1 :
ねぇ、名乗って:
ゴマキの卒業で娘は終わった。娘の中でもベスト1か2の人気を誇る
ゴマキの脱退は非常に痛い。娘ファンの3分の1は消えたとなる。
石川が最近人気が出てきてるが、辻・加護の全盛期はすでに終了し
5期メンバーはへぼすぎる。昔からのメンバーも飽きられてきてる。
自分の予想ではこれから1年の間に娘は大きく人気が低迷するだろう。
↑アンチ後藤
3 :
三十路:02/10/01 00:49 ID:MEjWGiPr
1が結論言ったような気がする。
4 :
名無し募集中。。。:02/10/01 00:59 ID:jrky0CyU
このスレは今から
【消防?】ヘタレネタ職人・名無し君について語るスレ【厨房?】
になりますた
5 :
名無し募集中。。。:02/10/01 01:01 ID:SD5CmaLS
だな
神にはなれない
7 :
名無し募集中。。。:02/10/01 01:02 ID:0dTB/AB1
1が結論を出したら話が進まない
記念カキコ
9 :
名無し募集中。。。:02/10/01 01:03 ID:AvTF5k+p
ベストって、最高って意味だよね?
英語的に、唯一って意味だよね?
ベスト1ってな何?
ベスト2って何?
1=知恵遅れ 引きこもり 友達なし
10 :
名無し募集中。。。:02/10/01 01:04 ID:AvTF5k+p
11 :
名無し募集中。。。:02/10/01 01:04 ID:AvTF5k+p
後藤の人気が娘の中でもベスト1か2か・・・。知らんかったよ。
14 :
名無し募集中。。。:02/10/01 01:05 ID:qFzJWdoi
【名】名無し君
紺野系ネタスレにて寒い&基地外なレスしかしない真性
15 :
名無し募集中。。。:02/10/01 01:05 ID:AvTF5k+p
9 名前:名無し募集中。。。 投稿日:02/10/01 01:03 ID:AvTF5k+p
ベストって、最高って意味だよね?
英語的に、唯一って意味だよね?
ベスト1ってな何?
ベスト2って何?
1=知恵遅れ 引きこもり 友達なし
10 名前:名無し募集中。。。 投稿日:02/10/01 01:04 ID:AvTF5k+p
>>9 11 名前:名無し募集中。。。 投稿日:02/10/01 01:04 ID:AvTF5k+p
>>9 ウヒャヤッヤア
12 名前:無駄遣いすんな 投稿日:02/10/01 01:04 ID:1MXnd5Zp
馬鹿
>>1が、また糞スレ立てやがって。
>>1 >自分の予想ではこれから1年の間に娘は大きく人気が低迷するだろう。
既に低迷してるよ。
17 :
名無し募集中。。。:02/10/01 01:06 ID:AvTF5k+p
9 名前:名無し募集中。。。 投稿日:02/10/01 01:03 ID:AvTF5k+p
ベストって、最高って意味だよね?
英語的に、唯一って意味だよね?
ベスト1ってな何?
ベスト2って何?
1=知恵遅れ 引きこもり 友達なし
10 名前:名無し募集中。。。 投稿日:02/10/01 01:04 ID:AvTF5k+p
>>9 11 名前:名無し募集中。。。 投稿日:02/10/01 01:04 ID:AvTF5k+p
>>9 ウヒャヤッヤア
12 名前:無駄遣いすんな 投稿日:02/10/01 01:04 ID:1MXnd5Zp
馬鹿
>>1が、また糞スレ立てやがって。
18 :
名無し募集中。。。:02/10/01 01:10 ID:GonLNija
ガンダムシリーズ的に今の娘。の状況はZの最終回からZZでジュドーがZに乗るまでの間の大変な時期と思われ。
もう少し辛抱しよう。
test
5期メソ加入はレオで、
ハロプロ再編は円盤生物シリーズですか?
test
て
ここで小説書いてもいいですか?
どうぞ
27 :
名無し募集中。。。 :02/10/12 13:42 ID:CN1bD3xk
やめろ
28 :
名無し募集中。。。:02/10/12 17:57 ID:NbfUpBUD
鳥肌実、鳥肌実でございます。
打倒自民党打倒共産党くたばれ公明党でございます。
天皇陛下ご推薦。鳥肌実,鳥肌実に熱き一票を。
私の私による私のための政治。王政復古の大号令でございます。
今日本が一番しなければならいないことは何か? 戦争でございます。
私の基本政策は撃って撃って撃ちまくれでございます。うちてしやまぬ全弾撃ち尽くし外交を貫いてまいります。
ご声援ありがとうございます。宮内庁お墨付き。鳥肌でございます。
個人の幸福より国家の繁栄。消費税八十パーセントは当り前。国民当然の義務でございます。
今不況のどん底にあえいでおる日本,何をすべきか?徴兵制度の復活でございます。
男子は八歳から六十五歳まで兵役を。
女子は産めよ増やせよの富国強兵政策を全うしていただきます。少子化などとんでもない。
サッカー・ベースボールなどの毛唐の玉遊びに一喜一憂している暇はございません。
先の大戦による同じ失敗を繰り返さないためにも無敵の軍隊が必要なのであります。
陛下とともに四十二年鳥肌でございます。
朝鮮半島は今や負け犬根性一色であります。ごろつき国家北朝鮮に拳を上げましょう。
目には目をミサイルにはミサイルを。威嚇射撃ではなく全弾命中でございます。
テポドンが怖くて国家の頭が勤まるかー。
私の辞書に平和の二文字はございません。和平の二文字もございません。
鳥肌実、鳥肌実はホップステップ玉砕で頑張ってまいります。
ご声援ありがとうございます。
29 :
谷:02/10/12 18:05 ID:g7oXcOmu
娘。達にベースギターだけの曲を歌わせろよ。
小説まだですか?
( ´D`) <小説まだれすか?
32 :
名無し募集中。。。 :02/10/16 19:02 ID:VvwIa/E9
33 :
ディカブラッド拓哉 ◆xhJonkTAKU :02/10/16 19:05 ID:mirp/iye
これからはジョージの時代
34 :
名無しさん@永劫怪奇 ◆RYJnY4VaGM :02/10/16 19:17 ID:jb7uq5cF
1. プロデューサーのつんく♂は突如新曲のアイデアがひらめく
2. 6期が来て助けてくれる
3. やるせない 現実は非情である
35 :
:02/10/16 19:24 ID:lthWW2Qm
部費
36 :
名無し募集中。。。:02/10/16 19:24 ID:khvqu8VQ
>>29 べースを琵琶に見立て、最近クビになった彼女が平家物語を語ります
( `◇´)<・・・
小説書きます。
題は「終止符オーディション」
※<< >>内の人物の視点でチャプタ―は進みます。
※現実の娘。にまつわるあれやこれやは所々あぼーんしてくらはい
39 :
:02/10/16 19:57 ID:J/2XsdwP
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::: 終止符オーディション :::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
40 :
:02/10/16 19:58 ID:J/2XsdwP
=============================
長い苦しみは もうお終い
これが最初 これで最後
終焉を望み 許しを乞う
私たちの最期 これで最後
=============================
41 :
名無し募集中。。。:02/10/16 20:24 ID:/4YfU7fh
マジレスすると曲が悪い
----------プロローグ<<小川>>----------
「何、これ?」
思わず声を上げてしまった。
移動先のコンサート会場に着いて、初めて出した声だったと思う。
いつも使っているお気に入りのバッグ。開くと、小さな紙切れが入っていた。
こんなものを入れた覚えは、全くない。
「麻琴?どうしたの」
紙切れを握り締めて固まっていた私にあさ美が声をかけた。
「うん、なんか私のバッグに変な紙が入っててさ」
「変な紙?」
ゆっくり近づき、紙を覗き込んでくる。
二人とも歩きながら見るその紙切れは、手の平と同じくらいの大きさ。
定規で書いたみたいな、気持ちの悪い字が貼り付いている。
43 :
名無し募集中。。。 :02/10/16 20:27 ID:w3Z9ZS8p
>>9 むかしむかしTBSで ザ・ベストテン と言う番組がありました
TBSに聞いてみたらいかがでしょうか
「気味が悪いね」
「うん……」
「あ、でも! 何かのゲームのメモかもよ? メンバーの誰かが今はまってるとか」
思いの外元気のない私を気遣ってか、努めて明るく言うあさ美。
長い髪を揺らしながら、顔を覗き込んでくる。
心配そうなその顔付きを見て、
「そうかもね。まあ、気にしない、気にしないっと」
言ってハハハと笑って見せた。そそくさとバッグに紙をしまう。
気付くと私たちは、楽屋までの道のりを他のみんなから大分遅れて歩いていた。
そう。こんなこと気にしていても、仕方がない。
「あさ美、私たち遅れちゃってるよ!」
「え?あ、待ってよ、麻琴!」
駆け出した私を慌てて追いかけるあさ美。
きょとんとした顔で荷物を持ち直している。
「走ると転ぶぞー」
バタバタと音を上げる私たちを振り返って、愛ちゃんが笑ってそう言った。
45 :
名無し募集中。。。 :02/10/16 22:54 ID:Uqkwje03
46 :
名無し募集中。。。:02/10/16 23:21 ID:HZcLhqGj
これからはZONEの時代
47 :
d:02/10/16 23:27 ID:bVOgNZBn
娘と娘。はチガウのね
----------<<紺野>>----------
コンサートの前は、いつも目まぐるしい忙しさだ。
今日の一曲目は「そうだ!We're ALIVE」。
全員が蛍光緑の衣装に身を包む。
決して広くはない部屋で、各々が世話しなくアイドルの表情を纏い始めた。
鏡越しにぼんやりとそんな様子を眺めている、自分。
何気なく、私は麻琴に目を向けた。
準備を終えてしまったのか、一人座り込んでいる。
何か考え事でもしているのか、その表情は虚ろだった。
(やっぱり、さっきのメモ気にしてるのかな)
思い当たるのはその位しかない。
内容はよく覚えていないが、確かに気持ちの悪い文面だった。
『なんか私のバッグに変な紙が入っててさ』
入っていた、ということは誰か入れた人物がいるということになる。
麻琴が色々考えてしまうのも訳は無かった。
「はい、下向かないでねー」
メイクさんにくいっと上を向かせられる。
瞬間、どきりと鼓動が鳴った。
ああ、そうだ。自分もメイクの途中だった。
この考え事に夢中になる癖は、どうにかしなくてはいけない。
「ちょっとだけ目を瞑ってね。……うん、これでOK」
パールの光沢が入ったチークが入れられ、ようやく終了。
鏡の中の自分はちゃんとアイドルに仕上がっていた。
hozen
※補足説明。設定は13人体制のままです。時期としては6、7月。
フィクションです。
「そろそろでーす」
「はーい」
スタッフの声に、保田さんが一番に反応する。
会場から聞こえる音が、段々と大きくなってきていた。
「みんなも早くねー」
