これは『空飛ぶ火の車』という古代中国の兵器の動かすためのもの
みたいですね」

 伝説によればこうである。
 遙か昔、後に皇帝となる人物が自らの覇道成就を祈願して、一万人もの
生け贄を天帝に捧げる事を約束した。すると天帝は彼の願いを聞き入れ、
龍神を象った黄金の車を与えたという。それは輪に囲まれた金の龍の姿を
しており八方より火を噴き、回転して空を飛んだと言われている。また、
龍の口からは炎を吐くと言われ、それを駆る者は龍神の使いと恐れられた。
やがてこの「空飛ぶ火の車」を手に入れた彼は軍を率いて各地を転戦し、
敵対する者を次々とこの兵器で葬りつづけて約束の生け贄とし、大陸を平定
することが出来たという。

 「その後、皇帝は家来に命じて空飛ぶ火の車を東の未開の地に隠したと
書いてあります。何日もかけて海を渡り、ある場所に隠したそうです」

 「紺野ちゃん、それって・・・」

 亜依の言葉に静かに頷くと、あさ美は言った。

 「日本のどこかに、この超兵器が隠されていると言うことです。ゼティマ
みたいなヤツらの手に渡ったら、日本は滅びてしまうかも」
275ナナシマン:03/01/05 14:31 ID:A46Z7wvw
 本日はここまでです。最近急に寒くなりましたので、皆さんも
身体には気を付けてくださいね。
276 ┏━━━━━━━━━━━━┓ :03/01/07 17:08 ID:y4iWQ6wa
戦闘員の画像を探索中。
277ナナシマン:03/01/07 21:12 ID:BA58nraB
 本日最終日です。リアル娘。の展開に驚愕しつつも、一気にラスト
まで行きます。
278ナナシマン:03/01/07 21:12 ID:BA58nraB
 かくして3人は調査結果を持って帰途についた。ところが、事態は
思いがけない展開を見せていた。3人が帰り着くなり血相を変えて裕子が
玄関に飛び出してきた。

 「3人とも大変や!斉藤と柴田がゼティマにさらわれてもうた!」

 そこには雅恵とめぐみも姿を見せていた。

 「ウチらがお弁当買って帰ってきたら、こんなものがあったの」

 そう言ってめぐみが地図と共に一枚の紙切れを取り出した。それを
ひったくって読み上げる裕子。そこにはこう書かれていた。
279ナナシマン:03/01/07 21:13 ID:BA58nraB
 「・・・『お前達の仲間は預かった。命が惜しければ、明日の
正午、秩父の地獄谷へ黄金の鍵を持って来い。 ゼティマ』やて!」

 添付されていたのは恐らく地獄谷への道順を示した地図だろう。どんな
罠が待っているか知れない。すると、そこへ圭織と希美も帰ってきた。
圭織はすぐさま昼間の話をしようとする。

 「裕ちゃん大変、ゼティマの怪人が!」

 「ええトコ帰ってきたな、圭織。斉藤と柴田がさらわれてもうた。敵は
黄金の鍵を狙ってる」

 「昨日言ってたヤツでしょ?で、アレってなんだったの?」

 知らせを聞いて部屋の奥から姿を現した真里と梨華も加わり、あさ美の
口から鍵の正体と恐るべき超兵器の真相が語られた。

 「黄金の鍵と黒龍会・・・火の車があるのは地獄谷かも!」

 真里の言葉に、梨華が不安げな表情を浮かべて言う。

 「その鍵を渡さなければ二人の命は・・・でも鍵を渡せば恐ろしい兵器が
甦ってしまうんでしょ?どうすれば・・・」
280ナナシマン:03/01/07 21:14 ID:BA58nraB
 「そんなの簡単じゃない、乗り込むのよ、敵の基地に!」

 そう言って姿を現したのは外出から帰ってきたばかりの圭だった。さらに
別室から姿を見せたなつみと里沙も加わって同調する。

 「二人を助けて、火の車も壊してしまえばいいっしょ!みんなでやれば
きっと出来るべ!」

 「みんなで力を合わせれば、きっと出来るはずです!」

かくして少女達の思いは決まった。目指すは地獄谷、黒龍会道場だ。
281ナナシマン:03/01/07 21:15 ID:BA58nraB
 一方、こちらは黒龍会道場。魔神の血の儀式が遂に始まろうとしていた。
テラー・マクロとドラゴンキング、そして数名の門弟達が儀式の間へと入り、
上座に安置された石像の前に立つ。

 その石像こそ「魔神カイザーグロウの像」と呼ばれるもので、望む者に
不死身の力を与えるという。テラー・マクロは、魔神像を前にして、弟子達に
言った。

 「これより、魔神の血の儀式を執り行う。この儀式の後、儂は不死身の力を
手に入れ、魔神の化身となる」

 その言葉に応じ、ドラゴンキングが師の前に歩み出ると、恭しく一振りの
剣を差し出した。
282ナナシマソ:03/01/07 21:16 ID:BA58nraB
 「儂でなくあやつが儀式を受けておれば・・・」

 死んだ弟子は自らを不滅の魔神「カイザーグロウ」になぞらえ、カラスの
改造人間として出撃することを望んだ。だが、惜しむらくは彼の暗殺拳の技が、
改造手術を受けた肉体によって生かされることが無かったことである。肉体的
資質を無視した手術によって、彼の総身に蓄えられた武術家としての錬磨の
証は失われてしまったのだ。

 「今となっては儂が真のカイザーグロウとして化身し、スーパー1を倒す
ことが何よりの供養であろう」

 そう言って彼は、ドラゴンキングの差し出した剣におもむろに手をかけると、
柄に手をかけ一気に引き抜いた。そして手にした鞘を放り捨て、魔神像の前に
歩み出た。

 「今こそ、魔神の血を受けて力を得ん!」

 そう言うや、テラー・マクロは老体から発したとは思えぬ渾身の力で魔神像
に剣を突き立てた。刀身が石を貫き、火花が飛び散ると剣は相手が石像とは
思えぬほど深々と突き刺さった。するとその直後、像はまるで生身の生き物の
様に真っ赤な血を吹き出したではないか。
283ナナシマン :03/01/07 21:16 ID:BA58nraB
 魔神像に突き立てられた剣の根本から、まさに噴水のように吹き出す真っ赤
な血。それこそが欲する者に力を与えるという「魔神の血」である。滝の如く
降り注ぐその血を、狂気の笑みをたたえながら全身で浴びるテラー・マクロ。
げにおぞましき光景である。

 その時どこからか、一羽のカラスが迷い込んできた。カラスはそのまま
テラー・マクロの肩口に止まると、儀式の間に響き渡る位の声で啼いて見せた。
その様子にドラゴンキングが大笑して言う。

 「ウハハハハハ!師父、ご覧下さい。これは吉兆ですぞ。カラスだ、魔神の
使いだ!!」

 その言葉に邪悪な笑みを浮かべるテラー・マクロ。そして魔神の血はカラス
もろともテラー・マクロの全身を隈無く深紅に染めていく。彼の脳裏によぎる
のは、弟子の仇を討つ機会と力を授かった喜びと、それと同じくして強く
なっていくスーパー1への憎しみの念であった。彼の胸の奥に、どす黒い憎しみ
の炎が燃えさかる。
284ナナシマソ:03/01/07 21:17 ID:BA58nraB
 するとテラー・マクロの憎しみに呼応するかの如く、魔神の血は不気味な
赤黒い光を放ち、まるで意志があるかのように全身にまとわりつく。異変を
察知したカラスは素早くテラー・マクロの身体を離れた。魔神の血は腕に、
脚に、そして彼の身体のほぼすべてを覆い尽くすと、紫色の炎とともに亡霊の
如き老人の身体は黒い翼を持つ巨大なカラス、魔神の化身へと変貌していた。
門弟達のどよめきとともに、カラスの怪人はゆっくり黒い翼を誇示して雄叫び
を挙げた。この瞬間テラー・マクロは彼の言う「真のカイザーグロウ」として
の力を得たのだ。

 「儂はついに力を得たのだ。お前の仲間は此処にいるぞ。追ってこい
スーパー1。儂に殺されるためにな!!」

 そして時を同じくして、帰還した地獄谷五人衆とゼティマ復讐兵団が合流
した。戦いの時は明日、正午。正義と悪の決戦の時はもうすぐだ。
285ナナシマン:03/01/07 21:18 ID:BA58nraB
 その翌日、舞台は秩父山中は地獄谷。
 遂に少女達は、敵の本拠地にたどり着いた。途中敵の攻撃があるかと
思われたが、意外にもすんなりとこの地にやって来ることができた。
しかし、これほど事が上手く運ぶはずはない。少女達は皆そう思っていた。

 「ここまで来て何もないなんておかしいべさ。絶対何かあるって」

 なつみに言われるまでもなく、少女達は決して警戒を怠ってはいない。
辺りを見回せば、大小の岩と立ち枯れた木々がこの世のものとは思えない
荒涼とした風景を作り出し、そして谷間に吹きすさぶ風は砂塵をまく。
そして所々に転々と見える黄色い結晶は恐らく硫黄か何かであろう。まさに
そこは人の通わぬ地獄谷である。

 「もうすぐ12時ですよ。場所は間違ってないんですよね?」

 愛の言葉に頷くひとみと梨華。視線を交わして注意を促しているのは
めぐみと雅恵の二人だ。約束の時間を前に少女達に緊張が走る。とその時、
谷を渡る風がぴたっと止んだ。

 「あ、風が・・・」

 と、里沙が言いかけたその時。
286ナナシマン :03/01/07 21:18 ID:BA58nraB
 「シューッ!!」

 まるで少女達を取り囲むように周囲から白煙が上がる。一度吹き上がった
白煙はやがて谷一帯を覆うように広がっていく。彼女たちの姿は煙に包まれて
しまったが、その中では異変が起きていた。

 「みんな気を付けて!これは毒ガスよ!!」

 梨華の声が谷間に響く。しかし、少女達は煙によって分断され、互いの存在
が全く判らない状態だ。地獄谷に発生する有毒なガスが少女達を襲ったのだ。

 「うっ・・・けほっけほっ!」

 誰のものともつかない咳、苦しげな呼吸音。なおもガスは激しく吹き上がり、
遂に煙の向こうからは声一つしなくなってしまった。
287ナナシマソ:03/01/07 21:19 ID:BA58nraB
 そして数分後。激しく噴出していたガスが止み、再び谷に風が吹く。

 「バカめ・・・引っかかりおったわ!」

 どこからともなくそんな声が聞こえてくると、岩陰に何者かが蠢く。
地獄谷五人衆とドラゴンキングだ。道中に罠を張る必要など、最初から
無かった。彼らはこの有毒ガスが発生するおおよその時間帯を把握した
上で少女達をおびきよせ、抹殺しようと企んだのだ。
 谷間の地形を勘案すれば、一度ガスが発生すると一気に充満する。
その中にあってはたとえ改造人間であろうとただではすまない。それが
地獄谷の地獄たる所以である。

 「さて・・・様子を見てみるとしようか」

 五人衆は岩陰から身を乗り出し、谷の様子を窺う。だが、次の瞬間
彼らが見たのは信じられない光景だった。
288ナナシマン:03/01/07 21:20 ID:BA58nraB
 「ヤツらがいないぞ!どういう事だ!!」

 斜面を駆け下りて辺りを見回すが、少女達の姿が見あたらない。狐に
つままれたとは当にこのこと、ガスが晴れると同時に少女達はかき消えて
しまったと言うのか。と、その時だ。

 「はっはっはっはっは!」

 どこからともなく聞こえる笑い声。それも一人ではない、大人数である。
周囲を見回し、更に上空を見上げたその先、石と土に覆われた斜面に声の
主はいた。

 「黒龍会!お前達の悪巧みはとうにお見通しだ!!」

 仮面ライダーのの、あい、V3、ライダーマン、X、アマゾン、ストロンガー。
スカイライダー、スーパー1、キカイダー、ビジンダー、イナズマン。そして
姉妹拳バイクロッサー。居並ぶ戦士達は眼下の敵を前に一斉に見得を切る如く
身構える。その様は壮観としか言い様のないほどだ。そして斜面をジャンプで
飛び降りると、怪人達と対峙する。
289ナナシマン :03/01/07 21:20 ID:BA58nraB
 「毒ガスのこともちゃーんと知ってたんれすよ!」

 「いかにもお前らの考えそうなことや!」

 五人衆の企みは少女達には既に看破されていたのだ。しかし、敵にはまだ
切り札が残っている。人質となっている瞳とあゆみだ。

 「お前達、おとなしく鍵を渡せ!」

 そう言って二人を連れてきたのは、ゼティマ復讐兵団として甦ったゴキブリ男。
彼以外にも怪人達はこの谷に集結している。

 「復讐の時、来たれり!我らゼティマ復讐兵団!」

 その声に呼応するように、一斉に姿を現すゼティマ復讐兵団の面々。いずれも
かつてライダー達の手によって倒された悪の手先達だ。
290ナナシマン:03/01/07 21:21 ID:BA58nraB
 「人質交換といこうじゃないか。まずお前達の持ってきた鍵をこちらによこせ。
それからあの女共を解放してやる」

 そう言って、五人衆の一人サタンホークが手を突き出す。

 「さぁ、鍵を渡して貰おうか!」

 敵の言葉に顔を見合わせる戦士達。そして、ライダーののが敵の前に歩み出て
鍵を手渡す。ののの小さな手から鍵をひったくると、サタンホークはそれを
ドラゴンキングに手渡し、谷中に響かんばかりの声で言った。

 「確かに鍵はいただいた!ゴキブリ男、その女共を殺してしまえ!!」

なんと敵は卑劣にも約束を破り、瞳とあゆみを殺せと命じたではないか。

 「卑怯れすよ!!」

 「バカめが、約束とは破るためにあるものよ!!」

 悪辣な怪人軍団に対して、怒りにまかせ挑みかかろうとするのの。しかし
それを阻むのは五人衆の弟分達だ。と、その時。
291ナナシマソ:03/01/07 21:22 ID:BA58nraB
 「ダーン!!」

 谷にとどろく銃声。次の瞬間、ゴキブリ男は力無く崩れ落ち斜面を滑り
落ちていく。そして善悪対峙する谷間へと落ちたところで、爆発四散した。

 「誰だ!!」

 どよめきの声を挙げる怪人達。やがて彼らは、砂塵の彼方から現れる
一人の黒い戦士の姿を捉えた。

 「貴様は・・・なぜだ!!」

 全身黒のボディ、四肢に走る黄色い稲妻模様。そして、生みの親の
脳を頭部に頂く反逆の戦士。ハカイダー・マキの姿がそこにあった。

 「お前達のやり方が気にくわない・・・それだけだ」

 そう言ってハカイダーはキカイダー・ひとみの方を見る。

 「お前を倒すことが出来るのは、この私だけだ」

 そう一言だけ言い残すと、再びハカイダーは姿を消した。やがて怪人の
手を逃れた瞳とあゆみが、谷間のライダー達の元へ駆けてくる。

 「大丈夫?怪我はない?」

 そばへと駆け寄り、再会を喜ぶバイクロッサーと二人の少女。もう
敵に切り札はない。鍵は奪われたが、まだ火の車は動いてはいない。
臨戦態勢の戦士達は怪人軍団に対して身構える。
292ナナシマソ:03/01/07 21:22 ID:BA58nraB
 「おのれぇ・・・次から次へと小賢しいやつらよ。構わぬ、かかれ!」

サタンホークの号令の元、一斉にライダーに襲いかかる怪人軍団。砂塵を
巻き上げて斜面を駆け下りていく。遂に怪人達との戦いの火ぶたは切って
落とされた。


 「ライダー!生きて帰れると思うなよ」

 ライダーののとあいの前に立ちはだかったのは、蜘蛛男とナメクジ男、
そして蝙蝠男だ。

 「ゲゲゲ・・・恨み晴らさでおくべきか・・・」

にじり寄る怪人に対し、身構えるダブルライダー。

 「お前らもういっぺん地獄に送り返したるからな!」

 ライダーあいが勢いよく二人の怪人相手に飛び込んでキックを放つ。
右に左に綺麗に相手の顔を捉えると、蜘蛛男とナメクジ男はもんどり打って
倒れ込んでしまった。
 
293ナナシマン:03/01/07 21:23 ID:BA58nraB
 一方ライダーののは一瞬怯んだ蝙蝠男と腕四つに組み合うと、空中
高く大ジャンプで飛び上がる。そのまま怪人を頭から真っ逆さまにたたき
落とせば必殺の「きりもみシュート」だ。

 「ライダーきりもみシュート!!」

 回転したまま落下するののと蝙蝠男。そしてののが空中に華麗に身を翻す
のとは反対に、地面に叩き付けられた蝙蝠男は爆風と共に消えた。

 そしてダブルライダーは残る蜘蛛男とナメクジ男を互いに鉢合わせに
すると、ジャンプ一番飛び上がり、空中から必殺の一撃を見舞う。

 「ライダーダブルチョーップ!!」

 ジャンプによって勢いを増した必殺のチョップが怪人を捉えると、蜘蛛男と
ナメクジ男もまた爆発四散した。
294ナナシマソ:03/01/07 21:25 ID:BA58nraB
 一方V3とライダーマン、Xライダーとにらみ合うのはハサミジャガー
とシーラカンスキッド、オニヒトデ、ネプチューンの4怪人だ。怪人達は
ライダーを取り囲むと、その包囲網を狭めて襲ってくる。

 「この間は不覚をとったが、今度はそうはいかんぞ!」

 「何度やっても同じだよ!おいらに勝てると思うな!」

自慢のハサミで斬りつけてくるハサミジャガーの攻撃を素早くかわすと、
V3は怪人の腹にパンチを食らわして敵を悶絶させる。そこへ仲間の
危機を救わんとネプチューンが溶解泡を吐きかけるが、その動きを察知
したV3はすんでの所で身をかわし、泡はハサミジャガーと、さらに
ライダーマンのパンチでよろめいたオニヒトデにかかってしまった。
 
 「しまった!!」

慌てふためくネプチューン。しかし、時既に遅し。

 「うっ・・・うわぁぁぁぁ!!」

 みるみるうちにドロドロと溶けていくハサミジャガーとオニヒトデ。
労せずして敵を葬った3人ライダーに、怒り心頭の2大怪人が襲う。
295ナナシマン:03/01/07 21:25 ID:BA58nraB
 「許さんぞ、ライダー!」

 矛を構えて襲いかかるネプチューン。それをライドルスティックで
受け止めるXライダー。互いに切り結ぶ両者互角の戦いに、横合いから
不意の一撃が襲う。シーラカンスキッドだ。

 「うわっ!!」

 「バカめが、油断したな!」

 側頭部に一撃を受け、横っ飛びに吹っ飛ぶXライダー。追い打ちを
かけようとシーラカンスキッドは素早く駆け寄るが、そこへV3が
駆けつけて素早く背後を取ると、無理矢理自分の方を向かせてパンチの
連打。しかし、シーラカンスキッドも負けてはいない。大きな手を
生かしたパンチを繰り出していく。しかし、数発それを受けたところで
V3はその攻撃をかいくぐって空中高くジャンプした。

 「V3ッ!ビッグスカイパーンチ!!」

 「何ぃっ!!」

 高空から襲いかかるV3の鉄拳パンチが怪人の頭を叩き潰す。そして
そのままばったりと倒れ込むと、怪人は大爆発して消滅した。
296ナナシマン :03/01/07 21:26 ID:BA58nraB
 一方ネプチューンも、ライダーマンとXライダーに追いつめられていた。

 「ロープアーム!!」

 右腕から放たれた鋼鉄製のロープががっちりと怪人の身体を捉え、自由を
奪う。そこに放たれるXライダー必殺の一撃。空中高くジャンプし、ライドル
を脳天めがけて振り下ろす。
 
 「ライドル!脳天割り!!」

 ライドルスティックがネプチューンの頭部をまるでスイカのように真っ二つ
にすると、怪人はそのまま崩れ落ちて大爆発した。
297ナナシマン:03/01/07 21:27 ID:BA58nraB
 ストロンガーとスーパー1に襲いかかるのはガンガルとカメバズーカ。両者
一進一退の攻防の途中に、切り込んできたのは地獄谷五人衆の一人ゾゾンガー
だった。そして怪人達を追ってイナズマンが駆けつけ、3対3の戦いとなった。

 「もぉっ!!何でこう次から次へと来るかなぁ〜」

 悪態をつくストロンガー。しかし、怪人達は待ってはくれない。数の上では
互角となった怪人軍団。ゾゾンガーが戦闘を切って戦いを挑む。そこへ受けて
立つのはスーパー1。

 「俺の象拳、とくと味わうが良い!」

 ゾゾンガーの拳がまるで象の鼻のように振り下ろされる。象拳とは象の動き
を模した形意拳の一つなのだ。重量級の一撃はまともに食らえば無事では
すまない。スーパー1は怪人の攻撃を素早くかわして凌いでいたが、肩口を
捉えた一撃に思わず膝をつく。

 「うっ!」

 「圭織っ!」

 肩を押さえるスーパー1。そこへストロンガーが割って入り、ゾゾンガーに
激しいパンチを見舞う。そして怪人の隙をついて担ぎ上げると、そのまま
飛行機投げで投げ飛ばした。
298ナナシマソ:03/01/07 21:28 ID:BA58nraB
 投げ飛ばされたゾゾンガーはバズーカ砲を取り出すと、間合いを取ってから
3人に対して構えた。そしてガンガルもまた腹に仕込んだ大砲を向ける。
遠巻きに戦いの様子を窺っていたカメバズーカも、自慢のバズーカ砲を向けて
砲撃体勢にはいる。

 「これでも食らえ!」

 三大怪人のバズーカ砲撃。直撃すればさしものライダーも命はない。と、
その時二人のライダーをかばうようにしてイナズマンが立ちはだかり、
ゼーバーを空に掲げて叫ぶ。

 「ゼーバー!逆転チェェェースト!!」

 するとどうだろう。3人の方へと向かっていたバズーカ砲弾が、まるで
フィルムを巻き戻すかのようにそのまま砲撃したゾゾンガーとガンガル、
カメバズーカの方へと戻っていくではないか。

 「なっ・・・バカな!!」

 「まっ、待て!ウワァァッ!!」

逃げまどう怪人たち。そしてその直後、怪人達は炎に包まれて大爆発した。
299ナナシマン:03/01/07 21:28 ID:BA58nraB
 「圭織は道場に行くよ。火の車を止めなきゃ」

 そう言ってスーパー1は一人黒龍会道場へと駆けて行く。その姿を見つけた
ライダーあい、V3、そしてビジンダーが後を追う。そんなライダー達の
行く手を阻むべく、地獄谷五人衆ヘビンダーが怪人達を引き連れ現れた。

 「圭織、ここはおいら達が食い止めるから、早く!」

 ヘビンダーの蛇拳を捌き、V3はカウンター気味のキックをたたき込んで
スーパー1に叫ぶ。キックをくらってよろめいた怪人に、今度はビジンダー
のビジンダーアローが突き刺さると、腕をやられたヘビンダーは自慢の拳を
封じられてしまった。

 「後で私たちも行きますから、早く!!」

 本来戦闘は不得手だが、ビジンダーも果敢に奮闘している。直接対決こそ
ないが、仲間達をうまくサポートする。2発、3発と打ち込まれる矢を食らい
クモ獣人とワニ獣人はすっかり戦闘不能状態に陥った。その姿を見届けると
ビジンダーとライダーあい、V3はスーパー1を追って道場の山門をくぐる。
300ナナシマソ:03/01/07 21:29 ID:BA58nraB
 「こいつらはまとめて面倒みるっしょ!」

 そこへストロンガーも駆けつけ、パンチとキックで怪人達を蹴散らすと
ビジンダーアローでグロッキー気味のクモ獣人を抱えて空中高くジャンプ、
そのまま怪人をクルッとひっくり返す。

 「反転ブリーカー!」

 そのまま地上に叩き付けられたクモ獣人は大爆発して消滅した。しかし、
敵を葬ったストロンガーに、ようやく正気づいたワニ獣人が襲いかかる。
敵の姿を目指してドタドタと走ってくる獣人と、ストロンガーの間にはまだ
距離がある。そこでストロンガーは跪くと、地面に向けて拳を叩き付ける。

 「エレクトロファイヤー!!」

 ほとばしる電気エネルギーが炎に変わり、一直線に怪人めがけて
襲いかかる。真っ赤な炎の轍が獣人に達した瞬間、ワニ獣人はなすすべ
無く大爆発した。
301ナナシマン:03/01/07 21:31 ID:BA58nraB
 「ストロンガー!まだ俺が残っているぞ!!」

 蛇拳を封じられたとはいえ、まだヘビンダーは倒れたわけではない。
ゆっくりと互いに円を描くように、間合いを計りつつにらみ合う両者。

 「シャーっ!」

 残る腕で抜き手を繰り出すヘビンダー。間一髪でかわしたストロンガー
だったが、かすめた肩に痛みが走る。

 「うっ・・・ちょっとかすっただけなのに?」
 「フハハハハ・・・これがゼティマ拳法の神髄『毒手』よ。今度は
外さぬ!」

 有毒生物の毒やすりつぶした有毒生物をまぶした砂に己の拳を打ち込む
過酷な修練の果てに会得する中国拳法の禁技「毒手」。まさにゼティマ拳法
の真骨頂とも言うべき攻撃である。続けざまに毒手を繰り出すヘビンダー
だったが、不意に後方から聞こえてくるバイクの音に振り向く。

 「誰だっ」
 「こっちも忘れて貰っちゃ困るって!」

 爆音を響かせて走ってくるのは、マサエのマサエクロン。目標を確認
するとアクセル全開、そのまままっすぐ怪人めがけてつっこんでいく。
身をかわそうにも、既に手遅れだった。

 「グッ、ウワァァァ!!」

 断末魔の叫びを残し、ヘビンダーはマサエクロンにはねられて爆死。
自らの窮地を救ったマサエと、がっちり握手するストロンガー。
302ナナシマン:03/01/07 21:32 ID:BA58nraB
 一方、復讐兵団最後の怪人カナリコブラと、残る五人衆サタンホーク、
クレイジータイガー、ストロングベアと戦うのはアマゾン、スカイライダー、
キカイダー、そしてライダーのの。特に地獄谷五人衆は難敵だ。怪人と
ライダー、両者拮抗のまま山門をくぐり中庭へと戦いの舞台を移す。

 「グワァァォウ!」

 雄叫びを挙げてクレイジータイガーの虎拳がうなる。虎の顎を模したように
両腕を突き出すと、ライダーののの頭部をかみ砕かんばかりの一撃が襲う。
すんでの所でこの一撃をかわしたが、その場にあった石灯籠は木っ端微塵だ。

 「ちょこまかと・・・今度は逃がさんぞ」

 今度は虎の爪を模した強力な拳打が繰り出される。ライダーののはこの攻撃
をどうにかしのぐと、クレイジータイガーの腕を取って投げ飛ばす。怪人の
身体は石灯籠にぶつかり、またも石灯籠はガラガラと音を立てて崩れる。

 「ゼティマの怪人、観念しろ!」

 身構えるライダーののに対して、クレイジータイガーは奥の手を出した。
ゆっくりと立ち上がると、隠し持っていた手槍を構えて襲いかかる。右に左に
繰り出される手槍をかわすと、ライダーののは裏拳一撃、怪人を怯ませる。
やがて体勢を立て直したクレイジータイガー、再び手槍を構えるとライダーのの
めがけて投げつけた。
303ナナシマン:03/01/07 21:33 ID:BA58nraB
 「とうっ!!」

 かけ声と共に手槍をキャッチしたライダーのの、すかさずこれを投げ返すと、
手槍はクレイジータイガーののど元に深々と突き刺さった。

 「弟よ!!」

 この光景を見たサタンホークが悲痛な叫び声を挙げる。だが、ライダー
ののはお構いなしに必殺の一撃を放つ。空中高くジャンプすると、地上の
敵にとどめの一撃だ。

 「ライダーッキーック!」

 ライダーキックが怪人に刺さった槍を押し込むように炸裂すると、
地獄谷五人衆クレイジータイガーも爆風と共に消えた。
304ナナシマン:03/01/07 21:33 ID:BA58nraB
 残る五人衆はサタンホークとストロングベアだけとなった。サタンホーク
と死闘を演じていたのはアマゾンライダーだ。

 「おのれぇ・・・弟たちをよくも!」

 叫びと共に空中高くジャンプするサタンホーク。そのまま宙を飛び、空中
からアマゾンに襲いかかる。

 「キエェェェェイ!」

 鷹の爪の如き拳打が地上のアマゾンに繰り出される。空中からの攻撃に
翻弄され、反撃できずにいるアマゾン。
 
 「空中からの攻撃とは・・・卑怯な!」

 しかし、アマゾンもただやられていたわけではない。再び空中から襲って
くる瞬間を狙って、体勢を整える。そして、怪人が攻撃を加えようと降下して
襲ってきた、その時だ。
305ナナシマン:03/01/07 21:34 ID:BA58nraB
 「ケェェェェーッ!!」

 チャンス到来。アマゾンのひれが蠢く。そのまま空中の敵にタイミングを
合わせてジャンプすると、必殺の大切断をお見舞いした。

 「ギャアアアアア!!」

 片翼を切り落とされ、失速するサタンホーク。噴出した血がまるで飛行機雲
のように直線を描く。

 「今よ、紺野っ!!」

 「はいっ!」

 墜落していく怪人にとどめの一撃を刺すべく、スカイライダーが走る。
そして、十分な助走をつけたところでジャンプすると、空中で身を翻し
必殺のキックを放つ。

 「大反転スカイキィーック!!」

もはや反撃の力も残っていないサタンホークはそのまま秩父の谷底へと墜落、
爆発炎上した。
 そしてその傍らでは、キカイダーの必殺技、電磁エンドがストロングベアに
炸裂していた。この大技をまともに食らった怪人は、身を翻すやばったりと
倒れて大爆発。この爆発に残るカナリコブラも巻き込まれて消滅し、ついに
戦士達はゼティマの軍団に勝利したのだ。
306ナナシマン:03/01/07 21:35 ID:BA58nraB
 一方、道場内に侵入した4人は、襲い来る黒龍会の門弟達を叩きのめし
ながら、道場の最深部へとたどり着いた。そこは地下の洞窟だった。ふと
見上げると、天井は意外と高い。逆に言えばそれだけこの洞窟が深い
ところにあると言うことかも知れない。4人は周囲を警戒しながら更に
進むと、突然何者かの声がした。

 「龍神洞にようこそ、仮面ライダー。目指す火の車はこの先にある」

 そう言うや、目の前から黒衣の老人が姿を現した。テラー・マクロだ。
復讐に燃えるその目は一人のライダーに向けられていた。

 「仮面ライダースーパー1・・・待っていたぞ」

 その言葉に手刀を切って身構えるスーパー1。両者相対してにらみ合う。
最初に仕掛けるのは、どちらか。

 「スーパー1、儂はこの時を待っていた。我が弟子の仇、取らせて貰う」

 「弟子の仇・・・何のことだか判らないんだけど?!」

 するとテラー・マクロは右に左に手刀を切り、まるで拳法の演舞のような
動きを見せると、広げた手のひらを上下にあわせ、呼吸と共に突き出す。

 「この姿に、見覚えがないとは言わせぬぞ」

 みるみるうちにテラー・マクロの全身は赤黒い光に覆われ、その姿は魔神
の化身、カイザーグロウに変化した。
307ナナシマソ:03/01/07 21:35 ID:BA58nraB
 「お前は!!」

 漆黒の翼を広げたカラスの怪人。それはかつて倒したはずの怨敵の姿。
親友を殺した憎き仇の姿だ。

 「ようやく思い出したか。お前はこの姿を見知っておるはずだ。お前が
倒した者こそが、儂の弟子よ!」

 「アイツはりんねをっ・・・圭織の友達を殺したんだもん!」

 「知らぬわ!いかなる理由があろうとも、儂はお前を許しはせん!!」

 全身に怨念をみなぎらせ、魔神の化身はスーパー1に向かって一直線に
駆け出す。スーパー1もまた、忌まわしい敵との決着のために駆けだした。
308ナナシマン:03/01/07 21:36 ID:BA58nraB
 一方、龍神洞の奥。ドラゴンキングは空飛ぶ火の車を目の前にしていた。
金色に輝く龍神、伝説の通りの偉容をたたえてそれは鎮座していた。

 「素晴らしい・・・これさえ動き出せば、ライダーなど恐れるに足らぬ」

 すかさず彼は操縦席に乗り込むと、手にした鍵を差し込んだ。その瞬間、
火の車に不思議な生気が宿り、金色の光を放ち始めた。

 「いいぞ・・・この火の車の力があれば、ゼティマにとって変わること
だってできる」

 興奮を抑えきれないドラゴンキング。そして彼は始動のレバーを引く。
すると激しい地鳴りと共に、少しずつ火の車は浮上し始めた。
309ナナシマン:03/01/07 21:37 ID:BA58nraB
 そしてその地鳴りは壮絶な戦いを繰り広げているスーパー1とカイザーグロウ
の戦いの舞台にも伝わってきた。

 「うわっ!!」

 天井からぱらぱらと小石や砂が降ってくる。地面は激しく揺れ、立っている
のが困難な状態だ。戦いを見守るライダーあい、V3、ビジンダーはたまらず
物陰に隠れるが、怨念の戦いを繰り広げている両者はそれどころではない。


 「チェンジ!パワーハンド!!」

 銀色のグローブが、赤いメカニカルな腕に変わる。ファイブハンドの一つ、
パワーハンドだ。スーパー1はこの腕にチェンジすることで、通常よりも
さらに強力な怪力を得ることが出来、打撃による攻撃力も増すのだ。その状態
で、渾身の一撃を放つスーパー1。しかし、その突きを食らってもなお、怪人
は平然としている。さらに続けざまに連打を放つが、全く効いている様子は
ない。