先頭を切って、部屋から出て行くのは飯田さん。
続いて吉澤さん、石川さん、後藤さんの三人が後を追った。
もしかして準備が整っていないのは、私だけだろうか。
焦りを感じながら、ダンスに使うピンクのバッグを探す。
椅子の脇、メイク台の下。
思いつくところを探してみるが、なかなか見つからない。
「何、紺野。探し物?」
手にマスカラを持ったままの安倍さんが、こっちを向いた。
見開かれた大きな瞳は、吸い込まれそうなほど綺麗だった。
「あ、はい……」
「なんちゃって。はい、これでしょう?」
「え?そう、です。ありがとうございます」
にっこりと笑って突き出されたバッグ。
確かに私のものだった。
どうして、安倍さんが持っていたんだろう。
「なっつぁん。いつまでメイクしてんのー」
「圭ちゃんこそ、ついさっきまでこだわってアイライン入れてたっしょ?」
保田さんと安倍さんはそんな会話をし、メイク道具をしまい込んだ。
「はいはい、さっさと行くぞー」
座っている二人の頭を、これ見よがしにポンポンと叩いたのは矢口さん。
「もう、矢口ってば」
「仕返しだー」
「きゃはははは」
三人は笑い声を上げたまま、部屋を出て行った。
「私たちもそろそろ行こうよ」
残ったメンバーでは一番年上の愛ちゃんが皆を促す。
「そうだね、早くしないと怒られちゃう」
バッグを肩にかけ、私も続く。
「あさ美ちゃん。 今日はあんまり食べないね」
テーブルの上から、小さいチョコレートの包みを取る辻ちゃん。
口の中にも一つ入っているのだろうか。頬が膨らんでいる。
「いっつも本番前は何かしら口に入れてるのにな。 これで、ののだけになってしもたな」
「あいぼん!」
思わず愛ちゃんと顔を見合わせて、笑ってしまった。
辻ちゃんと加護ちゃんはいつもこんなやり取りなのだ。
「元気足りないぞ〜!」
理沙の声だ。
まだ座り込んでいた麻琴の腕を引き、立たせている。
「そうかな? ちゃんと、元気だよ……」
「マジで!?」
それが合図になっていたのは、麻琴も知っていたはずだった。
マジデ、デジマ、マジデジマ。
私たちの中での「お約束」みたいなものだったから。
「本当に大丈夫だから。さ、早く行こう?」
「あ、うん……。そうだね」
「デジマ」を期待していた理沙を横切り、麻琴はすたすたと部屋を後にした。
「私たちも行こうっか。遅れちゃうよ」
私たちの方を振り返り、弾ませた声で理沙が言う。
その明るい表情にほっとして、私たちも麻琴の後に続いた。
「遅いよー」
「ほら、早く輪に入って」
「これで全員?」
「腕、頭の上に乗っけないでよー」
「あ、そこに入れるんじゃない?」
「もうオッケー?」
「んじゃ、始めるね」
13人で作る小さな輪。その一番外からどうにか手を伸ばした。
コンサートはいつも、これで始まるのだ。
「がんばっていきま〜…しょいっ!」
「しょい!」
これがモーニング娘。最後のコンサートの始まりだったなんて。
この時はまだ知る由もなかった。
57 :
名無し募集中。。。 :02/10/17 22:11 ID:/5JZlGzs
( ^▽^)<どーなるんですかー♪
コンサートは極めて順調に進む。
歌、踊り、MC。
行うべきパフォーマンスは全て頭に入っている。
皆、手馴れたものだ。
順調じゃないのは、私の声くらいかもしれない。
歌唱力赤点の私にも、いくらかのソロパートはある。
例えば今やっているこの曲。『電車の二人』。
「♪パッと咲いてー 散ってもいいわー 叶うならー…」
『あ』の音で暫く延ばさなければいけないのに声が、出ない。
声量が足りないのは、自覚している。
この数秒間は私にとって一つの鬼門だった。
どうにかして絞り出す声。
その音だけに、会場が耳を欹てる。
責め立てられているような長い時間。
「♪優しい時間をー あなたはー 持ってるー」
待ち詫びた里沙の声が耳に入る。
落ち着いたその歌声が、頼もしい。
残るのは一つのソロパート。音から外れないよう、体を動かす。
「♪ああずっと、ああずっと、このままでー」
「♪ああずっと、ああずっと、未来までー」
音が消え、照明も落ちる。歓声が、曲の終わりを告げた。
最後のソロは、自分なりに何とかこなせた。
合格点、といったところか。
額を伝う汗を拭い、ふうっと大きく息を吐いた。
左手のマイクを持ち替え、軽く手のマッサージをしていると
「紺野? ぼーっとしない。次すぐだから」
吉澤さんに背中を押された。
周りと見渡すと残っていたのは、加護ちゃんと私たちだけだった。
そうだ、これで終わったわけじゃない。
ぼんやりしてる暇はないんだった。
次は「初めてのロックコンサート」。
ステージ上のメンバーが入れ替わる。
私たち「電車組」の七人は、そのまた次の準備をしなくては。
ステージを後にすると、会場の喧騒が幾らか和らいだ。
着替え用のスペースには、13人分の衣装がずらりと並んでいる。
曲順のため、『ザ☆ピ〜ス!』の衣装のままだった私たちと違い、
次の六人は独自の衣装が割り当てられていた。
「急いでー!」
飯田さんが声を上げる。
鏡を見て、髪をさっと直し後藤さんがステージへ向かった。
辻ちゃんの衣装の着こなしを直してあげている矢口さん。
そんな二人を、保田さんが引っ張るように連れて行く。
ええと、これで五人。あと一人は麻琴だ。
麻琴はドリンクボトルをしまい、口を拭っていた。
ステージから零れるわずかな光に照らされた横顔。
水気を帯びた口元が、艶やかに光る。
じいっと見詰めていたせいか、目が合ってしまう。
「あさ美、見惚れないでよ」
麻琴は頬を緩め、笑ってくれた。
出番はもうすぐ。
マイクを握りしめ、出て行く麻琴に笑い返して「頑張って」と言った。
それが、私たちの交わした最後の会話だった。
六人がそれぞれの立ち位置へと向い、最初のポーズを決める。
その様子を邪魔にならないよう、ステージ側から覗き込んだ。
(赤い衣装、似合ってるよ! 頑張れ、麻琴!)
心の中でエールを送る。
変な紙を見つけてから、元気のなかった麻琴。
大丈夫かどうか、今ひとつ不安だったのだ。
台詞が終わるまで見届けたら、後は私も着替えに入ろう。
控えめな灯りで、照らされる六人。
初めてのロックコンサートは、麻琴の印象的な台詞から始まる。
「いつも… 弱気なままで…今日ま、でなにやっ…て、たんだ、ろう…」
皆よりも高いステージへと歩を進めていく。
一歩、一歩。
(麻琴……?)
段々と照明が強くなる。
麻琴は何故か、いつも以上に顔を伏せていた。
なんだか、様子がおかしい。
途切れ途切れの台詞、聞き取れないような篭った声。
それでも麻琴は、遅れずに声を出そうとしていた。
「ふ、つーにっ…あっ…!う、ぅぅぅ…」
「小川?」
飯田さんの声が入った。他の五人も、視線を送る。
歌が始まるまでは動かないはずの五人。
麻琴の様子は、明らかに異常だった。
「うぐっあああっ……!」
うめきにも似た奇怪な音。
少女とは思えないほどの、つぶれた醜い声。
麻琴は、喉を押えながらその場に倒れ込んだ。
手元からマイクが落ち、ゴトリという音が会場中に響き渡る。
『初めてのロックコンサート』は、流れたままだ。
「小川! どうしたの!?」
矢口さんが、真っ先に麻琴のもとへと駆け寄った。
「どうしたー、小川ー!」
「まこっちゃーん!」
「まことぉーーっ!」
ざわついた会場では麻琴の代わりに、客がそのメロディに乗せて声を上げている。
私は動けなかった。
あるはずの足が、前に進まない。
様々な光が揺れるその光景を、目だけが必死に確かめていた。
続きが楽しみですん。かなり期待しとりますん。
64 :
名無し募集中。。。 :02/10/19 21:16 ID:x5uZ1AjG
メ〃ハハ
∬∬´▽`)
(( ⊂ ) ⊃
し(_)
(( メ〃ハハ
/⌒∬´▽`)
⊂,,)^∪-∪
ずざー。主役ゲット。
 ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄
メ〃ハハ
⊂' ⌒つ∬´▽`)つ ペタン…
ノハハベ
(´▽`∬∬ ミ
⊂' ⌒∪ ノ ∪ ムクリ
ノハハベ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(´▽`∬∬< やったぁ!ついに主役ゲットできたよー
( U )) \_________________
(__)\ノ
| |/ _t__ \|
| | (( ) ) |
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∬ii´◇`∬ ・・・ageてしまってゴメンナサイ
(∩∩)───────────────
/
/
「静かに! 静かにしてくださーいっ!」
叫んだのは後藤さんだった。よく通る明るい声が、震えていた。
それでも騒ぎは一向に収まらない。
「音、止めて!!」
保田さんが声を張り、大きく腕を振った。
程なくしてようやく止まる、『初めてのロックコンサート』。
会場を埋め尽くしていた音楽が消え、ざわつきが一層際立つ。
誰のMCの時よりも、ただひたすらに叫ばれる麻琴の名前。
(これは、麻琴の、コンサート……?)
一瞬、馬鹿なことを考えた。
そうだったら、どんなにいいだろう。
そうだったなら、この歓声に包まれた麻琴が動かないはずなんてないのに。
近づいてくる矢口さんに、立ち上がって平気ですっていうはずなのに。
「小川、大丈夫っ?」
マイクを通さない矢口さんの声が、何故か私にも聞こえた。
倒れた麻琴を引き剥がすようにして、抱き込む矢口さん。
麻琴は、歪んだ表情のまま固まっていた。
(麻琴……!)
♪ど〜なるんですかぁ?
ニイニイ誕生日おめでとう、これからも頑張ってね、糞アンチなんて気にしないで
小さな手が、苦しみを浮かべた顔に触れる。
矢口さんの手だ。
恐々と二度ほど触れて、すぐさま離された手。
どんな思いで触れたのだろう。
何を、確かめたかったのだろう。
ただ、見ているだけの自分。
その感触は、分からない。
矢口さんは触れた手を、そのままゆっくりと口元へと運んだ。
その手が、小刻みに震えている。
「矢口! 小川は?」
駆け上がった保田さんが、震える小さな肩を抱き、自分の方を向かせた。
「死ん、でるっ……死んでる、よ……」
かすれるほどの声だったと思う。
けれど揺れるその口の動きで、私には何を言っているのかが分かった。
息が、できない。
矢口さんは、保田さんにしがみついて震えていた。
死という言葉が、溜め込んでいた矢口さんの涙を一気にはじけさせていた。
70 :
名無し募集中。。。 :02/10/20 16:35 ID:brB8BG2E
* +
+ ⊂⊃ . / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(\〆〃ハハ < ヨカッタ ハンニン ジャナクテ
* (ヾ∬∬´▽`) | デヘヘ……
//( つ つ \_______
+(/(/___|″ *
し′し′ +
| |/ _t__ \|
| | (( ) ) |
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∬ii´◇`∬ ・・・学習能力なしです。ageてしまいました。スマソ
(∩∩)───────────────
/
/
続きマテールヨ!!
その様子を見ていたのは、ステージ上に居たほかのメンバーも同じだった。
後藤さんが、ぎゅうっと両手でマイクを握り締め、顔を伏せる。
必死で飯田さんに状況を尋ねている様子の辻ちゃん。
強ばった表情の飯田さんは、それでも優しく辻ちゃんの頭を撫でていた。
「おっがっわー、おいっ! おっがっわー、おいっ!」
気付けば、会場のあちらこちらから手拍子と共に小川コールが巻き上がっていた。
私たちの小さなやりとりなど目に届かないのだろう。
ただただ無責任にそれは響いた。
広い会場でこのステージだけが、ぽっかりと取り残された気さえしてくる。
埋め尽くす人々の声が、妙な迫力を帯び始め私たちを襲う。
「おっがっわー、おいっ! おっがっわー、おいっ!」
「やめてくださいっ!!」
遮ったのは、辻ちゃんだった。
「お願いだから……、静かにして、下さい! まこっちゃんが、まこっちゃんが……」
声を詰まらせ泣きじゃくりながらも、必死に叫んでいた。
マイクを近づけすぎたのか度々ハウリングする。
キィンと響くその音は、まるで悲鳴のようだった。
ざわめきが、蠢くように駆け抜けていく。
先程までの小川コールが一斉に鳴りを潜めた。
辻ちゃんの様子から、これは貧血でも怪我でもないと察したのだろうか。
騒ぎは一転して、混沌としたものに変わっていっている。
「どーなってるんだー!」
「いいから続けろー!!」
怒号さえ飛び交う始末だ。
辻ちゃんは罵声に怯えながらも、呼びかけを続けようとしていた。
けれど、声が出ない。
いや、もう聞こえないのだ。
騒ぎはどんどん大きくなってきてしまっている。
「のんちゃん。もう、いいから……」
飯田さんがそっとマイクを取り上げ、胸に引き寄せた。
迷子が母親に会えた時のように、夢中でしがみつく辻ちゃん。
どうしてだろう。
目に映るシーンが、どれも遥か遠くのことのように感じられる。
『どうして』、『何で』ばかりがぐるぐると頭に浮かぶのだ。
他にも、考えるべきことは沢山あるはずなのに。
手に滲む汗がへばり付いて気持ちが悪い。
こんなことは、どうでもいいはずなのに。
「あさ美ちゃん、これは何の騒ぎなの!?」
里沙だった。
異常な事態に気付き、いつのまにか私の後ろに来ていたようだ。
『電車の二人』の時と同様に、その声は頼もしかった。
唯一いつもと変わらない里沙。
その懐かしい存在に、思わずしがみついた。
「ねえ! 何があったの?」
降り掛かるその声が優しく響く。
私は泣いていた。
助けを乞うように泣き叫んだ。
ブーイングに包まれ、年下の里沙に縋って。
みっともないなんていう考えはなかった。
私はずっと泣きたかったんだ。
そう主張することしか、できなかった。
交信乙。
この2人マシュー出るらしーね。
こんこんに禿しく期待保全。
----------<<新垣>>----------
(やっぱり何かが起きたんだ。何か、とても嫌なことが……)
唯一分かったことは、それだけだった。
肩を震わせ、上ずった声で泣きじゃくるあさ美ちゃん。
こんな風に泣くあさ美ちゃんは見たことがない。
私はその体を抱きとめるだけが精一杯だ。
(一体、何が……?)
つい、先程のことだったと思う。
「あれぇ、あさ美ちゃんがいない」
電車組のメンバーが楽屋で着替えを始めると、愛ちゃんがそう言いだした。
それを受け、安倍さんが呼びに行ってきてと私に頼む。
次の準備もあるから、私は急いでステージの方へと向かった。
(もう、どこにいるんだろう……。 あっ!)
向こうで何かを必死に見詰めているあさ美ちゃんの姿を見つけた、その時だった。
ぷつり。
『初めてのロックコンサート』が鳴り止んだ。
(何か……、あったんだ!)
ふと頭に過る、元気の無い麻琴ちゃんの顔。
嫌な、予感がする。
私は一目散に、あさ美ちゃんのもとへと向かった。
そして、今。
あさ美ちゃんは、私の腕の中で泣いている。
その涙が私の衣装に滲んで、少し熱い。
しがみつくあさ美ちゃんの、ちらりと覗く耳がやけに赤くなっていた。
泣いても、泣いても、足りない。
そんな叫びが伝わってくるような気がした。
「ねえ、あさ美ちゃん……」
「紺野、新垣っ!」
男の人の声だった。
何度か、会ったことがある。事務所の割と偉い人だったと思う。
スーツ姿に似つかわしくない慌てた様子だ。
肩で息をしながら、怖い顔で私たちを睨みつける。
「楽屋に戻れ! 今すぐだっ!」
今日、初めて読んだけど面白い。
続き期待して保全。。。
「え?」
「いいから戻るんだ!」
怒鳴り声に驚いたのだろう。
抱いている肩が、びくりと揺れた。
「で、でも……」
ちらりと、あさ美ちゃんの方を見る。
その視線に気付いたのか、あさ美ちゃんはゆっくりとその顔を上げた。
涙で、ぐしゃぐしゃの顔。
セットされた前髪が、水分で額に張り付いてしまっている。
「麻琴が! 麻琴がぁっ……!」
ようやく紡がれた言葉は、すぐに泣き声に掻き消された。
その先に何を言おうとしたのか、私には分からない。
しかし、スーツ姿の男にはそれが分かっていたようだった。
「救急車が直に来る。 楽屋に戻っていてくれ。 頼んだぞ、新垣」
「は、はい……」
冷静にそう言い捨てると、その男の人はすぐさまステージの方へと向かった。
ステージにはまだ、『初めてのロックコンサート』の六人がいる。
きっと、同じことを言いに行くのだろう。
私は自分でも驚くほど、落ち着きを取り戻しつつあった。
(麻琴ちゃんが、救急車が必要な事態に陥っている……)
それが、この騒ぎの原因。
転んで怪我でもしたのか、それとも貧血で気を失ってしまったのか。
麻琴ちゃんが歌えなくなり、『初めてのロックコンサート』は止まってしまった。
そのことに客が騒いでいるんだ。
何が起こっているのかさっぱり訳が分からない。
そんな状態から抜け出せたことに、私はひとまず安心した。
(あさ美ちゃんは、麻琴ちゃんを心配して泣いていたんだね……)
(私も、心配。でも救急車が来るんだって。もう、大丈夫だよ)
思いを込め、わずかに震えているあさ美ちゃんの手をぎゅっと握り締めた。
弱々しく握り返された手の感触には、不安の色が覗く。
ぽたり。
重なった二人の手の上落ちる水滴。
あさ美ちゃんはその大きな瞳から、拭うこともせずただ涙を流しつづけていた。
時折、ふるふると何かを振り払うように頭を振る。
『楽屋に戻れ』、そうあの男の人は言った。
確かに、ここに残っていても何もできない。
詳しい事情は飲み込めないが、言う通り楽屋に戻ろう。
「あさ美ちゃん、とりあえず行こっか……」
私はあさ美ちゃんを支えながら、歩き出した。
すぐそこのはずの、楽屋。
来た道と同じ道とはとても思えない程、その道のりが長く感じられた。
「新垣と紺野だ! ねえ、帰ってきたよ!」
楽屋の入り口前にいた安倍さんが、私たちを見つけ声を上げる。
中にいる他のメンバーにもそのことを伝えると、こちらへと駆けてきた。
「紺野!? どうしたのー」
何も聞かされていないのか、あさ美ちゃんを不思議そうに眺める安倍さん。
しっかりと、次のMr.moonlightの衣装に着替えを済ませている。
私はとりあえず部屋に行きましょう、と目配せをして伝えた。
小首を傾げながらも、安部さんは分かってくれたのだろうか。
あさ美ちゃんの背中をさすって、一緒にゆっくりと歩いてくれた。
そこは、いつも通りの楽屋だった。
愛ちゃんと加護ちゃん、石川さんと吉澤さんが楽しそうに話している。
明るい蛍光灯が、晴やかなそれらの表情を嫌味なほど際立たせていた。
「あ、安倍さんだ」
石川さんの一言に四人が一斉にこちらを向いた。
と同時に、すぐさま凍りつく四つの笑顔。
「どうし、たの……!? あさ美!」
愛ちゃんが、目を見開きながら詰め寄る。
それを制したのは、安倍さんだった。
「うん、まだちょっとね、落ち着いてないみたいなんだ……」
俯いて涙を流すあさ美ちゃんに、吉澤さんが黙って椅子を差し出す。
そっと腰を下ろすよう促すと、あさ美ちゃんは崩れるようにして椅子に座った。
「何も、聞いていないんですか?」
重い沈黙を恐れて、口を開く。
かすれた弱々しい声しか出せない自分が悔しい。
「ただ待機していろ、としか……」
質問に答えると、安倍さんはごくりと息を呑んだ。
きっとよくないことだ、とあの時の私と同じ予感が頭に浮かんだのだろう。
そしてそれは残りの四人も同じらしかった。
86 :
七人の名無し:02/10/27 10:31 ID:qiz9ispa
おもしろい!!(○∀○)/ 期待して保全
sageませう
知っていることだけでも、話すべきか。
私が迷っていると、加護ちゃんがドアを方を見てぽつりと呟いた。
「誰か、来る」
「え?」
皆で加護ちゃんに習って、ドアに注目する。
程なくして、がちゃりという音とともにドアが開いた。
やってきたのは後藤さんだった。
後藤さんはこちらを一瞥すると、疲れたように息を吐いた。
いつも通りクールな表情だったが、明らかに顔色が悪い。
続くようにして矢口さんと保田さんが、その後に飯田さんと辻ちゃんが入ってくる。
その全員が、何かに怯えているように見えた。
特に、矢口さんの様子は異常だった。
こちらを見ようともせず、ただひたすらに涙を流し続けている。
怖いくらいの無表情で、声も上げずに。
その有様を見た『電車の二人』組の面々に、緊張が走った。
(事態は、自分の思っているよりもずっと深刻なのかもしれない)
誰もがそう感じたのだろう。
皆一様に俯いて、口を閉じた。
誰かが深呼吸する音だけがこの部屋に響く。
何分、そうして沈黙を共有していただろうか。
埒があかないというように、安倍さんが話を切り出した。
「圭織、何があったの? コンサート、中止になるの?」
「……小川が」
飯田さんは小さな声でそれだけ言うと、その先の言葉を飲み込んだ。
そこまでで愛ちゃんには十分だった。
手で口元を覆い、『嘘でしょ?』と確認するかのように恐々とこちらを見た。
きっと麻琴ちゃん一人だけ楽屋に来ない時点で、愛ちゃんは薄々気付いていたのだと思う。
ずっと私に『ねえ、麻琴はどうしたの?』と無言で訴えていたから。
その恐れに満ちた視線とは対照的に、ぼんやりとどこか一点を見詰める飯田さん。
安倍さんがそれじゃあ分からないと言いたげに、声を荒げて再度詰問した。
「小川? 小川に何かあったの……?」
「……」
「圭織! 答えて!」
「小川は。 ……小川は」
「死んだ」
矢口さんが、まるで何かの記号みたいにさらりと続きを告げた。
『シンダ』という音が、どんな意味を持つのか。
私は、すぐには分からなかった。
90 :
七人の名無し:02/10/29 00:27 ID:+0mdiHAs
作者さんガバレ〜 ホゲー
まこっちゃん・・・(泣
名前を覚えられていない小川…
気長に待ちます。
売り上げ減に歯止めがかからない。
「死んだ……?」
恐々と言葉をなぞる安倍さん。その声に先程までの勢いはまるでない。
けれど、単語の意味を強調するには十分な大きさだった。
加護ちゃんが小さな声で「嫌だ」と零す。
私の脳裏には、救急車が来ると言った時のあさ美ちゃんの様子が浮かんでいた。
(麻琴ちゃんが、死んだ。 死んだ? 死んだの? だからあさ美ちゃんは首を振っていたの?)