 「どうした?もう終わりか。ならば、こちらから行くぞ!」
310ナナシマン:03/01/07 21:38 ID:BA58nraB
 「ふんっ!はぁっ!!」

 カイザーグロウの連続突きがスーパー1の胸元を捉える。激しい攻撃に
体勢を崩し、よろめくスーパー1。そこに怪人の強烈な回し蹴りが炸裂する。

 「圭織っ!!」

 くるくると駒のように回転しながら、洞窟の壁に叩き付けられるスーパー1。
V3の叫びもむなしく、ぐったりとなったまま立ち上がることが出来ない。

 「飯田さん!!」

 「立つんや!」

ビジンダー、そしてライダーあいの言葉にも応えることはない。万事休すか。

「フハハハハハ!無駄だ、立ち上がることなど適うものか!!」

カイザーグロウは立ち上がれないスーパー1の元へ歩み寄ると、とどめの一撃
を繰り出そうとしていた。
311ナナシマン:03/01/07 21:38 ID:BA58nraB
 その時圭織は暗闇の中に佇んでいた。辺りを見渡しても、何処までも続く闇。
何処が上で何処が下なのか、そんな感覚をも失わせるほどの暗黒の中、彼女
はたった一人でそこにいた。

 しばらく歩くと、向こうの方に光が差すのが見えた。光の差す方が出口に
違いない、圭織はそう考えて光の方へと歩き出す。とその時、不意に誰かの
声がする。

 「圭織、そっちじゃないよ」

 自分のことを知っている者の声なのか。圭織は再び耳を澄ませてみた。

 「そっちはあなたの行くべき道じゃないよ。まだあなたはこっちに来ちゃ
いけない人」

 懐かしいその声に、思わず圭織の瞳が潤む。

 「嘘・・・りんねなの・・・」

 今は無き友の名を呼ぶ圭織。と次の瞬間、漆黒の闇に小さく黄色い光が
ともる。そしてその光は更にその数を増し、瞬く間に彼女を包む無数の輝き
となって目の前に広がった。
312ナナシマン:03/01/07 21:39 ID:BA58nraB
 「その光があなたを導いてくれるよ。苦しいかも知れないけど、希望は
捨てちゃダメだよ」

 無数の光の中に佇む圭織の目の前に、懐かしい友の姿が浮かぶ。そして
彼女は圭織を導くかのように闇の奥へと消えていく。そして無数の光も
また、まるでその道行きを照らすように闇の奥へと続いていく。

 「判った・・・圭織負けない。絶対に負けないんだから!」

 圭織は走った。光の導くままに。黄色い小さな灯火は、まるで彼女の
行く先を照らし、後をついて来るようにいつまでも輝き続けている。
そして、彼女は戻ってきた。
313ナナシマン:03/01/07 21:39 ID:BA58nraB
 「ええーいっ!!」

 意識を取り戻したスーパー1は、素早く跳ね起きると怪人に起きあがり
ざまにキックを繰り出す。その一撃がカイザーグロウを捉えたとき、敵の
身体に異変が起きた。

 「ぐおおおっ!!」

 肩口に放った一撃に苦しみもだえるカイザーグロウ。そこは先刻の魔神
の血の儀式において、カラスがとまったあの肩口であった。不死身の力を
与える魔神の血だったが、カラスのとまった部分だけが血に染まって
いなかったのだ。この瞬間、4人は反撃の糸口を掴んだ。


 「梨華ちゃん!ビジンダーアローや!!」

 「OK!」
 
 あいの言葉に素早く応え、ビジンダーアローを放つ。それは怪人の肩口に
見事に命中した。

 「ぐぅっ!!」

 肩を押さえて苦痛に顔を歪ませるカイザーグロウ。不死身の力は一体どこ
へ消え失せたのか、と言うほどの激痛が走る。

 「バカな・・・儂は不死身・・・魔神の化身のはずだ!!」
314ナナシマン:03/01/07 21:40 ID:BA58nraB
 「もうこれ以上、誰の血も涙も流させない!それが、ウチらの誓いや!!」

 ライダーあいが叫んだその瞬間、洞窟の中が不意に明るくなった。それは圭織を
導いたあの光。無数の黄色い灯火が、洞窟中に広がっていく。その光の中を華麗
にジャンプすると、電光石火の稲妻キックを放つ。

 「ライダー、稲妻キィーック!」

 「ぬおっ!!」

 さすがに不滅の魔神を名乗るだけはある。この一撃を受けてもなお、耐えて
立っているではないか。だが、反撃する隙は与えない。

 「不滅の悪なんていないんだよ!悪は滅びる、おいら達の力でね!!」

 そう叫ぶと、大きくジャンプするV3。光の中で力の限り全身を回転させて
キックを放つ。

 「V3!フル回転、キィィィック!」

 その一撃はカイザーグロウの肩口に炸裂し、怪人は大きくよろめく。だが
まだ敵を倒すには至らない。
315ナナシマン:03/01/07 21:41 ID:BA58nraB
 「りんねと、そしてみんなのために・・・これで決めるっ!」

 友への思いと友情を乗せて、漂う灯火を纏うように空中を舞うスーパー1。
月面宙返りの後、鋭いキックが怪人に突き刺さる。

 「スーパーライダーっ!月面キーック!!」

 怪人の肩口を吹き飛ばすほどの強力な一撃に、遂に魔神の化身が倒れた。
肩口から噴水のように吹き出すどす黒い血。やがてのたうち回る怪人の姿は、
元の亡霊のような老人の姿に戻っていく。

 「儂が・・・儂が死んでも火の車がある。何人たりともあれを止めることは
適わぬ。黒龍会に・・・ゼティマに栄えあれ!!」

 断末魔の叫びと共に、テラー・マクロの身体は紫色の炎に包まれて消えた。
そして、戦いの終わりを見届けたかのように、黄色い灯火は一つ、また一つと
消えていく。
316ナナシマン:03/01/07 21:42 ID:BA58nraB
 その灯火の消えゆく様を惜しむように眺める4人。すると、そのうちの一つ
がすうっ、とスーパー1の手の中に舞い降りてきた。

 「ありがとう。また助けられたね・・・」

 一人つぶやくスーパー1〜圭織。その声に灯火は一瞬強く輝くと、再び
舞い上がり、洞窟の闇の奥へと吸い込まれていった。


 しかし、いつまでも4人に感傷に浸ることを許すほど事態は甘くはない。
先ほどの地鳴りの原因が火の車であると直感した4人は、急いで洞窟の外へと
駆けていく。
317ナナシマン:03/01/07 21:43 ID:BA58nraB
 道場の外に出た4人を待っていたのは、上空から激しく炎を吹き付ける
黄金の龍だった。これこそ、古代中国の超兵器「空飛ぶ火の車」だ。

 「たとえ我が師が敗れ去ろうとも!この空飛ぶ火の車さえあれば黒龍会
は不滅よ!!」

 ドラゴンキングの叫びが谷間に響く。黄金の龍を囲む輪の周囲は激しく
火を噴き、その力で火の車は回転飛行する。黄金の龍の口からは灼熱の炎が
吐き出され、地上の戦士達はこれをよけるので精一杯だ。

 「くっ・・・空中からなんて卑怯れすよ!!」

 「何とでも言うが良い!どうせお前達には、焼け死ぬ以外に道はないん
だからな!!」

 怪人ドラゴンキングは、火の車の舵を取りつつ喜色をたたえて言い放つ。
上空からの一方的すぎる攻撃に、戦士達になすすべはないかと思われた
その時。
318ナナシマン:03/01/07 21:43 ID:BA58nraB
 「アイツは私たちに任せて!!」

 「あんまり活躍できなかったんだから、最後のおいしいところは
持ってくからね!!」

 振り返ったその先には、マサエとメグミ、バイクロッサーの姿があった。
マサエクロンでスピンターンを決めると、マサエはスピードを上げて
ジャンプし宙に舞う。

 一方のメグミは大地に立ち、マサエクロンを待ち受ける。そして姉妹の
心が一つになる瞬間が訪れる。空中からマサエクロンがメグミの肩に
着地すると、そのままがっしりとマサエクロンを肩に担いだメグミが、
スコープを覗き狙いを定める。標的はもちろん、空中の火の車だ。

 「ブレイザーカノン、発射!!」

地上から放たれた光の矢、ほとばしる強力なエネルギー波が火の車を貫く。

 「まさか、火の車が・・・ウワァァァァァァ!!」

伝説の超兵器、空飛ぶ火の車も少女達の正義の心には勝てなかった。激しく
炎を吹き上げながら失速していく火の車。やがてそれは黒龍会道場に墜落し、
道場もろとも大爆発した。
319ナナシマン:03/01/07 21:44 ID:BA58nraB
 黒煙をあげて燃え続ける地獄谷の黒龍会道場。道場の方から、時折大小の
爆発が起こる。その様子を見つめながら、戦士達は勝利をかみしめていた。
連戦に次ぐ連戦。次々と現れる怪人軍団を倒し、またスーパー1、V3、
ライダーあい、ビジンダーは魔神の化身カイザーグロウとの壮絶な戦いを
制した。そして今、古代の超兵器は悪の野望と共に炎の彼方に消えた。

 だが、その時戦士達は背後に何者かの気配を感じて振り返る。そこには、
これまでの敵とは違う異様な気配を漂わせた五人の幹部達が居並んでいた。

 「このたびの戦い、見事であった。今回は我らの負けを認めるとしよう
だが、次はこうはいかんぞ」

 銀色の鎧と、頭部から不気味に延びるパイプ。白い顔に走る赤い隈取りと
あいまって邪悪な存在感を放つこの男こそが、かの悪魔元帥である。

 「我々とうぬらとの戦いは始まったばかり」

傍らに立つ黒髪の女。魔女参謀はそう言って妖艶な笑みを浮かべる。
320ナナシマン:03/01/07 21:45 ID:BA58nraB
 「いずれまた相まみえようぞ。楽しみにしておれ!」

人骨を象った鎧に髑髏の兜を被り、炎を象った杖を持つ男、鬼火司令は
手にした杖を突きつけてライダー達を一睨みする。

 「世界は必ず私たちのものになるのよ」

およそ悪の手先とは思えないようなピンク色の衣装を纏い、蝶のアイマスク
をした女性幹部〜妖怪王女は笑う。

 「今日の所は達者でのぉ」
 
生気のない顔にぼさぼさの頭。幽霊博士が戦士達に別れを告げると、幹部達は
何処かへと姿を消した。


 戦いはまだ終わったわけではない。ゼティマはおろかダーク、デスター、
デスパー軍団など悪の軍団は未だ健在だ。悪の魔の手から世界を守るため、
力の限り戦い抜こう。戦いを終えて変身を解いた少女達は、さらなる戦いに
向けて決意を新たにするのだった。


冬休み劇場 「仮面ライダーのの 破れゼティマ拳法・地獄谷の決闘!」 終
321ナナシマン:03/01/07 21:46 ID:BA58nraB
 何か秩父山中がまるで人外魔境のような感じになってしまいました。
秩父方面の方々、ホントすいません。


>>名無しんじーさん
 はっきり確認はしていないのですが、知人の話によると一昨年ぐらいに
つぶれてしまったそうです。僕は小さい頃は毎年「全怪獣怪人大百科」を
買っていたクチなので、とても残念です。それと「仮面ライダー画報」は
実家にあったと思うんですが、ちょっと自信が・・・。(w
少なくとも今は手元にはありませんので、実家に帰ったとき捜してみます。


>>名無し天狗さん
 女戦闘員、いるんじゃないでしょうか?ストーリーにはまだ登場して
いないようですが。シリーズごとの戦闘員キャラをはっきり特定できる例と
言えばアンドロイドマンとアリコマンド、ゲルショッカー戦闘員、あとは
デスパー軍団兵でしょうか?実は僕自身これまであまり意識してません
でした。(w



 10日以上の長丁場におつきあい頂きまして誠にありがとうございます。
テキスト量としては通常の3、4話分くらいの量になってしまいました。
(それでも実はだいぶ話を削りました。)娘。達の戦いは新しい年に入っても
なお続きますが、彼女たちの物語に今後もおつきあい下さりますようお願い
申し上げます。

 次の話が書き上がるまでは、しばらくまた一読者として皆様と一緒に物語
を追いかけていきたいと思います。ありがとうございました。
322ナナシマソ:03/01/07 21:48 ID:BA58nraB
 最後の最後にサブタイ間違えました・・・。

誤 地獄谷の決闘
正 地獄谷の死闘

申し訳ありません。
323名無し天狗:03/01/07 22:19 ID:LWhnHd4C
>ナナシマンさん
・・・とにかく「すごい」この一語に尽きますね。
キャラの配置や立たせ方、戦いの流れ、すべてにおいて素晴らしい!!
ありがとうございました。次回作も期待してます!
・・・あと、ピントズレな話になっちゃいますが、
敵に女の怪人や幹部が出て来たのだからそろそろ戦闘員も・・・
なんて思っちゃったりして・・・イヤ、聞き(?)流して下さい。
324名無し天狗:03/01/07 22:22 ID:LWhnHd4C
ギェー!またやっちまった・・・。sage保全。
325名無しんじー:03/01/07 22:39 ID:cKrtZjrl
ナナシマン様
お疲れ様でした。最後のブレイザーカノンの描写!あれこそ私が求めていた物
悔しいですけどお見事です。私もガンバらねば!
とは言っても、こちらの話はあまり考えてないなー、どうしよう。
リアル娘。の展開・・・もうどうにでもして!
326ナナシマン:03/01/07 23:53 ID:ZPjSTPXL
>>名無し天狗さん
 「女戦闘員」と言えば、「ショッカー婦人部」というサイトがありました。
資料が豊富なので、参考にしようと思います。

>>名無しんじーさん
 本人達にとって幸せであることが何よりなのですが、ヲタはおろか、本人
たちも置いて行かれているような、そんな気がします。そう言えば、藤本って
キャラ決まってましたっけ?
327名無しんじー:03/01/09 16:32 ID:RK+3X2vX
藤本はキャラが決まって無いと思います。誰か考えている人います?

本編が全然まとまりません。とりあえず短編を一本。
328名無しんじー:03/01/09 16:49 ID:0Vl+ZvZk
いんたーみっしょん
       「蘇れ、赤心少林拳!」

地獄谷の死闘から数日後、あゆみは考え込んでいた。
「どうしたの?」
その様子を心配して雅恵が声をかけて来た。
「この前の戦い・・・私、何も出来なかった。しかも人質・・・
 みんなの足を引っ張ってる・・・もっと強くなりたい!」
あゆみの言葉に雅恵は言った。
「そんなの、仕方ないよ。私だってののちゃん達に比べたら力は無いし
 あゆみだって、生身で戦えば私より強いじゃない。」
雅恵とめぐみは訓練の為、あゆみに合気道を習っていた。
「そうだけど、雅恵ねえちゃんはバイクロッサーの力があるじゃない。
 怪人と戦える。私は戦闘員がやっとだよ。」
雅恵には、あゆみの気持ちが痛いほどわかる。自分の力不足が悔しい。
あゆみはいつも「強くなりたい」と言っている。
あゆみのそんな気持ちが一番わかるのは家族である自分達なのだ。
329名無しんじー:03/01/09 17:06 ID:1xGxGdHr
しばらくするとあゆみは、思い立った様に出かけて行った。
あゆみの向かった先は中澤家。あゆみはそこでとんでも無い事を言い出した。
「中澤さん、私も改造して下さい。私も強くなりたいんです。」
あゆみのこの言葉には、中澤家の全員が本気で怒った。
「柴田!お前、自分の言ってる事が解ってるんか?それはみんなに対する
 侮辱やで、そんな事、二度と口にしたら許さへんからな!」
中澤の本気の怒りの前にあゆみは黙りこんだ。
「なあ、柴田、お前の気持ちは、なんとなく解る。自分の力不足が嫌なんやろ?
 でもな、それはうちも同じや、みんなに迷惑かける事もある。そやけど
 改造だけはアカン!誰も柴田がそうなる事を望む者なんかおらへんで。」
中澤の言う事はもっともだった。しかし、今のあゆみには他に道が無いと
思われた。その為ここにやって来たのだ。
「でも・・・」
あゆみが、そう言いかけると
「この話はこれで終わりや。家に帰って頭冷やせ!」
中澤にそう言われ、あゆみは中澤家を後にした。
330名無しんじー:03/01/09 17:26 ID:122XQxwl
しかし、あゆみは家には帰らず、ある場所に向かっていた。
あゆみは自分の最も尊敬する人物に会いに行ったのだ。
「園長先生、私もっと力を付けたいんです。何か知りませんか?」
そう、あゆみの訪れた先は「学園」園長の上原に何か無いか聞いていたのだ。
「力を付けたいか・・・難しい質問じゃのう。合気道だけじゃ、駄目なのか?
 そうなると、柔道、空手・・・他の武道じゃイカンのか?」
「はい、そう言う物じゃ無くって、もっと実戦的な物、何か知りませんか?」
「そうじゃのう・・おっ、待てよ、これなんかどうじゃ?」
上原はそう言ってあゆみに一冊の古い本を渡した。そこには
「赤心少林拳」と書かれていた。
「園長先生、これは・・・」
「うん、これはな、わしがまだ若い頃にある人物から貰った物じゃ。
 この本には、その拳法の基本が書かれている。」
「その人物って誰ですか?どこに行けば会えますか?」
あゆみは聞いた。
「残念じゃが、その人はもうこの世にいない。既に故人じゃ、だからその拳法も
 伝承者はおらんと聞いておるが、その本で勉強してみたらどうじゃ?
 何か掴めるかもしれんぞ」
あゆみは本を受け取ると家に帰った。
331名無しんじー:03/01/09 17:46 ID:I+tzpqrE
あゆみは家に帰ると一心不乱に本を読んでいた。
「・・・・、・ゅみ、あゆみ!」
瞳に呼ばれ、あゆみは我に帰った。
「お茶が入ったよ。なにをそんなに一生懸命読んでるの?」
あゆみは、今日一日の事を瞳に話した。
「そんなの気にする事無いよ、捕まったらまた、みんなが助けてくれるって。」
瞳は、この前の事をあまり気にしていない様だ。
「いいもん、私一人で、かんばるから。」
あゆみはそう言うと、また読書を再開した。
それから数日後、あゆみは近所の公園で、型の練習をしていた。そこに
「おーい、柴ちゃん!」
辻と飯田がやって来た。
「こんにちは、何してるの?太極拳?」
飯田の質問にあゆみは本を見せた。その本を見た飯田の表情が変わった。
「柴田、これ何処で手に入れたの?」
「園長先生に貰いました。」
「園長って学園の?」
「そうです。飯田さん、何か気になる事でもあるんですか?」
あゆみの言葉に飯田は大きく頷いた。
332名無しんじー:03/01/09 18:07 ID:CoGuDqyg
「私ね、この本ずっと探してたんだ。実はこの「赤心少林拳」を習ってたの。
 でもね、その師匠が、亡くなって中途半端だったんだよね。
 それでね、師匠が亡くなる時に、上原袈裟俊って人が本を持ってるから
 後はそれで学びなさい、って、でもその人が見つからなくて・・」
飯田がそう言うと
「それって、園長先生ですよ。」
柴田は言った。すると
「本当に?じゃあやっぱり、この本なんだ。良かったー、これで続きがわかる
 柴田、ありがとう。でもどうして、この本柴田が持ってるの?」
飯田の質問に、柴田は事情を話した。飯田は、柴田が中澤家に言った時
出かけていて、いなかったのだ。
「そっか、そりゃ裕ちゃんも怒るよ。私だってその場にいたら、きっと
 怒ってたと思うよ。みんな好きで改造してる訳じゃないし。」
飯田がそう言うと
「その通りれす。あの時の中澤さんは、すげー怖かったのれす。」
辻は、あの時の中澤を思い出し震えていた。
「でもさ、やっぱり強くなりたいよね。私もそうだし、みんなそう思ってる。
 だったらさ、赤心少林拳、二人で復活させようよ。
 本当は、りんねとやる筈だったけど、りんねはもういない。
 だからさ、こんどは柴田と一緒に、ねっ、がんばろう!」
飯田の言葉にあゆみは大きく頷いた。
「赤心少林拳」の復活はもうすぐだ!

いんたーみっしょん
       「蘇れ、赤心少林拳!」  終わり!
333名無しんじー:03/01/09 18:11 ID:TV3xaaIh
赤心少林拳の話って無かったですよね。
ちょっと考えて見ました。つまらなかったらごめんなさい。
334名無し天狗:03/01/09 19:09 ID:tJXr7mhq
>ナナシマンさん、名無しんじーさん
以前、私がでしゃばって書いた「キャスティング予想」で
シャドームーンをイメージしたことがあります。
(松浦亜弥のBLACKとセットで)

>名無しんじーさん
上原(袈裟俊)園長再登場、そして少し明らかになった飯田と赤心少林拳の秘密・・・。
ああ〜、この話の続きが気になる〜〜!!期待!!
335名無し天狗:03/01/09 19:11 ID:tJXr7mhq
忘れっぽいバカでスイマセン、sage保全です・・・。
336ナナシマン:03/01/09 21:47 ID:mc2XkiFT
>>名無しんじーさん
 インターミッション、良いんじゃないですか?園長先生楽しみです。
赤心少林拳はエンディングテロップに北派少林拳の人が指導したような
事が出ていたので、北派少林に想を得ていることは間違いなさそう
だったんですけど、詳細が判らなくて入れるの断念したんですよね。

>>名無し天狗さん
 そう言えばそう言うプラン、ありましたね。いずれの流れになっても
僕的には構わないんですけど、そろそろ名無し一号さんとか戻ってきて
本編進めてくれないかな・・・とか、白い名無し娘。さんのハカイダー
続きマダカナーとかいう気持ちもあり、難しいところです。それと女戦闘員、
増やしましょか?(w
337山崎渉:03/01/10 04:17 ID:3Oust735
(^^)
338名無し読者:03/01/10 07:31 ID:nbGHk7hY
女戦闘員といえばアマゾンの「ゲドン」ですな。
十面鬼登場期待してます。
339名無し天狗:03/01/10 08:34 ID:i13pyvuB
>ナナシマンさん
(女戦闘員の件)・・・ぜひ!できれば「女」を武器にした暗躍ぶりを・・・。(w
340名無し天狗:03/01/10 16:25 ID:F9/dz9oe
>>338さん
キカイダーの「ダーク」もお忘れなく。
341山崎渉:03/01/10 16:37 ID:NfeEzv46
(^^)
342名無しX:03/01/11 00:48 ID:5Zkt2s4a
第31話(でいいのかな?)


(1)


「さっきの話考えてくれました?」

「え?あぁ・・まぁ・・ね。ただ・・ちょっと・・ね・・。」

この季節としては暖かな日差しのが差す平日の午前中。
国道沿いの歩道を、両手に買い物袋をさげた小柄な少女達が並んで歩いている。
矢口真里とミカ・トッドだ。どうやら二人が今日の買出し当番のようだった。

「絶対役に立ちますよ。あれは私の自信作なんですから。」

ミカが自信満々でなにやら矢口に話しているようだが矢口の方はどうも歯切れが悪い。

「うん・・まぁ・・そうなんだけど・・おいら的には・・何というか・・あ!ミカちゃん、あれなっちじゃない?」
343名無しX:03/01/11 00:50 ID:5Zkt2s4a
二人の歩く前方の交差点をバイクが猛スピードで駆け抜けていった。

「ずいぶん飛ばしてますね。・・って矢口さん話逸らしてません?」

「そ、そんなことないよ、いやだなぁ。と、ところでワールドカップ盛り上がったねぇ。」

「いつの話ですか!やっぱり話逸らしてません?」

「いやだなぁ、そんなこと無いよ・・・と、ところでさぁ・・」

「・・・・・」

344名無しX:03/01/11 00:52 ID:5Zkt2s4a
(2)


エレベーターの扉が開き、目の前に数台のバイクが並ぶフロアーに少女は降り立った。
薄暗いそのフロアーに人影は無い。

「おかしいなぁ、安倍さんどうしたんやろ?」

ここは『加護生化学研究所』の地下にあるライダーマシン達の格納庫である。

「今日は私たちがパトロール当番なのに・・・」

少女の名は高橋愛。仮面ライダーXである。
彼女は、今日一緒にパトロールに出かけるはずだった安倍なつみを探して、研究所内をぐるっと一回りした後
この格納庫にやってきたのだ。

「安倍さ〜ん。どこにいるんですか〜」

一応呼んではみたものの、やはり返事は無い。
345名無しX:03/01/11 00:54 ID:5Zkt2s4a
まだメインの照明をつけていない格納庫は薄暗く、辛うじてその特徴的なシルエットから
自らの愛車『クルーザー』だと把握できるバイクの側までたどりついたその時、
バイクの裏から何かが勢いよく飛び出してきた。


「うわぁっ」

愛は突然の事に驚き、無様にしりもちをついた。


「あははは。やっぱり愛ちゃんはびっくりした顔がよく似合うわぁ」

「か、加護さん・・・・」

暗闇から飛び出してきたのは屈託の無い笑顔でケラケラと笑う加護亜依だった。

「あはは。ごめんな愛ちゃん、ちょっと驚かしたってん。
でももう加護さんはやめてーな、皆みたいにあいぼんでええのに。」

「は、はい・・でも・・と、ところでこんな所で何してたんですか?」

「あんなぁ、うちのサイクロンが調子悪くってな、ちょっと整備しとってん。
そしたら安倍さんが血相変えて飛び込んできてな。」
346名無しX:03/01/11 00:56 ID:5Zkt2s4a
「安倍さんが?」

「そうやねん。どうしたん?って聞いたら、急用ができて今日のパトロール行かれへんから
愛ちゃんに伝えてって言われてな。それでうち愛ちゃんを待っとったねん。」

「そうだったんですか・・・安倍さんどうしたんやろ。」

「さぁ?随分慌てとったけど・・・」

安倍の突然の行動は今に始まった事ではない。
死んだあさみに言わせると『行き当たりばったり』が安倍の行動パターンである。
いつもの事だと言われればそれまでだがなぜか高橋には気になった。

「さて、ほなぼちぼち行こか。」

「え?行こかって・・」

「パトロールに決まっとるやろ。うちのサイクロンまだ直ってへんから
後ろに乗せてな。」

「は、はい。」

一見すると普通のバイクのように姿を変えた『クルーザー』の後部座席にちょこんと
座った亜依が前席の愛の腰にしがみつく。

「レッツゴー」

安倍のことが気にかかる高橋だったが加護の楽しげな声につられて
地下格納庫から地上へと向かうスロープを走り出した。
347名無しX:03/01/11 01:02 ID:5Zkt2s4a
(3)


『はい、撮るよ〜準備はいいかな〜』

楽しげではあるが無機質な機械の合成音が二人に準備を促している。

「あ、ちょっとまって、まだまだ。ねぇ愛ちゃん、うちの目ちゃんと二重になっとる?」

「う、うん。なっとるよ。」

「そっか。よっしゃ、準備ええで。スイッチ・オ〜ン」

『カシャッ!撮れたよ〜』

機械の合成音が撮影終了を告げる。

「あははは、きれいに撮れた。でも愛ちゃん、もっとかわいいポーズとらなあかんやろ。」

「・・・加護さん、パトロール中にプリクラなんてやってていいんでしょうか。」

そう。ここは郊外にあるボーリング場に併設しているゲームセンターである。
加護の半ば強引な提案でパトロール開始早々プリクラ撮影になったのだ。
348名無しX:03/01/11 01:04 ID:5Zkt2s4a
「ええねん。ののとはいつも一緒にプリクラしとるで。」

「はぁ・・でも未成年だし補導されたら・・」

「大丈夫大丈夫。稲葉の姉ちゃんにもろたバイクの免許(偽)があるやないか。
うちらは18歳って事になっとるんやから。」

「まあ、それはそうですけど・・・!!え、何?」

「悲鳴?」

改造人間である二人の耳が同時に悲鳴らしき声を察知した。

「ほら来たでぇ。これを警戒してここにおったんや。」

「・・・それはともかく急ぐがし。」

「ボーリング場のほうやな」

二人はプリクラの機械から飛び出した。
349名無しX:03/01/11 01:06 ID:5Zkt2s4a
(4)


「あの女は何処だ?隠し立てするとためにならないぞ。」

平日で人もまばらなボーリング場にドスの効いた声が響き渡った。
カウンターの店員が怪人になにやら詰め寄られているようだ。

「か、隠してなんかいません。さっきまでその辺にいたんですが・・」

戦闘員に取り囲まれ、怪人に胸座を捕まれた店員は恐怖で顔面を蒼白にしながら涙声で話している。

「待てぇい。その人を離せ!」

加護が勇ましい声をあげた。
350名無しX:03/01/11 01:08 ID:5Zkt2s4a
突然のその声に振り向いた怪人の姿は蜘蛛以外の何物でもない。
それだけであれば怪人のお約束ともいえる姿なのだが特徴的なことに
その頭部には、つばが上を向いた形の帽子が被さっていた。

「なんだ貴様らは!」

言うが早いかその怪人『蜘蛛ナポレオン』は加護と高橋に向かって
白い蜘蛛の糸を吐き出した。

「うわっ!なんや?」

加護の体は怪人の吐き出した白い糸に絡めとられてしまった。

「しもたぁ、動けへん。愛ちゃ〜ん、なんとかしたって〜」

辛うじてその糸をかわした高橋愛は素早くボーリング場全体を見渡すと
数人いた客や店員に逃げるよう促しそれを確認した上で変身体制に入った。


「セタップ」

351名無しX:03/01/11 01:16 ID:5Zkt2s4a
ごぶさたしております。
とりあえずどなたも書かれないようなので
いきなり始めてしまいました。

もし準備が出来た方がいらっしゃいましたら言って下さい、
すぐに終わらせますので。

ちなみに今回の話は時間軸的にはZX編の前と思ってください。
辻加護が普通に出てきてしまうんで・・・・w
352名無しX:03/01/13 04:28 ID:pcliXgdV
(5)


仮面ライダーXに変身した高橋はすぐさまライドルスティックを取り出し加護が絡められている
蜘蛛の糸を切断した。


「なるほど、貴様らが仮面ライダーか、こんな所でお目にかかれるとはな。
あの女は後で探すとして、とりあえずおまえ達に死んでもらうとするか。」


「そうはいかんがし。加護さんも変身してください。・・・加護さん?」

加護の体を締め付けていた蜘蛛の糸はすでに高橋により切り裂かれている。
しかしなぜか加護は立ち上がろうとしない。

「ごめん、愛ちゃん・・なんや知らんけど体に力が入らへんねん・・」

なんとか立ち上がろうとする加護だが片膝をつくのがやっとで表情にも血の気がない。


「わははは。我が蜘蛛の巣ジャングルはおまえ達のエネルギーを吸収するのだ。それではとても変身などできまい。」


「そんな!加護さん大丈夫ですか。」
353名無しX:03/01/13 04:29 ID:pcliXgdV
辛うじて立ち上がった加護だが足元はおぼつかずとても戦闘に耐えうる状態とは思えなかった。
それでも健気に変身ポーズをとろうとする加護の姿は痛々しく、愛の闘志に火を着けた。


「加護さん、変身は無理です。ここは私にまかせてクルーザーから応援を呼んでください。」


加護に離脱を促した愛は加護の退路を確保すべく怪人に向かって戦闘を仕掛けた。
立ちはだかる戦闘員を蹴散らし蜘蛛ナポレオンに渾身のパンチを繰り出す。
しかし蜘蛛ナポレオンはあろうことかそのパンチを避けようともせず、真正面から受け止めたのだ。


「!」


愛に動揺が走る。そう、蜘蛛ナポレオンは愛のパンチにダメージを負った気配が無いのだ。
矢継ぎ早にパンチとミドルキックを繰り出す愛。
しかし蜘蛛ナポレオンは、まるで幼子をあやすかのごとくパンチを受け止め、キックにひらりと
身をかわすとその繰り出された足を掴み、愛を体ごと放り投げた。


「うわっ。」


高速で投げ出された愛は辛うじて受身をとったが、痛感せざるを得ない実力差に愕然とした。
愛の脳裏にかつて自分の不甲斐なさを心底呪った公園での戦いが蘇える。


「これじゃ、あの時と同じだ。せめて、せめて加護さんだけでも逃がさんと。」
354名無しX:03/01/13 04:31 ID:pcliXgdV
加護はふらつきながらも戦闘員の攻撃に立ち向かっている。
しかしそれも限界に見えた。


「クルーザー!」


愛はリモートコントロールで愛車クルーザーを呼んだ。
クルーザーは一般的に考えられるバイクの性能からは考えられない走破性能で
ボーリング場への階段を駆け上り、入り口のドアをぶち破ると、戦闘員をも蹴散らし、
今にも倒れそうになっている加護の前で停まった。

「加護さん!早く乗って。」

蜘蛛ナポレオンに行く手を阻まれ身動きが取れない愛は大声で叫んだ。

「ありがとう愛ちゃん。でももううち・・動けへん。」

加護はクルーザーをわずか目の前にして気を失って倒れてしまった。
万事休す。
気を失った加護が戦闘員に嬲り殺される事は避けられないと愛が絶望しかかったその瞬間、
天井からクルーザー目掛けて「何か」が降ってきた。

355名無しX:03/01/13 04:34 ID:pcliXgdV
(6)



「この子は私が安全な所まで逃がしてあげる。だからこのバイクちょっと貸してね。」

天井から降ってきたのはなんと、このボーリング場の制服を着た少女だった。
ショートカットがよく似合うその少女は、クルーザーに跨ると右手で加護を軽々と持ち上げ、
自らの背中に担いだかと思うとアクセルを目一杯捻りボーリング場の出口へと猛スピード
で走り出した。