誰もが信じられないといった面持ちで言葉を失っていたその時、
「嘘だよ、そんなの。 ねえ、圭織、違うよね?」
「……なっち」
安部さんが口を開いた。信じていない口振だが、潤んだ瞳が事態を冷静に見据えている。
分かっているんだと思う。安倍さんだって、これが嘘なんかじゃないことは。
それでも言葉が追いつかないのは、皆と同じで、ただ信じたくないからだ。
「こんなの変だよ。 そうでしょ? どうして死んだりなんかっ……」
「しっ! 何か聞こえる」
保田さんの一言に安部さんは言葉を呑み込み、皆一様に耳を欹てた。
足音だろうか。遠くから数人の駆ける音が聞こえる。
「! 救急車だ」
救急車が来たに違いない。
私は誰と目を合わせるでもなく、すぐに廊下へと飛び出した。
バタバタと担架を持った数人がこちらへと向かってくる。
運ばれてくるのは赤い衣装を纏った麻琴ちゃんだ。
私の後から加護ちゃん、安倍さん、石川さん、愛ちゃんが廊下に出て一緒に様子を見守る。
「はい、退いて、退いて!」
狭い廊下に固まっていた私たちを除けるような手振をして、担架を持つ数人が駆けていく。
それはあっという間に目の前を通り過ぎていった。
担架に乗せられた人形のような麻琴ちゃん。
喉を掻き毟るようにくいこむ両手。引ん剥いた目。
皆が見ているのに、ぴくりとも動かなかった。
赤いコートの下から捲り上がってしまっていた次のMr.moonlightの衣装。
そういえば、『愛を下さい』というあの歌の歌い出しもあんなポーズだった。
乙女の祈りと言わんばかりに、手を組み上を見上げる仕草。それとよく似ている。
担架に乗せられ、だんだん遠ざかっていく麻琴ちゃん。
遠目からだと、ますます麻琴ちゃんが歌を歌おうとしているように見える。
そこだけスローモーションになったみたいに、通り過ぎるその映像が頭にこびりついていた。
「小川……」
石川さんの声に、顔を両手で押える愛ちゃん。
泣きたい気持ちは多分、この場にいる全員が同じだった。
それでもまだ死んだと聞かされてから見た私たちは、マシだったのかもしれない。
部屋にいるメンバーを思い、一つ大きく息を吐く。
と、また向こうからバタバタと誰かがやって来た。
私たちに楽屋に戻れと言ったあの男の人だ。
「こっちの部屋へ全員集まるんだ!」
楽屋三つ向こうの部屋の前で、男の人があの時と同じ口調で叫んだ。
『はい』と慌てて頷く安部さん。やっぱり偉い人だったようだ。
楽屋へ戻ったときと同じ要領で、ペアを作り、辛そうなメンバーを支えながら私たちは移動した。
「これで全員集まったな」
十二人と指で数えて、その男の人が話を切り出す。
ここは使用されていない机や椅子なんかの保管場所のようで、随分と狭くとても十三人もの人間が居る場所ではなかった。
話なら楽屋でいいのに、どうしてこんなところに呼び出したのだろう。
「コンサートは中止だ。 君たちにはこれから直ぐ車で移動してもらう」
男が要点のみを簡潔に伝えた。その言い回しは極めて事務的だ。
「このまま中止にして移動するんですか?お客さん、納得しないんじゃ…」
「納得する、しないの問題じゃないんだ!」
安倍さんの抗議にその男は声を荒げた。
感情的になったことを恥じたのか、続きはまた冷静に紡ぎ出した。
「もうネットに情報が上がってる。コンサート中に小川が倒れたって。死んだみたいだったってな……」
「そんな! だってついさっきのことですよ?」
私たちでさえ、つい先程知ったというのにそんな情報がネットに流れているだなんて。
そんな人がコンサート会場に居たなんて。男の人が焦っている理由が分かってきた。
「おそらく携帯電話からだろう。 とにかく、マスコミはもう嗅ぎつけてるんだ。 早く移動しろ」
「小川は救急車の中だ。もう君たちにはどうしようもない」
「動揺も分かる。だがな、君たちが居ることでの混乱の方が大きい。騒ぎが広がってまた新たに事件が起こらんとも限らない。
ここは危険だ」
男が次々と私たちを諭す言葉を投げかける。そのどれもがただ冷たく響いた。
「表に車が用意してある。 荷物も運んだ」
なるほど。ここで私たちがごねないようにこの部屋に移動させたというわけか。
話をしている間に楽屋の荷物を運び、有無を言わさず移動させようとしているんだ。
そこまで分かれば十分だった。選択肢など、ない。
「……分かりました。このまままっすぐ向かいます」
「頼んだぞ、保田」
私たちは楽屋を通り過ぎ、朝とは全く違った心持で同じ廊下を歩いた。
手ぶらであるはずの肩には、荷物なんかよりもずっしりと重いものが圧し掛かっている。
会場から聞こえる罵声に、まるで逃げているような感覚さえする。
長い廊下を抜け、漸く鈍い光が見えてきた。
一台の大きなワゴン車が私たちを待ち構えている。
その車の前には意外な人物が立っていた。
中澤さんと市井さん。
どうして、この二人がここに居るんだろう。
うろたえている私たちを尻目に、中澤さんはメンバーを誘導し次々と席に座らせていく。
私はあさ美ちゃんと隣になった。
泣き止まないあさ美ちゃんを窓際に座らせ、私も席に着く。
反対側の席には愛ちゃんと加護ちゃん。全員がペアになって座っているようだ。
市井さんが一番前の席に座り、中澤さんもその隣に腰を下ろした。
さて出発と中澤さんがドアを閉めようとしたその時、
「待ってくれ!」
つんくさんが息を弾ませてやってきた。
落ち着かない様子でワゴン内の私達を一通り見渡すと、話を始める。
「これから、お前達には俺の別荘に向かってもらう」
「別荘、ですか」
「中澤、鍵はお前に預ける。好きに使っていい。食料も何かしらあるはずや」
「はい」
「そっちにもいつマスコミが嗅ぎ付けて行くか分からん。いいか。外には出るな」
「はい」
「明日の夜に一度そちらに数人で向かう。それまでは待機だ」
「明日の夜まで、ですね。分かりました」
中澤さんだけがハキハキと受け答えする、奇妙な会話。
それでも、今の私達には中澤さんの存在がありがたかった。
つんくさんはこのやり取りに満足したのか、ドアを閉め運転手に出発を促した。
そろそろと、私達十四人を乗せた車が動き出す。
閉め切った車の中は、ステージともまた違う異様な空間だった。
大型ワゴンの中にいる十四人。
運転手も素知らぬ顔で運転を続けている。
いつもの移動と似ているようで、全く違う。
衣装のままの私達。
重いため息が、無造作に体を縛り付ける。
(なんでいつもはコンサートになんか来ない人たちが一杯いたんだろう……)
車の揺れに身を任せていると、そんな疑問が頭を擡げた。
が、麻琴ちゃんの死という大きな謎の前では、別にどうでもいいことだ。
とにかくもう車に乗ってしまったんだ。あとは目的地である別荘へとただ運ばれるだけ。
私達は逃げるんだ。その避難所として充てられたのが、つんくさんの別荘。
明日の夜までそこで隠れていなくちゃいけない。
そう考えると気が滅入ってくるが、反面どこか安心もしていた。
多分、私も疲れていたんだと思う。
今は何も考えずに休んでしまおう。
隣のあさ美ちゃんも泣き疲れたのか、うとうとしていた。
しかし、その目からは未だに涙が流れて止まない。
膝の上で繋がれた手に、それがぽたぽたと落ちていた。
(これ位しかできないけど……)
私はすっと衣装の帽子を脱ぎ、手の上に被せた。
冷たい涙が帽子に吸い込まれ、帽子に包まれた二人の手は少しだけ暖かになる。
あさ美ちゃんに掛けてあげられる精一杯の『おやすみ』。
帽子に広がる染みを感じながら、私もゆっくりと目を閉じた。
やたー、更新だ。楽しみに待っています。
更新キター
作者さん頑張って下さい。
105 :
七人の名無し:02/11/05 18:58 ID:BXOwjb3F
えー!!どーなんだ?作者さんガバレ〜
とりあえずsageようよ
107 :
ちゃん:02/11/05 23:20 ID:7SDRwToh
一気に読みました。情景の描き方が上手いですね。
まこっちゃんは殺されなければいけなかったのか、なっちはどうしてコンちゃんの
衣装の鞄を持っていたのかが気になりますね。
続き楽しみにしてます。
>107
いいからsageろよヴォケ
109 :
ちゃん:02/11/06 11:52 ID:tBaL6TEd
ごめんなさいm(_ _)m
110 :
名無し募集中。。。:02/11/07 00:09 ID:mfaKsYo9
◆PNXYnQrG2o ってコネヲタ?
sageで
安倍め、矢口を階段から突き落としただけでなく小川まで
毒殺しおったか。
小川が氏んじゃったのは不服だが,
面白いんで期待してます。
がんがってください。
さけ?