「あ、あの女!あんな所に隠れていたのか!」

蜘蛛ナポレオンが天井のシャンデリアを見ながら叫んだ。
356名無しX:03/01/13 04:35 ID:pcliXgdV
どうやら彼女はあのシャンデリアの上に隠れていたらしい、しかしボーリング場のエントランスに
あたる部分は吹き抜けになっており、そこに吊るされたシャンデリアは床から10メートルは離れている。
どうやってそんな所に隠れることができたのか、そしてそこからクルーザー目掛けて飛び降りるという
離れ業までやってのけた彼女は一体何者なのだろう?
ゼティマに追われているということは彼女も人間ではないのだろうか?
それならこの行動も納得できる。しかしそんなことは愛にとっては、どうでもいいことだった。
加護さえ無事であるならば・・・。


「むぅぅ、あの女め。こうなったらせめて貴様だけでも血祭りにあげねばとても本部には帰れぬ。」

蜘蛛ナポレオンが仮面ライダーXに攻撃の矛先を向けた。

先ほどからの戦闘で力の差は歴然だ。
だが愛は真正面から迎え撃つ構えを見せた。
それが『仮面ライダー』である自分の使命であり誇りだと彼女は思ったのだ。
そう、たとえそれが勝ち目のない戦いだとしても・・・・。
357名無し募集中。。。 :03/01/13 23:13 ID:Gwaz7qcl
蜘蛛ナポレオンって事はアレか
358名無し天狗:03/01/13 23:33 ID:UzjmxlJf
>名無しXさん
加護を助けたと言う人物が気になる・・・。
まさか・・・「彼女」?うう〜〜、早く続きを読みたい〜〜〜!!
359名無し募集中。。。:03/01/14 00:26 ID:I1n1EOWt
エンドオブワールド保全
360名無しX:03/01/14 01:00 ID:amd/lPmC
(7)


「え?あんた誰や?訳解からんで。え?中学生くらいの女の子?そんなん家には掃いて捨てるほどおるでぇ。
え?公園に寝かした?あんた何言っとるんや?もしもし、もしも〜し。」

「祐ちゃん、どうしたの?」

無線を前になにやら怒鳴っていた中澤に、矢口が話し掛けた。

「間違い電話みたいやわ。訳解からん事ばっかり言ってるねん。」

「間違い電話って・・それ緊急用の無線だよ。」

「あ、そうか。それじゃ今のは・・・大変や!誰かに何かが起こっとる!」

中澤の話を要約するとこうだ。

聞いたことのない女性の声で、「気を失った中学生くらいの女の子を預かっているから○×公園まで引き取りに来てほしい。
そしてもうひとりの女の子が××ボーリング場で戦っているから助けに行ってあげたほうがいい。」

という連絡が緊急用無線に入ったと言うのだ。
361名無しX:03/01/14 01:01 ID:amd/lPmC
「緊急用無線からの連絡ということはライダーマシンからって事ですね。
という事は、今日ライダーマシンを出動させている人に何かが起こっていると考えていいのではないでしょうか。」

ミカが冷静な対処をみせた。

「そうか、さすがはミカちゃんや。確か今日のパトロールは・・・なっちと高橋か。」

「とにかく、行ってみなきゃ状況が解からないよ。おいらがボーリング場に行くからミカちゃんは公園のほうお願い!」
「ラジャー」

言うが早いか矢口とミカは部屋を飛び出していった。


「ところで・・連絡をくれたのは誰やねん?」

取り残された中澤はひとり呟いた。
362名無しX:03/01/14 01:02 ID:amd/lPmC
(8)


「Xキーック!」

天高く舞い上がった仮面ライダーXは自身最大の必殺技を放った。
それは、高橋にとって、多分最後の一撃になるであろう攻撃だった、それほど状況は切迫していた。

この技を繰り出すまでに、彼女は考えうるすべての攻撃を蜘蛛ナポレオンに対し放っていたが、
その全てが大きなダメージを与えるに至らず、
蓄積された彼女自身のダメージを考えるとこの技でダメなら、もう後が無い事は明白だった。


「蜘蛛の巣ジャングル」


高橋が今まさに天空から降下しようとするその時、蜘蛛ナポレオンは空中に向け白い糸を口から吐き出した。
そう、加護を行動不能に陥れたあの白い糸を。
363名無しX:03/01/14 01:04 ID:amd/lPmC
ジャンプの限界点まで昇っていた高橋にその糸を避ける術はなかった。
空中で白い糸に絡め捕られた高橋はバランスを崩し真逆さまに地上へと落下した。

「ぐわっ」

無防備に落下し悲痛な声をあげる高橋。彼女の下半身には白い蜘蛛の糸が乱雑に絡まっている。


「ここまでのようだな、仮面ライダー。おまえもなかなか頑張ったようだが相手が悪かったな。
なにしろ我輩の辞書には不可能の文字はないのだから。」


「くっ・・」

悔しい。あの公園での戦いで、あんなに悔しい思いをしたのに、また私はこうして地面に這いつくばっている。
これでは死んだあさみにも顔向けなどできない。・・力が欲しい。大切な人達を守れる力が。
しかしそんな思いとは裏腹に体から力が抜けていく。
高橋の思考が働いていたのはここまでだった、そして意識は暗い闇の底へと沈んでいった。
364名無しX:03/01/14 01:06 ID:amd/lPmC
(9)



瞼の裏が明るくなっている気がする。どうやら目を開けたならそこは明るい光が差す場所らしい。
そこにはやはりあさみさんが居るのだろうか、お父さんやお母さんもきっといるのだろう。
大好きだった人達は私を優しく迎えてくれるだろうか、こんなにも無力で不甲斐ない私を。

会いたい。でも目を開けるのが怖い。
こうなってしまった今となっても私はまだ認めたくないのだ、自分が負けた事を。
『悲しみのない世界』という手土産も無しにここに来てしまった事を。

『高橋、高橋、目を覚ましてよ。もう大丈夫だよ。』

とうとう呼ばれてしまった。目を開けなくては・・・・あれ?あさみさんってこんな声やったっけ?

恐る恐る高橋愛は目を開けた。

そこは想像していた場所とは明らかに違う白い空間だった。
かつて洞窟の秘密基地で目覚めたときと同じ手術用無影ライトが目の前で光っている。

「あれ?」

「良かった〜やっと目を開けたよ。ミカちゃ〜ん高橋が目を覚ましたよ〜」
365名無しX:03/01/14 01:07 ID:amd/lPmC
視界に現れた満面の笑顔は矢口真里だった。

「こ、ここは天国じゃないんですか?」
高橋のこの発言に矢口はいつもの笑い声で答えた。

「きゃははは。何言ってるんだよ〜。まぁキュートなおいらが天使に見えるのは仕方のないことだけどね。きゃはは」
366名無しX:03/01/14 01:20 ID:amd/lPmC
(10)



高橋は丸一日眠ったままだったらしい。

蜘蛛ナポレオンが意識のない高橋にその場で止めを刺さず、
本部へと拉致しようとしているところの隙をついて矢口が救い出してくれたのだそうだ。

「私・・まだ生きてるんや・・・あ!加護さん、加護さんは無事なんですか」

「あいぼんも無事よ。愛ちゃんが命をかけて守ってくれたおかげだよ。」
ミカが優しく答える。

加護は公園のベンチに寝かされて居るところをミカに助けられたのだ。
幸い高橋に比べると軽傷で、少しの休養で元に戻ることができた。
そして皆の止めるのも聞かず高橋の仇を討つのだと、辻と共に蜘蛛ナポレオンを探しに出ていた。
367名無しX:03/01/14 01:22 ID:amd/lPmC
「良かった・・・加護さんが無事で本当に良かった・・・」
高橋の目から涙が流れた、自分が助かった事以上に加護の無事が嬉しかった。
もう誰一人失いたくない。それが高橋の何よりの願いだったのだから。

そんな高橋の思いは矢口とミカにも痛いほど伝わった。
そして矢口はおもむろに小さな箱のような物を取り出し高橋に話し掛けた。

「高橋、これはマーキュリー回路って言ってミカちゃんがおいらの為に作ってくれた物なんだ。
でもさっき調べたらおいらよりも高橋の体のほうが適応しやすい事がわかったんだ、これならきっと
高橋に新しい力を与えてくれると思う。」

ミカが話を引き継ぐ。
「ただしこれを取り付ける手術にはかなりの危険が伴うの。成功の確率は5分5分・・・もっと悪いかも
しれない。どう?愛ちゃんそれでもやる?」

突然の二人の申し出に一瞬戸惑った高橋だったが、返事はすぐに決まった。

「力が、力が欲しいんです。もしその機械が私の望む力を与えてくれるならたとえ1%の確率でも
やります。やらせてください。」


矢口とミカは顔を見合わせた。
あまりに強い高橋の思いに驚きつつもそんな後輩を頼もしく思った。

「わかった。失敗してもおいらを恨まないでよ。」
「すぐに始めましょう。梨華美ちゃん達にも応援を頼まないと。」
368名無し天狗:03/01/14 04:23 ID:4OdWS/+O
>名無しXさん
おお!いよいよ・・・・・・!!
369名無しX:03/01/14 23:34 ID:amd/lPmC
(11)


「やっぱり間違いだったのかな・・・」

疲れた表情をした安倍なつみが河川敷にとめた愛車カブトローに
背中をもたれかけ座り込んでいた。

「昨日のパトロールさぼっちゃったし、高橋ちゃん怒ってるだろうなぁ」

この二日間安倍はこの近辺をとにかく走り回っていた。
それこそ昼夜を問わず、寝食も忘れて駆けずり回ったのだ。

その行動ははたして意味があったのか、安倍自身にも全く確信が持てていなかった。
それでも安倍はそうせずにはいられなかったのだ。
それが彼女が自らすすんで改造人間になった理由でもあるのだから・・・。
370名無しX:03/01/14 23:35 ID:amd/lPmC
二日前、高橋とのパトロールの一時間ほど前の事だ。
安倍はドーナツを食べながら呑気にテレビを見ていた。
テレビではワイドショーのリポーターが河川敷を歩きながら何やら話している。
そのリポート自体は取るに足らない内容だったのだが、画面の隅に映った
映像に安倍は固まった。

それはリポーターの後ろを通り過ぎた少女の横顔だった。
ほんの一瞬、しかもカメラからかなり離れていたためその表情すらろくに確認できない程度にしか
映っていないのだが安倍の黒い手袋をした手からドーナツを落とさせるだけの威力を秘めていた。

「まさか・・・でも・・」
371名無しX:03/01/14 23:36 ID:amd/lPmC
見間違いの可能性は十分ある。
しかしもし『彼女』だとしたら・・・・。

「とにかくあの河川敷にいってみるべさ」

これが安倍がパトロールをすっぽかした理由だった。
かつて『彼女』と一緒に撮った一枚の写真を持って河川敷近辺で聞き込み
を続けたが何の成果も得られず今に至るのだ。


「やっぱり見間違いだったんだ。帰って高橋ちゃんに謝ろう。」
そう独り言を言っては見たが、なかなか諦めがつかずに立ち上がることができない。

川向こうのショッピングセンターやボーリング場をボーっと眺めながら時間だけが過ぎていく。

そしてついに安倍は立ち上がった。

「もうちょっと、もうちょっとだけ探してみよう。」

結局まだ諦めがつかなかったようだ。
372名無しX:03/01/14 23:38 ID:amd/lPmC
(12)


「あいぼん、最近の怪人って随分強くなってないれすか?」
「せやな、うちら二人がかりでもこのざまやからな」

仮面ライダーののと亜依。二人は窮地に陥っていた。
高橋の仇を打つのだと勢い込んで出てきた二人だが、現状を見ると
返り討ちにあっているとしか言い様の無い状況へと追い込まれていた。

「だからののが応援を呼ぼうって言ったのに・・あいぼんは意地っ張りなのれす。」
「そんな事言ったかて、もう遅いやん。サイクロンは工場の外に置いてきてしもうたんやから」

二人は蜘蛛ナポレオンを発見しこの廃工場まで尾行してきたのだ。
もちろん加護も応援を呼ぶことを考えなかった訳ではない、
しかし皆には目を覚まさない高橋の看病に専念して欲しかったのだ。
そして自分の力で仇を討ちたいという思いもあった。
それはもしかすると加護の若さ故の傲慢だったのかもしれないが・・・。
373名無しX:03/01/14 23:39 ID:amd/lPmC
「ふはははは。飛んで火に入る夏の虫とはこの事だな、ライダーども。」

蜘蛛ナポレオンの高笑いが廃工場にこだまする。

確かに彼にとってはこの状況は願っても無いものだった。
探していた女には逃げられ、倒した獲物であるXライダーも矢口にさらわれるという
失態を演じてしまった彼にとって、この二人のライダーを倒すことで
なんとか本部への体裁を保つことができるというものだ。


戦闘員に取り囲まれた状態で、背中合わせにファイティングポーズをとるダブルライダー。
しかし必殺のライダーキックすら蜘蛛ナポレオンには通用しない事が
先ほどからの戦闘で実証済みだった。


「きっとゼティマの怪人はこれからどんどん強くなっていくんれしょうね。」
「せやな、そのうちもっと完全な奴とか出てくるんかもしれへんな」

「力が欲しいれすね・・もっと力が。」
「・・・・・・・せやな。」
374名無しX:03/01/14 23:40 ID:amd/lPmC
二人にとって今、先のことを考える余裕などあるはずもなかった。
現状を打破する策も見つからず八方塞がりのこの状況で
あえてこんな会話をするのは現実逃避とも言えなくはないが
二人の深層心理のなかにここで死ぬ事は無いという思いがあったとも考えられる。

根拠などはもちろん無いのだろうが、数奇な運命を辿っている彼女達には
自分の命の行き着く先が本能的に見えているのかもしれない。

事実、二人を取り囲んでいた戦闘員たちは次の瞬間には
一斉に姿を消すことになる。
二人と運命を共にする仲間たちによって・・・。
375名無しX:03/01/16 00:52 ID:nCLx9vIE
(13)


ダブルライダーは背中合わせでそれぞれが戦闘員達と向かいあっていたが
辻の眼前から戦闘員が突然居なくなった。

「?あれ、急に敵が消えたのれす」

辻が素っ頓狂な声をあげる。

「はぁ?のの何言ってんねん・・・ってこっちも消えたわ。」

一瞬辻のほうに振り向き、その後正面を向いた加護も間抜けなリアクションをとる。

もちろん消えたわけではない。
正確には辻の前の戦闘員は 『引っ張られていった』 のだ。

そして加護の前の戦闘員は
『吹っ飛ばされていった』 が正解である。
376名無しX:03/01/16 00:53 ID:nCLx9vIE
「ロープアーム」

辻の前から消えた戦闘員達がライダーマンのロープアームに引っ張られ宙を舞っている。

「V3キーック!」

加護の前から消えた戦闘員はV3の放ったキックを喰らい数人まとめて吹っ飛び爆発した。

「辻加護!勝手なことばかりして!帰ったら祐ちゃんにお説教してもらうからね。」
「皆心配してたんですヨ」

矢口からは厳しい声が、ミカからは優しい声が二人に届く。
それが辻加護の 『ここでは死なない』 根拠だったのかもしれない。
そう、信頼できる仲間達の存在そのものが。
377名無しX:03/01/16 00:54 ID:nCLx9vIE
「矢口しゃん、ミカちゃん!」
辻が情けない声をあげる。

「なんで此処がわかったん?そ、それより愛ちゃんは?」
加護が一番の心配事について矢口に詰め寄る。

「こら加護!助けられておいてなんでそんなに偉そうな口調なんだよ。」
矢口がやれやれといった表情で加護の肩越しの方向を指差した。

「愛ちゃん!」

矢口に指差された方向に振り向くとそこにはまだ変身もしない状態の
高橋が蜘蛛ナポレオンと向き合っていた。

「愛ちゃん無事やったんか。矢口さん何やっとるん?はよ加勢しにいかなあかん。」
加護が声を荒げる。当然の反応だろう。
しかし矢口は慌てず騒がず加護の肩をたたきこう言った。

「まあ、おとなしく見てなって。」
378名無し募集中。。。:03/01/18 09:49 ID:rXxx/Gkf
保全。
379名無し募集中。。。:03/01/18 23:49 ID:SZA56Ch1
>>360 >>376
祐ちゃんー× 裕ちゃんー○
一応ね…
380名無し募集中。。。:03/01/19 19:47 ID:kiBeFse1
381名無し募集中。。。 :03/01/19 23:04 ID:jAV8O0rI
新メンが決まった訳だがこれ以上
登場人物が増えたら話がややこしくなりそうな予感
382名無しX:03/01/20 01:02 ID:3U+2jHdP
(14)



蜘蛛ナポレオンは心底いらついていた。
それもそのはずで、もう戦闘員にまかせても大丈夫だと高みの見物を
決め込んでいたはずの獲物二人が、五体満足の姿で逆に彼をを見物している。

そして何より彼を苛つかせたのは一度完膚なきまでに叩き潰したはずの
小娘が性懲りも無く自分の前に立ちふさがっている事だ。
これが彼のプライドをいたく傷つけた。

「貴様、あれだけ叩きのめしてもまだ解からないのか。
お前のような小娘が一人で我輩の前に立つなど身の程知らずも甚だしいわ!」

「以前の私とは違うんやよ。」
383名無しX:03/01/20 01:04 ID:3U+2jHdP
そう、今の高橋は確かに以前とは違っていた。
体に力が漲っている。

マーキュリー回路を譲ってくれた矢口。難しい手術を成功させてくれたミカ。
そして自分の仇を討とうと全力で戦ってくれた辻加護。

頼もしい仲間達こそが今の高橋の力そのものだ。

高橋は両手を天に向かって高らかと突き上げ、
その両手を今度は水平にめいっぱい広げた。


「 大 ・ 変 ・ 身 」


掛け声とともにライダー伝統ともいえる右手を斜め上方に
突き出すポーズをとり大きくジャンプし変身した。
384名無しX:03/01/20 01:05 ID:3U+2jHdP
「仮面ライダーX!」

その姿は以前のものとなんら変わらない。
しかし彼女が醸し出すオーラは以前のそれとは比べ物にならない。
存在そのものの力が以前とは段違いなのだ。


「うぬぅ、小癪な小娘が。容赦せぬぞ。」

蜘蛛ナポレオンは、仮面ライダーXに向かって自慢の蜘蛛の巣ジャングルをいきなり放出した。
その蜘蛛の糸は的確に仮面ライダーXの体を捉える。

「どうだ!もう身動きが取れまい。」

全身白い糸に絡まったXライダーはピクリとも動かない。

「あぁ〜愛ちゃん!」
加護が慌てて走り出そうとしたその瞬間

『ビリッ』

仮面ライダーXを拘束していたあの忌まわしい白い糸が一瞬にしてただの糸くずのように
細切れになり吹き飛んだ。
385名無しX:03/01/20 01:06 ID:3U+2jHdP
「なにっ、我が蜘蛛の巣ジャングルを破るだと?」

「こんなもの痛くも痒くもないがし」

Xライダー高橋愛はほんのわずかに両腕を開いただけであの
糸を粉みじんにしたのだ。

「今度はこっちの番やよ、とぅ!」

ジャンプで蜘蛛ナポレオンとの距離をとる高橋。
その間合いこそがこれから始まる新しい力の序曲なのだ。

高橋は両手を大きく左右に開きこう叫んだ。


『 真 空 地 獄 車 』
386名無しX:03/01/20 01:08 ID:3U+2jHdP
「・・・・し、真空?地獄車・・・?」
その一般の日常生活の中ではまず聞くことのない単語とともに
繰り出された高橋の動きに辻加護は呆然とする。
矢口は腕を組みながら微動だにせず高橋を見つめている。
ミカだけが嬉々として拳を突き上げ叫ぶ。

「行けー愛ちゃん!」


その高橋の動きは今までのライダー達の必殺技と呼ばれるものとは
完全に一線を画していた。

一度空けた間合いを大きなジャンプで再び詰め、蜘蛛ナポレオンの目の前に
着地する高橋。
蜘蛛ナポレオンご自慢の帽子をチョップで弾き飛ばしたかと思うや否や
彼の胴体を掴みそのまま前のめりに倒れこむと、なんと彼を巻き込んだまま共に前転したのだ。

2回3回・・・・蜘蛛ナポレオンの頭部を地面に叩きつけながら高橋の前転は続く。
そして彼の体を掴んだままジャンプし再度蜘蛛ナポレオンの頭部を地面に叩きつける。
しかしまだ高橋の動きは止まらない、またもや先程と同じ前転を繰り返すのだ。
387名無しX:03/01/20 01:10 ID:3U+2jHdP
「す、すごい技や・・・」
唖然としつつも高橋の動きから目が離せない加護。


これでもかと言う位蜘蛛ナポレオンの頭部を地面に打ち付けた高橋は
遂に彼をその手から解き放った。遥か上空へと放り投げたのだ。

そして彼を追うように地面を蹴り上げ天高く飛ぶ高橋。

「Xキーック」

やっと地を転げまわる地獄から開放された蜘蛛ナポレオンに対し
空中でキックが炸裂し彼を大爆発へと誘う。
そして戦いは終わった。


「すごいのれす・・・・いろんな意味で・・・・」
「すごいでしょ、真空地獄車とは相手の力を利用した必殺技なの。
大地を高速回転しながら敵の頭を地面にたたきつけ戦闘力を失わせ、
更に空中に放り上げ急降下に移り地上に激突させ最後にXキックで勝負を決するのよ。」
ミカが得意げに辻に解説する。
388名無しX:03/01/20 01:11 ID:3U+2jHdP
「ヤッター!愛ちゃんすごいやん」
Xライダー高橋愛に大ジャンプで飛びつく加護亜依

「加護さん、無事で良かった。私やりました。」

二人は抱き合いながらお互いの無事を心から喜びあった。
そこに全体重を乗せ飛んでくる辻。

「うわっ、のの重いがな。」
「辻も交ぜて欲しいのれす」
「あさみさ〜ん私やりましたよ〜」

高橋の声が廃工場の破れた天井から見える空へとこだまする。
それは仮面ライダーX高橋愛が真の新しい力を手に入れた瞬間だったのかもしれない。
389名無しX:03/01/20 01:13 ID:3U+2jHdP
「本当に良かったんですか?高橋にマーキュリー回路譲っちゃって。」
抱き合ってはしゃぐ三人を見ながらミカが矢口に聞いた。

「うん。これから若いあいつらには頑張ってもらわなくちゃいけないからね。
ほら、高橋もあんなに嬉しそうだ。」

「矢口さん・・・」
それぞれがつらい運命の中を生きるライダー達だが
もうすでに家族と言ってもいいような絆が生まれている事をあらためて実感し、
ミカは感動した。

「それに、おいらにはあの技はちょっと・・・いろんな意味できつい・・」
「え?何か言いました?」
「い、いや何でもない、何でもないよ。お〜い辻加護高橋〜そろそろ帰るよ〜」

「は〜い」

矢口とミカに駆け寄る三人。
ゼティマの怪人達は日々強力になっているが力を合わせれば
負けはしない。そう感じさせる瞬間だった。
390名無しX:03/01/20 01:25 ID:3U+2jHdP
ちょっとここ何日か忙しくて更新をサボってしまいました。
ダラダラ長いだけの話になってしまって申し訳ないです。
次回で終わる予定ですのでもう少しだけお付き合いください。

>357
ご名答・・・ていうかバレバレですね。すいません・・
>358
これもご名答・・・なんですが、これについては話が終わったらちょっとだけ
説明(言い訳?)しますんで・・・
>379
ひえ〜素で間違えてました。逝って来ます。
>381
もうキャラが完全に足りませんね。
とうとう平成ライダーに本格登場してもらうしかないのかな
391名無し天狗:03/01/20 13:23 ID:a4Eu7ngA
>名無しXさん
やはりそう来ましたか。(オリジナルのおかげで)展開がわかってても面白いのが
「ライダーのの」の面白いところですね。楽しませてもらいました。(←何を偉そうに言ってるんだ俺は・・・)
それと・・・Xの「大変身」ってのは変身ポーズをとると共にパーフェクターとレッドアイザーが
高橋愛(or神敬介)の頭に自動的かつ瞬時に(つまり手動ではない)装着されて変身するものと
推理してみたんですがホントのところどうなんでしょうね?

>作家ご一同様
また差し出がましいことを言うようですが、
石ノ森作品に登場するヒーローをサポートする立場の者たち(例えばライダーガールとか)
に宛てればひょっとしたら帳尻が合うかも・・・。
392ナナシマン:03/01/21 01:35 ID:KQyx4Z0j
 昨日から休暇に入りまして、今地元のカフェからです。
>>名無しXさん
 大変身キター!!
 お久しぶりです。久々にまた緩急の妙、楽しませていただいてますよ。
真空地獄車の描写も文章がイメージに直接結びつくあたり、素敵です。
(吾郎ちゃん風)GOD悪人軍団は好きな怪人シリーズのひとつなので、
今後の展開もとても楽しみです。後はキングダークも。


>>名無し天狗さん
 藤本といえば、実は過去に「仮面ライダー美騎」というのを考えた
ことがあったのですが、龍騎と昭和ライダーの共存は難しい気がして
止めました。あと女戦闘員についてですが、実は今アマゾンの話を半分
くらい書いてます。>>338さんのご意見もあり、以前あまり触れられて
いなかったゲドンについても書いてますので、まずは赤ジューシャの
登場があるかと思います。新メンについては僕も今はそれくらいしか
思いつきません。
393名無しX:03/01/23 19:03 ID:V9A8JzRd
(15)


「ただいま〜」

疲れ果てた声で安倍が中澤家に帰ってきた。
その表情には落胆の色がありありと見て取れる。

「お帰り。なっち、あんたどこ行っとったん?いろいろ大変やったんやで。」

夕食の支度をしていた中澤から若干非難めいた声が飛ぶ。
それは仕方の無いことで、安倍はパトロールをすっぽかして何日も音信不通だったのだ。

「心配してたんですよ。」
浮かない表情の安倍にサラダの盛り付けをしていた高橋が不安げに声をかける。

「パトロールすっぽかしてごめんね。ちょっと私用で忙しかったんだ。
・・・・・・疲れてるから少し眠るよ」
安倍はわずかそれだけの会話で奥の寝室へと消えてしまった。
394名無しX:03/01/23 19:04 ID:V9A8JzRd
「なんや、あの子?ほとんど説明も無しかいな。」
不満を露にするする中澤。

「安倍さん・・・心配事があるなら話して欲しいのに・・・・」
高橋は寂しい気持ちで一杯になった。

「ま、しゃーないな。あの子にはあの子の理由があるんやろ。
辻がお腹を減らして待ってるやろからご飯にしよう。」

確かにリビングからティンティンと茶碗の鳴る音がする。

『ご飯まだれすか〜』
395名無しX:03/01/23 19:05 ID:V9A8JzRd
(16)


和やかな雰囲気の漂う中澤家のダイニング。
辻はもう食べれないのれすという言葉を残しソファーでうとうととしている。

加護も満腹になったようでご満悦の表情だが食欲に負けて忘れていた
疑問を矢口に切り出した。

「矢口さん、ところでどうして私達が蜘蛛ナポレオンと戦ってる場所がわかったんですか?」

「あれはね、多分辻のサイクロンからだと思うけど、緊急用無線に連絡が入ったの。
仮面ライダー達が危ないから助けに来てあげてってね。」
矢口もいまいち腑に落ちない口調で答えた。どうやら矢口の中でも引っかかっているようだ。

「ひょっとしてボーリング場のお姉さんですか?」
高橋が勢いよく口を挟む。高橋にとってあのボーリング場の少女はまさに救世主だった。
彼女が居なければ大切な仲間をまた失うことになっていたのは明白だ。
396名無しX:03/01/23 19:06 ID:V9A8JzRd
「うん、それがどうも違うらしいんだよ。ね、裕ちゃん。」

「・・・・そやねん。若い女の声だったけど、最初に連絡のあった子の声とは明らかに違うねん。けど・・・・」
緊急無線を受けた中澤の説明はどことなく曖昧な口調だ。

「けど?」
矢口が歯切れの悪い中澤に鋭い突っ込みを入れる。

「あの声・・・・知ってるような気がする・・・・」

中澤の中には曖昧ながらもその人物に心当たりがあるのかもしれない。
無線の女は辻加護のピンチを告げた後こう言ったのだ。

『あたしが助けあげてもいいんだけど、ちょっと今緊急にしなきゃいけない事があるんでね・・
やっと掴んだ手がかりなんだ・・・それじゃ頼んだよ、アディオス』
397名無しX:03/01/23 19:07 ID:V9A8JzRd
「はぁ・・・今回の事件は解からない事が多いねぇ・・そのボーリング場のお姉さんってのも
何者か解からないし。高橋、なんか覚えてないの?その人の特長とか・・」

「特徴って言われても・・・・」
高橋は矢口の問いに考え込んだ。ショートカット、ジャンプ力、はもう既に
皆に話したとおりだ。他にと言えば・・・・・。


「強いて言えば・・・・・・・銀杏・・・・・やろか」


「はぁ?」
矢口を含めその場にいた全員から罵声が飛ぶ。

「なんだそれ?訳わかんないよ。」
「愛ちゃんって実は天然?」
「はぁ・・・家の若いのはこんなんばっかりやなぁ」



過酷な運命のもとに集う少女達。
その絡み合う運命の糸が少しずつほどけて来ていることなど
その時少女達は知る由も無かった。



                  第31話 『大・変・身』     完
398名無しX:03/01/23 19:21 ID:V9A8JzRd
終了です。長々引っ張ってすいませんでした。
最初は新ミニモニをモチーフに短編をと軽く思っていたのですが、
ナナシマンさんの冬休み劇場の素晴らしい出来を見て、こりゃやばいと
大幅加筆しているうちにこんな訳の解からない事になってしまいましたw

ちなみに劇中の『彼女』についてですが・・・・・

実は何にも考えていません。(無責任!)