115 :
名無し募集中。。。 :02/11/09 20:31 ID:lSFlz/Dq
----------<<加護>>----------
「着いたよ」
「ん……」
愛ちゃんの声に、ゆっくりと目を開く。
明るくなった視界にはザ☆ピ〜ス!の衣装を纏った愛ちゃんが映り込んだ。
(ああ、そうだ。 コンサートが途中で中止になって、車に乗ったんだっけ……)
その姿が、単なる移動ではないことをすぐに思い出させる。
私は目に掛かる前髪を振り払うと、大きな欠伸をした。
(とてもあんな気分じゃ休めないと思っていたのに……)
車の窓から見える景色を追っている内に、どうやら眠ってしまっていたようだ。
けれど、そんな図太い神経を持つ自分に呆れている暇などない。
ぼんやりとしたままの頭でも、いつまでもこうしていられないことは容易に察することができた。
「愛ちゃん、皆は?」
「もう、外に出てるよ」
「え? じゃ、うちらだけ?」
「だって、中々起きないから」
「うわ、早くしないと」
「荷物はもう持って行っちゃったみたいだよ」
「じゃあ、本当にうちらだけじゃんか」
窓の外にいるメンバー達がこちらに気付き、『早く』という合図を送ってきた。
がらりとワゴンのドアを開け、慌てて外へと降りる私達。
数時間ぶりの空はうっすらとした夕闇に変わっていた。
衣装一つの体には、頬を撫でる風さえもが冷たく感じられる。
なぜか急に寂しくなって、二人でメンバーの元へと駆け寄り、自分の荷物を受け取った。
「OKです」
中澤さんの合図に、運転手はすぐさま元来た道へと戻っていった。
車が出て行くのを見届けると、やや大げさとも思える門に中澤さんが丁寧に鍵を閉めた。
そのガシャリという音に、改めて自分が今いる場所を見渡してみる。
深い山間にぽつりと佇む白い建物。ここが、つんくさんの別荘なのか。
周囲には、他に建物がありそうな雰囲気もない。
私達を隔離するための場所としてはまさにぴったりだったのだろう。
白いコンクリートの2階建て。こうやって見ると何かの施設のようだ。
(つんくさんも別荘だっていうなら、もっと豪華な作りにすればいいのに……)
見当違いの愚痴を思い浮かべていると、中澤さんがすっと目の前を通り過ぎていった。
玄関らしき黒い扉の前で立ち止まる。
金の取っ手が申し訳程度に別荘らしさを主張していた。
「えっと、これやな」
ポケットから鍵を取り出すと、中澤さんはごく普通に鍵を回し扉を開けた。
勿体ぶった仕草で、ゆっくりと扉を押し開ける。
ドアの先に見えた中の様子は、外観からは想像がつかない程立派だった。
一面に広がる薄ピンク色の絨毯。
広いロビーには、四人掛けのテーブルと椅子のセットが幾つも置いてある。
まるでちょっとしたホテルのようだった。
「なんや、結構しっかりしてるやん」
「裕ちゃん……」
「分かってるって、圭織」
呑気なことをとでも言いたげな物言いに、中澤さんは慌てて辺りを見渡し出した。
あった、と大きな声を上げて指したのは案内板のようなものだった。
この建物の簡単な案内が図で描かれている。
「部屋は二階やな。圭織は辻、圭ちゃんはごっちんと矢口を頼むわ。紺野は大丈夫?」
「はい……、何とか」
「じゃあ、圭織と圭ちゃんは二階。他の皆はそこら辺に荷物下ろして」
中澤さんの指示通りに、私達は荷物を下ろし席に着いた。
ののが飯田さんに連れられて二階へと消えていく。きっとこのまま休ませるつもりなのだ。
矢口さんもごっちんも、涙こそ流れてはいないが様子は変わっていない。
俯きながら表情を変えようともしない二人は異常だった。
ぼんやりとそんな三人の様子を思い浮かべていると、
「あれえ? ない」
安倍さんの声が聞こえてきた。
「何がですか?」
「ケータイ。 よっすぃーのはある?」
「え?ケータイ、ケータイ……あれ、ないや」
皆も探して、という声に私も自分のケータイを探す。
バッグの横に専用の入れる場所があるのだが、そこにはなかった。
いつもそこにしか入れないはずなのに。
「ケータイなら無いで」
中澤さんが、さらりと事もなげに告げた。
そんな一言で『はい、そうですか』なんて、私達は納得できない。
「何でよ、裕ちゃん」
「抜き取ったの、私達だから」
「紗耶香! どういうこと?」
「皆が楽屋抜けた時に、ケータイ取り出せって指示があってさ」
「うちらしかバッグ開けたりしてへんから……」
キッと二人を睨みつける安倍さん。騙された、という思いがしたのだろうか。
どこかその瞳は悲しげだ。
「仕方がなかったんだよ。 情報が漏れるのを防ぎたい。 それ以上の目的はないんだし」
「そうやで。 明日の夜にはまた帰ってくるはずやしな」
二人は許して、と軽くポーズを作った。
その仕草に安倍さんはふうっと息を吐き、口元を緩める。
「それなら、仕方がないか。二人を責めたいわけじゃなかったんだ。ごめん」
「こっちこそ黙ってて悪かったと思ってる。ごめんな」
「ううん、もういいの。そうだ、テレビ! テレビでも見ようよ」
そう言うと安倍さんは、何型か分からない巨大なテレビの元へと駆け寄った。
どんな仕事の時よりも、努めて明るく振舞おうとしている安倍さん。
私達も顔を見合わせて、椅子を持ちテレビの前へ集まることにした。
しばらく使われていないのか、テレビのコンセントが抜けてしまっている。
そのコンセントを入れている内に、飯田さんと保田さんが戻って来た。
「どうやった?」
「部屋、一杯あった。 適当な部屋で寝かせてあげたよ」
「後藤も矢口も相当参ってる。ちゃんと着替えさせて寝かせておいたけど」
「そっか。お疲れさん、二人とも」
「ねえ、裕ちゃん……」
三人の会話を遮ったのは、テレビから流れるMr.moonlightの歌だった。
その場にいた全員が、予想もしなかったその音に思わず息を呑む。
やがて明るくなってきた画面に映し出されたのは、Mr.moonlightのPV。
まこっちゃんがアップになる所で、当たり前のようにスローモーションになり音も消えていく。
「亡くなったのは人気アイドルグループ、『モーニング娘。』のメンバー、小川麻琴さんです。
小川さんは所属するモーニング娘。のコンサートの最中、突然苦しみ、その場に倒れました。
至急病院に運ばれましたが、まもなく死亡しました」
淡々としたアナウンサーの声、仰々しいテロップ。
これがニュースだと気付くのに、さほど時間は掛からなかった。
「な、何、ニュース?」
「やだ……、嫌だよ」
「小川……」
皆が口々に声を上げる。
誰に聞かせるでもない、ただ零れてしまった嘆きの断片。
それでも、誰もが画面から目を離すことはできなかった。
機械が話しているような『現場から』という声と共に、画面がまた変わる。
モザイクのかかった男が、ざわつきの中に一人。
手には、私の顔が印刷されたウチワ。
「本当にびっくりしました。すごかったですよ。うううって。苦しんでる声がマイクで。はい。そうです。
すぐコンサートが中止になって。その後メンバーは一切出てこなかったですよ」
「メンバーですか?一番動揺していたのは、辻さんでしたね。泣きじゃくちゃって」
「小川抜きでコンサート続けろとか暴言も出て。それを聞いた小川ファンと乱闘になったりですね」
私のウチワを持って、そんなことを言わないで欲しい。
まるで私が報告してるみたいじゃないか。
実際の状況を見ていない私には、その男の話す情報の一つ一つが衝撃的だった。
それがひどく、悔しい。
「なお、この騒ぎで男性四十六人が、怪我などで病院に運ばれた模様です」
アナウンサーの一言で、ニュースのテロップがまた別のモノに変わる。
『衝撃の現場!モー娘。小川麻琴(14)死亡の実態と謎!!』
画面に映った『小川麻琴』の文字を見て、咄嗟に『良かった、字、間違えられてない』と馬鹿げたことを思った。
そんなこと、どうだって、構わないのに。
目から涙が溢れて、次第に画面が見難くなるのが、鬱陶しくてたまらない。
「現場に居たファンの皆さんによると、小川さんが倒れたのは『初めてのロックコンサート』という曲の冒頭で、
十三人のメンバーがふたつのグループに分かれて歌う形を取っていたとのことです。このフリップですね」
┏━━━━━┳━━━━━━┓
┃飯田 圭織 ┃ 安倍なつみ .┃
┃保田 圭 ┃ 石川 梨華. . ┃
┃矢口 真里 ┃ 吉澤ひとみ ┃
┃後藤 真希 ┃ 加護 亜依 ┃
┃辻 希美 ┃ 高橋 愛 ┃
┃小川 麻琴 ┃ 紺野あさ美 ┃
┃ ┃ 新垣 里沙 ┃
┗━━━━━┻━━━━━━┛
「こちら側の、ええと向かって左。左側のメンバーですね。ステージに居たのは六人です。
残りのメンバーの皆さんは次の曲の準備ということで……」
「こんなので何がわかるっちゅーねん」
中澤さんがプツンと電源を切ってしまった。
途端に、この場は静かになる。
「裕ちゃん、私は知りたいよ」
飯田さんが、ぽつりとそう言い出した。
「だってあんなの、変だよ。 何があったのか、私もよく分からないもの」
「圭織……」
「その場にいたのに、よく分からないんですか?」
冷静に言い放ったのは市井さんだ。
ともすれば嫌味にも聞こえるその台詞は、意外な盲点でもあった。
「うん、そうなんだよね。わかんないの。急に呻き声がして。そのまま倒れて」
「会場に居ったファンと同じってことやな」
「あの……、中澤さん、私、見てました」
「あさ美ちゃん!」
「きっと私が話さないといけないんだと思う。大丈夫だよ」
紺ちゃんが目に涙を溜めながら、それでも力強く里沙ちゃんに頷いてみせた。
噛み締めたその唇が、ゆっくりと見たままの状況を一から語り出す。
私達は紺ちゃんの決して大きいとは言えない声に、必死で耳を傾けた。
「これが、私の見た麻琴の様子です……」
「ありがとう、紺野」
飯田さんの一言に、ほっとしたように涙を流す紺ちゃん。
もし私が紺ちゃんの立場だったら、こんな風に正確に話すことはできなかっただろう。
その頑張りに心の中で小さく拍手する。
と、よっすぃーが腕を組み、手を額に当てて話を始めた。
「苦しむ前に飲んでたスポーツドリンク。それが怪しいな」
「毒、とか……?」
「別に発作とかじゃないだろうしね」
「紺野、小川になんか変わった様子はなかった?」
「そういえば、少し元気がありませんでした」
「私もそうだったと思います。愛ちゃんも気付いてたよね?」
「うん、なんか元気がなくて……」
「それじゃあ、さ」
そこまで言うと市井さんは、言いにくそうに俯いた。
形の良い唇が、ゆっくりと開く。
「自殺じゃ、ないのかな」
自殺!? そんな、まさか!
思ってもみなかった言葉に皆が言葉を失っていると、
「紗耶香、それ、ひどくない?」
安倍さんが怒りを露にした。
「ひどい、ひどくないの問題じゃない。それしか考えられない」
「紗耶香がどう考えるかは勝手だよ。でも、無神経じゃない?あんまりだよ」
「死ぬ直前に口にしたのは、自分で飲んだスポーツドリンクなんでしょ。だったら……」
そこまで言うと、紺ちゃんが席を立った。
ほら、見なよ、そういうこと言うから、という具合に市井さんを睨む安倍さん。
けれど、紺ちゃんはまたすぐに席へと戻ってきた。
手には、何やら一枚の紙切れが握られている。
「すみません。これ、言うの、忘れてました。これがあったから、麻琴、元気が無かったんです」
そういうと紺ちゃんは、安倍さん、中澤さん、飯田さん、保田さんの居るテーブルの上に、紙切れを置いた。
残りのメンバーも紙を覗き込もうと、椅子をそのテーブルに寄せる。
「紺野、何、これ? 気味悪い……」
「麻琴のバッグに入っていた紙です」
「どれどれ、『長い苦しみはもうお終い、これが最初、これで最後。
終焉を望み、許しを乞う。私たちの最期、これで最後』……内容も気色悪いな」
「入ってたってことは、メンバーの誰かが、入れたの?」
「その可能性が高いだろうね」
飯田さんがよもやと思って口にした言葉を、市井さんがすんなりと肯定した。
私もテーブルの上の紙切れを覗いてみる。
変にまっすぐな、下手な字で綴られているのだけがどうにか分かった。
先程の中澤さんが読み上げた言葉を思い返し、必死で意味を探るものの、私には見当もつかない。
すると、『あ』と飯田さんが声を上げた。
「終焉なんて難しい漢字、私たちで知ってるヤツいないんじゃない?」
ようやく見つけた、という風に声を弾ませる飯田さん。
「あ、確かに!」
「じゃ、じゃあうちらは学校で習ってないよね。多分」
「でも紺野は」
「そういえば、前にハロモニで五月蝿いも読めてたよね」
「そんな!」
バンっ!