以前福田復活を書きたいと書かれている人がいたような
気がするので、その際の伏線にでも使って頂けると幸いです。
(勝手に風呂敷広げておいてこの言い草かよ、俺)

と言うわけで、また読者に戻りますので何卒続きのほうよろしくお願いします。


399名無しんじー:03/01/23 21:38 ID:SeRUoQi0
名無しX様
お疲れ様でした。
福田の復活、確かにどなたかそんな事言ってた様な・・・
次回作も楽しみにしています。

ところで、赤心少林拳の話ですがこっちもあまり続きとか意識していなかった。
どうしよう・・・
400名無し天狗:03/01/23 22:20 ID:oCiTiU2r
>名無しXさん
・・・・・・。(汗)ともあれ、お疲れ様でした。
「謎が謎を呼ぶ『ライダーのの』」ですか・・・。
“アディオス”と“銀杏”・・・
何となくわかったようなわからないような・・・。(笑)
こりゃ次回作を待つしかないですね。期待してます!
401ナナシマン:03/01/24 00:49 ID:572cb/vw
>>名無しXさん
 お疲れ様でした。ちょうど今日ファミ劇見てたらXライダーをやってて、
神敬介が脳内で勝手に高橋に変換されてしまいました。(wコレもひとえに
このスレの影響かも。
 ところで、名無しXさんの書かれる高橋は方言のニュアンスが特にそれっ
ぽく感じます。その点も一つの妙と言える部分でしょうね。

>>名無しんじーさん
 赤心少林拳の話の続き、正直楽しみではありますがあまり矢継ぎ早に繰り出す
ことも無いかもしれませんよ。きっと先は長いと思うんです。だからアイデアが
浮かんだそのときに書いちゃうのが一番イイ!と思います。僕は割とそう言うクチ
です。

 このあとどなたかご予定のある方がなければ、つなぎに一つ書きあがってる
ヤツがあるんですが、もしご予定のある方おられましたらご一報ください。
402ナナシマン:03/01/24 00:57 ID:572cb/vw
 連投の上に差し出がましい事を言うようで申し訳ありませんが、次の二つの
どちらかを書き込もうかと考えています。

1 第1話だけ出来上がっている「仮面ライダーのの龍騎」
2 ハロプロ演歌勢による「真仮面ライダー」(前田有紀)

 いずれも完成している話ですので、金曜土曜には終わります。またまた
番外編です。差し出がましい話ですので、本編ならびに他の作者さん方の
作品をご所望ということであればご遠慮なさらずおっしゃって頂ければ
引っ込みますので、是非語彙ご意見などいただけましたら、と思います。
403ナナシマン:03/01/24 00:59 ID:572cb/vw
>>是非語彙ご意見
 是非ご意見、ですね。失礼いたしました。時間に追われて入力するとろくな事
ありませんね。(汗
404名無しスター:03/01/24 01:05 ID:aAJrvjUV
名無しX様、お疲れ様でした。

私は本編とあまり関係なく書いていく予定ですが・・・
姉弟の再会はいつになるのやら・・・
とりあえず出来上がってる話はありません。
405名無しX:03/01/24 01:50 ID:sGWSlAAj
>皆様 レスありがとうございます。
拙い文にお付き合い頂き感謝です。

>ナナシマン様 どっちも見たいですがどちらが先かと言われれば演歌かなぁ
龍騎はシリーズとしてじっくりやって欲しいかも。

実は昔仕事で福井に住んでいた事があります。X誕生編のソースカツ丼ネタ
は実体験に近いネタだったりします。
文中の福井弁は本当の福井弁とは程遠い代物ですが
本格的な福井弁を活字にしたら多分地元の人以外理解できないだろうなぁ
406名無し天狗:03/01/24 12:50 ID:/C6HO/Wz
>ナナシマンさん
実は私も前田有紀を使って「変身忍者 嵐」を企画していました。
ただ、ネタがまだないのと、実行して本編に支障が出はしないかと
この二点が心配でまだ企画のみですが・・・。
407名無しんじー:03/01/24 23:21 ID:ybK620rR
ナナシマン様
私も2が見たい。是非とも。

名無し天狗様
ついにやる気になられましたか。名無し天狗さんの書くお話、みたいですね。
もしよろしかったら、試しに赤心少林拳の続き書いてくれませんか?
408ナナシマン:03/01/25 00:57 ID:D07FO8BJ
 貴重なご意見ありがとうございました。一応シンのストーリーと
いうことでよろしいですか?これまでのものとは若干テイストが
異なりますが、外伝ということでご容赦を。


409ナナシマン:03/01/25 00:59 ID:D07FO8BJ
Another story 「許されざる者」


 中央線市ヶ谷駅のある、新宿区本村町。ここに、日本の国土防衛を担う
防衛庁の本庁、市ヶ谷駐屯地がある。先頃改修された庁舎は高度な情報収集
分析能力などを持つ、陸・海・空三幕自衛隊の中枢として相応しい施設である。

 その市ヶ谷駐屯地を、一人の男が訪れた。正門に佇む、細い目の中年男性。
彼は庁舎の建物や鉄塔を見上げながら、誰かを待っていた。しばらくして、
彼の姿を認めたオリーブ色の制服を着た一人の若い自衛官が、警衛所から彼
の元へと駆けてきた。

 「五木博士ですね?堀内1佐から話は伺ってます。こちらへ」

 五木と呼ばれたその男性と相対したその若い自衛官は、気を利かせて彼の
荷物を運ぼうと手をさしのべたが、五木はやんわりとそれを断るとその若い
自衛官と二人で歩き始めた。昼食時、敷地内を行き交う自衛官や事務官、
防衛庁職員達の流れとは反対方向の場所へ向かっていく二人。やがて庁舎の
裏手にやってきた彼らは、地下へ続く通路を降りていく。それは地下へと
続く緩やかなスロープだが、この通路を使用する者は少ない。また、この
施設に近づく者も少なかった。なぜなら、ここは隊員の中でもごく限られた
関係者だけが立ち入ることが許されている区画だからである。
410ナナシマン:03/01/25 01:00 ID:D07FO8BJ
 やがて、二人は鉄の扉で密閉された部屋の入り口に立っていた。五木は
自衛官に笑顔で会釈すると、何事かを察したかのように若い自衛官は五木の
前から去っていく。どうやら、彼にはここに立ち入る権限は与えられて
いないようだ。若い自衛官の姿を見送った五木は周囲を見回し、誰もいない
のを確認したところでまずは入り口そばにある機械の前に立つ。その間、
彼は瞬きひとつせずその細い目で視線をそらすことなく機械と向き合っている。
これは入室のための第一関門、眼球の光彩による本人確認である。そして、
これが終わると次に彼は電子錠のコンソールパネルに右手の人差し指を
触れさせる。それは彼の指紋を検出し、本人であるかどうかを照会するため
だった。照会の結果本人であることが確認されたところで、今度はコンソール
パネルが開き、電子錠のキーが現れた。ここに決められた暗証番号を入力する
ことでようやく扉が開くのだ。なれた手つきで暗証番号を入力する五木。
入力が終わると、電子音がキーの解除を告げる。
411ナナシマン:03/01/25 01:01 ID:D07FO8BJ
 「いつもの事とはいえ、自衛隊ってのは面倒な手続きを踏ませるもんだな」

 そう言ってフッ、と笑みを浮かべる五木。ゆっくりと横にスライドしながら
開いた扉の向こうにいたのは、制服姿も厳めしく浅黒い肌をしたひげの男
だった。

 「まぁそう言わんでくださいよ。我々も仕事なんですから」

 「聞こえてたのか。それよりだ、こうして僕を呼びつけるからには大事な
用件なんだろうな、堀内君」

 そう言って、五木はその男〜堀内1佐と顔を見合わせて笑う。二人は高校
時代の先輩、後輩の間柄だった。
412ナナシマン:03/01/25 01:02 ID:D07FO8BJ
「統合幕僚監部Z対策本部第三研究班長」、それが堀内の肩書きだった。
Zのアルファベットが意味するもの、それは紛れもなくあの悪名高き秘密結社
”Zetima”〜ゼティマである。ゼティマの世界征服の陰謀はまだ一般に
知られてはいなかったものの、稲葉貴子のような警察組織の人間には既に
知られるところであり、また日本でも公安警察や自衛隊の上層部は既にその
存在を確認しており被公然組織を編成して調査が始まっていた。Z対策本部、
略称「Z対」はそんな組織の一つである。この組織の存在を知るものは、
防衛庁でもごくわずかな人間のみであった。そして彼の管轄する第三研究班
はその中でも最高度にしてある種異端とも言える研究を行っている部署であり、
同じZ対の人間ですらその活動内容を知らないという部署である。

 「例のプロジェクトに相応しい人間がいたんですよ、この駐屯地にね。
身体機能に精神力、どれをとっても彼女以外に相応しい者はいませんよ」
413ナナシマン:03/01/25 01:03 ID:D07FO8BJ
 そう言って堀内は「身体歴」と呼ばれるファイルを取り出した。この
身体歴というのは、簡単に言えば自衛官個人の身体データや運動能力などの
データを記録する書類を綴ったものである。五木はその表紙に貼り付けられた
写真に、思わず目を見張った。

 「これは君・・・僕の昔の教え子の前田君じゃないか」

 「そうです。2等陸尉、前田有紀。私は彼女を『被験体』に推したいと
思ってるんです。見てください、このデータ」

 そう言って堀内が指し示すのは、前田有紀という女性の運動能力テストの
結果を示す書類である。本来彼女は駐屯地の会計課につとめていて、日常の
勤務の大半はデスクワークが主である。だが、彼女の運動能力は図抜けて
いた。同じ駐屯地の婦人自衛官の中でもダントツの成績だったのだ。
 同時に示された婦人自衛官の平均的な成績を示す書類を見比べながら、
五木は各項目それぞれを婦人自衛官の平均と比較する。すると、彼女の成績
はどれも平均を大きく上回っており、男子隊員と比較しても遜色ない
どころか勝っている状態だ。なるほど堀内が彼女を推すのも頷ける話である。
だが、彼女はかつての教え子である。「プロジェクト」の内容を考えると、
とても賛成できる話ではなかった。
414ナナシマン:03/01/25 01:03 ID:D07FO8BJ
 「堀内君・・・他に候補者をあたってくれないだろうか・・・僕には無理
だ。いや、何も前田君だからと言うわけではない。たとえそれが君だったと
しても、僕は引き受けなかったろう。あの研究は正気の沙汰じゃない。自分
の後輩を巻き込むことなど、僕には・・・」

 そう言って、五木はうつむいたまま黙り込んでしまった。そんな彼に対して
堀内は言う。

 「気持ちはわかります。ですが、これは彼女の意志なんです。最初は私も
止めましたよ。けど前田君の意志は固かった」

 「堀内君・・・君は僕に教え子の身体を切り刻めと言うのか?!彼女を
人ならざる者、許されざる命に変えてもいいと言うのか?僕には出来ない!」
415ナナシマン:03/01/25 01:04 ID:D07FO8BJ
 堀内の襟元に掴みかかり、強い口調で訴える五木。その目にはうっすらと
涙さえ浮かんでいる。五木とは長いつきあいだが、堀内はこんな彼の姿を
見たことはなかった。しかし、五木はゆっくりと襟を掴んだ両手を離すと、
堀内に詫びる。

 「すまん堀内君。だが、これが僕の偽らざる気持ちだ。せめて他の誰かを、
強い意志をもつ健康な肉体の持ち主をあたってくれないか?」

 「・・・明日、前田君が大学を尋ねると言ってます。彼女に会って直接
その決意を聞いてみてください。なぜ私が止められなかったか、あなたなら
判ってくれる」

 堀内のそんな言葉を聞き、黙って荷物をまとめて部屋を立ち去る五木。堀内
もまた、そんな彼を黙って見送ることしかできなかった。
416ナナシマン:03/01/25 01:05 ID:D07FO8BJ
 翌日、城南大学。昼下がりのキャンパスをオリーブ色の制服姿もりりしい
一人の婦人自衛官が訪れた。その佇まいは一種異様であり、すれ違う誰もが
振り返る。しかしそんな視線も意に介さず、彼女は一人目的地である「五木
研究室」を目指す。

 「高校の時以来かしら・・・元気かな、五木先生」

 恩師との再会に思いを馳せ、その婦人自衛官〜前田有紀は講堂の中へと
入っていく。教えられた401号室が「五木研究室」だった。階段を小走りに
駆け上がる有紀。彼女は、前日の五木と堀内の遣り取りを当然知るはずはなく、
自分の申し出を五木が拒否したなど知るよしもなかった。
417ナナシマン:03/01/25 01:06 ID:D07FO8BJ
 やがて、有紀は「401号室」というプレートのかかった部屋の前に
たどり着いた。恩師との再会に緊張を隠しきれない有紀は深呼吸すると、
神妙な面持ちでドアをノックした。

 「どうぞ、開いてますよ」

 ドア越しに聞こえた懐かしい恩師の声。有紀はゆっくりとドアを開けると、
部屋の中に入った。その気配を察し、五木は座っていた椅子から立ち上がると
彼女の方に向き直る。

 「先生、お久しぶりです」

 笑顔で挨拶する有紀。しかし、五木の表情は硬く、そして曇っている。
開口一番彼はこう言った。

 「前田君。悪いんだが今の僕には君との再会を喜ぶ気にはなれないよ。
しかし何だって君は・・・」
418ナナシマン:03/01/25 01:07 ID:D07FO8BJ
 恩師である五木が反対することは、有紀には判っていた。だが、有紀には
どうしてもプロジェクトの被験体を志願する理由があった。

 「先生が反対することは判ってました、私。でも、私にだってそれなりの
理由があるんです」

 真剣な表情で五木を見つめる有紀。その強い眼差しに、五木の心が揺らぐ。
彼は最初、有紀がなんと言おうとも被験体になることを止めるつもりでいた。
だが、彼の中で「話くらいは」という気持ちが芽生え始めていた。とりあえず
理由くらいは聞いてやろう、説得はそれからで良い。それはかつて五木が高校
で教師をしていた頃からの教え子への接し方だった。

 「いいだろう。前田君、話を聞かせてくれ」

 そして有紀は五木に、自分が被験体を志願する理由を語った。
419ナナシマン:03/01/25 01:08 ID:D07FO8BJ
 話は彼女が高校を卒業してすぐの頃に遡る。既に卒業後、地元の企業に就職
するつもりでいた有紀は、初めての面接で内定を得る事が出来た。地元でも
知られた中堅企業の面接の際、彼女の誠実な人柄が担当者に好感触を与えた
結果だった。

 来春からの採用内定に心を躍らせながら、有紀は家路を急いだ。ところが
その道すがら、彼女は見てはならない光景を目にしてしまったのだ。それは
後に彼女が敵と見なす事となる悪の秘密結社、ゼティマの作戦行動であった。
世界的な物理学の権威と言われるある科学者とその家族を拉致しようとする
その現場に、有紀は出くわしてしまったのだ。恐ろしくなった有紀はすぐさま
逃げるようにその場を後にしたが、不幸にして彼女の姿はゼティマの戦闘員に
目撃されていたのだ。
 
 その次の日、彼女を悲劇が襲った。登校日を終えて学校から帰宅すると、
家の中がめちゃくちゃに荒らされているではないか。そしてリビングで彼女
が見たものは、血の海の中に横たわる家族の亡骸であった。ゼティマが
証拠隠滅を計るべく彼女の家に侵入し、家族を皆殺しにしたのだ。その後、
警察の懸命の捜査にも関わらず犯人の特定には至らなかった。しかし、有紀は
現場である言葉を耳にしていた。
420ナナシマン:03/01/25 01:09 ID:D07FO8BJ
 『お前の頭脳を我らがゼティマのために生かして貰おうか』

 これは、科学者の拉致を指揮した異形の者〜ゼティマの改造人間が科学者に
対して言った言葉である。敵の名は−ゼティマ−、その事だけが彼女の心に
深く刻まれた。

 やがて彼女はこの秘密結社と戦うために自衛隊に入隊することになる。
警察官になった方が早道だと最初は思ったのだが、遅々として進まない捜査に
いらだちを憶え、被害者として警察組織の能力に限界を感じてしまったからだ。
日本にあって唯一の武力集団である自衛隊なら、来るべき戦いの時、その舞台
において復讐を果たすことも出来ると考えたのだ。

 だが、自衛隊に入隊してからも彼女は組織の限界を思い知らされること
になる。読者諸兄もご存じの通り、自衛隊という組織の存在意義は微妙な土台
の上に成り立っている。その根元は「違憲か合憲か」という論争が常に
繰り広げられている、憲法解釈の問題である。海外に国連軍の一員として派遣
が決まれば、隊員の護身のために銃は何挺までならいいとか、機関銃二挺は
憲法違反だの些末な政治論争の間で揺れ動き、派遣される隊員の生命の安全に
ついては全く保証されない。また、たとえ近隣で災害のために生命の危機に
晒される人々がいても、自衛隊が率先して行動することは許されない。あくま
でも県市町村の要請の元行動しなくてはならないのである。仮に気骨ある
指揮官が訓練の名目で出動し「たまたまその現場に遭遇して」これらの人々
の生命を助けたところで世論は彼らを認めたりはしない。むしろ「戦争への
第一歩」などと非難されるのがオチである。

 政治や思想の狭間で窮屈な思いをしているこの組織に、果たしてどうやって
国民の安全を守ることが出来るのだろうか。ましてや現実に今、無辜の市民を
一方的に殺戮するような組織が国内で暗躍しているのである。そんな思いを
抱えた有紀が、かつて教官であった堀内に自身の心情を吐露した時に聞かされ
たのが「Z対」だった。
421ナナシマン:03/01/25 01:10 ID:D07FO8BJ
 Z対の存在を知った有紀は止める堀内の言葉も聞かず、第三研究班で秘密裏
に行われている研究の被験体として志願した。

 その研究〜プロジェクトと呼ばれるものの実態、それは「改造人間の開発」
だった。かつて加護博士に師事した五木博士の指揮の下、極秘で回収された
ゼティマ戦闘員の残骸と五木の手元に残された資料を元に開発は進み、ついに
Z対第三研究班による初の人造人間の理論が完成する。

 五木自身、実は妻と子供をゼティマによって殺害されていた。加護博士の
残した研究資料の供出を拒んだ彼に対し、ゼティマは残忍な凶行で報いたのだ。
その日を境に五木は復讐を心に誓い、改造人間理論の完成に心血を注いだ。
そしてZ対設立の中心人物となった堀内と再会し、そこで彼独自の理論を完成
させた。それは従来からの改造人間技術である、人工の強化筋肉・器官による
改造とは異なり、遺伝子レベルでの肉体改造を可能にするというものであった。
 そして後は堀内の提案によって被験体志願者を募り、試験型改造人間を実際
に作るだけと言う段階になったが、五木が有紀の名前を聞かされたのはその時
だった。
 しかし五木は当初、研究の全てを後進の研究者達に託して自ら改造人間と
なるつもりでいた。復讐に生きる「許されざる者」は自分一人でいい、そう
考えていたからだ。しかし、堀内の言葉通り彼の決意は揺らぎつつあった。
422ナナシマン:03/01/25 01:10 ID:D07FO8BJ
 「判った、前田君。だが、君は後悔しないのか?改造手術を受けた君は、
人であることを捨てなければならないんだぞ」

 「判ってます。でも、私にはこれしかないんです。私だって迷いました。
だって私の両親の命を奪い、先生の家族の命を奪った悪の技術ですもの。
でも同じ悪の力を持つ者しか、悪と戦うことは出来ないんです」

 有紀の言葉に遂に観念した五木は黙って頷くと、彼女と二人で講堂を出て、
五木の家へと向かう。そこはゼティマはもちろんのこと、堀内にすら知られて
いない彼だけの研究施設だった。
423ナナシマン:03/01/25 01:11 ID:D07FO8BJ
 海辺に佇む白い家。その地下に、五木の研究の結晶である改造手術施設が
ある。そこは加護生化学研究所の「ライフステージ」に匹敵する手術機器が
ならぶ、個人で作ったとはとても思えないような施設だった。

 「まさか君をここに連れてこようとは思わなかったよ、前田君」

 そう言って五木は有紀の肩を叩き、ひとつ息をつく。彼の心にはまだ、
自分の教え子を改造人間にする事に対する抵抗感があった。だが、それを口に
したところでもう後には引けない。傍らでおもむろに制服の上着を脱ぎ始めた
有紀に五木は黙って青色の検査服を渡すと、別室で着替えるよう促した。

 それからしばらくして、検査服に身を包んだ有紀は手術台の上にいた。既に
麻酔によってその意識はなく、目を閉じたまま彼女は深い眠りの中にいた。
手術台に横たわる彼女の頭上には、五木の改造人間理論の中核となる「遺伝子
操作システム」を構成する機器が配置されていた。ただ、全身の遺伝子を完全
に変化させることは有紀の生命に関わるため、従来の人工器官の導入も併せて
行うことにした。
424ナナシマン:03/01/25 01:13 ID:D07FO8BJ
 五木は検査服に手を掛け、執刀する部位を切り開けていく。当然その下から
は有紀の白い肌が露わになるのだが、彼は出来るだけそれを見ないようにして
頭上の手術機器を執刀部位に下ろしていく。男としての気恥ずかしさ以上に、
彼女の女性としての幸せを奪っていくような、そんな罪悪感があったからだ。

 ゼティマの悪事さえ目撃していなければ、彼女の求める幸せを追うことも
出来ただろう。しかし運命はそれを許さなかった。まさか教え子の柔肌に
メスを走らせ、修羅の道に落とすことになろうとは。鋭利な煌めきが白い肌
に触れ、紅い雫が肌を濡らした時、一瞬五木は手術の続行をためらった。
今ならまだ間に合う。そう思った彼が有紀の身体を覆う手術機器をどかそう
としたその時、うわごとのようにつぶやく声を聞いた。
425ナナシマン:03/01/25 01:16 ID:D07FO8BJ
 「おとうさん・・・おかあさん・・・仇はかならず・・・」

 その声を聞いたとき、五木は決意した。有紀の意志を受け止め、その望み
を叶えよう。教え子の女の幸せを奪う罪を負って、共に修羅の道を行こう。
その瞬間、彼もまた「許されざる者」であることを受け入れたのだ。それは
敵に対する復讐にのみ己の命を燃やす者の生き様であった。


 ためらいも迷いも、今の彼からは消え失せていた。あるのは怒りと憎しみ
だけ。ゼティマに対する怨念をメスに託し、彼は休むことなく有紀の改造手術
に没頭した。手術は終始彼一人によって行われ、最新の設備を整えた施設に
あって結果的に深夜まで及び、宵闇が辺りを覆う頃手術は完了した。

 手術を終えた有紀の身体を生命維持装置へと移し終えると、血の付いた手袋
を脱ぎ捨てた五木は大きく息をつく。装置の中で眠る有紀の表情は穏やかで、
彼女が人ならざる者へと変わったことを一見して見抜く者はいないと思われる
ほどだった。そのことに安堵を覚えつつ、書斎に戻り机に突っ伏した五木は
ゆっくりと目を閉じる。そして二人はそのまま次の晩まで目を覚ますことは
なかった。
426ナナシマン:03/01/25 01:17 ID:D07FO8BJ
 再び辺りを夜の闇が包む頃、書斎を吹き抜ける一陣の風に促されるように
五木は目を覚ました。見回すと、テラスへと通じる窓が大きく開け放たれて
いるではないか。

 「窓を開けた覚えはないんだが・・・」

 怪訝な面持ちでテラスに出る五木。見渡せば夜の海辺を月明かりが照らし、
静かな波の音だけが聞こえてくる。彼はそのまま踵を返して部屋に戻ろうと
したが、背後に人の気配を感じて振り返る。

 するとそこに立っていたのは、人とも怪物ともつかぬ異形の者の姿だった。
月明かりに照らされたその姿は全身緑色で、その顔には大きな複眼と触覚が
あり、そして鋭い牙の生えそろった口をしていた。
427ナナシマン:03/01/25 01:18 ID:D07FO8BJ
 「前田君・・・!」

 その異形の者の姿こそ、夕べ改造人間となったばかりの前田有紀だった。
自らの手によってとはいえ、あまりにも変わり果てたその姿に五木は絶句
した。呆然と立ちつくす彼の目の前に、有紀が歩み寄るとその顔からは
想像もつかないほどの優しい口調で言った。

 「最初見たときはショックでした。感情の高ぶりとともに変わった姿を
見たときはびっくりしちゃって、震えが止まらなかった・・・」

 「そうだろうな・・・」

 あまりにも奇怪なその顔を直視できず、五木は視線を落として言う。
だが、そんな彼を責めないどころか有紀はこう言い放ったのだ。

 「でも、これこそ私の望んだ姿です。私はようやく復讐を果たせます。
両親の仇と、先生の家族の仇を討てる力が手に入ったんですもの」
428ナナシマン:03/01/25 01:18 ID:D07FO8BJ
 そう穏やかに語るとその姿は少しずつ人の姿へと近づいていき、やがて
元の前田有紀の姿へと戻っていった。ただ、変身を解いた彼女は一糸纏わぬ
姿でそこにいたので、五木は慌てて寝室へ向かうとシャツをひっつかみ
有紀の肩に掛けた。シャツのボタンを留める有紀に背を向けたまま、五木は
こんな事を言った。

 「僕も噂にしか聞いたことはないが、この世の中には『仮面ライダー』と
呼ばれる戦士達がいて、人類の自由のためにゼティマと戦っているそうだ」

 そう言うと、再び有紀の方を振り向く五木。有紀はと言えば、すっかり
シャツのボタンを留め終えると、月光を全身で浴びるように佇んでいた。
潮風になびく黒髪と、月明かりに照らされた彼女の横顔。凛としたその
面持ちに秘めた決意を察したか、五木は再び言葉を続けた。

 「そう、彼らも君と同じ改造人間だ。だが、僕達には人類の自由などと
言うお題目は必要ない。共に復讐の道を行こう。君こそ復讐に生きる真の
戦士、『真・仮面ライダー』だ」

 仮面ライダーのマスクは、改造人間の悲しみと悪に対する怒りを秘めた
正義のマスクである。しかし、五木言うところの真・仮面ライダーの容貌は
まさに「悪」そのものと言って良かった。変貌した彼女の姿と言えば、浮き
出た血管や体表に走る筋と鋭い牙をむき出しにした口、そして全身緑色の身体。
仮面ライダーと言うよりも、怪人バッタ女とでも言った方が相応しいほどの
醜悪奇怪な姿である。
429ナナシマン:03/01/25 01:20 ID:D07FO8BJ
 夜のテラスに佇む有紀の姿と、先ほどの異形〜真・仮面ライダーの姿を
重ね合わせてみる。しかしもう迷いは捨てたはずだ、そう自らに言い聞かすと
五木は有紀の隣に立ち、肩に手を添えて言う。

 「前田君、もう夜も遅い。手術を終えた君のコンディションは万全とは
言えないだろう。休みたまえ」

五木に促されて有紀が部屋の中へと戻ろうとしたその時だった。窓際で
ふと立ち止まると、有紀は突然こんな事を口走ったのだ。

 「先生・・・ヤツらの気配がします」

 「まさかゼティマがここを嗅ぎつけた?そんなはずは」

 五木は慌てて周囲を見回すが辺りには人影はなく、この時間に外にいる
のはどう考えても自分たちだけである。

 「いえ・・・この近くじゃありません。もう少し遠く、街の方に」

 そう言って有紀は五木の方を見る。その時、彼女の瞳に不気味な赤い光が
宿っていた。それは感情の高ぶり、遺伝子のざわめきの印。そして次の瞬間、
その身体は見る間に緑色を帯びていき、再び五木の目の前には真・仮面ライダー
が姿を現した。彼女に秘められた超感覚が、仮面ライダーと同様に悪の存在を
察知したのだ。
430ナナシマン:03/01/25 01:21 ID:D07FO8BJ
 「止めても無駄のようだね、前田君。裏のガレージにバイクがある。来るべき
時に備えて用意したものだ。使ったらいい」

 そう言って五木はガレージのキーを放ると、有紀はそれをキャッチして
こう言った。

 「先生。私、宵待草が好きなんです」

 突然の一言。この事態に何故そんな言葉が。しかしその意味が何となく
判ったのか五木はふっと笑みを漏らす。思えば有紀はどこか古風なところの
ある女性だった、そんなことを思い出しながら彼は有紀の姿を見つめていた。

 「もしかして、君は自分が宵待草だと言いたかったのかい?」

 闇夜に咲いた復讐の華は今、時を得て動き出した。有紀はテラスから
飛び降りるとガレージへと駆けていく。そして数分後、爆音と共に赤い光が
滑るように走り出した。五木はテラスに佇んだまま、闇の彼方に消える
テールランプを一人見送っていた。
431ナナシマン:03/01/25 01:22 ID:D07FO8BJ
 バイクを駆り、夜の湾岸道路を疾走する有紀。彼女に与えられた本能の
シグナルは、刻々と近づく敵との戦いの時を告げていた。

 「ヤツらの気配が強くなってる・・・」

 そう呟くと、彼女は更にバイクのスピードを上げる。彼女は確実に目指す
敵に近づきつつあった。時折行き過ぎる車の列をちらりと横目で見ながら、
有紀は敵の姿を求めて走り続けた。



 ちょうどその頃、仮面ライダーのの・辻希美は不意に女性の悲鳴を聞きつけ、
現場である商店街脇の路地裏に駆けつけていた。そこは女性が一人で歩くには
危険な場所である。しかし駆けつけたは良いが、周囲を見回しても何処にも女性
の姿がない。不思議に思った希美はさらに周囲を隈無く捜してみると、電柱の
脇に積み上げられたゴミ袋の山に埋もれた女性の死体を発見した。女性は
のど元をかみ切られたのか、夥しい出血が首の辺りに見られる。恐る恐る首
の辺りを触れてみると、血の滴るのど元は深々と食いちぎられていた。あまり
にも無惨な姿に、思わず目をそらす希美。

 「うっ・・・誰がこんなことをしたんれしょう」

 その様は彼女が戦ってきた改造人間の仕業にしてはあまりに惨たらしい。
しかし、人間離れした殺し方は改造人間の仕業であることを疑うには十分で
ある。まだ犯人は辺りにいるかも知れない、そう考えた希美は路地裏の隅々
に視線を巡らせる。と、その時だった。
432ナナシマン:03/01/25 01:23 ID:D07FO8BJ
 「シャーッ!!」

 奇声をあげて何者かが頭上から飛び降りてきた。希美は間一髪それを
かわしたが、希美を襲った謎の生物は更に攻撃を加えるべく体勢を整え、
今にも飛びかからんばかりに希美を凝視する。謎の生物と希美の視線が
交錯した時、彼女は敵の姿をハッキリと捉えることが出来た。月明かりに
照らされたその姿は、やはりゼティマの改造人間だった。だが、これまで
の敵とどこか違う。強いて言えば随分と初歩的というか、従来の改造人間
のような動物の特殊能力や武器の威力を前面に押し出した姿ではなく、
単純に人の姿をした生物と言う印象だった。彼女の目の前に立っている
改造人間は、同じバッタの改造人間ながら仮面ライダーの一歩手前、と
いう印象を与えた。いわば「バッタ男」と言ったところか。

 「お前は仮面ライダー・・・なわけはないれすね」

 「シャギャー!!」

 どうやらバッタ男には人間としての知性は存在しないようだ。一度女性
をその毒牙にかけた後、さらなる獲物を求めて塀に張り付き、待ち伏せして
いたのだ。
433ナナシマン:03/01/25 01:24 ID:D07FO8BJ
 「グァーッ!」

 牙をむき出しにしてバッタ男が飛びかかる。今までの改造人間にはあまり
見られなかった敏捷さに翻弄され、希美は防戦一方になっていた。変身する
事が出来れば敵と互角に渡り合うことも可能なのだろうが、本能のままに
襲いかかるバッタ男の動きは予測不可能で、いつしか希美は袋小路に
追い込まれてしまっていた。

 「くっ・・・まずいれすよ、これは」

 背後に壁を背負い、絶体絶命の危機に陥った希美。しかし次の瞬間、彼女は
思いがけない光景を目にする。


 突然前方から爆音と共にまぶしい光が迫る。その音と光に気づいたバッタ男
が振り返ったのとほぼ同時に、何者かがバッタ男に飛びかかった。前方から
迫ってきた光はバイクのヘッドライトだった。バイクはそのまま激しい音を
立てて横転し、光は乱入者とバッタ男の姿を映し出した。なんと、そこにいた
のは二人のバッタ男の姿だったのだ。
434ナナシマン:03/01/25 01:24 ID:D07FO8BJ
 「今のうちに早く逃げなさい!」

 バッタ男に飛びかかって馬乗りになったバッタ男が希美に叫ぶ。しかし、
その声は女性の声だった。希美は突然加勢に入ったバッタ男、いやバッタ女に
助けられる形で袋小路を脱すると、今度はバッタ女を加勢するためにすかさず
変身のポーズを取る。その間もバッタ女とバッタ男の攻防は続き、馬乗りに
なったバッタ女は鋭い爪を高速振動させる「ハイバイブネイル」でバッタ男を
突き刺すと、組み敷かれたバッタ男も緑色の体液を飛び散らせながら応戦し
バッタ女の脇腹にパンチを繰り出している。異形の者が殴り合う鈍い音が通り
に響く。

 「はっ!やっ!!」

 「シャーッ!!」

 組み敷いたバッタ男にパンチを落とすバッタ女。対するバッタ男も鋭い爪で
攻撃し、度々その脇腹には敵の爪でえぐられて傷が出来る。しかし、驚くべき
事にその傷には瞬時に瘡蓋のようなものが出来たかと思うと、あっという間に
剥がれおち、傷が治癒しているのだ。
435ナナシマン:03/01/25 01:25 ID:D07FO8BJ
 「変身!」

 希美の身体から迸る閃光。そしてその姿は瞬時に仮面ライダーののの姿へと
変わった。ライダーののがバッタ怪人同士の戦いに割って入ろうと駆けつけた
時には攻守逆転しており、バッタ女が頭上からのバッタ男の攻撃に苦しめられ
ていた。その様子を見たライダーののはすかさずバッタ男を引き離すと、
パンチの嵐をお見舞いする。

 「ギィィィッ!」

 悶絶するバッタ男。パンチを食らってよろめいたところに、背後に待ち受け
ていたのはバッタ女だった。バッタ女はそのままバッタ男の腕を取って逆手に
捻りあげると、もう一方腕の腕の刃、四肢から伸びる「スパインカッター」で
二の腕に一撃を見舞うとこれを切り落とした。

 「ギャアアアアアア!!」

 腕を押さえ苦痛にもがき苦しむバッタ男。敗色濃厚と見るや敵は這々の体で
敗走を開始した。だがここで逃がすわけにはいかない。敵を追って駆け出した
ライダーののはジャンプ一番、敵の背後から必殺の一撃を見舞う。

 「ライダーキィーック!」

 後頭部の辺りにライダーキックを受けたバッタ男は、はじき飛ばされたかの
ように頭から壁に叩き付けられて絶命した。高所から落とした果実のように
ぐちゃぐちゃに変形した頭部から、脳漿と思しきゲル状のものがドロリと流れ
出る。やがてその亡骸は見る間に分解されて消滅した。
436ナナシマン:03/01/25 01:28 ID:D07FO8BJ
 戦いを終え、変身を解いた希美はバッタ女に話しかける。彼女にとって
少なくともバッタ女は敵ではいと判断できたからだ。

 「あなたは、改造人間なんれすか?」

 「そうね。私もまた、ゼティマに戦いを挑んだ戦士の一人」

そう言ってバッタ女〜有紀は希美の方を見る。有紀は更に言葉を続けた。

 「私の生みの親はこう言ったの。私こそ真の仮面ライダーだ、と」

 「真の・・・仮面ライダー・・・」

 不思議そうな顔で有紀を見上げる希美。だが同じ目的を抱く者ならば
どちらか真のライダーかなど彼女には関係ない。彼女の仲間達もまた
「ライダー」なのだ。同じライダーなら仲間同士に違いない。そう思った
希美は小さな手を差し伸べていった。

 「れも、仮面ライダーならののたちの仲間れすね!」

 しかし、有紀は差し伸べられた手を取ることはしない。そして、彼女は
一言こう言った。
437ナナシマン:03/01/25 01:28 ID:D07FO8BJ
 「私は復讐の定めを負う戦士、許されざる者。あなた達と共に戦う事
はできない・・・でも、夜の闇があなたと私を再び引き合わせるかも
知れないわ」

 そう言い残すと、有紀は再びバイクにまたがり路地裏から走り去って
いった。あの謎の仮面ライダーがいつ再び希美の前に姿を現すかは、今は
判らない。だが、自分たち以外に新たにゼティマと戦う者が存在している
ことが判った。同じ運命を持つ者達は、その道行きの途中に必ず交わる。
今までがそうだったように、そしてこれからもそうあり続けるだろう。
希美はそう信じ、今はただ謎のライダーの姿を見送った。



「許されざる者」 終

438ナナシマン:03/01/25 01:44 ID:D07FO8BJ
 以上、駆け足で全内容を更新完了です。今回の話はあくまでも外伝ですので
本編とは一切無関係です。今後書かれるどの作者さんのストーリーをも束縛
するものではないことを付け加えておきます。

>>名無し天狗さん
 以前の書きこみに確かにありましたね。そのような構想をお持ちのところに
今回の話を書きこんでしまった点につきましては申し訳なく思っております。
お詫びいたしますとともに、ぜひともご自身の構想を形にして書きこまれる
ことを切に期待しています。ストーリーも広がりますし、ぜひ一つ。

>>名無しXさん
 実は龍騎ネタについてはいくつか見かけたんです。特撮板とか。ヲタ
的には自分の話より向こうのが面白いかな、と思ったくらいです。
ですのでシリーズ化については今のところは未定です。それにやるとして
もライダーののは僕一人の看板ではありませんし、難しいところです。
 
439ここで訂正です:03/01/25 01:54 ID:D07FO8BJ
>Z対第三研究班による初の人造人間の理論が完成する。
改造人間の理論、の誤りです。訂正いたします。
440名無し天狗:03/01/25 10:39 ID:Q/BNQLUZ
>名無しんじーさん
赤心少林拳・・・私自身知らないことが多すぎますし、何より資料がない。
(リアルタイムで見たっきり。「梅花の技」も考えたんですけどイマイチ・・・)
それに、皆様は名無しんじーさんの書く少林拳のお話を希望されてるご様子。
ここはやはり、酷なようで申し訳ありませんが、名無しんじーさんのテリトリーを
保存する形で、少林拳の件は辞退させていただきます。誠に相すみませんです。
そのかわり、現在「嵐」の再構想に入ったところです。

>ナナシマンさん
「嵐」は再構想に入ったばかりで(こちらは資料があります。ただ、満足とは言えませんが・・・)
まだ骨組みもなっていません。ただ、嵐は前田有紀&時代はオリジナルにならって江戸時代初期は決定、
五木ひろし氏、堀内孝雄氏、高山厳氏も登場させる予定です。かなりの長丁場になると思いますので、
当分読み手に徹しつつ案をじっくり練って、タイミングを見計らって公表しようと思います。
「真ライダー」の件、私は気にしてません。むしろ感謝してます。有紀の過去が風見志郎を彷彿とさせてて
よかったです。
441名無しんじー:03/01/25 22:07 ID:IP1xjZjm
ナナシマン様
なんとも不思議な世界のお話ですね。真ライダーって見たこと無いので
新鮮で面白かったです。

名無し天狗様
うーん、やっぱり駄目ですか。やっぱり自分でやるのが一番なのかな。
正直、今抱えている二つの話の続編を一本にした話の構想があるので
それで行きましょう。ただ、私も「梅花」がネックになってまして
どうしても思い出せない。何とかなるとは思いますが。
「嵐」期待します。
442名無し天狗:03/01/25 22:29 ID:lDXOX/ws
>名無しんじーさん
ホント申し訳ないです。「嵐」がんばって(←ホントカ?)構想中です。
ただ、ご期待に副えるかどうか・・・。何せ文才がない分際で「書く!」なんて
言い出した私のことですから・・・・・・。
443川o・-・) :03/01/26 23:31 ID:22CGvblz
川o・-・) <保全
444ナナシマン:03/01/27 03:20 ID:5cWoM/I9
>>名無しんじーさん
 実は僕も「真」は見たこと無いんです。とりあえずライダーシンのイメージ
だけで書いた話なので詳細は?なんですよね。実際はバイク乗らないみたい
ですし。

>>名無し天狗さん
 楽しみにしてますよ。できあがったら是非読ませてくださいね。

 今日から「ファイズ」が始まりましたが、龍騎と違ってこのスレのストーリー
に十分組み込めそうな感じではありますね。デザインと変身はビックリですが。
445名無し天狗:03/01/27 03:51 ID:P5zI2pd6
>ナナシマンさん
ぐゎー!!更なるプレッシャー!!まいったなぁ・・・。
もしかしたらツギハギだらけのものになるかも・・・。
446川o・-・) :03/01/27 23:37 ID:ex5j8hSz
川o・-・)<「真」は人間の時は普通のバイクに乗っていますが
      変身後の専用バイク(サイクロンのような物)はないのです
      
      
447名無し天狗:03/01/28 00:21 ID:/BvLkb9g
とりあえず、次の方どうぞ・・・。
448山崎渉:03/01/28 13:54 ID:3mTZ7UF2
     ∧_∧
ピュ.ー (  ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎                      山崎渉 
449名無し天狗:03/01/28 18:25 ID:kWF7KPe8
>>448
お前じゃないわぃ!この邪魔者が!!
450世直し一揆:03/01/29 14:19 ID:AFofeoHt
<血液型A型の一般的な特徴>(見せかけの優しさ・もっともらしさ(偽善)に騙され
るな!)
●とにかく気が小さい(神経質、臆病、二言目には「世間」、了見が狭い)
●他人に異常に干渉し、しかも好戦的・ファイト満々(キモイ、自己中心)
●自尊心が異常に強く、自分が馬鹿にされると怒るくせに平気で他人を馬鹿にしようと
する(ただし、相手を表面的・形式的にしか判断できず(早合点・誤解の名人)、実際に
はたいてい、内面的・実質的に負けている)
●本音は、ものすごく幼稚で倫理意識が異常に低い(人にばれさえしなければOK)
●「常識、常識」と口うるさいが、実はA型の常識はピントがズレまくっている(日本
の常識は世界の非常識)
●権力、強者(警察、暴走族…etc)に弱く、弱者には威張り散らす(強い者に弱く
、弱い者には強い)
●あら探しだけは名人級(例え10の長所があってもほめることをせず、たった1つの短所を見つけてはけなす)
●基本的に悲観主義でマイナス思考に支配されているため性格がうっとうしい(根暗)
●一人では何もできない(群れでしか行動できないヘタレ)
●少数派の異質、異文化を排斥する(差別主義者、狭量)
●集団によるいじめのパイオニア&天才(陰湿&陰険)
●悪口、陰口が大好き(A型が3人寄れば他人の悪口、裏表が激しい)
●他人からどう見られているか、人の目を異常に気にする(「世間体命」、「〜みたい
」とよく言う)
●自分の感情をうまく表現できず、コミュニケーション能力に乏しい(同じことを何度
も言ってキモイ)
●表面上意気投合しているようでも、腹は各自バラバラで融通が利かず、頑固(本当は
個性・アク強い)
●人を信じられず、疑い深い(自分自身裏表が激しいため、他人に対してもそう思う)
●自ら好んでストイックな生活をし、ストレスを溜めておきながら、他人に猛烈に嫉妬
する(不合理な馬鹿)
●執念深く、粘着でしつこい(「一生恨みます」タイプ)
●自分に甘く他人に厳しい(自分のことは棚に上げてまず他人を責める。しかも冷酷)
●男は、女々しいあるいは女の腐ったみたいな考えのやつが多い(例:「俺のほうが男
前やのに、なんでや!(あの野郎の足を引っ張ってやる!!)」)
451a:03/01/29 14:23 ID:s8WK8Hnx
452ナナシマン:03/01/29 14:56 ID:RI1+k2ux
 雪のため船が欠航し、今日一日帰れなくなってしまいました。今は鹿児島
市内のカフェからです。

>>名無しスターさん
 遅レスで申し訳ありません。
 ご自分のペースでゆっくりどうぞ。マターリ楽しみにしてます。姉弟の行方
や超人なソニンの謎とか。

 そういえば、「全怪獣怪人」上下巻が2002年までのタイトルを加えて
「全怪獣怪人大辞典」として刊行されるようです。上巻「東映編」、中巻
「東映・円谷編」、下巻「特撮TV・他社編」の全三巻に分かれ、内容も
「仮面ライダーシリーズ」「スーパー戦隊シリーズ」「ウルトラマン
シリーズ」などのようにカテゴライズされているみたいですよ。収録点数
はなんと9000体。そんなにいたんですね、怪獣・怪人って。
453名無し天狗:03/01/29 15:58 ID:O0I1otnC
>ナナシマンさん
どうかお気をつけてお帰りください。この時期何かと厄介ですから・・・。
ところでその大辞典、発売はいつごろになりますか?
454名無し娘。:03/01/30 00:18 ID:nlMMw8Hy
誰か第1話〜現在までのあらすじと詳しいキャラ紹介を書いてくれませんか?
455ナナシマン:03/01/30 11:55 ID:+vTrC37q
 ようやく帰れました。

>>名無し天狗さん
 書店での店頭予約受付について上巻が2月、以下各巻一月ごとに受付だった
と思います。ただ、何故か広告には出版元が明示されてなかったんですよね。
もしかしたら広告については書店側で準備したコピーかも知れません。

>>名無し娘。さん
 今晩のうちにざっとしたものなら書けると思います。前スレのV3が未だに
html化されていませんので、その辺りになってくるとログも手元にないので
少々心許ないものになりますが。
456名無し天狗:03/01/30 13:05 ID:D/SmyfhC
>>455ナナシマンさん
予約ナシで書店で直接買うということは
できないんでしょうか?バカな質問でスイマセン。
457名無し娘。:03/01/30 15:19 ID:ivyDn/Be
>ナナシマンさん
ありがとうございます!
楽しみにしてます。
458これまでのあらすじ:03/01/31 09:50 ID:m5/R7gjz
小説「仮面ライダーのの」編


 辻希美は親友加護亜依共々原因不明の火災に遭い、半年間昏睡状態にあったが
亡き友の祖父である加護博士の手によって「改造人間」として甦った。亜依が
残した唯一の手がかり、「ZETIMA」と書かれた一枚の布きれを手に希美は復讐を
誓う。

 その後、希美は現在では少女達のよき理解者である中澤裕子に拾われる。
そしてたまたま訪れた公園で希美は鼻にピアスをした女、石黒彩と出会うが、
「人造人間」後藤真希〜ハカイダーの暴走に端を発する組織の変容に際して脱走
した裕子に対し、義妹である矢口真里を人質に取られていた彩は組織の手先と
なることを余儀なくされていた。そんな二人のいきさつと、自らの憎むべき敵
ゼティマの片鱗を知ることになった希美。そして訪れた最初の戦いにおいて、
怪人クモ男を前に遂に希美は改造人間の本領を発揮すると、仮面ライダーのの
としての最初の戦いに勝利した。

 謎の連続少女殺害事件が巷を騒がせていた頃、希美と彩は連れだって公園へ
出かけたが、彩はそこで謎の少女市井紗耶香と出会う。ライダーののによって
倒されたクモ男の後釜として組織から派遣されたと言う紗耶香は、彩の裏切り
を知ってか彼女の揺れる心に鋭く釘を刺すのだった。
 同じ頃、仲間を求めて旅を続けていた二人の少女がいた。ひとみと梨華、
二人はゼティマを倒すためにつんく博士、加護博士に作られた「人造人間」で
あった。自分たちの研究が悪用されるような事態に備えて生み出されたのだ。
 一方、中澤家のリビングには、さらわれたはずの真里がいた。彩と涙の再会
のさなかに真里の口から出た言葉から、彩は彼女を救ったのが紗耶香だと察知
する。
 その頃ゼティマの支部施設では、暴走し行方をくらませていたハカイダー・
マキが姿を見せ、怪人ゴキブリ男と対峙していた。キカイダーとの戦いを望む
するハカイダーだったが、突如姿を現したカメレオン男によって回収されて
しまう。
459これまでのあらすじ:03/01/31 09:51 ID:m5/R7gjz
 舞台は変わってアマゾンの奥地。この辺境の地にさえゼティマの魔手は
伸びてきていたのだ。秘宝ギギの腕輪とガガの腕輪を狙うワニ獣人に
率いられた軍団が村を焼き討ちにする最中、新たな戦士が誕生した。彼女の
名はケイ。育ての親である老人から託された秘宝の力で異形の戦士、後の
仮面ライダーアマゾンに変身した彼女は獣人達を撃退すると、村人達の仇を
討ち、悪の野望を阻止するべく日本へと向かった。

 一方アメリカでも新たなる仮面ライダーが誕生しようとしていた。宇宙研究
施設『E&S』に所属する飯田圭織は宇宙への夢のために自ら惑星開発用改造
人間に志願し晴れて改造人間となったが、自分の意志で変身できない圭織は
悪戦苦闘する。そこへ怪人カイザーグロウが現れて職員達を惨殺。変身も
ままならぬまま戦いを挑んだ圭織だったが、敵に歯が立たない。しかし、親友
リンネの死に改造人間としての力に目覚めた圭織はスーパー1に変身。自ら
「仮面ライダースーパー1」と名乗ると、戦いの末に怪人を撃破した。
460これまでのあらすじ:03/01/31 09:53 ID:m5/R7gjz
「仮面ライダーののU」編


 内浦湾を走る観光船を奇戒人ガンガル率いるゼティマの軍団が乗っ取った。
乗客を改造人間の素体にするためだ。しかし、悲鳴が響き渡る船内に突如謎の
女戦士、電波人間タックルが現れて乗客を救うべく戦いを挑むが敵わず、彼女
は囚われの身となってしまった。と、そこへ突如一人の少女が自らボートを
駆って体当たりを敢行。安部なつみと名乗った少女は乗客を怪人の魔手から
救ったが、タックルはそのまま敵に拉致されてしまった。
 自らのバイク「カブトロー」を駆り、なつみはタックル〜木村麻美を救う
ために敵の待つゼティマドームへと突入。仮面ライダーストロンガーとなった
彼女は戦いの末にガンガルを葬り去り、さらなる戦いを心に誓った。

 一方、ごく普通の日曜日の朝をぶちこわしにする事件が発生する。ゼティマ
の下部組織「テンタクル」に洗脳された近所の和田さんが、幼稚園バスを
乗っ取る事件が発生したのだ。バイトへ向かう途中に事態を知った真里は人目を
忍んで星雲仮面マシンマリに変身。実は彼女は異星人であり、研究のために
立ち寄った地球に素性を偽って滞在していたのである。マシンマリは事件の
主犯格であるドリル男を撃破し、和田さんを改心させて街の平和を守った。

 そんな頃、ひとみと梨華は未だ旅を続けていた。仲間と巡り会うことが
出来ないまま、二人は自分たちだけで戦おうとしていたが、同時にそれは時を
同じくして生まれた兄弟たちとの戦いを意味していた。戸惑い悩む二人の人造
人間。しかし、突然の悲鳴が二人を戦いに駆り立てる。そこに待っていたのは、
囚われた一人の女性〜稲葉貴子と、彼女たちと同じ人造人間だった。
 グレイサイキングとの戦い、それは彼女たちが悩み苦しんでいた兄弟との
戦いに他ならなかった。そして戦いを終えたとき、あのハカイダー・マキと
プロフェッサー・ギルが姿を現した。ギルの手によってつんく博士の脳を
頭部に頂く黒い戦士とギルが奏でる「悪魔の笛」の笛の音に苦しむひとみ
だったが、駆けつけたライダーののによってハカイダーは撤退を余儀なくされ、
ここに少女達の運命が交わったのである。
461これまでのあらすじ:03/01/31 09:55 ID:m5/R7gjz
 謎の声に導かれ、ゼティマの怪人ナメクジ男から一人の少女を救った希美
は、彼女に連れられて「加護生化学研究所」に再び足を踏み入れた。主を
失ったはずの研究所は何故か手入れが行き届いており、少女やそこに働くメイド
達は希美のことを何故か知っていた。いぶかしがる希美に再び聞こえてきた
謎の声。希美は梨華美と名乗る少女とともにたどり着いたライフステージと
呼ばれる部屋で、驚くべき光景を目撃する。死んだと思われていた亜依が、
脳と意識だけの状態だが生存していたのだ。復活のための手術は成功したが、
二人はナメクジ男に尾行されていた。物理攻撃の通じない敵に苦戦するのの
を救ったのは、手術に無事成功し復活を遂げた亜依だった。彼女の機転で
怪人は消滅、再会を果たした二人は共に戦うことを誓った。
462これまでのあらすじ:03/01/31 09:59 ID:SywHfwyH
 素性を偽って地球に留まっていた真里。そんな自分に深い愛情を注いで
くれる義理の姉、彩。彼女を守るために真里は地球への滞在を続けてきたが
遂に二人の平穏なひとときが悪の手先によって破られてしまう時が来た。
卑劣にもゼティマは彩のピアスに発信器を取り付け、その居場所を掴んで
いたのだ。そして、彼女を追って怪人ハサミジャガーが現れた。変身して
怪人に立ち向かう真里だったが、この強敵の前には全く無力だった。
ズタボロにされた彼女が生命の危機に瀕したとき、身を挺して守ったのは
義姉である彩だった。そして希美と亜依が帰った頃、家の中は文字通り
血の海と化していた。その中に身を横たえた真里は二人の少女の前で復讐の
力を望んだ。
 車を飛ばし真里を生化学研究所へと移送する裕子。そして遂に真里の改造
手術が始まる。改造手術に対する葛藤と命を救うための懸命な思いが交錯
しつつも手術は終了したが、その数日後ゼティマの怪人ハサミジャガーと
カメバズーカによって原子力発電所が襲撃される事件が発生。すぐさま希美
と亜依が駆けつけて人質を救出しようとするが怪人達に阻まれてしまう。
しかしそこへ真里が姿を現し、力と技の仮面ライダーV3に変身。宿敵
ハサミジャガーとの戦いを制すると、ダブルライダーもカメバズーカを倒す。
やがて三人は死んだと思われていた彩が謎の少女ミカ・トッドによって
助けられていた事を知る。新たな力を得た新戦士V3と共に、少女達は共闘を
誓い合った。
463登場人物のおさらい:03/01/31 10:00 ID:SywHfwyH
登場人物 1:戦いに身を投じた運命の少女達
(ライダーののUに掲載されたものの改訂版)

辻希美
 仮面ライダーののに変身する。 倉庫での火災により瀕死の重傷をおうが、
加護博士の手により 失った部分を人口物で置き換え、加護亜衣の皮膚を
移植され生まれ変わる。必殺技はライダーののキック、きりもみシュート
など。本編の主人公である。

加護亜衣
 辻の親友。辻と同じく倉庫での建造物落下により瀕死の重傷を負う。
加護博士により、新しい体を組成されしばらく脳だけになって研究所の地下
で眠っていた。 新しい体を得て復活するが、自らの願いにより辻と梨華美の
手により改造され仮面ライダーになる。その頭脳は加護博士の全ての知識、
経験、技術をインプットされている。必殺技はライダー卍キックなど。

ひとみ
 加護博士、つんく博士により作成された人造人間キカイダー。 いつも背に
ギターを背負っている。不完全な良心回路を持つため、プロフェッサーギル
の笛の音を受けると善と悪の心の葛藤に悩まされる。必殺技は両手をクロス
して放つデン・ジ・エンド 。

梨華
 ひとみと同じく加護博士、つんく博士により作成された人造人間で、常に
ひとみと行動を共にしている。ビジンダーに変身するが、実はその体内には
爆弾が埋め込まれている。ひとみより3ヶ月先に完成していたため、試作品
ながら完成された良心回路を持つ。必殺技はビジンダーアロー、ビジンダー
レーザー。
464登場人物のおさらい:03/01/31 10:01 ID:SywHfwyH
保田 圭(ケイ)
 祖父とともに、南米アマゾンで暮らしていたがゼティマの襲撃をうける。
その際、祖父の隠し持っていた腕輪とベルトを身につけ、その力により
仮面ライダーアマゾンに変身する。ゼティマを倒すため日本にやってきたが
初上陸にして誤解が元でスーパー1と戦いを演じることになってしまう。
必殺技は大切断。


飯田圭織
 宇宙研究施設E&Sの研究員。惑星開発用改造人間計画に自ら志願し、
ヘンリー博士、同僚のりんねの手によりコードネームスーパー1に改造
される。が、研究所はゼティマに破壊され博士、りんねは死亡。その復讐
と世界平和のため仮面ライダースーパー1を名乗る。 必殺技はスーパー
ライダー月面キック、ファイブハンド。


安倍なつみ
 ゼティマに親友を殺され、その復讐の為にゼティマに捕まりわざと
改造手術をうけ、カブトムシの強靭な筋肉と発電機をうめこまれて
仮面ライダーストロンガーになる。同じく改造手術を受けた少女あさみ
こと電波人間タックルを助け共に行動していた。 必殺技は電キック、
反転ブリーカーなど。
465登場人物のおさらい:03/01/31 10:02 ID:SywHfwyH
矢口真里
 石黒の義妹。ゼティマに人質となって捕まっていた。その正体は宇宙
からやってきた異星人であり、身分を偽って地球に滞在し星雲仮面
マシンマリとして悪と戦っていた。だが怪人ハサミジャガーに瀕死の
重傷を負わされ、辻と加護の手によって仮面ライダーV3として復活する。
必殺技はきりもみ反転キック、遠心キックなど。


紺野あさ美
 友人達と訪れていたキャンプ場でガメレオジンの無差別殺戮に遭遇。
仲間達の命を守るために単身戦いを挑むが破れ、その命は風前の灯火と
思われていた。しかし加護生化学研究所の最新技術による改造手術で
一命を取り留め、スカイライダーとなった。必殺技はスカイキック、
大反転スカイキックなど。


高橋 愛
 ゼティマに襲われ、父の命をかけた改造手術によってXライダーと
なった。自在に姿を変える武器「ライドル」を手に、悪に敢然と
立ち向かう。クモナポレオンとの戦いにおいて敗北した後、真里と
ミカの手によって「パーフェクター」を取り付けられ驚異のパワー
アップ「大変身」を可能にした。必殺技はXキック、ライドルによる
攻撃に加えてパワーアップ後は真空地獄車を会得。


ミカ・トッド
 元ゼティマの天才科学者。裏切り者のぬれぎぬを着せられて硫酸の
プールで処刑されそうになるが、仲間によって助けられる。しかし
右腕は壊死してしまい機械の腕「カセットアーム」になってしまった。
その力を駆使してライダーマンに変身する。生身に近い身体なので
直接戦闘は不得手だが、カセットアームによる攻撃で他のライダーを
サポートする。
466ナナシマン:03/01/31 10:13 ID:0YN8hU8v
 続きは今日2ちゃんねるビューワの契約が終わり次第、完成分と照合の上で
書き込みます。それまでしばらくお待ち下さい。
467名無しんじー:03/01/31 11:05 ID:F+yHi4Ag
お疲れです。ナナシマンさんの負担を少しでも減らしましょう。

仮面ライダーののバイクロッサー編あらすじ

インテリアショップを営む村田めぐみと大谷雅恵、2人は事故で両親がいない。
ある日、突然聞こえて来た声の主により2人はバイクロッサーの力を授かる。
声の主は海蛇座第V星団の守護神ペガサス、ペガサスは2人に
今地球は悪の手により危機に瀕していると告げる。2人は戦いを決意する。
最初に出会った悪は「デスター」、だが2人は戦いを通して出会った仲間に
両親の死は事故ではない事を知らされた。更に真の敵の存在も・・・
2人はその敵を倒すべく、新たな仲間と共に真の戦いを挑むのであった。
468名無しんじー:03/01/31 11:22 ID:mO+zIt9/
バイクロッサー編主な登場人物

村田めぐみ 
バイクロッサーメグミの能力を持つ、武器としてクロスブレードと
バスタークロスを持つ。更に専用マシーンにメグミローダーがある。

大谷雅恵
バイクロッサーマサエの能力を持つ、武器としてスリングクラッシャーと
クロスシューターを持つ、更に専用マシーンにマサエクロンがある。
マサエクロンはバイクロッサーの必殺武器ブレーザーカノンとして使用。

斉藤瞳
2人の幼馴染、現在は2人のお隣で何でも屋を営む。
2人がバイクロッサーである事を知り協力、戦いに身を投じる。
両親は現在何かの組織を調べる為に家を開けている。

柴田あゆみ
両親の死後、2人が引き取られた施設で出会う。その頃から姉妹の様な関係。
現在は斉藤の会社で唯一の従業員。斉藤と同じく2人に協力。
また合気道の達人でもあるが力不足を感じ修行中。
469名無しんじー:03/01/31 11:38 ID:E7QM//Bs
上原学園長
村田、大谷、柴田のいた施設の園長。3人が一番尊敬できる人物で
よき相談相手でもある。

斉藤大吉
斉藤の父親。現在とある組織について調べる為、妻を連れあちこち飛び回る。
その組織が何なのかは現在は不明である。(しばしお待ちを)
また、村田、大谷にとっても父親の様な存在である。

中澤家の人々
こちらは本編解説を見て下さい。

以上がバークロッサー編解説です。
それではナナシマンさん本編解説の続きよろしくです。
470これまでのあらすじ:03/01/31 18:56 ID:bQ+Qwu3H
「仮面ライダーののV3」編


 戦いの疲れをいやすために連れ立ってキャンプ場にやってきた少女達は、
そこでゼティマの新怪人「ガメレオジン」の凶行に遭遇する。やがて怪人に
戦いを挑み死に瀕した少女、紺野あさ美の命を救うために、生化学研究所へと
連れ帰った少女達はあさ美に改造手術を施す。スカイライダーとして生まれ
変わったあさ美は怨敵ガメレオジンを倒し、少女達と共にゼティマと戦うこと
を決意した。

 一方、アメリカから帰国を果たした圭織は、怪人が残した言葉を手がかりに、
仮面ライダーという戦士を捜すことにした。既に先行して日本へ送っていた専用
のバイク「ブルーバージョン」を取りに向かった駐車場への道すがら、彼女は
奇妙な出で立ちの女性〜ケイとすれ違う。一瞬交錯した視線に強い戦いへの意志
を感じた圭織は、確信めいた思いを胸に彼女の姿を見送った。
 ある晩のこと、ケイはゼティマの一団と遭遇する。彼女は叫びと共にアマゾン
ライダーに変身するとすぐさま戦いを挑んだが、勝ち気にはやったアマゾンは
敵を率いるクモ獣人の思わぬ戦闘力に苦戦を強いられる。危機に瀕したその時、
ケイは謎の声を耳にする。そして真の力に目覚めたアマゾンはクモ獣人を圧倒し
必殺の大切断で敵を仕留めた。
 そんな戦いの舞台に足を踏み入れた圭織は、血まみれになって佇むアマゾンの
姿を敵と誤解してしまい、やがて二人は戦いを演じることとなってしまった。
最後の一撃を放とうとする両者をダブルライダーが制して両者の誤解は解けたが、
その時恐るべき力が4人を襲うと、一人の少年が姿を現した。「ン=ダグバ=ゼバ」
と名乗る少年の巨大な力の前に4人は手も足も出ず、去っていく彼の姿を見送る
事しか出来なかった。
471これまでのあらすじ:03/01/31 18:57 ID:bQ+Qwu3H
 名勝東尋坊を訪れたなつみとあさみの二人は、ゼティマに追われる父娘を
助ける。男は高橋教授、娘の名は愛と言ったが、娘の愛は既に致命傷を負い命の
危機に瀕しており、高橋自身も傷を負っていた。なつみとあさみに助けられる。
 高橋は秘密の研究所に娘を運び込むと、愛する娘の命を救うために改造手術を
施すことを決意する。
 一方なつみに加勢するために飛び出したあさみだったが、やがて海岸に横たわる
なつみの姿を見つけた。二人を追っていたゼティマの怪人ネプチューンによって
海中に引きずり込まれたなつみ〜ストロンガーは、怪人の溶解泡によって腕に
ダメージを負い、変身不能の状態に陥っていた。
 そこへ再びネプチューンが出現し二人は危機に陥るが、そこへ現れたのは
改造手術を施された愛だった。そして彼女はかけ声と共に変身すると、Xライダー
となって怪人に戦いを挑むとこれを撃破し、なつみ達の危機を救った。そして
三人は「加護生化学研究所」を目指して旅を続けるのだった。

 ビジンダー・梨華の身体には秘められたある秘密があった。実は彼女の体内
には爆弾が内蔵されており、それはブラウスのボタンを外すことによって作動
するというのだ。何も知らない少女たちは梨華に入浴を強要するが、幸いにも
ケイが風呂を壊してしまい事なきを得る。
 組織との戦い、それは共に生を与えられた兄弟たちを傷つけること。戦いに
悩む梨華の前に新たな人造人間グリーンマンティスが姿を現した。その目的は
白い服の少年〜ダグバの捜索だったが、梨華の姿をみるや行きがけの駄賃と
ばかりに戦いを挑む。兄弟との戦いを躊躇う梨華だったが、悪の陰謀の前に
理不尽に踏みにじられる花の命を前に戦いを決意。最後はビジンダーレーザー
で緑色の刺客を退けた。やがてひとみと落ち合った梨華は、互いが持つ良心
回路の自分なりの意味を知って不完全な自己を受け入れ、迷いを吹っ切ること
が出来た。しかし、そんな二人を見つめる者がいた。それはあの白い服の少年。
一体何を企んでいるのか?
472これまでのあらすじ:03/01/31 18:57 ID:bQ+Qwu3H
 一方、彩と真里は病院で謎の少女ミカ・トッドの正体を知る。彼女は元々
ゼティマの天才科学者であり将来の大幹部の座を嘱望されていたが、ミカの
存在に危機感を抱いたゼティマの大幹部ヨロイ元帥によって裏切り者の汚名を
着せられたのだ。処刑半ばで仲間達に救出され、右腕を失いカセットアームに
交換せざるを得なかった彼女だが、それでもゼティマの正義を信じて復帰を
願っていた。真里はそんなミカと病院で出会い、自身と仲間達が負った運命を
語り共闘を呼びかけたが、その声を聞き入れることなくミカは真里の前から
去っていった。
 そして、かつての仲間ダニエルと再会したミカは、囚われの身となった仲間
レフアの命と組織への復帰を条件に仮面ライダーの殺害を持ちかけられる。
友の命と組織復帰をかけて真里に一騎打ちを挑んだミカだったが、改造人間と
機械の腕を持つ生身の人間とでは全く歯が立たない。そんなミカを目の前に
真里は一計を案じ、自ら捕縛されるとダニエルらの前に姿を見せた。しかしそれは
ゼティマの二大怪人、シーラカンスキッドとオニヒトデの罠だった。そして戦い
のさなか、ミカは自らの右腕に隠された本当の力を知り、ライダーマンとなって
3人ライダーと共に怪人を撃破。夕日に染まる埠頭で4人の少女は共闘を誓い合う。

 その一方で、ハカイダー・マキ出生の秘密が明らかになっていく。二人の天才
科学者によって生み出された反逆の戦士の誕生にまつわる亜依の見た不思議な夢。
それは横たわる漆黒の人造人間と一人の少女の姿だった。人造人間は少女の全てを
受け継ぐはずだった。だが若き科学者の苦悩だけを残し移植は失敗する。悲しい夢
から覚めた亜依は、それが今は亡き祖父の記憶だと感じた。
 その時少女達は悪の気配を察知すると、現場へと直行。そこで亜依が出会ったのは、
あのハカイダー・マキだった。記憶の中の少女、後藤真希と封印されたもう一体の
ハカイダーにまつわるつんくの記憶という不快なノイズを抱えたまま亜依と対峙する
マキ。両者の激しい戦いは双方痛み分けの形で幕引きとなったが、その様子をアジト
から見ていたギルは一人不敵に笑うのだった。
473これまでのあらすじ:03/01/31 18:59 ID:bQ+Qwu3H
 加護生化学研究所を目指してひた走るなつみ達。Xライダーこと高橋愛も加わり、
一行の旅は続いていた。しかし、運悪く交通取り締まりに引っかかってしまい、
その場から逃げ出した三人はちりぢりになってしまう。その道中、あさみは組織を
脱走したという怪人ドクターケイトと遭遇する。連れを伴っていた逃避行だったが
その連れは刺客の手によって命を落としていたのだという。そしてあさみが連れの
怪人の正体と、刺客の名を知ったとき彼女の心に衝撃が走る。連れの名はクモ男、
あろう事か、死んだはずのあさみの父親だと言うではないか。そして、刺客の名は
仮面ライダーのの、目指す生化学研究所にいるという。
 そしてあさみはついに憎き宿敵ライダーのの〜希美と連れの圭織を発見し彼女達
を殺そうとするが、駆けつけたなつみと愛、裕子の口から真実を知り、現れた
ドクターケイトの一団との戦いに臨む。そして必殺技「ウルトラサイクロン」で
ドクターケイトを自らの命と引き替えに倒すと、なつみの腕の中で息を引き取った。

 ゼティマの本部基地で誕生した究極の戦士「パーフェクトサイボーグZX」。
その恐るべき戦士が遂に動き出した。それは襲い来る悪の手先に対して、裕子
が少女達の戦力アップの必要を感じていた矢先の出来事だった。ライダーを
超える究極の戦士が誕生したとき、仮面ライダーは敗北するかも知れない。
そんな裕子の予感は的中し、ZXと遭遇したののとあいはその圧倒的な戦闘力
の前に敗北を喫してしまう。

 同じ頃、ゼティマの本部基地では幹部会議が開かれており、そこで彼らの驚くべき
企みが明らかにされた。少女達を一網打尽にし、再改造手術を施して味方に引き入れ
ようと言うのだ。果たして事は彼らのもくろみ通りに運ぶのか?居並ぶ幹部達の視線
の先には、モニターに映し出されたダブルライダーとZXの姿があった。
474これまでのあらすじ:03/01/31 19:02 ID:ACnupgO1
 ZXはスーパー1とスカイライダーによって辛うじて敗走させることができたが、
希美と亜依は戦いに傷つき生死の境にいた。あらゆる手を尽くしても意識を取り戻せ
ない二人。絶望が支配する中、蘇生のために電気ショックが有効であることに
気づいた裕子は、電気人間であるなつみ〜ストロンガーの電気ショックによって
二人の意識を取り戻させることに成功する。その時希美と亜依はエネルギー還元装置
としてベルトに隠された、二つの霊石の意志を知る。
 しかし、二人が意識を取り戻したのもつかの間、貴子の同僚と名乗る謎の女
信田美帆によって裕子がさらわれてしまった。希美と亜依、二人の身体に
起こった異変の謎。そしてZXと美帆の正体とは?