テーブルを叩く音に思わず身をすくめる。
「漢字なんて、どうにでも調べられるっしょ!?」
明らかに苛立った口調の安倍さん。その表情にいつもの笑顔の面影を感じられない。
「……相手は毒を使って、小川を殺したんだよ。漢字ぐらいどうにでも、する」
ぽつりとそう付け加え、テーブルの上の紙片を睨みつけるように見据えた。
十一人もの人間がここに居るはずなのに、静寂がこの場を支配し始めようとする。
「あ」
梨華ちゃんのアニメ声がやけに場違いに響き、皆一斉にその音の方を向いた。
今はその明るい声がこの嫌な空気を切り裂いてくれるような頼もしさを帯びていた。
「私、気付いちゃいました」
「犯人、わかったの?」
すかさず飯田さんが身を乗り出す。
「いえ、犯人とかはまだ分からないですけど」
「じゃあ、何?」
保田さんが怖いくらい真剣な表情でその続きを促した。
「この漢字、ちょっとおかしくないですか?」
「だから、漢字なんてどうにでもなるって、さっきも!」
「なっち!……石川、続けて」
「はい。あのー、書けないような難しい漢字とかじゃなくてですね。もっと簡単なことなんですけど。
なんだか言ったら怒られそうで怖いなあ」
「いいから!」
中澤さんが諌めて、紙片を梨華ちゃんの前に突き出した。
ちょっと肩をすくめ、怯える仕草をして梨華ちゃんは続きを始めた。
「この一文なんですけど、『私たちの最期、これで最後』ってなんでサイゴっていう言葉なのに違う漢字なのかなあって」
「石川……」
呆れた様子で保田さんが梨華ちゃんを見る。
「あんたねー、最期と最後じゃ意味が違うんだよ。ふたつあんの。何も不思議じゃない」
「! ちょっと待ってください!」
紺ちゃんが泣きそうな顔で叫んだ。
「これは、確かに変なんです。グループとしての娘のラスト。
そういった意味で『終焉』が用いられたとしたならば、『最後』でいいはずなんです」
「?どういうことなの、紺野」
口元に手を置きながら説明を求めるよっすぃー。
私にも紺ちゃんの言おうとしていることがまだ掴めない。
「最期という漢字は、一般的に死に際の意味で使われます。いいですか。これを、この単語を犯人は意図的に用いているんです」
「死に際って……」
私の口から洩れた言葉はそれだけだった。
次々と言葉が頭を通り抜けて、思わず零れてしまっただけだった。
けれども、目の前の紺ちゃんは私を見てこっくりと深く頷いた。
「そうです。これを書いた人は明確な意思を持って、最期という漢字にしたんです。
明確な意思。それは殺意……ではないでしょうか」
「それはさ、書いた人が小川を殺したっていうこと?」
確かめたのは市井さんだった。
この中で一番落ち着いているように見えた。
「私にもはっきりとしたことは……」
紺野ちゃんが言葉を濁し、目を伏せた。
再び訪れる沈黙。
時間がどんどん重みを増して、ずっしりと纏わり付いて来る。
私達は紙の上に踊る文字をただ恨めしく辿るだけしかできなかった。
更新イェイ。この調子で作者さんガバレ〜
ドキドキ
132 :
ちゃん:02/11/11 14:59 ID:+GrMZDnI
これからどうなるのか、楽しみにしてます。
133 :
ななし:02/11/11 21:08 ID:OH+weSgd
何となく作者の意図がわかったかも・・・。
記述に注意してよく読みます。
すっごく上手ですね、期待してます。
>>124の
>「その場にいたのに、よく分からないんですか?」
>
>冷静に言い放ったのは市井さんだ。
市井は、飯田に丁寧語で喋りかけたりしないんじゃ?
いや、言ってる人が違ったらごめん。ちょっと気になったから。
とても楽しんでますんでがんがれ
>>124を
>「その場にいたのに、よく分からないの?」
>
>冷静に言い放ったのは市井さんだ。
に訂正。
>>134 指摘ありがとうございました。助かります。
↓
>>129からの続きです
「もう、やめない?」
飯田さんの一言に、皆がすっと顔を上げた。
奇妙に揃ったその動きに少し驚いたのか、大きな目が更に見開かれる。
(早く、続きを話して)
複数の目線に続きを促され、飯田さんは手を組み直し、話を続けた。
「ねえ、だって、こんなことしたって何になるの?私、もう嫌だよ。こんなの、嫌だ」
眉を顰め、駄々をこねるような口振。
吐き出すようにそれだけ言うと、飯田さんは俯いてしまった。
震える肩に、泣くのを必死で堪えている様が窺える。
「せやな。こんなん、しててもしゃーないな……」
中澤さんが慰めるように言って、そっと紙切れを裏返しにした。
黒い靄の発信地だった紙切れが、白い背中を曝け出し、テーブルの色に溶けていく。
「確かに、今のままじゃ、あやふやな所が多すぎて何とも言えないしね」
続けたのは市井さん。
落ち着き払った物言いに思わずほっとしてしまう。
(これで、誰も疑わなくて済むんだ……)
皆もそう思ったのだろうか、口々にもう終わりにしようと言い出した。
「やっぱりこういうの、警察に任せた方がいいですよね」
「うん、そうだよ。それにまだ殺されたって決まったわけじゃないし」
「この紙が関係してるかどうかっていうのも怪しいよ」
「どうせ、明日の夜には迎え来るんだしね」
ぎこちない笑みを交しながら、終わりにする口実を並び立てていると、
「決まりやな。じゃあ、もうこれでお終いってことで」
中澤さんが結論付けて、パンっと一回手を打った。
場を変える力強いその響きが、どこか懐かしい。
「これから、どうしよっか」
一息吐いて切り出した保田さんに、すかさず安倍さんが返した。
「んー。とりあえず、コレ着替えたいんだけど」
「うわ、あんたら衣装のまんまやん」
中澤さんはがたっと椅子を引いて、今更のように安倍さんの衣装を上下に眺めた。
コントみたいな大袈裟な仕草に、やっと皆の顔が綻ぶ。
「ずっとだってば、裕ちゃん」
「気付かんかったわー。近くで見るとすっごいな」
安倍さんはあの時すぐに着替えを済ませてしまったせいで、一人だけ違う衣装を着ている。
Mr.moonlightのフリフリの衣装。
自分の衣装も良く見てみると、すごく場違いに思える。
黄色いサテン地に、下は太いストライプ。ド派手もいいところだ。
早く着替えてしまいたいという気持ちは私も同じだった。
「あれ?圭織と圭ちゃんはいつのまに着替えたの?」
「さっき上に行ったとき、ついでにね」
言われて二人を見ると、確かに普通の格好をしている。
飯田さんは白いカットソーに黒のスリムジーンズ。
同じくジーンズに緑のオフタートルニットの保田さん。
着替えたことにも気付かなかったが、二人が衣装を着ていたという印象も薄かった。
私には周りを見る余裕すらなかったんだ。
改めてそう気付かされると、自分の着ている衣装が何だか馬鹿らしく思えてくる。
詰るように衣装の端を引っ張ると、それを見ていた保田さんが笑って助け舟を出した。
「すぐ着替えてきなよ。部屋も決めといた方いいし」
「あ、寝てる三人が居るから静かにね」
「うん、わかった。そうするよ」
安倍さんが答えて、各々が荷物を持ち、二階へと移動した。
139 :
七人の名無し:02/11/13 01:26 ID:ytifibYs
更新!!!。おもしろい。早く続きが読みたい。作者さんガバレ〜
ファイトォ
(゚д゚)オモシロー
作者さん頑張って下さい!
二階は、一階にもまして本当のホテルのようだった。
ふかふかとした絨毯が敷き詰められた廊下。
正面と左右には木製のドアがずらりと並ぶ。
見ると、それぞれのドアの右には小さなホワイトボードが設置してあった。
階段を上ってすぐのドアには、『辻』と記されてある。
その隣には『飯田』の文字。
「数はあるみたいやし、適当に決めちゃっていいから」
「あ、こうやって名前は書いとこうね」
中澤さんと安倍さんが言い終えると、私達はばらけて部屋に入った。
自然と、年齢順に分かれていったように思う。
私は迷わず『辻』と書かれた隣の部屋に入った。
(これで、ののが夜に目が覚めても気付いてあげられる)
言い訳でもするように、この部屋に居る理由を探した。
ここに居ることで心配が薄まるのは、むしろ私の方だったから。
音を立てないようにドアを閉めて、すぐに荷物を下ろす。
顔を上げると、でんと構えているベッドが目に付いた。
窓側に据えられたそのベッドには、カーテンから零れる夕日が差し込んでいる。
私は意味もなくベッドに駆け寄り、ぼんっと飛び込んでみた。
スプリングの効いた上質なベッドが、ふわりと体を押し返す。
暫く使われていないためか、少しだけ埃っぽい。
肌に触れるベッドは、当たり前のようにひんやりとしていた。
「暖かそうな色、してるのにな……」
呟いて、指で枕のカバーに付いたチャックを弄ってみた。
頭をからっぽにして、体に纏うサテンのつるつるとした感触を楽しむ。
数分程だろうか。
そうやって何をするでもなくベッドで体を休ませると、ようやく重い腰を上げて荷物を解いた。
バッグの中には、ポーチやら漫画やら財布やらがごちゃごちゃに入っている。
私服もあったが、ダンス用のジャージとTシャツが一番に見つかったのでそれに着替えた。
「んー、やっぱこっちのが楽だ」
後に残ったのは脱いだままの黄色い衣装。
ハンガーを探すのも面倒で、しわを伸ばしベッド脇の椅子に掛けて置いた。
(そろそろ下に行かないと)
着替えだけ、ということだからいつまでもこうはしていられない。
私は静かに部屋を出ると、ホワイトボードに『加護』と書いた。
安倍さんの言葉通り、こうでもしないと誰がどこの部屋にいるのか全く分からない。
反対側の隣を見ると、『高橋』の文字が見える。
(隣は、愛ちゃんか)
それだけ確認すると、私は階段に向かっていった。
荷物がないこともあって、下りの足取りは軽い。
すぐに階段を下りて、一階に着いてしまった。
「加護、危ないからちょっと退いてくれる?」
廊下でうろうろしていた私に声を掛けたのは、飯田さん。
両手に湯気の立つマグカップを持っている。
「それ、何ですか?」
「スープ。カップスープの素あったからさ、作ったんだ。そーっと運ばなきゃなんないんだよね、これ」
「運ぶの手伝いますよ」
「うん、じゃ向こうのお願い。ありがとね」
飯田さんは揺れるカップの水面を見詰めながら、ロビーの方へゆっくりと歩いていった。
零してしまわないかハラハラするが、ついて行くわけにもいかない。
とりあえず、私は飯田さんの来た方向へ向かった。
近づくとあまり広くない台所があり、そこに保田さんが居るのが分かる。
「保田さん、お手伝いに来ましたよー」
しゅんしゅんと沸いたやかんの隣で、保田さんはカップスープの素を開けていた。
並べられたカップの数がやけに多い。まあ、この人数だから当たり前か。
「じゃあね、お湯入れるからスプーンでかき回してくれる?ちゃんと溶け残りないようにね」
「スプーン、これ使いますよ」
「うん、それでお願い」
保田さんがお湯を入れた後に、私がくるくるとかき混ぜていく。
立ち上るコーンスープのいい匂いが、食欲をそそる。
スプーンを回す単純作業に夢中になっていると、
「いいものあげる」
保田さんがいつの間にか緩んでいた私の口に何かを入れた。
144 :
七人の名無し:02/11/14 00:16 ID:scBMnw0t
この調子でがんばうぇ〜¶
145 :
…:02/11/14 00:29 ID:jsqegFcm
↓
「な、何ですか、これ?」
「チョコレート。見つけたんだ。美味しいよ?」
にんまり笑って、自分の口にもチョコレートを入れる保田さん。
口を動かして噛んだのを見て、私も真似て噛んでみた。
チョコレートの中から出てきたのはトロリと何か熱い液体。
すこし、ほろ苦い。
「これ、何か変だよ?」
「へへー。ナッツでも入ってると思った?これね、お酒なんだ」
「お酒?え、いいの?食べちゃったよ?」
「こん位なら大丈夫だって。なんかふわーっとして美味しいでしょ?」
「んー、よく分かんないけど、ふわーっとはする」
あれ、お酒だったのか。
どこか暖かくて、いい香りがするチョコレート。
美味しいかどうかまでは分からなかった。
飲み込んでしまった今でも、ふわっと熱さが残る。
保田さんは私の反応に満足したのか、包み紙を丸めながら話を続けた。
「チョコレート、これしか見つかんなかったんだよね」
「え?」
「ほら、甘いモノ食べると落ち着くって言うじゃん」
「それ、聞いたことある」
「でしょ?じゃあ、これ。皆には内緒、ね」
そう言うと、紙に包まれたチョコレートを二粒渡してくれた。
「一つは、辻にあげること。いい?」
唇に人差し指を当てながら、優しく微笑む保田さん。
やっとその意図が分かったような気がする。
保田さんは知ってたんだ。
私がののに何かしてあげたいって思っていたこと。
「うん、分かったよ。ありがとう、お・ば・ちゃん」
わざとらしい言い方をして、私はいたずらっぽく笑ってみせた。
照れ隠しだと分かっちゃうんだろうな、保田さんには。
「加護!無駄口叩かないの。ほら、出来たら運ぶよ」
「はーい」
返事をして、大事なチョコレートをポケットにしまい込む。
(夜にでも、ののに渡そう。絶対、喜んでくれる)
私は残りのカップを手早くかき混ぜた。
これで全て完成だ。
やがて戻ってきた飯田さんが途中で少し零したというのを聞いて、
私達は二つのトレイを使って、残りのカップを運ぶことにした。
>七人の名無し
どうでもいいが(いや、よくないが)
sageてくれ。
ダーヤスいい奴だな
何者か(作者さんにあらず)の悪意が圭ちゃんを貶めないことを祈ります…。
更新期待sage
うぃス。すいませんでした。これからsageてsageていきまっしょい。。。
ところで『sage』ってどっから来たんでしょうか?元からあったとも思えないし。(謎は深まるばかり)
うぃス。すいませんでした。これからsageてsageていきまっしょい。。。
ところで『sage』ってどっから来たんでしょうか?元からあったとも思えないし。(謎は深まるばかり)
うぃス。すいませんでした。これからsageてsageていきまっしょい。。。
ところで『sage』ってどっから来たんでしょうか?元からあったとも思えないし。(謎は深まるばかり)
あぁ…二重カキコすいません。なんか今日は(昨日か?)やたらに重いです。
あぁ…二重カキコすいません。なんか今日は(昨日か?)やたらに重いです。
昨日はホントすいません。なんか重くなかったですか?
そういや昨日は鯖が妙に重かったな
( `.∀´)全
「あ、それで全部?」
「うん、ちゃんと足りるはず」
トレイで運んだカップを、ひとまず近くのテーブルに全て置く。
先に飯田さんが運んだ二つを除いた、九つのカップがずらりと並んだ。
「一応皆に渡すけど、無理して飲まなくてもいいからね」
保田さんはそう付け加えて、席に着いているメンバーにカップを回していった。
私と飯田さんも、同じようにしてカップを渡す。
(静かだな……)
(いつも皆で何か食べたりする時は、うるさいって怒られる位なのに……)
ロビーには、中澤さんと休んでいる三人を除いた全員が揃っている。
それなのに、皆が俯いて視線を合わそうともしない。
特に里沙ちゃんは顔色も悪く、私が目の前にカップを置いた時も辛そうだった。
「これでよし、と」
「うん、全部オッケー」
私達がカップを渡し終えてしまっても、誰も手を付けようとはしない。
湯気だけがふらふら立ち上り、時の流れを刻む奇妙な風景。
三人で顔を見合わせていると、丁度タイミング良く中澤さんが現れた。
「お。皆、揃ってるんやな」
「裕ちゃん」
「三人の様子を見てきた。よう眠ってたで」
「そう……」
飯田さんも保田さんも、気に掛かっていたことは同じだったのだろう。
その一言に、ほっと胸を撫で下ろした。
「スープ、これ飲んでいいの?」
「うん、もちろんだよ」
私達が席に着いてカップを手にし始めると、どうにか皆もそれに続いてくれた。
続く沈黙に、相変わらずの重い空気。
ふうっとスープに息を吹きかけると、温かい湯気が顔を包んだ。
その優しい感触に、思わず泣いてしまいそうになる。
スープの温かさでさえ、今の私達には疲れを認識させる代物でしかなかった。
「ずっと気になってたんだけど」
一口だけ飲むと、すぐに話を切り出したのは安倍さん。
カップを両手に包んで、俯いている。
「何で、裕ちゃんたち二人が居たの?」
ワゴンの前に当然のように立っていた二人。
私達だって何の疑問を持たないわけではなかった。
安倍さんの質問に、全員が面を上げる。
「うん、気になってるやろなって思ってた」
カップから口を離して、中澤さんは市井さんの方を向いた。
視線を合わせた市井さんが、静かに首を横に振る。
「今話しときたいことやけど、全員が揃ってへんし……。明日、話すわ」
それだけ言うと、中澤さんは逃げるようにカップに口を付けた。
「話しにくいこと、か。 じゃあ、明日聞かせてもらうけど」
返事に不満なのか、やや早口に安倍さんが言う。
一連の様子を見ていた保田さんは、場を収めるように、
「せっかく作ったんだし、冷めない内に飲んじゃおうよ。ね?」
と皆を促した。
保田さんの言葉に、私もようやくカップに口を付ける。
飲み込んだスープは舌の上を確かに通り過ぎたはずなのに、味がしなかった。
(かき混ぜるの、足りなかったのかな……)
ぼんやりと、どうでもいいことを思い浮かべた。
胃に流れ込んだ液体が染み込んでいくのと同時に、疲れが湧き上がってくる。
そんな感覚を覚え、声を出さずに一つだけ小さなため息を吐いた。
包み込むように持った手の中のカップが、少し熱い。
息苦しい空間ではっきりと存在を主張するその熱さを、私は大事に握り締めていた。
作者さん乙です。
更新だ。わーこれからどうなるんだろう。作者さん頑張れ。
----------<<吉澤>>----------
「すみません、あの、もう休んでいいですか?」
残ったスープも冷めかけた頃、そう言って新垣が手を挙げた。
声こそはっきりしているものの、顔色が相当に悪い。
すぐに紺野と圭ちゃんに付き添われ、部屋へと戻されていった。
「皆も疲れてるやろ。 早めに休んだ方がええんちゃう?」
三人を目で追っていた皆を見て、中澤さんが促す。
その言葉を待ち侘びていたように、私達は次々に席を立った。
後に残ったのは、中澤さん、安倍さん、飯田さん、圭ちゃんの四人だけだったと思う。
お酒を見つけたから飲もう、ということらしかった。
でもきっとそれは口実で、何かしらの話し合いが為されるのだろう。
あのまま気まずい雰囲気の中には居たくなかったこともあって、
私は逃げるようにして部屋へ駆け込んだ。
ドアを閉めて、ひとまず深呼吸をしてみる。
(なんだか、疲れちゃったなぁ……)
コンサートの声援、中澤さんの先程の台詞、小川のニュース。
様々な声が、次々に頭の中に浮かんでは響いて離れない。
ふと顔を上げると、窓から見える景色に、闇が徐々に濃さを増していた。
いつもなら、夕食でも食べている時間だろうか。
スープ半分がやっとで、とても食事がしたいという気分ではなかった。
今日はもう、このまま寝てしまった方がいいのかもしれない。
明日になれば、少なくともこの閉塞感からは抜け出せるんだから。
私は根拠のない憶測で自分を慰め、パチリと頬を軽く叩いた。
「よし、そうと決まればさっさとシャワーでも浴びますか」
服を脱いで、裸になって。
ユニットバスのカーテンを閉めて、蛇口を捻った。
やがて、温かいシャワーがざあっと体に降り注ぐ。
頭よりも少し高い所にあるシャワーを、私は暫くそのままにして置いた。
(流れていってしまえばいいのに。嫌なこと全部、ぜんぶ……)
そんなことを考えながら、私は頭と体を洗う作業を黙々と進めた。
最後に再度、清めるように真水で体を流してバスタイムは終了。
後ろを向いて、棚に置かれたバスタオルを取った。
備え付けのそのバスタオルは、新品なのか、やけにビシッと固い。
渋々、それで体の水分を取ってしまうと、私はすぐにバスルームを出て元の服に着替えた。
「少しはすっきりした、かな……」
ベッド脇の椅子に腰掛け、鏡越しの自分に呟いてみる。
見ると、肩に掛けたタオルに、髪を伝って水滴がぽたぽた落ちていた。
(何だ、全然拭けてないじゃんか)
もう一度丁寧にタオルで拭いていると、トントンと控えめなノックの音。
内鍵も閉めていない、ドアは開いているはずだ。
確認して、私は声を上げる。
「どうぞー、入っちゃっていいよ」
「よっすぃー、今いいかな」
そう言って、ドアから顔を覗かせたのは、梨華ちゃんだった。
「いいけど、どうしたの?」
「うん、ちょっとメイク落とし貸してもらおっかなって」
「持ってなかったっけ?自分の」
「本当なら今日もあのホテルに泊まるはずだったんだよね。だからてっきり」
忘れてきちゃったんだ、と付け加える梨華ちゃんは妙に早口だ。
どこか、様子がおかしい。
「梨華ちゃん?」
目を合わせようともせず、梨華ちゃんはこちらへやってくる。
私は気付かない振りをして、鏡に向かい、ただ髪を拭いた。
「あ、これ?借りるね」
目の前の台にあるポーチを見つけると、梨華ちゃんはポーチに手を伸ばした。
私の頭の上で、目的の品物をごそごそと探り始める。
「ふうん、よっすぃーってオイル派なんだ。私はクレンジングミルク派なんだけど」
ボトルだけ取り出して、すぐにポーチを元に戻す。
その声が、どこか震えている。
どうも意図が掴めない歯痒い会話に、私はいい加減痺れを切らしてしまった。
「梨華ちゃんってば!」
大声を出して、ボトルを握ったままの梨華ちゃんの腕を掴む。
立ち上がり、その表情を見ると、口をへの字に結んで、涙を堪えているのが分かった。
更新━━━キター\(・∀・)/━━━ みたいな。
「……ごめん」
どちらともなく、互いに同じ言葉がついて出る。
慌てて私は梨華ちゃんをベッドに座らせ、自分もその横に座った。
「どうしたの?梨華ちゃん」
「うん。ごめんね。なんか辛くって、小川のことを考えると……」
梨華ちゃんの目から、涙が一粒だけ零れ落ちた。
そう言えば梨華ちゃんは小川の教育係だったっけ……。
先輩気取りで教える梨華ちゃんを、圭ちゃんと一緒にからかった覚えがある。
(人一倍、辛かったよね、梨華ちゃん……)
自分のことに精一杯で、梨華ちゃんのことを思いやれなかった。
悔しいけれど、私はその程度の度量しか持ち合わせていない。
ごめんね、本当にごめん。
心の中でごめんを繰り返していると、梨華ちゃんが頬の涙を拭って話を続けた。
「小川が死んだのに、皆逃げるようにこんな所にいて。内心、皆、迷惑だって思ってる」
途切れ途切れに、言葉を紡ぐ梨華ちゃん。
「そんなことないよ。皆だってきっと辛い。悲しいよ?」
「悲しい、も確かにあると思うけど。けど……」
梨華ちゃんの言いたいことも分からないではなかった。
小川が死んで、『モーニング娘。』はどうなっちゃうんだろう。
誰もが頭の中にそんな心配を思い描いたはずだから。
「小川ってさ」
「え?」
突如、私が切り出した言葉に、梨華ちゃんがきょとんとしてこちらを向いた。
「ほら、Mr.moonlightの踊りで私とペアだったっていうか。組んでやってたじゃんか」
「うん、そうだったね……」
「あの時のさー、顔が浮かんでくるんだ。もうこれ以上小川のこと考えたことってないなっていうくらい」
言って、笑って見せた。
新メンバーとして入ってきた小川とのダンスレッスン。
交した会話までは思い出せないが、その時はいつも二人笑っていたように思う。
角度のついた眉の割に、笑うと一変に人懐こい表情になる小川。
もっと、もっと、仲良くなれたかもしれないのに。
「私も。なんだか、懐かしいなぁ」
今度は、梨華ちゃんがゆっくりと微笑んだ。
一年も経っていないというのに、懐かしいなんて普通は変なのかもしれない。
けれど、私達には密度の濃すぎる時間が流れている。
こうやって、思い返す時間すらままなかった程に。
「一杯、頑張ってた」
「うん」
「なんか、部活の後輩って感じだったな」
「あはは。言えてるかも」
独り言のような会話を、私達は続けた。
二人で小川のことを話すことが、唯一の慰めに思えてならなかった。
「次、だったんだよね」
「え?」
「Mr.moonlight。初めてのロックコンサートが終わったらそれだったでしょ?」
「そう、だったね……」
そんなこと忘れてた、と梨華ちゃん。
確かに、私もついさっきまでコンサートどころじゃなかった。
Mr.moonlight。
すうっと息を吸い込んで、頭の中のBGMに合わせて声を出してみる。
「おお、心が痛むというのかい?」
大袈裟な口調に、差し出された手。
それらに照れるように微笑む小川は、もういない。
梨華ちゃんは突然始まったMr.moonlightに驚きながらも、すかさず、
「う〜ん、ベイベー それは恋、恋煩いさ」
と続けて、こちらを向いた。
私のモノマネのつもりなのだろう。
精一杯、男前に作って見せた表情はどこか滑稽だった。
「梨華ちゃんが言うと、何か変」
「えー?もう、ひどいなー」
顔を見合わせて、二人で笑い声を上げる。
まるで涙を零す代わりにみたいに、私達は笑った。
声に乗せて、心の中に溜めていた黒いモノが空気中に散らばっていく。
一頻り笑い終え、訪れた沈黙はどこか暖かだった。
「今日はなんか、疲れちゃった」
「じゃあ、私、部屋に戻るね」
「うん、おやすみ」
ボトルをちゃんと忘れずに持ち、梨華ちゃんがドアへと向かう。
私はそれを黙って見守った。
「おやすみ、よっすぃー」
最後に笑顔を見せて、梨華ちゃんは帰っていった。
バタンと閉じたドアの音が、今日の終わりをそっと告げる。
(さあ、もう寝ちゃおう……)
私はベッドに体を滑り込ませ、窓を見上げた。
膨らんだカーテンに区切られた歪な四角の風景。
辺りの山間に広がる闇に、月が柔らかな明かりを溶け込ませている。
「まさにMr.moonlight、なんちゃって……」
ぼそりと呟いて、カーテンを閉めた。
枕元の電気のスイッチも切って、目を瞑る。
閉じた視界にも、やがてさっきの窓から見えた暖かい黒が広がっていく。
枕に濡れた髪の感触を感じながら、私は疲れた体をその闇に明渡した。
すごく丁寧に書かれていて好きです。
続きが待ち遠しいわ。
----------<<高橋>>----------
(……嫌だ、嫌だよ……逃げなきゃ、もっと速く走らなきゃ!)