 静かな住宅街にオープンしたインテリアショップ「ペガサス」。その店を切り盛り
するのは村田めぐみと大谷雅恵の二人だった。幼少の折に火事で家族を失った二人は、
宇宙の守護神ペガサスの啓示を受けて正義の戦士バイクロッサーとなる力を授かった。
だが、倒すべき悪の存在を未だ知らない二人の日常はごく普通に流れていく、はずで
あった。
 しかし、ある時子供達の鳴き声を聞きつけ悪の存在を察知した二人は、公園で子供達
に狼藉を働くデスターの戦闘ロボット、オニガンとその手下ブラックマンを発見。戦い
の末に悪の陰謀を打ち砕いた二人に待ち受ける敵の正体は、果たして?
475これまでのあらすじ:03/01/31 19:03 ID:ACnupgO1
 一方、東京の地下に存在する地底都市デスパーシティに暮らす少女、新垣里沙
は顔見知りの老人五郎とともにデスパーシティ脱出を計っていた。デスパー軍団
の総帥、ガイゼル総統に支配された街からの脱出に成功した二人は公園で一夜を
明かしたが、その折里沙は五郎から不思議な術を施される。
 しかし、二人には追っ手が迫っていた。軍団の戦士ハンマーデスパーが地上に
姿を現したのだ。ハンマーデスパーは里沙の目の前で五郎老人を殺害。ついに
その魔手が里沙に及んだとき、彼女は五郎から託された超能力に目覚め、
イナズマンに変転して敵を撃退する。
 地上にただ一人残された里沙は行く当てもなくさまよっていたが、夜の街で
荒井沙紀と出会う。しかし紗耶香によって暴露された沙紀の正体は、殺し屋
レッドクインだった。沙紀は父の仇を取るために軍団に加入、親友をその手に
かけてまでガイゼル総統の命を狙っていたのだ。沙紀は里沙をおとりにして
総統一派をおびき出そうと考え、球場での身柄引き渡しを軍団に要求。彼女の
もくろみ通りガイゼル総統が姿を見せたが、沙紀は狙撃に失敗し軍団の一斉射撃
の前に命を落とす。怒りの里沙はイナズマンに変転、宿敵ハンマーデスパーUを
倒すと戦いを察知して球場に姿を見せたひとみと梨華と共に少女達に合流し、悪
を滅ぼすことを沙紀の墓前に誓った。
476登場人物のおさらい:03/01/31 19:04 ID:ACnupgO1
新垣里沙
 幼少の折に母と生き別れ、地底都市デスパーシティに育った。五郎
老人と共に子供達の世話をしていたが、デスパー軍団の手が及ぶことを
恐れて地上に脱出する。その際に五郎の手によって超能力に覚醒。
やがて目の前で五郎を殺されるに至ってその力が発動し、彼の遺志を
継いでイナズマンとなった。必殺技は稲妻拳法念力パンチ、イナズマン
フラッシュなど。

市井紗耶香
 生身の体ながら何をやらせても日本一の少女。強化服と専用車ズバッカー
を持ち、快傑ズバットになる。親友福田明日香を殺害した犯人を探すうちに
それがゼティマの仕業と知り、以来ゼティマを潰す為追う。何をやらせても
日本一なので、拳銃捌きや他国語もお手の物。本来はスペースシャトルに
乗るはずだった、加護博士の友人の娘。

マキ(後藤真希)
 加護博士、つんく博士が作成した人造人間で、またの名をハカイダー。暴走
して一時ゼティマに壊滅的なダメージを与えた。のちにプロフェッサーギルの
手で服従回路を搭載され、完全な悪の僕となるがそれでも姑息な手段は好まない。
頭部にはつんく博士の脳が搭載されているが、彼女以前に作られたもう一体の
ハカイダーには事故死した後藤真希の頭脳が納められた。しかしそれは動き出す
ことなく今も封印されているという。キカイダーひとみとの戦いに執念を燃やし、
常に付け狙っている。
477登場人物のおさらい:03/01/31 19:05 ID:ACnupgO1
登場人物 2:少女達を支える理解者達


中澤裕子
 加護博士、つんく博士の助手。
ハカイダーマキ襲撃の際、組織への疑問から脱走。後に辻と出会い、彼女の
保護者となる。現在は同居人も増え、家もにぎやかしい限りであるがそんな
喧噪もつかの間、何者かに拉致されてしまう。果たして姐さんの運命や如何
に?


石黒 彩
 加護博士、つんく博士の助手。真里の義理の姉でもある。薬物により洗脳
されたうえ、真里を人質にとられゼティマで働いていたが洗脳を脱し少女達
とともに暮らしている。ハサミジャガーの襲撃によって死んだかに思われた
が、ミカによって一命を取り留め、現在はすっかり傷も完治している。


稲葉貴子
 FBI捜査官。中澤、石黒らとコンタクトをとる際、ゼティマに襲われひとみ
に助けられる。コンタクトの目的は現在不明だが、なんらかの重要な情報を
持っていると思われる。


木村絢花(アヤカ)
 ミカと共に組織を脱走した科学者の一人。日本に逃亡した後、親戚の経営
する病院で女医として勤務しており、重傷を負った彩の主治医として回復に
尽力した。ヨロイ元帥への復讐と組織への復帰に揺れるミカの前に姿を現し、
カセットアームの真の力を教えると囚われの友レフアを救い出した。
478登場人物のおさらい:03/01/31 19:09 ID:GcIawmV8
登場人物 3:悪の野望の前に命を落とした者たち


福田明日香
 安倍と市井の親友。安倍にとってはよきライバルでもあった。
ゼティマの手により、市井の目の前で原型を止めないまでに惨殺される。
以来、安倍と市井はゼティマへの復讐を誓い、ゼティマを追っている。
しかし最近、よく似た少女が目撃されている・・・。


りんね
 圭織と共にE&Sに勤務していた研究員。ゼティマの研究所襲撃の際、
自力変身がまだできなかった圭織をかばい殺害される。あさみは彼女の
牧場時代の友人。


あさみ(木村麻美)
 ゼティマに捕らえられ、電波人間タックルに改造されるが、脳改造前に
安倍なつみに助けられ、共に戦うようになる。彼女の友人りんねはE&Sに
勤務。父はあさみと同じく改造されゼティマの手先となったがライダーのの
に倒されており、それにつけ込んだドクターケイトにそそのかされ、ののに
戦いを挑む。
 しかし全ての真相を知った彼女は捨て身の必殺技「ウルトラサイクロン」
を放ち、ドクターケイトを倒して力尽きた。


荒井沙紀
 インターポールの捜査官を父に持つが、その父はガイゼル総統に殺された。
復讐を誓う彼女は総統に接近すべく暗殺者となり、やがて組織から暗殺の女王
レッドクインの名を送られる。里沙をおとりに総統をおびき出し、狙撃しよう
と目論んだが失敗。デスパー軍団の一斉射撃によってその命を散らす。
479登場人物のおさらい:03/01/31 19:09 ID:GcIawmV8
ダニエル・エイプリル・チェルシー
 ミカの仲間の科学者で、右腕を失ったミカのカセットアーム取り付け手術が
終わるまでの間命をかけて敵の突入を食い止めたが、銃火の中に散った。
480登場人物のおさらい:03/01/31 19:10 ID:GcIawmV8
登場人物 4:新たな運命の戦士達

ソニン 
 超人的な能力を持つ謎の少女。高圧電流に触れた影響によりベルスターに
変身する力を得たが、変身しない方がむしろ強いらしい。一切の記憶を失い、
人間性すら喪失していたが偶然カレーライスを口にして以来少しずつ人間性を
取り戻し、研究所を脱走した後ユウキと行動を共にするようになる。


ユウキ
 姉である真希の死の真相を追ううちにソニンと出会い、以来行動を共にする
ようになった少年。高圧電流に触れた影響で、影の魔人カゲスターに変身する
能力を得たがカゲスター、ベルスターとも影の出来る場所でなければ変身
出来ず、また変身中は本体が無防備となる。必殺技は影車輪、カゲファイヤー
など。


マコト
 突如現れて圧倒的な戦闘力を見せつけたパーフェクトサイボーグZX。
戦いの最中にスーパー1のエレキハンドによって頭脳にダメージを受けた彼女
が、断片的に浮かび上がる記憶の中で呼ばれていた名前が「マコト」だった。
 全身の99%を改造され、過去の記憶を奪われた彼女は果たしていつ真実に
たどり着くのだろうか。その時まで、彼女は恐るべき最強の敵として存在し
つづける・・・。


まい
 札幌の地に甦った第4の人造人間。変身したひとみの身体とは左右逆転した
赤と青の体色を持ち、太陽電池で駆動する。その姿は我々のよく知るあの
人造人間「キカイダー01」に酷似しているが、その名はまだ記されていない。
彼女が妹たちの元にたどり着くのは果たしていつか・・・?
481ナナシマン:03/01/31 19:11 ID:GcIawmV8
 ビューワー登録シター!ののV3ミレター!!のは良いんですけど、一年契約
なのにdat落ちしたどうしても見たいスレってあんまりないのが
ちょっと。一応今日はV3をまとめましたが、シリーズ最大のスレ
だけに長いのなんのったらないですね。でも僕自身は書くことが好きな
性分ですので全然苦にはならないんですけど。
 Xスレも本編のまとめを書こうかとは思うのですが、実はXに入って
から本編よりも外伝や番外編のしめる割合が大きいんですよね・・・
どうしましょう。

>>名無し天狗さん
 書店での広告は予約開始の告知でしたが、発売日についての明示は
なかったんですよ。本の性格上部数はあまり出ないかも知れませんが、
予約限定生産と言うことはないと思います。予約するのが一番手堅い
やり方だとは思いますが、実はググールしても有力情報が見つから
なかったのでその点も含めてちょっと書店に問い合わせてみますね。

>>名無しんじーさん
 お手を煩わせてしまってすいません。メロンも紹介する準備をして
はいたのですが、細かく紹介して頂いてありがとうございます。一応
重複を避けるため、24話のストーリー紹介以外はバイクロッサーに
関する記述は省略させて頂きました。ご了承ください。


 さて、ここで訂正です。高橋の項で「パーフェクター」とあるのは
「マーキュリー回路」の誤りです。お詫びして訂正いたします。
482 :03/02/01 21:13 ID:Z8Hag2ae
>>458−481
乙カレー♪保全
483名無しんじー:03/02/01 23:03 ID:4H3pGpVu
ナナシマン様
お疲れ様でした。それにしても凄い量になりますね。
改めて自分のあらすじ読むと日本語が変、ちと反省。
キャラ紹介も他のお話とごっちゃになりそうだったし、お任せすれば良かった。
こちらのお話もほぼ出来てきました。近いうちに書けると思います。
484ナナシマン:03/02/02 21:22 ID:fbe7RNKN
>>川o・-・)さん
 遅レスですいません。確かにそうです、専用マシンはありませんね。
僕自身はあるサイトを読んで知ったんです。でも「変身してバイクに
乗らなきゃライダーじゃねーよ!」くらいの勢いでバイクに乗って貰って
ます。付け加えると、敵のバッタ男は「改造兵士レベル3」をモチーフに
しています。でも休暇で帰ったときも結局真ライダー見なかったんですよ。
ファミ劇とビデオでアマゾンをちょっと見たくらいでした。

>>482さん
 ありがとうございます。でも僕自身はびっしり書きすぎたって思うところ
もあるんです。読みにくくなかったですか?

>>名無しんじーさん
 いえいえ、こちらこそ助かりました。ちなみに28話については現在
まとめている最中の「ののX編」に収録しました。新しい話も楽しみに
してますよ。


 将来的には全ての作者さんが書かれた話を各話単位で分類し、ひとまとめ
にして読めるようにしようかと思案中です。ライダーのの専門の保存屋さん
みたいなものになるかもしれません。
485名無しスター:03/02/04 20:17 ID:C6/HkENG
>>484
じゃあ保全しなきゃ(w
486川o・-・) :03/02/05 23:17 ID:6RAq9aSe
川o・∀・)<保全
487ナナシマソ:03/02/06 22:48 ID:wUZ0QDyh
>>名無しスターさん
 お手を煩わせてしまったみたいですいません。一応保全のタイミングって
言うのがあるって事は総合スレ読んだりして知ってるんですけど、いざ自分
でやろうとすると「いつ」とか「どのくらい」とかって部分がイマイチ
掴めてないって言う感じで。

>>川o・-・) さん
 コンコンアリガトー!

 現在までの全話、少しずつではありますが成形している最中です。スレ
において各作者さん方が申告された訂正部分については、こちらで処置した
上で閲覧頂けるようにします。
488川o・-・) :03/02/08 13:21 ID:ra9xppG8
川o・д・)<保全!!
489名無し天狗:03/02/08 18:45 ID:GGQEdsj/
>ナナシマンさん&名無しスターさん
あたかもジグソーパズルのごとく数多の謎に彩られ、様々な時間や場所で展開されたストーリーが
このあらすじによって一つにまとまり、謎がホンのわずかではありますがわかったような気がします。
本当にありがとうございました。そして編纂誠にお疲れさまでした。
>作家ご一同様
現在、私も前田有紀の嵐をゆるゆるではありますが考案中です(←コレバッカ…)。
時代背景こそ違いますが、本編の一つとしてゆくゆくは中澤軍団と合流させようと考えています。
本当に申し訳ありません。
490川o・-・) :03/02/09 22:38 ID:mG+HFBcJ
川∩´3`∩)<保全
491名無しんじー:03/02/09 22:46 ID:RVsHi6yN
ありゃ、誰も書かないの?
それじゃ川o・-・) さんの保全に答えましょう。
少林拳続編です。よろしくお願いします。
492名無しんじー:03/02/09 23:07 ID:aZ9ZOukk
        いんたーみっしょん
         「復活!赤心少林拳!」

【ペガサス】から少し離れた公園。飯田とあゆみは少林拳の練習をしていた。
「それじゃあ、初めからやってみて。」
飯田はあゆみに蹴りを指導していた。
「はい・・・・やあー!」
あゆみは飛び上がると空中で蹴りを放つ。
「そう、そのタイミング、次は二段蹴りね。」
飯田がそう言うとあゆみはまたジャンプした。
「ハイ!トウ!」
あゆみは空中で二回蹴りを繰り出した。
「はい、OK。いい感じだよ。まだ空中で余裕ある?」
飯田はあゆみに聞く。
「ちょっときついかな、二回が限界かも。」
あゆみがそう言うと
「そうか、それじゃあ連続蹴りはまだ無理だね。」
飯田が言うと
「連続蹴り?」
あゆみは聞いた。
493名無しんじー:03/02/09 23:32 ID:TPv0fvUa
「そう、連続蹴り。見せようか?周りに誰もいないよね。」
飯田は、自分達の周りに人がいない事を確認すると、飛び上がった。
「天空連続蹴り!」
飯田はそう言うと空中で素早く連続で蹴りを繰り出した。
「凄い!でもそれは無理ですよ。」
そう言うあゆみに飯田は笑って見せた。
「まあ、とにかくガンバろう。すぐに出来る様になるって、それじゃあ次・・」
飯田がそう言いかけると
「見事だ圭織、だがまだまだ修行が足りないな。」
二人に近づく男がいた。その姿は正に僧侶、どうやら飯田の知り合いの様だ。
「・・・・弁慶さん!」
飯田はその弁慶と言う男に向かって走り出した。
「久しぶりだな・・・圭織よ、修行は怠っていない様だな。」
弁慶はそう飯田に言った。弁慶は飯田の兄弟子当たる人物である。
飯田の師匠、玄海老師の死後、「調べる事がある」と言ってそのまましばらく
行方知れずになっていたのだが、今日久々に飯田の前に現れたのだ。
494名無しんじー:03/02/09 23:57 ID:bzbZEm/4
「弁慶さん、何処行ってたの?心配したんですよ。」
飯田が聞くと弁慶は笑いながら答えた。
「何、大した事ではない、それよりそちらは?」
弁慶はあゆみを見て言った。
「あっ、この子は柴田あゆみちゃん。今ね、一緒に赤心少林拳の修行してるの。
 老師が亡くなって、弁慶さんいなくなっちゃうし、そしたら偶然にこの子が
 少林拳の教書を持ってたから一緒に復活させようって。」
飯田はそう言うと、あゆみが持っていた本を弁慶に見せた。
「そうか、すまなかったな。でもこの本、柴田さんでしたな。この本何処で?」
弁慶にそう聞かれたあゆみは、事の詳細を話した。
「ほう、上原さんの所におられましたか。やはりこの本は、あの方に託して
 正解だった様だな。」
弁慶はそう言うとあゆみに本を返した。するとあゆみが言った。
「弁慶さん、良かったら家でお茶でもどうですか?色々お話も聞きたいし。」
あゆみがそう言うと
「うん、そうしよう。弁慶さん行こうよ。」
飯田も言った。
「そうか、ではお言葉に甘えますか。」
弁慶がそう言うと三人は公園を後にした。
495名無しんじー:03/02/10 00:18 ID:htgG5Jwr
斉藤家に到着すると弁慶の表情が変わった。
「どうしたの?」
飯田が聞くと
「柴田さんの家ってここですか?」
弁慶が聞いた。
「そうですよ。家主は斉藤さんですけど私も住んでます。」
あゆみがそう言った時、瞳が後ろから声をかけて来た。
「お帰り、早かったね。ん?こちらは・・・・あーーーっ!」
弁慶の顔を見た瞳は、声を張り上げた。
「どうしたの?」
今度はあゆみが瞳に聞いた。
「この人、おとうさんの仕事の依頼主!」
瞳は忘れもしなかった。弁慶は瞳の父親に仕事を依頼した人物の一人なのだ。
「お坊さんだったの?あの時はスーツなんか着てたから、やくざかと思ったけど
 へー、それで今日はどんな御用ですか?」
瞳は弁慶に質問した。
「いや、その今日は、偶然こちらにお邪魔する事になっただけでして。」
弁慶がそう言うとあゆみが瞳に事情を説明した。
496名無しんじー:03/02/10 00:41 ID:gIAY2u/E
とりあえず四人は家の中に入り、お茶を飲みながらの話になった。
「なるほど、弁慶さんは飯田さんの兄弟子なんですね。でも、それはおいといて
 単刀直入に聞きます。私の父が調べてる組織ってなんですか?」
瞳の質問に弁慶は答えに詰まった。
「それはお話出来ません。相手は危険な組織です。もちろん大吉さんには
 承知の上でお手伝いして貰っています。仮にお話すれば今度はみなさんが
 危険な目に会うかもしれないので申し訳ないですが勘弁して下さい。」
弁慶がそう言うと
「弁慶さん、その組織ってひょっとして【ゼティマ】?」
飯田の言葉に弁慶の表情が一変した。
「圭織、お前それ何処で?なぜ知っている?」
弁慶の慌てぶりから見ると大吉の調べている組織はゼティマに間違い無かった。
「実はね・・・」
飯田は弁慶にこれまでの事を話して聞かせた。
「馬鹿な!・・・それじゃあ、圭織の様な子が他にもいるって事なのか?」
弁慶は飯田の夢は知っていたので飯田が改造人間である事は承知していた。
しかし、飯田の他に改造人間がいようなどとは夢にも思っていなかった。
497名無しんじー:03/02/10 01:13 ID:SHl+SMMC
「うん、全部本当なの、それにここのお隣にも仲間がいる。」
飯田の話を聞き弁慶は全てを話して聞かせた。
「そうか、それならば私も全てを話そう。玄海老師の死、あれは病気ではない
 表向きは病死になっているが実はゼティマの怪人との戦いの傷が元で
 亡くなられたのだ。私はその事実を知った時、敵討ちを決意した。
 そしてゼティマについて調査を始めたのだ。その為に何人かの探偵にも
 頼んだが引き受けてくれたのは、大吉さんだけだった。友人の死と何か
 関係があるかもしれないと言ってな。その友人とは恐らく先ほど圭織が言った
 ここのお隣の子達の両親の事だろう。大吉さんは何も話さなかったがな。
 それで調査を進めるうちに、どうやら敵は日本を主な活動拠点にしている。
 そう思い私は帰って来た。そして圭織に別れの挨拶をしようと探している内に
 ここにやって来たのだ。」
そう弁慶が言うと
「弁慶さん、そんなのずるいよ。私だってそれなら協力したのに!」
飯田がそう言うと
「まあ、そう怒るな。今の圭織なら喜んで協力して貰うが、私にはそんな事
 解らないではないか、今はまだ宇宙の勉強をしていると思っていたからな。」
弁慶は調査の途中で圭織がいた研究所が襲われた事を知っていたが、
圭織がまだ生きていると確信していたのだ。
498名無しんじー:03/02/10 01:28 ID:7DLozG96
「とにかく、これからは協力だよ!」
飯田は弁慶に言った。
「当然だ、それに赤心少林拳の事もあるしな」
弁慶の言葉に飯田は頷いた。
「ちょっとまった!で?父は?」
瞳が聞いた。
「すまんが、まだしばらくは戻って来ないだろう。あちらも色々忙しいらしい。
 それに調査途中で知り合ったFBIだったかの人がいてな、その人が確か
 稲葉とか言ったかな、その稲葉さんにも何か頼まれていたみたいだ。」
弁慶が言う。すると
「稲葉さんと一緒なら大丈夫かな、まあいいでしょう。」
瞳は言った。
「なんだ、あの人も知ってるのか?」
弁慶が聞くと
「うん、私達が集まったのってある意味あの人がきっかけだよね。」
飯田は言った。
「そうか、今まであちこち飛び回らずに、最初から圭織の所に来れば良かったな
 そうすればこんな苦労もしないで済んだな。」
弁慶はそう言って笑った。
499名無しんじー:03/02/10 01:53 ID:o4jRGO0n
次の日から弁慶、飯田、あゆみの三人の修行が始った。
さすがに、この修行は人目につくと何かと面倒なので人里離れた場所で
とある山中で行われたいた。
「次、四段旋風蹴り!」
弁慶の指導に飯田が応える。
「よし、次は稲妻閃光蹴りだ!」
飯田と弁慶の人間離れした動きにあゆみはただ呆然と見守るしかなかった。
「よろしい、次はあゆみだが、さすがに空中殺法はまだきついだろう。
 だったらこれだ。」
弁慶はそう言うと近くにあった木に両手で空手チョップを見舞った。
一撃を受けた木はそこから砕けた。
「見たか?これが【赤心拳諸手打ち】だ。本来は敵の頚動脈を狙う一撃必殺の
 技だが、こうした破壊力も十分にある。」
弁慶はそう言うとあゆみに指導を始めた。あゆみはその型から始め次第に
型が出来てきた。
「そうだ、それでいい。後は拳のスピードと力加減、すぐには無理だが
 徐々に自分の物にすんるだ、いいな。」
500名無しんじー:03/02/10 02:12 ID:Q4Wp9BVS
弁慶はあゆみの指導を終えると飯田に言った。
「圭織、いよいよ新しい技を教える。赤心拳「梅花」の型だ。よく見ていろ。」
弁慶はそう言うと飛び上がり空中で、梅の花の型を取るとそのまま近くの岩に
向かって蹴りを放った。
「梅花二段蹴り!」
その蹴りは大きな岩を粉々に砕いた。
「凄い!怖いくらいの威力だ!」
飯田がそう言うと
「この技は呼吸とタイミング、それに精神集中、全てが必要になる。
 すぐには習得出来んだろうが、頑張れよ。」
それから飯田とあゆみの特訓は毎日続いた。
飯田は「梅花」あゆみは「諸手打ち」、二人は時間を惜しんで修行に励む。
どれ位時間が経ったであろう。二人の技はついに完成した。
「二人ともよくやった。それでこそ赤心少林拳の門弟。まだ三人だが
 十分だ。赤心少林拳もこれで復活だな。」
弁慶の言葉が二人の心にしみる。
そう、ついに赤心少林拳は復活したのだ。

     いんたーみっしょん
      「復活!赤心少林拳!」おわり   
                         つづけ!
501名無しんじー:03/02/10 02:24 ID:YAirY81W
いんたーみっしょん、いかがだったでしょうか?
二つの話を無理やりくっつけたのでかなり無理がある様な気もしますが・・・
原作ともかなりかけ離れてるし、弁慶も生きてるし、それしか浮かばなかった。
とりあえず、スーパー1もほとんど覚えてないので技もおかしな部分が
あるかもしれませんがご勘弁を。(リアルで見てたんですけど・・・)
502名無し天狗:03/02/11 01:29 ID:Cu+vJd34
>名無しんじーさん
イエイエ、この話もオリジナルとはまた違う味わいがあって、無理ってのは
感じませんでした。これはうかうかしてられませんね。
最前から気になってた依頼者の正体と、そこからの展開・・・恐れ入りました。脱帽です。
瞳の父が無事であることを祈りつつ次作に期待してます。
503ナナシマン:03/02/11 15:25 ID:xzAWGbkb
 アマゾンの話は出来ましたので、近々書き込めればと思います。完成した上での
投稿ですので、一気にラストまで行く予定です。名無しっぺさんの「登場編」と
名無し坊さんの「邂逅編」のお供にして頂けると嬉しいです。強いていうならば
「十面鬼遭遇編」とでも言いましょうか、ゲドンについて初めて言及する話に
なってるんじゃないかと思います。

>>名無し天狗さん
 「全怪獣怪人大辞典」詳細が判明しました。まず出版元は英知出版、定価の方は
上中巻が各3000円、下巻が2300円です。肝心な発売日は上巻が2/21、
中巻は3/12、下巻が3/26です。予約なしでも買えそうですが、確実な入手を
お考えならやはり店頭注文は必須でしょう。
504名無し天狗:03/02/11 18:23 ID:+sfT5lhQ
>ナナシマンさん
ありがとうございます。
予算と機会を見て、トライしたいと思います。
嵐の件、亀並みにトロくて申し訳ありません。
505名無しんじー:03/02/11 22:26 ID:DI4PQY0z
名無し天狗様
そう言っていただいて安心しました。
ただ少し話を急ぎすぎたのでなんだかキャラの動きが少ない気が・・・
次回作ですが実は全然考えておりません。
しばらくは読み手に回りたいと思っております。
「嵐」頑張って下さい。

ナナシマン様
貴重な情報をありがとうございます。「大辞典」買ってみようかな。
506名無しスター:03/02/12 00:52 ID:lk33j0F5
(・_・)<・・・ ←「赤心少林拳」と「保全ネタ」を何とかリンクできないか考え中




(・∀・)アヒャ!! ←「無理」と判断
507ナナシマン:03/02/12 19:16 ID:DoXWSkPR
第32話 「密林からの刺客!獣人大ムカデ」


 南米大陸を走る大河、アマゾン川。その流域には広大なジャングルが
広がっている。そこには未だ人跡未踏の地も多く存在し、人類最後の秘境
として人々のロマンをかき立てている場所である。
 この地は様々な伝説や逸話を生み出してきた。インカ帝国の黄金郷、
エルドラド。あるいは未知の巨大生物の生存説。原住民のカニバリズム。
虚実入り乱れたそれら全てを併せ呑むかの如く、悠久の流れと共に緑の
魔境は今日まで存在し続けている。


 そんな密林地帯を見下ろすかの如く、中空を漂う巨大な物体があった。
それはまるで巨大な岩のようであったが、その岩の上方部分には明らかに
人間と思しき者の上半身が見える。そして、それは意志をもって「飛行」
していたのである。
 巨大な岩の縁には、ぐるりと赤い人面が張り付いていた。さらに前面部には
牙をむき出しにしたひときわ巨大な鬼面が鎮座している。私欲に狂い九人の
悪人達と共に顔岩と呼ばれる奇岩に結合した、悪の魔人。彼こそこの一帯に
拠点を構えるゼティマ南米支部の首魁、「十面鬼ゴルゴス」である。
508ナナシマン:03/02/12 19:16 ID:DoXWSkPR
 彼はこの一帯を支配しており、獣に人間の脳を移植して人間並みの知能を
与える術を心得ていた。これによって誕生したのが「獣人」である。しばし
空の行脚を楽しんだ十面鬼は、自らの拠点である洞窟に降り立つ。と、そこ
には既に彼の僕たちが集まっていた。彼は開口一番こう言い放つ。

 「腕輪はどうした。まだ手に入らぬか」

 地の底から響くかのようなその声は、僕の者達を畏怖させるには十分すぎる
凄みを帯びていた。その声に応えて岩の周囲に張り付いた悪人の顔も口々に
言う。

 「何をしている!」

 「まだか!」
 
 「奪い取れ!!」

 彼の言う腕輪とはもちろん密林の至宝、ギギとガガの腕輪のことである。
二つの腕輪は伝説の超エネルギーを手に入れる鍵となるものなのだ。十面鬼は
この腕輪を手中に収め、ゼティマの世界征服の野望のために超エネルギーを
手に入れようと目論んでいたのだ。
509ナナシマン:03/02/12 19:17 ID:DoXWSkPR
 そんな彼の目の前に跪く者達は、胸元と腕に白いフリンジのあしらわれた
身体にぴったりと張り付く赤いボディスーツを纏った仮面の女達だった。彼女
達こそ、十面鬼の僕として暗躍する女戦闘員「赤ジューシャ」である。

 「送り込んだ獣人が悉くアマゾンなる者に倒され、芳しくありません」

 十面鬼の前に歩み出た赤ジューシャはそう言って跪く。ワニ獣人、クモ獣人は
アマゾンライダーの前に敗れ去り、軍団としてもより強力な獣人を誕生させる
ことが必要であった。腕輪の強奪、そのためには行動の拠点を移すことも考え
なければならない。

 「いよいよこの儂が日本へ渡ることも考えねばならぬか」

 思案に暮れる十面鬼。と、そこへ現れたのは巨大なムカデの獣人だった。紫色
の身体から生えた無数の脚。「獣人大ムカデ」が主の野望を成さんと自ら名乗り
を上げたのだ。
510ナナシマン:03/02/12 19:17 ID:DoXWSkPR
 「十面鬼様とゼティマに身命を捧げたこの獣人大ムカデ、必ずや腕輪を手に
入れてご覧に入れましょう」

 「ほほう。ならばやって見せい」

 その言葉と共に、彼の顔が次々と獣人の意気に応えて言う。「顔が次々と」
と言うのは、もちろん顔岩に結合された9人の悪人達のことである。

 「期待しておるぞ!」
 
 「アマゾンを殺してでも!」

 「奪え!」

 「行け!日本へ!!」

 洞窟を後にする獣人を見送りつつ十面鬼は呵々大笑する。悪の尖兵がまたも
腕輪強奪のために動き出したのだ。
511ナナシマン:03/02/12 20:49 ID:ZXgX9V2v
 数日後、舞台は変わって日本。いつもの公園に、一人の女性の姿があった。
紅い縞模様・・・まっすぐなストライプではなく、獣の柄模様のように波打つ
縞が走る深緑色のベスト。同じ色柄のカットオフのショートパンツからのびる
脚には膝近くまでひもが肌を包むショール。しかし露わな太股に健康的な色気
を感じるほど、外の気温は決して暖かくはない。この季節には不釣り合いな
出で立ちに加えて二の腕に奇妙な腕輪を身につけ、そして何よりもただならぬ
眼力を感じさせる強い瞳を持つその女性は、おもむろに地面に腹這いになると
まるで獲物を狙うような目でパンくずを啄む鳩の群れをじっと見つめていた。
その姿は、昼下がりであることも相まって非常に奇異に映っていた。

 「どうしてもっと早く気がつかなかったのかしら。こんなに美味しそうな
鳥が近場にいたなんてね」
512ナナシマン:03/02/12 20:49 ID:ZXgX9V2v
 その女性は、どうやらこの鳩を捕るつもりでいるらしい。彼女は無心に
パンくずを啄む鳩の様子を窺いながら、飛びかかるタイミングを計っていた。
そう、実はそのパンくずも彼女が撒いたものだった。かくして鳩は彼女の
もくろみ通りに集まってきた。後は狩るのみ。獲物を狙うその様子は人と
言うよりも、まさに野獣の姿であった。

 「鳥で食べられないのは鳴き声だけだっておじいちゃんも言ってたっけ・・・
あれ、豚だったかな?」

 目の前の御馳走に目をぎらつかせるその女性こそ、仮面ライダーアマゾン
ことケイであった。「保田圭」という日本名を貰った彼女ではあったが、日本の
食生活に未だなじめない彼女は、とうとうしびれを切らして自ら狩をすることに
したのである。だが、そのようにして彼女が狩ってきた獲物は往々にして少女達
には不評だったので、都会の人間でも食べられそうなものに目をつけた。それが
公園の鳩だったのだ。
513ナナシマン:03/02/12 20:49 ID:ZXgX9V2v
 時は来た。群れから取り残されて離れている鈍くさそうな一羽に狙いを定め、
ケイは少しずつ身体を起こして身構える。それは野獣のクラウチングスタート。
この瞬間、彼女はまさしく食物連鎖のトップアスリートだった。だが。

 「おーばーちゃーん!」

 背後からそんな声が聞こえたかと思うと、その声に驚いた鳩の群れは一斉に
空へと飛び立ってしまった。慌てたケイは体勢もろくに整わないまま、地上を
離れた鳩の群れに飛びかかる。だがその腕はむなしく空を切り、鳩たちは
まるで彼女をあざ笑うかのように彼方へと消えた。そしてそれとは反対に、
声の主である小柄な少女は獲物を逃した狩人の元へと走り寄ってくる。

「つじぃ!何で邪魔すんのよォ!!」

 鼻息荒く狩りの邪魔をした少女へと詰め寄るケイ。強い眼力を秘めた目が
更に大きく見開かれている。その勢いに圧倒された少女〜辻希美は顔を
引きつらせつつ言った。
514ナナシマン:03/02/12 20:50 ID:ZXgX9V2v
 「らってぇ、おばちゃんなにしてるのかな〜と思って」

 「はぁ・・・アンタね、久しぶりにお肉食べられたかも知れないんだよ?
アタシは虫でも何でも平気だけど、アンタ達はイヤでしょ?」

 そう言ってため息を一つつくケイ。狩を邪魔された、獲物を取り逃がしたと
言う彼女の思いがひしひしと伝わってくるその態度に、しょんぼりと項垂れる
希美。

 「くすん・・・おばちゃんの珍味好きにはついていけましぇん」

 希美はそう言って涙ぐむ。確かに昆虫の幼虫を食べろと言われても、よほどの
如何物食いで無ければそうそう食指が伸びるものではない。

 「珍味ってアンタ『食べなければ生き残れない!』って言うでしょ?」

 「どっかで聞いた言葉れすけど・・・多分どっか間違ってると思うのれす」
515ナナシマン:03/02/12 20:52 ID:A+gbBpsO
 やがて二人は帰途につく。するとその背後から怪しい二人組が姿を現した。
公園の植え込みに姿を隠していた二人は、ケイが鳩を捕まえようとして失敗
した様子や、希美との遣り取りをつぶさに監視していた。

 「まったく、あの小娘達は一体何をしてんだろうねェ」

 「よほどひもじい思いをしているのかしらね」

 そう言って言葉を交わすこの怪しい二人組こそ、十面鬼に遣わされて日本に
やってきた赤ジューシャであった。

 「腕輪は肌身離さず身につけてるようだね」

 「肌身離さずも何も、大事な育て親から預かったシロモンだよ。奪い取るには
あの女を殺す以外に方法はないねぇ」

 そんな二人の背後から、新たに姿を現す者がいた。誰あろう、獣人大ムカデ
である。腕輪強奪の密命を帯びた三人は、ケイの行く先々について回っては、
機会を窺っているのだ。

 「任せておけ。二つの腕輪とあの女の首は必ず十面鬼様への手土産にして
みせる。そうだお前達、耳を貸せ」

 そう言って獣人大ムカデは赤ジューシャ達に何事かを耳打ちする。そして
公園から去っていくケイと希美の姿を見届けた三人は、足早にその場を後に
した。
516ナナシマン:03/02/12 20:53 ID:A+gbBpsO
 今日はここまでです。一日で終わらせるつもりでしたが、都合により
明日までとなりました。
517名無し天狗:03/02/13 03:32 ID:zXvfLtLN
>ナナシマンさん
ゲドン登場ありがとうございます。そして私のワガママを聞いて下さり
本当に申し訳ありません!歴代の戦闘員の中でショッカーとこのゲドンが
一番好きだったもので・・・。
ってことは・・・アマゾン初登場の回で彼女に根絶やしにされた戦闘員というのは
赤ジューシャってことに・・・。
ともあれ、無理せずがんばって下さい。明日(と言うかもう「今日」ですが)が楽しみ〜♪
518ナナシマン:03/02/13 19:28 ID:NvrQqT8D
 一方舞台は変わって再び緑の魔境、アマゾンのジャングル。うっそうと
生い茂る熱帯雨林を抜けた先に、突如広がる緑の原野。そこに立ち並ぶのは、
古代文明の遺産とも言うべきアステカ様式のピラミッド群だった。一見すれば
世界遺産の一つにでも登録されていそうなほど、当時の佇まいは健在であった
が実はここもまた密林に潜む悪の巣窟であることは誰も知らない。

 ひときわ大きなピラミッドの地下にある神殿、そこに居並ぶ黒いスーツの
覆面の男たちを前にして、威厳に満ちた表情で立つ一人の男がいた。黒い男の
一人が彼の前に跪くと、主に対して何事か報告を始めた。

 「十面鬼の手の者が日本に渡ったようですが、いかが致しましょう」

 報告を行った黒い男は、十面鬼の配下である赤ジューシャに対して、
「黒ジューシャ」と呼ばれる男の戦闘員達である。そして、彼らの主−炎の
ような装飾の冠をかぶり、銀の鎧をまとった男−こそパルチア王朝の末裔、
「ゼロ大帝」その人である。王朝再興の悲願を達成するため、彼は近隣の
部族を従えて十面鬼に協力すると見せかけ、実はその座を脅かそうと画策して
いたのだ。

 「捨て置け。ヤツは腕輪のことで頭がいっぱいのようだが、肝心なところを
見落としているぞ。その点、俺は目的と手段を取り違えるような真似はしない」

 「よろしいのですか?」

 「しばらく様子を窺うのだ。まぁ、また今回もしくじるだろうがな。人が
貸し与えた兵をむざむざ殺されるような輩に、腕輪を御することなどできる
ものか。まして世界征服など・・・お笑いぐさよ」

 そう言ってゼロ大帝は不気味な笑みを浮かべた。密林に芽生えた新たなる
戦いの前兆を知る者は、このときまだ誰もいなかった。
519ナナシマン:03/02/13 19:28 ID:NvrQqT8D
 その翌日。再びゼティマの手先は行動を開始した。密林からやってきた
悪の使者は、駅前のロータリーに停車していた献血車を突如襲撃したのだ。
昼下がりの駅前で繰り広げられる惨劇。赤ジューシャ達は医師や看護婦、
献血に訪れた一般人を片っ端から殺害すると、血液の入ったビニールパックを
ひったくっては手にした袋に放り込んでいく。

 「人間の血をありったけあつめるんだよ!十面鬼様の食料にするんだ」

 「獣人大ムカデ、お前も手伝いな!・・・って、アイツ何処に行った」

 彼らの主である十面鬼の好物、それは新鮮な人間の生き血である。密林の
アジトには拉致してきた人間達が生きたまま保存され、しかもその頭部に
太い針を突き刺して血液を抜き取るという、残虐きわまりない方法で食料に
されているほどだ。

 いずれは十面鬼自らが日本に渡ってくる可能性は十分あり得る。その前に
獣人達は主の食料を確保する必要があると考えた。そこで、彼らは手っ取り
早く血液を手に入れられる手段としてこの車を襲ったのだ。しかし、発案者
たる当の獣人大ムカデはと言えば、一人駅舎の陰に隠れて何者かを待ち伏せ
していた。

 「この騒ぎを聞きつければ、必ずヤツが現れる。その時こそ、腕輪を奪う
絶好のチャンスだ。キシャシャシャシャ〜!」

 昨日公園で獣人が耳打ちしたのはこのことだった。血液確保のための犯罪
は同時にアマゾンをおびき寄せるための罠でもあったのである。このような
姑息なやり口を思いつく辺りが、獣人が高度な知能を持つ獣であることの
証左であろうか。しかし、このまま彼らの無法がまかり通るはずはない。と、
その時だ。
520ナナシマン:03/02/13 19:29 ID:NvrQqT8D
 遠くから響く爆音。やがて姿を現したのは、大きな羽根をもつ奇妙な形の
バイクとそれを駆る女の姿だった。悪の気配を察知したケイが、ジャングラー
を走らせ凶行の現場に現れたのだ。

 「キシャシャシャシャ〜。現れたかアマゾン!待っていたぞ」

 全速力で疾走するジャングラーの行く手を阻むように姿を現した獣人大ムカデ。
そんな獣人の姿を見つけたケイはアクセル全開で獣人に突っ込む。しかし次の瞬間
獣人は突如手足を縮ませると、巨大なムカデの姿になって空中高く飛び上がった。
あまりの出来事にあっけに取られたケイの頭上へ、巨大なムカデが降ってきた。

 「シャーッ!!」

 「うわっ!」

 落下してきた巨大ムカデをスピンターンを決めて何とか寸前でかわすケイ。
そのままジャングラーから飛び降りると、鬼の形相で巨大ムカデに飛びかかる。
521ナナシマン:03/02/13 19:29 ID:NvrQqT8D
 「はぁぁぁぁ!!」

 地面をはいずるムカデに飛びついたケイは、頭と言わず胴と言わずそこかしこ
を激しく殴りつける。しかし、そんな彼女の攻撃が利いているのかいないのか、
巨大ムカデはそのまま少しずつ身体をずらしてケイの後方へと回り込むと、一気に
ケイの全身にまとわりつき、ぐるぐる巻きにして締め上げた。

 「キシャシャシャシャ〜」

 「しまった!!」

 気づいた頃には時既に遅く、ケイは身体を強烈に締め上げる巨大ムカデに手も
足も出ない状態になってしまった。全身に力を込めて脱出しようとするが、がっちり
と食い込んだムカデの胴をこじ開けるのは至難の業だ。さらに無数の足がケイの肌に
食い込み、二の腕に太股に、そして胸元に紅い雫が痕を残して伝う。そして巨大
ムカデは彼女の身体の自由と体力の両方を奪いながら、更にその力を増して
締め上げていく。
522ナナシマン:03/02/13 19:48 ID:JfE+B5Be
 「うわぁぁぁぁぁっ!!」

 雄叫びと共にケイは目を大きく見開き、顔の近くに蠢いていた巨大ムカデの
足に食いつく。目を覚ました野生の本能が、知性よりも早く彼女にこの危機を
打開するヒントを授けたのだろう。傷口からはオレンジ色の体液〜獣人の血が
飛び散り、ケイの顔を濡らす。硬い殻の食感と血の味が口の中に広がると同時
に、先ほどまで激しく締め上げていた巨大ムカデの胴が一瞬緩んで開く。
その隙を逃さずケイは巨大ムカデから脱出すると自慢の跳躍力で間合いを広げ、
口の中に残ったムカデの足を吐き捨てた。そして両手をかざして交差させて開く
と、怒りを込めて叫ぶ。

 「ハァァァァァァ・・・アァァマァァゾォォォォーン!!!」

 野生の怒りが滲む瞳が赤く燃えると、まばゆい光と共にケイの姿は密林の戦士
アマゾンライダーへと変わった。アマゾンは山猫のような身のこなしで巨大ムカデ
との距離を詰めると、迎え撃つ巨大ムカデは再び縮めていた手足を伸ばして獣人の
姿に戻りすっくと立ち上がる。
523ナナシマン:03/02/13 19:52 ID:JfE+B5Be
 「キシャシャー!腕輪とお前の命、両方頂く!」

 獣人大ムカデはそう言ってアマゾンににじり寄っていく。ケイに食いちぎられた
足の辺りからは微量に血が滲んでいるが、敵は特に気にする様子もなく一気に
間合いを詰めてアマゾンと手四つの体勢になった。身長で勝る獣人大ムカデは四肢に
力を込めて身体を落とすと、押しつぶさんばかりに体重をかける。

 「密林の至宝、お前の腕ごともぎ取ってくれるぞ!」

 「やれるもんならぁ・・・やってみろっ!!」

 一気に組み敷こうとする獣人に対して、アマゾンは小さく跳ねて勢いをつけると
獣人の腹の辺りに両足を滑り込ませて倒れ込み、反動で巴投げのように投げ飛ばした。
プロレス技でいう「モンキーフリップ」である。獣人大ムカデは背中をしたたかに
打ち付けると、立ち上がれずじたばた藻掻いている。例えばゴキブリなどの昆虫は、
ひっくり返された後しばらくすると動きを止め、そのまま死んでしまうことがある。
だが藻掻く敵が疲れて動きを止めるのを待つほど、悠長な真似は出来ない。
524ナナシマン:03/02/13 19:52 ID:JfE+B5Be
 アマゾンは機を逃さずさらに追撃する。倒れた獣人に再び飛びかかると馬乗りに
なって組み敷くや手近な脚を引きちぎり、更に獣人の硬い皮膚を鋭い爪で力の限り
に掻きむしる。

 「ケケケケケケーッ!」

 「ウギャアアアア!」

 苦痛の叫びを挙げる獣人大ムカデ。アマゾンの得意技「ジャガーショック」だ。
一掻き目が硬い皮膚を引き裂くと、二掻き目で血と肉が飛び散る。敵の返り血を
浴びようとお構いなしにアマゾンは引っ掻いたが、次なる攻撃に移るために獣人を
足蹴にしてジャンプすると一端倒れた獣人と距離を置く。拷問のような爪地獄から
ようやく脱した獣人大ムカデは、ヨロヨロと立ち上がると再び手足を縮めて巨大
ムカデの姿になり、あらん限りの力を全身に蓄えアマゾンめがけて飛びかかった。
鋭い牙をぶち込んで、一撃で勝負を決めるつもりなのだ。アマゾンもまた姿勢を
低く構えて全身の力をみなぎらせると、背中のひれが蠢く。必殺の一撃を放つ体勢
が整ったのだ。

 「シャーッ!」

 巨大ムカデはアマゾンの頭を狙って矢のような早さで飛んでくる。その姿を
驚異的な動体視力で確認したアマゾンは、前転の要領で身体を前のめりに倒す。
525ナナシマン:03/02/13 19:53 ID:JfE+B5Be
 「ケェェェーッ!」

 巨大ムカデと交錯する瞬間、雄叫びと共にアマゾンは蹴り足鋭く踵から
叩き付けるようにして巨大ムカデの頭に蹴りを放つ。身体の回転と同時に
絶妙のタイミングで振り下ろされる蹴り脚がちょうど「浴びせ蹴り」の
ような形で巨大ムカデの頭部を捕らえると、その勢いのまま脚のヒレが
真っ向から敵の頭を叩き割った。

 「大切断っ!!」

 頭蓋をぶち割り、脳を切り崩す感触がヒレに伝わる。敵は断末魔の叫びすら
挙げられず沈黙した。アマゾンはいつもならば腕のヒレ〜アームカッター
で放つ大切断を、脚に備わったヒレ〜フットカッターで放ったのだ。この一撃
にばっくりと割れた巨大ムカデの頭から夥しい血が間欠泉のように噴き出すと、
やがて巨大ムカデの胴体から再び手足が伸び出し獣人大ムカデの姿に戻った。
だがその手足には既に力はなく、ゆっくりと垂れ下がるように伸びる様は獣人が
絶命した証と言えた。アマゾンはそのまま獣人と共に倒れ込んだが、敵の絶命を
察知するとゆっくりと立ち上がった。
526ナナシマン:03/02/13 19:55 ID:JfE+B5Be
 一方献血車から血液を強奪することに没頭していた赤ジューシャの二人組は
アマゾンと獣人との戦いに全く気づいていなかったが、血液を運び出そうと
して初めて戦いの痕跡に気がついた。息絶えて屍を晒す獣人と、そのそばで
息を荒げて立ちつくす一人の女。彼女と視線が交錯したとき、赤ジューシャ達
に戦慄が走る。その瞳に宿る炎に、十面鬼以上の「鬼」を見たのだろうか。

 「おじいちゃんや村のみんなを傷つけたヤツの仲間か!!」

 そう言うや鬼気迫る表情で赤ジューシャに詰め寄るケイ。その鋭すぎる眼光
に射すくめられた二人は身動き一つ出来ない。手にした血液パック入りの袋
さえも、思わず手から滑り落ちる。

 「殺されるっ!!」

 二人が死を覚悟したその時、空が俄にかき曇ると辺りが暗闇に包まれ、空中
から何者かが姿を現した。宙に漂う巨大な赤い鬼面の岩。そう、あの十面鬼が
遂に日本に上陸したのだ。十面鬼は路上に落ちた血液パックの入った袋に手を
かざすと、不思議な力でそれを手元にたぐり寄せる。そして腕輪強奪に失敗し、
息絶えた獣人を一睨みしてこう言った。
527ナナシマン:03/02/13 19:58 ID:SHLZpUmu
 「大言を吐いた上にしくじりおって、貴様など骸とて見たくないわ!」

 その言葉と共に中央の一番大きな鬼面の口から灼熱の炎が放たれ、獣人の
亡骸を一瞬にして焼き尽くしてしまった。その光景に一瞬言葉を失うケイ。

 「失敗した者は死ぬ、それが掟だ。アマゾン、お前はその腕輪の持つ力を
理解してはおるまい」

 「宝の持ち腐れだ!こっちへよこせ!!」

 「殺してでも手に入れてやるぞ!」

 十面鬼の鬼面が口々に言う。だが、育ての親が託したこの腕輪を悪の手先に
渡すわけにはいかない。ケイは怒りに満ちた視線を向けて言い放つ。
528ナナシマン:03/02/13 19:58 ID:SHLZpUmu
 「おじいちゃんと約束したんだ、絶対に渡すもんか!!」

 瞳に宿る炎は、未だ消えやらぬ彼女の闘志そのものだった。戦いを終えて
未だ身体には血の痕を残す身体だったが、ケイは残る力を振り絞って目の前の
敵に飛びかかる。だが、その瞬間十面鬼の姿はかき消え、先ほどまで闇に
包まれていた両者の周囲は一転して元の駅ロータリーの景色を映し出していた。
かき曇った空も再び晴れ渡る青空に戻り、視線を落とせば炎で焼き尽くされた
獣人の姿さえも跡形無く消え失せている。二人の赤ジューシャ達、さらに献血車
さえも消失しているではないか。十面鬼が魔術的な力でこの消失劇を成したと
いうのだろうか。

 「憶えておくがいい。その腕輪はこの十面鬼が必ず頂くぞ!」

 敵の姿を求めて天を仰ぐケイの耳に十面鬼の声が響く。腕輪に秘められた
神秘の力を、ケイは少女達と出会ったあの夜に感じていた。しかし、彼女の敵は
十面鬼の手先だけだけではない。密林にうごめく新たなる敵の暗躍を、まだ
彼女は知らない。そして謎の少年の存在も忘れたわけではない。あの夜以来彼を
見たことはなかったが、再び少女達の前に現れてその恐るべき本領を発揮する
かも知れない。だからこそ、この腕輪を敵の手に渡すわけにはいかない。育ての
親との誓いを胸に、ケイは戦いの決意を新たにするのだった。


第32話 「密林からの刺客!獣人大ムカデ」 終
529ナナシマン:03/02/13 19:59 ID:SHLZpUmu
 以上で今回のお話は終わります。
 今回思うところあって脚で大切断を出してみたのですが、実際のものは
どうもスピンキックからの大切断のようですね。キックで切断部位を
蹴り飛ばす感じなんでしょうか?僕自身は見たことはないのですが、
「仮面ライダーSPIRITS総集編」において、シリーズ全話毎の
フィニッシュ技の一覧表でそのように載ってました。

 技のヒント自体は某「○ャイ娘。」の「シャ○ニングコンチェアト」なの
ですが、あちらはフライングニールキックっぽいのでこちらは浴びせ蹴りに
しています。獣人大ムカデということで女バイク部隊も出そうかと思った
んですが、それはまたいずれ。

>>名無しんじーさん
 お疲れ様でした。先だっても書いたとおり、赤心少林拳は手元に資料が
無かったため、泣く泣く割愛したコンセプトでした。ファミ劇みて復習を、
とも思ったんですけど、帰った時やってたのがジンドグマ編だったので
少林拳あんまり出てこないんですよね。詳細にやって頂いたおかげで僕も
インスピレーションを得たのはもちろんなんですけど、読んで下さっている
方々にもその実体が掴める回ではなかったかと思います。


>>名無し天狗さん
 赤ジューシャについては二人組で行動している点については多少は描けたと
思うのですが、序盤しか観てないので余り活躍させられなかったな、というのが
正直なところです。女戦闘員シリーズは今後も何気に継続予定。嵐の方も楽しみ
にしてますよ。
530名無し天狗:03/02/13 20:13 ID:LUBRugxS
>ナナシマンさん
ゲドンの暗躍、そしてそれを手のひらの上で転がすかの如く漁夫の利を狙うゼロ大帝・・・。
両者の思惑が上手く交差し合ってますね。今後が楽しみです。
嵐の方は前も書いたように暗中模索の真っ只中で・・・・・・
あー!やっべー!!気が付きゃレス数もう500を越えてる〜〜〜〜!!!(焦汗)
ホントすいません、何とかしますから!!!!
531名無し天狗:03/02/13 20:16 ID:LUBRugxS
>ナナシマンさん、連投すいません。
>530のようなことを言っておいてこんなこと言うのもなんですが、
従来の戦闘員同様、赤ジューシャにもライダーたちと(集団で)戦う機会を
与えてみては?(←コラ、天狗!)
532名無し募集中。。。:03/02/15 04:54 ID:6RjNl/lm
保田
533名無し募集中。。。:03/02/15 14:36 ID:6k84ZIuN
ho
534川o・-・) :03/02/16 12:47 ID:Izo3kK+I
川o^-^)<保全〜♪
535ナナシマン:03/02/16 12:54 ID:jxYBRweN
 保全ついでに、地元熊本の「三井グリーンランド」で開催される
ヒーローショーのキャスティングです。このスレもかくやと言わん
ばかりの幅広すぎるラインナップですよ。
ttp://www.greenland.co.jp/2003spring/retsuden/cast.htm
536名無し娘。:03/02/16 13:00 ID:IA2uZnYw
>>535
ウルトラマン出すくらいなら1号〜V3の方が良いわけだが
537名無し募集中。。。:03/02/17 02:06 ID:f5jdlmdn
平成ライダーは出ないのか?
538名無し募集中。。。:03/02/17 08:58 ID:CeKa6TkR
>537

 一応名無し坊氏作の番外編「プロジェクトG4」にアギト・ギルス・G3が
登場しているけど、本編の方では未出。
539名無し天狗:03/02/17 18:34 ID:E7Ek+Cqo
次の作家の方、どうぞ。
私は相変わらずの体たらくなものでして・・・。
540名無しスター:03/02/17 23:05 ID:buzAjBv7
自分はまだ半分ぐらいしか出来てないです。
前回スレを一週間占拠した前科があるのでもう少し出来上がってから・・・
541 :03/02/19 22:37 ID:FXx/eq+m
542 :03/02/20 11:21 ID:D5hp0z8m
なんだこのスレ。死にそうだからあげといてやるか。
543ナナシマン:03/02/20 20:23 ID:1BdbEghP
>>名無し天狗さん
 僕がやらせて頂けるとするならそうなるでしょう。テレビ版がそうだったと
思うのですが、典型的な戦闘員ポジションの赤ジューシャと今回の二人のような
諜報員ポジションを使い分ける形が理想です。

>>名無しスターさん
 アヒャ!っすか・・・(w
 保全シリーズの緊張感は他スレでもそう味わえないテイストだと思います。
気が向いたらまた。

>>537さん
 個人的には何か出したいんですけどね。世界観のすりあわせが上手くできれば。

 誠に申し訳ありませんが、ここ数日忙しかったので何にも話が書けてません。
ストックがあったかどうかちょっと捜してみます。
544ナナシマン:03/02/20 20:35 ID:1BdbEghP
>541さん
>542さん
2,3日見れなかったので助かりました。

545ナナシマン:03/02/21 21:10 ID:G0A5WMyA
Intermisson 「悪の共闘!QとK」


 昼下がりの東京国際空港。そこに降り立った、一人の老人がいた。
その顔は一見すると品の良さと知性を感じさせたが、しかしそれでいて
偏屈な気性をものぞかせる面持ちである。赤いベレー帽を被り、灰色の
コートに身を包んだその出で立ちは老画家のようでもある。事実老人は
絵画をたしなむが、彼は画家ではない。
 やがて老人は空港のロビーでふと立ち止まり、辺りをゆっくりと見回す
とまた緩やかな歩調で歩き始めた。老人にとって、久々の日本である。


 と、彼の傍らを小さな陰が横切る。それは幼い子供だった。周囲の
物珍しさにはしゃぎ回る子供、ほほえましい風景。だが、その時。

 「ハーックショイ!!」

 ロビーに響き渡る大きなクシャミ。その主は老人だった。それから堰を
切ったように彼のクシャミは続き、なかなか収まる気配がない。それは
単なるクシャミではなく、まさに「発作」であった。辺りの人々の視線が
集中する中、老人は何処かへと姿を消した。
546ナナシマン:03/02/21 21:11 ID:G0A5WMyA
 一方、こちらは悪の秘密結社ゼティマの下部組織、デスターのアジト。
今日もドクターQとその秘書シルビア、そしてQの愛娘リタの三人が
悪巧みを巡らしていた。

 「バイクロッサーどもが現れてから、魔神ゴーラの吐いたダイヤが悉く
砂に変わりおる!これではゼティマも我らデスターも儲からん」

 苦虫を噛み潰したような表情で吐き捨てるドクターQ。彼が自らの科学力
を傾注して作り上げたロボットは、みなバイクロッサーの前に敗れ去っていた。
彼らの悪事が破綻してしまうと、せっかくのダイヤも台無しになってしまう。
なぜなら、魔神ゴーラの吐き出すダイヤは子供たちに笑顔が戻るとその魔力を
失い、砂になってしまうからだ。これではゼティマへの上納金も自らの富も
手に入らない。頭を抱えるドクターQ。しかしそんな彼をそっちのけで、
デスター女性陣の口論が今日も始まった。

 「あんたが無能だからお父様も苦労なさるのよ?判ってるの?」

 「うるさいわね!あんたに言われる筋合いはないわ!!」

 シルビアとリタは互いに仲が悪く、ことあるごとに口げんかが絶えない。
愛娘と秘書との板挟みもまた、ドクターQにとっては頭痛の種であった。
ついには掴みかからんばかりの大げんかに、さすがにドクターQの堪忍袋の
緒が切れた。

 「お前たち、いい加減にせんか!!」

 部屋中に響き渡るドクターQの怒声で、ようやく女二人の口げんかは
収まった。
547ナナシマン:03/02/21 21:11 ID:G0A5WMyA
 「組織への上納金と我らの利益、この二つを確保するために儂は助っ人
を招聘した。わざわざスペインまで行ってな」

 「スペイン?」

 ドクターQの言葉に首を傾げるシルビアとリタ。

 「お父様ぁん。旅行ならそう仰ってくれればいいのに」

 そう言ってリタはドクターQに甘えてみせる。次は自分を連れて行って
欲しいと言わんばかりに。

 「儂とて遊びに行ったわけではないぞ。スペインに旅行に行ったと聞き
後を追ったが、放浪癖のある御仁なので苦労したわい。まもなくここに到着
するだろう」
548ナナシマン:03/02/23 09:22 ID:lkMRcBaa
 やがて、3人のいる部屋のドアがゆっくりと開く。と、その向こうから
姿を現したのは、発作的なクシャミですっかり鼻を真っ赤にしてしまった
あの老人だった。

 「紹介しよう。彼こそプロフェッサーK。子供を泣かすことにかけては
まさに天才といえるだろう」

 そう紹介された老人−プロフェッサーKはゆっくりと3人の方へと
歩み寄ると、やがてドクターQと握手を交わした。

 プロフェッサーK。彼は犯罪組織「テンタクル」の首領であった。だが
幼稚園バス乗っ取り作戦の後、やむにやまれぬ事情によりテンタクルは
解散、Kは一人スペインへと傷心旅行に出ていた。しかし、彼の噂を
聞きつけたドクターQに口説かれ日本に帰ってきたのだ。
549ナナシマン:03/02/23 09:22 ID:lkMRcBaa
 「儂にとって子供とはアレルゲンなのだ。こうして儂がドクターQと
出会ったのは天意かも知れん。お互いの利害がここまで一致するとは」

 そう言ってプロフェッサーKは意地悪そうな笑みを浮かべる。彼は重度の
「子供アレルギー」であり、症状を緩和、回復させるためには子供の鳴き声を
必要としていた。それ故に独力での世界征服すら可能にできるほどの科学力を
持ちながら、彼はその英知のすべてを子供をいじめることだけに傾けてきた
のだ。
 一方のドクターQも、魔神ゴーラの像からダイヤを吐き出させるために
は、多くの子供の涙を必要としていた。そして、両者には共通の敵がいる。
そのために手を組むことはこの上ない利益を両者にもたらす。かくして
両者の利害は一致し、この共闘となった。

 「儂は既に組織を畳んだ身。しかし、アトリエに連絡をくれればいつでも
協力しよう。儂の技術があればデスターがゼティマを凌駕することも不可能
ではない」

 「それはちと言葉がすぎよう・・・フフフ。我々が手を組めば、この世は
子供たちの鳴き声であふれ、魔神ゴーラの像はますますダイヤを吐き出す
だろう。楽しみなことだ」

 満面に笑みを浮かべてドクターQは言った。ここに、子供をいじめる
ため「だけ」に悪事をはたらく、二大巨頭の連合が成立した。
550ナナシマン:03/02/23 09:23 ID:lkMRcBaa
 「ドクターQよ、早速だが儂のスペイン土産を受け取ってもらいたい」

 プロフェッサーKの突然の申し出。彼はドクターQに手土産があるのだと
言う。

 「ほう、それはありがたいことだが一体何かね?」

 邪悪な笑みをたたえて言うドクターQ。最高のパートナーを得て今や
上機嫌の彼に手渡された設計図。これこそがKの言う「スペイン土産」で
あった。それはこれまでのロボットとは違う、強力な新戦力の誕生を予感
させた。

 「これは驚いたわい。いつの間にこんなものを」

 「すでにお前さんのロボット理論は完成しておった。だからそれに
少々儂の色を付けてみたまでよ」

 「素晴らしい。これは完成が楽しみだわい」

 悪の二大巨頭が手を結び、その結晶として誕生した新型ロボットの
設計図。この新型ロボットが現実のものとなり、世界征服の尖兵として
姿を現すのは、果たしていつか?!


Intermisson 「悪の共闘!QとK」 終

551ナナシマン:03/02/23 09:23 ID:lkMRcBaa
 以上簡単ではありますがインターミッションを終わります。おかげさまで
一日おいた間に思いがけず筆が進み、一本できあがりました。頃合いを
見計らってまた来たいと思います。
552名無し天狗:03/02/23 15:05 ID:X8JNEqFl
>ナナシマンさん
楽しかったです!KとQが手を組んだということは、
V3(元マシンマリ)とバイクロッサーの共闘もひょっとして・・・?
今後に期待です!無理せずがんばって下さい。
・・・頃合って、なかなか難しいんですよね。(←言い訳がましいぞ、天狗!)
あと、ここではリタはQの「孫娘」じゃなく「娘」と言う設定なんでしょうか?
気を悪くしたらスイマセン・・・。
553ナナシマン:03/02/23 15:35 ID:LrtjWUTn
>>名無し天狗さん
  孫入れ忘れてた−!すいません。僕も書き込み終わって気づいたんですが
時既に、と言うヤツでして。次はもう01の話が出来ちゃったのでそっちに行こうかと
考えてます。
554名無し天狗:03/02/23 15:42 ID:mblK37nC
>ナナシマンさん
いえ、こちらこそスイマセン。ただちょっと気になったもので・・・。
では、ここではそう言う設定と言うことに・・・。
01期待してます。嵐は暗中模索の真っ只中です。
555名無しファイズ:03/02/23 23:48 ID:7e2s5nJh
555GET
556名無しスター:03/02/24 01:06 ID:2gPCbsfy
じゃあ行かせていただいてよろしいでしょうか?
前に「半分」といいましたが、「1/5」に訂正します(w
557名無しスター:03/02/24 01:29 ID:2gPCbsfy
ザ・カゲスター、東京進出編:前編

本州上陸から2週間後、草加市と足立区の境界・・・


「ふう・・・やっと東京だよ、ユウキ」
「・・・・・・・」

「どうしたの?」
「・・・・・・・」

「あ〜、ゴメンゴメン、今日はちょっとペースが速すぎた?東京が近づいたもんでつい・・」
「・・・・・・・」

「あとちょっとでユウキん家だけど・・今日はここで休もうか」
「・・・・・・・」
558名無しスター:03/02/24 01:31 ID:2gPCbsfy
次の日

「さあ行こうか」
「ソニンさん、電車使おうよ」

「あとたった15kmじゃない、1時間もかからないわよ」
「そりゃそうだけど、昨日130kmも走らされたから体調が・・・1日50km以下の約束だったじゃないか・・・」

「まあまあ・・これでしばらく長距離移動は無いと思うから・・」
「分かったよ・・・」


約一時間後、江戸川区の郊外に到着した。ここは二人が初めて出会った場所である。
丘があり、林が茂り、防空壕跡と思われるトンネルがあった。
そしてその地下にゼティマの研究所があった。

数ヶ月前までは・・・
559名無しスター:03/02/24 01:32 ID:2gPCbsfy
「すっかり変わっちゃったね、あれから1年も経っていないのに・・」
「何か手がかりがないかと思ったんだけど・・・」

丘はすっかり木々が切り倒され、重機が行き交い山肌を削っている。
「平成○○年分譲予定・住宅公団」と書いた看板があちこちに立っていた。
ゼティマの偽装か、あるいは二人に襲われたため放棄したのか、それとも単なる資金稼ぎなのかは分からない。
いずれにしろ、唯一と思われる手がかりは完全に消え去っていた。

「これからどうしよう・・・」
「この住宅公団に聞いてみたら何か分かるんじゃない?」

「それはもちろん力ずくで、って話よね・・・ちょっと危険かも・・」
「どうして?ずいぶん慎重だね。ソニンさんらしくもない」

「そりゃ慎重にもなるわよ・・」
560名無しスター:03/02/24 01:34 ID:2gPCbsfy

二人は本州に上陸してから3人の改造人間と闘った。
北海道からの追っ手と、監視役と、偶然出会った怪人であった。
追っ手は問題なかった。
しかし、監視していた怪人は手強かった。
関東に入ってから偶然出会った怪人に至っては、格闘で全く歯が立たなかった。
必殺技を駆使して辛うじて勝利を収めたのである。

東京に近づくに従って・・・いや時間がたつにつれて怪人がどんどん強くなっている。
次は勝てないかもしれない・・・
そう思うとなるべく危険は冒したくはなかった。

「・・・・・・」
「・・・ソニンさんってば!」

「あ、ごめん考え込んでた・・何?」
「とりあえず母さんと姉さんに挨拶に行きたいんだけど・・・」

「あ、そうね・・・」
561名無しスター:03/02/24 01:36 ID:2gPCbsfy
「ただいま、母さん、姉さん・・・」

ユウキはそう言いながら線香に火をつけた。
ここはお寺の墓地である。
訪れる人があまりいないためか、墓石の周りは雑草が茂っている。
墓石には父の名と、隣に姉、真希の名。そして真新しく彫ったばかりの母の名と真ん中の姉の名前があった。
(一番上の姉は嫁ぎ先に埋葬されている)

ユウキが初めてソニンと出会い、カゲスターとなったあの日・・・
研究所の怪人や戦闘員を倒したユウキはソニンと家に向かった。

家に近づくと様子がおかしかった。消防車やパトカーが走り回っていた。

変わり果てた母と2人の姉の遺体は、今度は間違いなく自分の肉親であった。
警察の捜査の結果は「ガス爆発」であった。
562名無しスター:03/02/24 01:39 ID:2gPCbsfy
あまりにもタイミングが良すぎる・・・
ユウキは自分が姉(真希)についてあちこち聞きまわったことや、
カゲスターとして怪人を倒したことがこの悲劇を招いたのだと思った。
しかし事実は違った。
後で分かったことだが、母は探偵を雇い、真希の捜索を依頼していたのだ。
事故からしばらくして、母宛に「調査報告書」が届いた。差出人は探偵事務所だった。
調査をしていたのは1ヶ所だけではなかった。数日のうちに、4つの探偵事務所から報告が届いた。
そのうちの1つは
「調査途中に調査員が行方不明になった。依頼主の名前が漏れたかもしれない。なるべく用心して欲しい。」

という内容であった。
この探偵事務所に電話をしてみたが、既に連絡が取れなくなっていた。
どうやらこれが家が襲われた直接の原因だったのだろう。

そして、残りの調査書は真希の生存を裏付ける内容であった。

「姉ちゃんは生きている!」

しかし、前回と今回の件で警察は全くあてにならないこともわかっていた・・・
563名無しスター:03/02/24 01:45 ID:2gPCbsfy
ソニンは数日間ユウキといっしょに、後藤家の親戚の家に世話になっていた。

「長々とお世話になりました」
「行く所が無いんでしょ?しばらくここに居てもいいのよ?」

「いえ・・・これ以上甘えるわけにはいきません。それに、やらなければならないこともありますし・・」
「そう・・・」

「ユウキくん・・・これから大変だと思うけど・・」
ソニンはユウキに話し掛けた。
ユウキは事件以来ほとんど食事も取らず、ずっと焼け跡から見つかった数枚の写真を眺めていた。

「ここでずっと暮らすつもりなら、姉さんのことは忘れたほうがいいよ。
 いろんな人に迷惑がかかると思うから・・・」
ユウキは黙っていた。

「それじゃ、さよなら・・・元気でね」
そう言ってソニンは家を出た。
564名無しスター:03/02/24 01:56 ID:2gPCbsfy

ユウキはソニンが出て行った後も写真を眺めていた。
真希が死ぬまでは平穏だった日々・・・
大好きだった姉達・・・
その中でも一番好きだったすぐ上の姉、真希。
二人で仲良く遊んだ幼い日々・・・

ある場面が思い出された。「父親いないんだろ!」といじめられた時のことだった・・・

「お姉ちゃんは俺が・・・」

ユウキは立ち上がり、ソニンの後を追った。
565名無しスター:03/02/24 01:58 ID:2gPCbsfy
必死に走り、ようやく追いついたユウキはソニンに聞いた。

「ソニンさん・・これからどこへ行くの?」
「わからない・・・でも行かなきゃ。私の家族と、私自身を捜すために・・・」

「俺も行く・・」
「復讐でもするつもり?相手はおそらく巨大な組織なのよ・・・」

「違う!俺も家族を・・姉ちゃんを捜す・・・姉ちゃんは俺が守るんだ!」

こうして二人の旅が始まった・・・
566名無しスター:03/02/24 02:02 ID:2gPCbsfy
今日はここまでです。「前編の前編」つーことでひとつ・・・
567名無しスター:03/02/25 01:36 ID:YpfKQ3Qz
〜お墓の前〜

ユウキはしばらくお墓に手を合わせていた。
それが終わると立ち上がり、墓石に刻まれた姉の名をじっと見ていた。
そしてマジックを取り出すと真希の名前のところを赤く塗り始めた。

「何してるの?」
「お墓に刻んである名前が赤いっていうのは『生きてる』って意味らしいんだよ」
「ふうん・・・変わったことを知ってるのね・・」

真希の名前を塗り終わると、今度は一番端に赤色で自分の名前を書いた。

「俺が死んでも誰も弔ってくれないかもね・・・」

ソニンは黙ってそれを見ていた。

「それより・・・」
「うん・・」

ソニンとユウキはさっきからこちらをじっと見ている不審な人影に気が付いていた。
568名無しスター:03/02/25 01:38 ID:YpfKQ3Qz
「奴らか?・・・」

ソニンが警戒していると、その人物は向こうから近づいてきた。
身構えるソニンの前で、その人物は辺りを見回しながらそっとサングラスとマスクを外した。
初老の男性であった。

「ソニンさん、お元気そうで・・・」
「あなたは・・・」

「病院の先生?・・・」
「正確にはあそこは病院ではなく研究所です。・・・それよりちょっとお時間をいただけますか?」

ソニンは警戒して周りを見回した。

「大丈夫です。研究所に連れ戻したりはしませんよ。というか、もう研究所は潰されましたし・・・」
「どういうこと?・・」
569名無しスター:03/02/25 01:40 ID:YpfKQ3Qz
「知り合いなの、ソニンさん?」
「ちょっとね・・・この人と話があるから、先にテントに帰っていて・・・すぐ戻るから。
 一人で動いちゃ駄目よ。何かあったら迷わずカゲスターに変身して・・・」

「言われなくても分かってるよ。子供じゃないんだから大丈夫だってば」


ファミリーレストランの隅の席で二人は向かい合っていた。
初老の男はしきりに周りを気にしている。

「それで、お話というのは?・・・」
「まずは、私の自己紹介を・・・ソニンさんは私を医者か何かだと思っているようですが・・
 私は内閣直轄の『“Z”対策特別委員会』の中の『生体研究部門』の責任者でした」
「“Z”・・・」

「“Z”の意味はご存知ですよね・・・私は元々防衛庁の医学研究センター長でした。
 そこで例の改造人間について研究を行っていましたが、対策委員会の設立に伴い、
 警察庁の研究班と組織を統合しました。私がそこの初代所長です」

「警察と自衛隊が共同で?」
「極めて異例の事ですが、それだけ事態が切迫しているのです」

「私もZETI・・・いや、“Z”についてはあまり詳しく知ってるわけではないですが、
 政府がそこまで焦っているとは・・・まさか『日本征服』が可能だとか?」

「不可能という訳ではありません・・」
570名無しスター:03/02/25 01:44 ID:YpfKQ3Qz
「・・・自衛隊ってそんなに弱いんですか?」

男の顔色が変わった

「馬鹿を言うな!自衛隊員は陸海空合わせて25万人。予備役を入れると30万人。
 戦車は1000輌、装甲車700輌。自走砲を含めて大砲が6000門。戦闘ヘリ90機。
 戦闘機200機、地上攻撃機150機、4つの護衛艦隊、米軍に次ぐ世界最高水準の水上攻撃能力。
 アジアどころか世界的に見ても相当の実力を持っている!」

「じゃあさっさと潰して下さいよ!」

「失礼、少し興奮しました。私も一応防衛庁の人間なので・・・そこがこの国の難しい所なんですよ、
 ソニンさん。『治安維持』の為に自衛隊が出動し、国内で戦闘を行うなど不可能なのです・・・」

「じゃあ警察が・・・」
「既に警察には手に負えません。彼らの武器は警棒、盾、22口径拳銃、せいぜいマシンガンが
 数十挺程度です。それでは勝てない事をあなたはご存知のはずです」

「でも・・・」
「自衛隊の出番があるとすれば、誰の目に見ても明らかに警察の手に余ると分かった時でしょう。
 かなりの犠牲者が出また後です。そしてその時、自衛隊が勝てる保障はありません」

「どうして?自衛隊は『世界有数の実力をもつ』戦闘集団なんでしょ?・・・」
「相手がただの犯罪者集団なら勝てます。しかし・・・」

「改造人間・・・」
「そうです」
571名無しスター:03/02/25 01:48 ID:YpfKQ3Qz
「最初に我々の前に現れた改造人間は、単なる『力持ち』でした。スピードもスタミナも耐久力もない出来損ないでした。」

「・・次にスピードの速い奴が現れました。こいつはパワーが無く、ただすばしっこく走りまわるだけでした。厄介でしたが、
 たいした被害は出ませんでした。次に体が硬いだけの奴、カメレオンの様に体の色が変わる奴、体の形が変えられる奴・・・
 いずれも脅威ではありません。自衛隊どころか警察で充分でした。」

「・・・・」
「そしてしばらくして現れたのは『パワーがあり、スピードも速い』奴です。パワーもスピードも
 前のやつよりはるかに上でした。カメレオン能力も徐々に向上しています。
 人間の目では完全に消えたように見える奴まで現れました。まだスピード・パワーとの両立は無理らしいのですが。」
 いずれにしろこのまま成長を続けると・・・」

「戦車や大砲では勝てない・・」
「完全に姿を消し、戦車をひっくり返すパワーを持ち、高速で弾をよけながら走り、
 大砲の弾を跳ね返し、無尽蔵のスタミナを持った奴が現れたとしたら・・・隊員が何万人居ようが、
 戦車や戦闘機をどれだけ持っていようが関係ありません。現状の戦力は全く無意味です。」
572名無しスター:03/02/25 01:53 ID:YpfKQ3Qz
「じゃあ“Z”の存在を国民に公開して、自衛隊を出動させるべきなんじゃないですか?
 今なら勝てるんでしょ?」

「政治的な問題もあります。日本には、なるべく自衛隊に活躍して欲しくない、という勢力が
 たくさんあるんです。彼らはたとえ“Z”のことが公になっても、警察の機動隊が千人単位で
 犠牲者を出さない限り出動を認めないでしょう。それと・・・」

「それと?・・」
「信じられないでしょうが、政府にも『内通者』がいます」

「そんな・・・」
「“Z”の情報公開や、対策強化に強硬に反対する大物政治家や役人がたくさんいます。
 ・・それに、我々の研究所が襲われましたが、警備の隙を突かれました。情報が漏れています」

「彼らは洗脳されているんですか?」
「半分はそうでしょう。しかし残りの半分はこの機に乗じて自分の利権を拡大しようとする輩です。
 彼らは金のためなら何でもします・・・」

「信じられません・・・」
「一番厄介なのは、改造人間ではなく人間なのです・・・」
573名無しスター:03/02/25 01:54 ID:YpfKQ3Qz
「我々に出来ることは、ただ備えることだけです。既に警視庁の手で戦闘用の機械が、
 自衛隊の手で改造人間の試作が始まっています」

「政府が改造人間を!?」
「それで、ここからが本題ですが・・・ソニンさんの力が必要なのです」

「私のパワーが必要なんですか?警備隊に入れとか?」
「違います、研究に協力していただきたいのです」

「やっぱり・・・研究材料になれという意味ですか?またあの時みたいに・・・」
「そうではありません・・・まだ記憶が完全に戻ってないようですね」


「・・・どういうことですか?」
「我々に必要なのは、ソニンさん。あなたの『頭脳』です」
574名無しスター:03/02/25 01:55 ID:YpfKQ3Qz

「またそんなうまいことを言って、人をモルモット代わりにでもするつもりなんでしょ?
 私はあそこに戻るのはもう嫌ですから!」

ソニンはそう言って席を立った。
後ろで男が大声で呼び止めるのを無視して、ソニンは店を出て歩き出した。
突然、男の呼び止める声が途切れた。車のドアが閉まる音がした。
ソニンが振り返ると、黒いワンボックスが急発進したところだった。

「連れ去られた?・・・」

ソニンは車の後を追った。
575名無しスター:03/02/25 01:58 ID:YpfKQ3Qz
ちょうどその頃、ユウキはテントのある公園の近くの歩道を歩いていた。

反対側の車道を走る大型バイクが走って来た。
ただのバイクなら気にも留めなかったろう。
運転していたのは不似合いな若い女性であった。寒いのに黒いホットパンツとショートブーツで運転している。
ユウキは思わずどんな女性が運転しているのかと、顔を見た。そしてその場に固まった。

「姉ちゃん!?・・・」
ユウキは振り返ってバイクを追いかけようとした。
しかしいかにソニンに「鍛えられた」とはいえ、生身の人間である。追跡は無理だ。
ユウキは公園に飛び込んだ。

「影よ伸びろー!」

カゲスターに変身し、バイクを追った。
ユウキの「本体」はテントの前に横たわっていた。
576名無しスター:03/02/25 02:00 ID:YpfKQ3Qz
黒いワンボックスの中

「私をどうする気だ!」
初老の男が叫ぶ。

「ハカイダー様の命令だ。お前には俺達の研究に協力してもらう」
「貴様らに協力などするものか!」

「最初はみんなそう言うんだよ」
怪人「カメレオン男」はそう言って笑った。

「カメレオン男様、そろそろハカイダー様との合流地点です」
運転手の戦闘員が言った。
577名無しスター:03/02/25 02:01 ID:YpfKQ3Qz
国道沿いのスーパーマーケットの駐車場。
買出し当番の辻と安倍はソフトクリームを食べていた。

「うわぁ・・・」
突然辻が驚いたような、感心したような声を出した。

「どうしたの?」
安倍が聞いた。

「ずいぶん走るのが速い人がいるのれすね」
「マラソン選手じゃない?」

「女の人れす。車を追い抜いて行ったのれす」
「ブッ!」

「安倍さん、どうしたのれすか?鼻にソフトがついているのれす」
「ど、どっち行ったのよ!」

「ふぇ?」
「そんな人間いるわけないでしょ!改造人間に決まってるじゃない!」

「あ!・・あっちへ行ったのれす!」
「行くわよ!」

二人はサイクロンとカブトローにまたがり、女の後を追った。
578名無しスター:03/02/25 02:06 ID:YpfKQ3Qz
一方こちらはパトロール中のひとみと梨華。

信号待ちの最中、若い女性の乗るバイクが横切った。

「今のは・・・」
「どうしたの?ひとみ」

「いや・・今のバイク・・・」

その時、マントを着けた赤い怪人が目の前を高速で走りぬけた。

「な・・何?今の?」
「追うぞ!」

二人は赤信号をすり抜け、赤い怪人の後を追った。


つづく


ザ・カゲスター 東京進出編・前編 〜完〜
579名無し娘。:03/02/25 20:57 ID:lcS+sDol
お疲れさんでした。続き期待。
580名無しスター:03/02/26 22:49 ID:SnozYTI8
保全・・・


えー、「後編」はしばらく先になりますので次の方どうぞ。
前編書くのに2週間近くかかってしまいますた。
581名無し天狗:03/02/26 23:50 ID:gpbO2nUS
>名無しスターさん
お疲れさまでした。無理せず続きを頑張ってください。

さて、と・・・

>作家ご一同様並びに読者の皆様
もし、次の方がいらっしゃらない時は
僭越ながら、「嵐」の話をボチボチ書きたいと思います。
長いこと引っ張って申し訳ございません。
ただ、私の場合、一度原稿を書かずにいきなりスレッドにチャットしますので、
完結まではかなりの時間を費やすかもしれません。ですが、なるべく早く完結させて
次の方にバトンを渡そうと思います。
文才もなく、皆様の期待に応えられるかどうかわかりませんが、よろしくお願いします。
582名無し募集中。。。:03/02/27 17:38 ID:uHccHZky
>>580,581
 今後の展開が本編にどう絡むのか期待。
そういやここの作者には平成ライダーってどうなんだろ。
583名無し募集中。。。:03/02/27 19:18 ID:xYGkAtHf
>>581
>ただ、私の場合、一度原稿を書かずにいきなりスレッドにチャットしますので、
狽ネぜに!
いや、冗談抜きで一度メモ帳とかに書いてコピペしたほうがいいですよ。
誤字脱字のチェックや前後のつながりのおかしなところを直したりできますし。
まあ、どうしてもこだわりがあるなら無理にとは言いませんが。
584名無し天狗:03/02/27 20:39 ID:7r+mbGYF
>583さん
それも一理あるかも・・・。
ただ、私の場合引っ張りに引っ張って重い腰を上げたって感じですから、
今から原稿執筆ってのはちょっと・・・。
このまま考えていたずらに時を過ごしても余計申し訳なく思うので、それで
「ストーリーを組み立てながらのチャット」と相成ったわけで・・・。

横入りだけはしたくないので次の方、もしいらっしゃいましたらどうぞ。
585川o・-・) :03/02/28 23:00 ID:bHtzkwO+
川o・ー・)<保全 ニヤリ   
586名無し天狗:03/03/01 00:53 ID:kApot9fU

   第33話か34話「むかし むかし・・・」

いつの世も、“善”と“悪”は存在し、常に反目し合っている。
心悪しき者が心善き者を蹂躙し、邪な権力で支配せんとするが、
その悪を天は決して許さぬのもまた、世の常である……。

今を遡ること、約400年前。
関ヶ原合戦、大坂の陣を経て、徳川家による幕藩体制が
ようやく磐石のものとなった、俗に言う「江戸時代」。
初代将軍家康、二代将軍秀忠と受け継がれた江戸幕府将軍家の天下は、
三大将軍家光をもって揺るぎ無き鉄壁のものとなった。

この物語は、その家光治世の頃の出来事である・・・・・・。


ここは、越前美浜藩の江戸上屋敷。
美浜藩では、戦乱の頃より「とある技術」の探究が行われ続けていた。
当初こそ、この「技術」を一刻も早く完成させて、その力をもって
天下を掌握せしめんと画策していたが、完成した時には乱世の時代は終わりを告げ、
泰平の世となった今、再び日本を修羅の血に染めてはならじと、時の城主が封印したのである。
その美浜藩の現城主の間を、ひとりの男が訪ねてきた。
彼は口ひげを蓄えており、穏やかな面立ちをしていた。

「殿…。」

彼は美浜藩の江戸留守居家老である。その彼の声に、
先ほどまで縁側に立ち、晴天を見上げていた城主が振り向いた。
その面立ちたるや、やや面長。目は開いているのか閉じているのかわからぬほど細く、
一本の線を思わせた。そして彼もまた、家老のとは違った温厚さと気品を感じさせ、
一国一城の主に相応しい人相を持っていた。事実、この城主の治める美浜藩では、
領民から「名君」と慕われていた。
587名無し天狗:03/03/01 01:11 ID:kApot9fU
「…タカカツか。」
「はっ。」

“タカカツ”と呼ばれたこの家老、名を堀内伝兵衛孝雄(ほりうち・でんべえ・たかかつ)と言う。

「殿が参勤交代で当屋敷にお越しになられてから、はや半年になりますな。」
「…半年か…。
 このところ、江戸にも美浜にも変事がなく、まさに天下泰平じゃ。
 この平穏な日々が永遠(とこしえ)に続いて欲しいものじゃのう。」
「然様で…。」

ようやく訪れた平和を噛み締め、城主・五木治部太輔弘繁(いつき・じぶだゆう・ひろしげ)は呟いた。

「ときに孝雄、余がそちに預け置いた、先祖伝来の“秘伝の書”は無事であろうな?」
「無論のこと、この通り…。」

孝雄はそう言うと、床の間の物入れから一巻の巻物を恭しく取り出し、弘繁の前に差し出した。
弘繁はそれを受け取ると、中身を隅々まで確かめるように一通り目を通してゆく。

「うむ、大事無いようじゃな。
 よいか孝雄、この一巻、誰の目にも触れさせてはならぬ。もし邪な者の手にでも渡ろうものなら、
 その時こそ天下は大きく覆り、日本は再び無益な血に染まるであろう・・・
 それだけは断じて避けねばならぬ、よいな!」
「はっ!」
588名無し天狗:03/03/01 01:18 ID:kApot9fU
もし、横入りでしたらお詫びします。

とりあえず今回はここまでです。
ようやく始まった「嵐」の執筆、まだまだ力量不足が目立ちますが、
皆様の納得のいくような(←これが一番自信がない…。)ものにしようと思います。

あと、話のほうですが、原作とは大きく異なる、私独自の解釈で進めることにしました。
オリジナルをご存知のかたスイマセン・・・。
だいぶ日にちを使うことになるかもしれませんが、出来るだけ早く次の方に繋げたいと思いますので
よろしくお願いします。
589 :03/03/02 01:10 ID:r5VG7NSa
とりあえず保全
590名無し娘。:03/03/02 08:56 ID:l359umWO
>>588
今までと違った雰囲気で、これはこれで良い感じ。
591川o・-・) :03/03/03 22:45 ID:eiXphULU
川o`O´)ノ<ほーーーーぜーーーーん
592名無し天狗:03/03/03 23:22 ID:iL1aaZLc
>588から

「…そうじゃ、孝雄、久しぶりに鷹狩に出ようぞ。」
「…は?はぁ…。」
「このところ、大雨じゃ大風じゃと天候に恵まれず鬱積しておったのじゃ。
 久々に身体を動かさねば、なまってしまうわ。・・・不服か、孝雄?」
「め、滅相もござりませぬ!喜んでお供仕りまする。ただ・・・」
「何じゃ・・・おお、“秘伝”の密書のことか。それならば案ずるには及ばぬ。
 耳を貸せ。・・・・・・」

弘繁は、たった今思いついた密書を守る手段を孝雄に耳打ちした。

「…はぁ…。しかしながら殿、その手段で密書を守りきれるでござりましょうか…。」

孝雄はいささかの懸念を抱き、弘繁に疑問を投げかける。
だが、返ってきたのは、

「案ずるな、と申したはずじゃぞ!」

疑念を持ったことを諫めるとともに、絶対の自信に満ち溢れた弘繁の一喝であった。
その威厳のこもった一言で、孝雄の心理は「この策は必ず成る」と言う確信に変わった。

かくして、二人は家臣たちを引き連れて、とある山に向かった。無論、鷹狩のためである。
だが、この時、既に一行の行く手に暗雲が立ち込めていようなどとは、
誰一人予想だにしていなかった。

当の弘繁・孝雄主従さえも・・・・・・。
593名無し娘。:03/03/05 00:51 ID:hHfGy/Du
・・・・・で、この時代劇に娘。はでてくるのでつか?
594名無し天狗:03/03/05 01:25 ID:/52dCC2L
>593
娘。以外のハロプロメンバーが登場するけど、
もぉ〜〜〜〜〜〜ちょっと待ってて!絶対出すから!!
(でなきゃこの「変身忍者 嵐」を始めた意味がない!!)

〜〜〜ただ今続きを思案中につき、しばらくお待ちください〜〜〜
595名無し娘。:03/03/05 20:48 ID:5nQ/5XEg
>593
まぁ、まだ導入部だしね。
>593
がんがってね。
596名無し天狗:03/03/05 21:06 ID:EFUrXqES
>592から

一方、所変わって、こちらは某藩のとある城跡。

この城は、相次ぐ戦によって朽ち果て、焼け落ち、だが幕府の「一国一城令」によって
ついに再建されることなく今に至っている。苔や蔦にまみれ、みすぼらしくあちこちが崩れた
石垣のみのこの城には、実は誰も知らない奇怪な秘密が存在しているのである。

そう、地底の奥深くに・・・。

その地底の、ひときわ広大な空洞に一人の男が入ってきた。
その顔は出会う者全てに戦慄を覚えさせる、実に醜悪怪奇な面立ちである。
顔の半分の皮膚が剥け、何と恐ろしいことに頭蓋骨が露わになっているではないか。
皮膚の残った方も、頭蓋骨剥き出しに負けぬ程の醜怪さで、上目蓋が腫れ、
口元も見るからに凶悪であった。「死神」「妖怪」「悪鬼」と言った形容が相応しい面体の男は、
空洞の中央に膝間づくと、闇に向かってこう告げた。

「申し訳ございません。“例の物”は、未だ見つからぬ模様でございます・・・」

男がそう告げた次の瞬間、先程まで漆黒の闇に包まれていた空洞に人魂の如く篝火が点され、
空洞をぐるりと囲むように一斉に次々と内部を照らしていった。
そして、その男のいる位置から遥か先には、西洋の甲冑のような物体が、帝王の玉座風の台座に添えられていた。

だが、その物体は、単なる置物ではなかった・・・突如、どこからともなく怒声が響いたのだ!

「何だと!まだ見つからぬと申すかっ!!」
「ははーっ!面目次第も・・・。」

声は何と、甲冑からのものであった。その声に恐れ戦き、男は平伏し、“失敗”を詫びる。
597名無し天狗:03/03/05 22:03 ID:EFUrXqES
甲冑は、さらに言葉を続ける。

「探索に抜かりはないであろうな。」
「はっ、それは無論のこと。しかしながら美浜の城主めが、なかなか尻尾を出さぬ
 切れ者にございますれば・・・我らの付け入る隙がございません。」

男は、すがるような心境で言葉を返す。
すると・・・驚くことに置物と思われていた甲冑がおもむろに立ち上がり、男に向かって歩を進めたのである!
重々しい金属音を響かせ、男に歩み寄る甲冑、いや、甲冑姿の者の姿が、篝火に照らされて徐々に明らかにされていく。
やがて、頭蓋骨を模したが如き鉄仮面、長いがまとまりのない白髪、胴の中央に「円で囲んだ頭蓋骨を卍の中央に重ねた
奇妙な紋章」を掲げた甲冑にマント姿、といった全容が鮮明なものとなり、手にした槍のような杖を男に突きつけた。
男は、更なる恐怖に言葉を失った。

「・・・・・・骸丸(むくろまる)!!」
「・・・は・・・はっ・・・・・・。」

骸丸と呼ばれた男はすっかり怯え、返事をするのがやっとであった。

「貴様はあの“例の物”がいかなる物であるかをよく知っていよう!
 あれなる物には、我らが長年の夢を成就へと導く重大な秘密が記されておるのだ!!」
「はっ!・・・存じております・・・!!」

骸丸の声は、既に震えていた。

「“例の物”さえあれば・・・この日本国を再び殺戮の乱世に戻し、その時こそ我らの天下!
 そう・・・この国は我ら“血車党”の支配する地獄と化すのだ!!」
「心得ております・・・。」
「ならば・・・この血車魔神斎の名において今一度命ずる・・・。美浜藩の物どもを残らず根絶やしにし、
 “例の物”を何としてでも手に入れるのだ、行けぇ!!」
「ははぁーーーーー!!!!」

かくして甲冑姿の血車党首領・血車魔神斎の再度の命を受け、骸丸は“例の物=秘伝の書”を奪うべく、心機も新たに出陣した。
598名無し天狗:03/03/06 21:39 ID:d1o/wcig

再び、こちらは弘繁の一行。

目的の山に到達し、弘繁は早速鷹狩を楽しんだ。
その弘繁の傍らに控えていた孝雄は、彼にそっと尋ねる。

「殿、“秘伝の書”はまこと無事にござりましょうか?
 それがし、その事が一番の気掛かりにて・・・。」
「何じゃ孝雄。その方まだその事を気に掛けておったのか?
 意外と小心者よのぅ、その方も。ハハハハハ…。」

弘繁は孝雄の心象を和らげるように笑ってこう答えた。
確かに“秘伝の書”は、弘繁の“策”によって厳重に守られている。
その“策”とは・・・・・・侵入者の来襲に備えて予め迷路状にした屋敷の地下の、
それも行き止まりや行き着く終点ではなく、それらに辿り着くまでの途中の通り道のどこかに
“秘伝の書”を埋めた、と言うものであった。
その入り口は床の間の掛け軸の裏にあり、普段はしっかりと壁板で閉められている。
余程屋敷内を熟知しない限り、この「地下迷路」の存在を知られることはない。
弘繁はそこに賭けたのだ。それ故に孝雄の疑問にも余裕で答えることが出来た。
その上弘繁は、この鷹狩の最中でも不測の事態に備えて偽の“秘伝の書”を懐中に忍ばせていたのである。
まさに万全の態勢であった。
599名無し天狗:03/03/07 00:22 ID:TsbN4f5K
だが、そうであるかと言って誰しもがこの“秘伝の書”を狙わなかったのかと言うと、そうではない。
幕府の支配が絶対であるとは言え、幕府に不満を抱く者や、あくまで倒幕を目論む者は存在しないとは限らなかった。
美浜五木家に代々伝わる“秘伝”の言い伝えは、既に反幕派の知れるところとなっており、彼らは皆その“秘伝”を手に入れ、
日本の天下を我が手中に収めようと常々密偵を放って探索させていたが、誰一人として“秘伝”の肝心要に触れることは叶わなかった。
孝雄の悩みの種は、まさにそのことであった。

幸いにも、この鷹狩に於いて“秘伝の書”を狙う輩は現われなかった。
だが、帰途に付いた弘繁を、異様な風体の男たちが群れを成して襲ってきた!
彼らもまた、“秘伝の書”を狙っており、屋敷に帰着する弘繁らを待ち伏せていたのである。
男たちは皆、頭の先から指先、爪先に至るまでを全て鎖帷子で覆い、その上に迷彩のような柄の
忍び装束を身に着けていた。彼らは縦横無尽に素早く動き回り、瞬く間に弘繁に肉薄し取り囲む。
やがて、男の一人が刀を突き付け彼に詰問した。

「五木治部太輔殿、ご貴殿の家系に代々伝わると言う“秘伝”の在り処をお教え頂こう!」

言わねば首を刎ねる、と言わんばかりに男は刀の刃を弘繁の咽喉元に押し当てて彼に凄む。

「“秘伝”・・・?な、何のことだ?知らぬ・・・・・・。」
「知らぬとは言わせませぬぞ。ご貴殿のご先祖が乱世の頃より試行錯誤を繰り返してきた“秘伝”・・・
 そう、“化身忍者誕生の法”の子細は、我ら血車党も聞き及んでおり申す・・・。」

必死に抵抗する弘繁を嘲笑うかの如く、一人の男がゆっくりと彼の前に現われた。
顔半分が頭蓋骨剥き出しの人相・・・血車党の陣頭指揮を執る骸丸である。
骸丸は、その不気味な顔を弘繁に突き付け更に脅しをかける。

「・・・素直に在り処を話せばよし、さもなくば・・・・・・
 この屋敷の者どものみならず、美浜の民が一人も残らず皆殺しになりますぞ!!」
「・・・・・・!!!」

骸丸のこの一言に、弘繁の精神は恐怖に凍りついた。
600600:03/03/07 17:09 ID:xpnFF7CO
600
601名無し天狗:03/03/08 03:44 ID:bJ2QPJFt
>599から

「殿ぉ!!」

叫ぶ孝雄の声も空しい。既に孝雄を始め鷹狩に同行した者は家臣や小姓、腰元に至るまで
悉く血車党によって捕らわれの身となっていた。
弘繁の進退は、ここに窮まった。決断を迫られる弘繁。だが、泰平の世は乱させじ
と言う思いから、彼は決して“秘伝=化身忍者誕生の法”の所在を明かすことはなかった。

やがて業を煮やした骸丸は、配下の下忍たちに、邸内を隈なく探るよう命じた。

「無駄なことを…いくら探したとて、初手から無い物など見つけ出せよう筈などないわ!」

窮地に陥ってなお、弘繁はあくまで強硬な態度で骸丸を睨みつけて、そう言い放った。

一方、骸丸の命を受けた血車党の下忍たちは、一斉に邸内の探索に掛かっていた。
部屋と言う部屋は忽ちに荒らされ、血車党を阻止せんと立ちはだかった五木家家臣たちは
片っ端から斬り捨てられ、瞬く間に五木邸は阿鼻叫喚の地獄と化した。
と、そこへ一大事を聞き付けて、五木家の側用人・高山源五右衛門厳実
(たかやま・げんごえもん・よしざね)が、大勢の家臣たちを率いて馳せ参じて来た。
厳実は槍を振るって奮戦し、家臣たちも死に物狂いで応戦する。
一進一退の攻防が二刻(一刻=約二時間)に亘って繰り広げられていた・・・

その時!!

602 :03/03/09 11:45 ID:1yjd60pP
603川o・-・)    :03/03/09 23:40 ID:VHtCuGIu
(V)川o・-・)(V)<ザリガーナ保全
>601から

弘繁の脳裏に浮かんだもの、それは・・・

この事態に備えて“策”を練ったのではなかったか?今こそその“策”を使う時・・・!

「待て!!」
「!?」

弘繁の突然の声に、その場にいた者はすべて不意を突かれた。
骸丸はわずかに驚きつつも、弘繁に尋ねる。

「いかが召された、五木殿?」
「・・・余の負けじゃ。秘伝の書はこの通り・・・。
 やはり家臣や民百姓らの命には代えられぬ・・・・・・!!」

無念の涙を流しつつ、懐中の一巻を骸丸に差し出す弘繁。だが・・・

「フフ・・・愚かな。そのような猿芝居や粗末な偽物ごときでは、
 我ら血車党の目は欺けませぬぞ!!」

嘲笑とともに、骸丸は弘繁の手から巻物を払い落とした。
哀れ、弘繁の策は既に見抜かれていたのだ。
万策尽き果てた弘繁は、死を覚悟した・・・。

「皆の者、済まぬ。余が至らなかんだばかりに・・・・・・。」

と、そこへひとつの影が現われ、血車党の手中に落ちていた弘繁を救い出した!!
605名無し天狗@皆様へ:03/03/10 00:09 ID:qUoSBaNX
こんな調子ですが、何とか頑張ってやっております。
ご迷惑をお掛けして申し訳ありません!
そして保全して下さった方々、本当にありがとうございます!
どうにかして「早めに終わらせたい」と言う気持ちに変わりはありませんので
どうかよろしくお願いします!!
606名無し娘。:03/03/11 21:35 ID:4MJdSeok
>605
急かす気はないから、マターリやっとくれ。ガンガレ。


607名無しスター
保全代わりに・・
「後編」はだいぶ書き溜めましたが、どんどん長くなってしまってます。
現在文章をダイエット中。

次は「中編」とかダメ?・・・