(……どこ?ここ、どこ?真っ暗だ。誰も、いないの?)
(……一人は怖いよ。暗いの嫌だよ……やだ、いやだ……)
「やだってばぁーっ!」
朝起きての第一声。
思いのほか大きく発された声に驚いて、私はぱちりと目を開けた。
顔の上には枕が乗っかっている。
(夢? あれは、夢か……)
それにしても、一体私はどんな寝方をしたのだろうか。
枕が目隠しになっていれば、あんな夢も見るはずだ。
欠伸をしながら枕を除けて、顔に掛かる髪を払った。
カーテンから零れる光で、起きたばかりの頭でも朝だということがどうにか分かる。
(朝、いつもと同じ、朝だ……)
カーテンを開いて、ひとしきり伸びをする。
一瞬だけ、ここは昨日までのホテルだと思い、目に飛び込んだ景色に目の覚める思いがした。
やっぱり、昨日のことは本当だったんだ。
晴れ渡り澄んだ空までもが、恨めしい。
「麻琴」
誰に聞かせるでもなく、私はその名前を口に出してみた。
昨日あれだけ泣いたというのに、またじわりと目が熱くなる。
「もう、やだなぁ……起きたばっかなのに」
泣いてばかりいられない。
私はパジャマの袖で、無造作に顔を拭った。
それから顔を洗おうとバスルームに近づくと、廊下から話し声が聞こえてきた。
「おはよー」
「おはよう」
「早いじゃんか」
「そっちこそ」
誰の声かまでは分からないが、他愛もない朝の挨拶だった。
なんだ、私以外にも起きている人いるんだ。
(里沙は起きてるかな……)
具合が悪そうだった里沙。昨日のあの状態は不安だった。
(もし、寝ていたらそのままにしよう。確認だけ)
思い立って、私は隣の里沙の部屋へ行くことにした。
当たり前だが、ドアには鍵が掛かっていない。
音を立てないようにして、そっと開ける。
「里沙?」
電気の点いていない部屋に、カーテンの隙間から一筋の光が差し込んでいる。
私はどんどん奥へと進んだ。
部屋の構造はほとんど同じ、奥のベッドへと向かう。
やがて、逆光で見えなかった黒い影のようなものが見えてきた
あれは、なんだろう。
ゆっくり目を細めると、それは人だった。
後ろ向きにベッドの上で膝立ちしている。
だらりと腕がぶら下がっていて、チェック柄のパジャマを着ている。
あんなパジャマを、持っていただろうか。
それに、里沙なら、もっと髪が長いはずだ。
(じゃあ、あれは、誰?)
「里沙?」
声を掛けてみるが、やはり反応はなかった。
後ろ向きのその人物を確かめるだけなのに、何故か嫌な予感がして堪らない。
近づいて、肩に手を掛けてみる。
その感触は、まるで人形みたいに硬かった。
(なにこれ……)
(触っちゃいけない。これは危ない。嫌だ。逃げたい)
頭の中でいくら拒否しても、置いた手はぴくりとも動きはしない。
次第に、私の息が荒くなってくる。
(もしかして、これって……)
最悪の事態が頭に過り、恐怖に手を勢いよく離した時だった。
反動でゆらりとこちら側へ、そのモノが倒れてきた。
朝日に照らされる格好になり、姿が私の目に飛び込んでくる。
間違いなく、それは加護ちゃんの形をしていた。
えっ!!あいぼんも?!ドキドキ・・・
連続更新お疲れさまです。かなり引きつけられます・・・
ドキドキ・・・どうなるの?
うわぁーカゴチャンがー。ところでなんで新垣の部屋に…。
がんばってください。
羊は大丈夫だと思うけど……。
( `.∀´)全
保全
続きが気になる。
期待してます。
一日イチsage
待っています。
たまには娘。の話題を…。
新メン誰入るんでしょうか。自分的にはこのままの娘。のほうが良い感じが…。
すいません。それより遅いっすよね、更新。まえは二日にいっぺん位だったのに。まー気長に待ちます。
追伸:これも雑談に入りますか?
作者サンもお忙しいのかも・・・。
でも不安になりますね。
いまいちばん期待している小説です。
マターリ待ってます。
週末かな?
保全 期待
ほげ
放棄?
>>192 1週間くらいの更新停滞はありがち。
「放棄?」とかいうと作者さんに無用のプレッシャーを与えるだけ。
軽々しく使うべきではない。
気持ちがわからんではないが、ここは静かに待ちましょう。
(加護ちゃんが、死んでる?なんで、どうして)
口に触れていた指先をふいに噛んでみた。
痛い。ぎりりとした痛みの先にも、加護ちゃんらしきモノが見える。
どこか夢から覚めていないのではないか、という一縷の望みはすぐに絶たれた。
ピクリとも動きはしない目の前の物体。
髪を下ろしてはいるが、加護ちゃんだということは一目で分かった。
まじまじと記憶の中の『加護亜依』の形を辿る。
と、瞬間、加護ちゃんと目が合った。
濁った目が、光に反射してきらりと光る。
私が映るはずもないビー玉の瞳。
その目を縁取るように、顔に髪がかかっている。
重力に耐え切れなくなったのか、髪がはらりとこぼれ落ち、加護ちゃんの口元が見えた。
薄く開いた口元から白い歯が覗く。
加護ちゃんが私を向いて、歪んだ笑みを浮かべているように見える。
血の気のない唇が、今にも動き出しそうだ。
(愛ちゃん)
「きゃあぁぁーーーっ!」
ありったけの声で私は叫んだ。
喉を傷める発声法だったが、それで構わなかった。
私の見たこと全てを切り裂いてしまいたい。
朝の夢が悲鳴で終わったように、これも全部ウソだったらいいのに。
全身の震えが止まらない。今更のように恐怖が体を駆け巡る。
それでもどうにか体をドアの方へ向け、這ってこの場から逃げようとした。
廊下からみんなの駆けつける足音が聞こえる。
「今、悲鳴が聞こえたよね?」
「向こうからだ」
「誰の声? 何なんだろう、こんな朝早く」
遠くから聞こえる小さな声。誰でもいい。早く来て欲しい。
這ったその後ろから、加護ちゃんが追いかけてくる気がして怖かった。
ドアを閉める音やら、走る音が随分遠くに感じられる。
その音を掻き消すようにして、近づいてくる音がした。
「愛ちゃん!」
あさ美だった。
そうか、ここは里沙の部屋だ。隣はあさ美だ。すぐ駆けつけるはずだ。
ドア付近にまで進んでいた私は、あさ美に夢中で縋り付く。
痛いくらいに強くあさ美の腕を掴んだ。
柔らかな暖かさに、荒い息が少しだけ落ち着く。
「里沙に何かあった、の?」
私の様子を見て、あさ美の声までもが弱々しくなった。
(違う、あれは里沙なんかじゃない。あれは、加護ちゃんなんだよ。加護ちゃん、死んでるんだよ!)
言おうと思い、口を動かすが声にならなかった。
ただパクパクと口を開閉させるだけが精一杯。
私はそれを指差して伝えることにした。
ぎゅっと唇を一文字に結んで、あさ美は向こうを見詰めた。
震える指先の方向へと、ゆっくり歩を進めていく。
そろりそろり進むあさ美の後ろ姿を、私は何かの映像のように眺めていた。
「ひっ……!」
腰を抜かし、その場にへたり込むあさ美。
やっぱり、やっぱり嘘なんかじゃないんだ。加護ちゃんは死んでるんだ。
何故か、唇だけが笑うようにかたがた動く。
「高橋!」
「どうしたの!? 何かあった?」
やって来たのは飯田さんに、保田さん。その後ろに矢口さんと市井さん、後藤さん。
私とあさ美の様子を見て、顔を見合わせている。
入り口から身を乗り出して、飯田さん、保田さんの二人が部屋へと足を踏み入れた。
飯田さんが私の前をすり抜けて、奥へと進んでいく。一歩遅れて、保田さんがその後を追った。
「新垣?」
ベッド脇のあさ美は、近づいてくる二人に見向きもしない。
私も誰を見るというわけではなく、ただこの光景を辿るだけがやっとだ。
「きゃああっ!加護!?」
「加護が、加護が、死んでるっ!!」
悲鳴を上げ、互いに抱き合う二人。
私だって、ここで加護ちゃんが死んでいるのを見つけるなんて、思ってなかった。
保田さんが叫んだ事実に、ドアの向こうの三人がはっと息を呑むのが分かる。
「いやああぁーーっ!」
この部屋以外から発せられた悲鳴。
廊下からだ。そしてこれは、辻ちゃんの声。
飯田さんも保田さんもその声にぴくりと反応し、廊下の方に顔を向ける。
けれども、走って駆けつけることはできない。
市井さんが仕方が無い、という風に去っていった。
その後に続く後藤さん。
矢口さんはそんな二人を気にするでもなく、呆然とこちらの様子を見ていた。
「なんで、なんで……?」
それだけの繰り返しながら、ひたりひたりと奥へ進んでいく。
周囲の震えるみんなに目を向けず、加護ちゃんのもとを目指す矢口さん。
ベッドを覗き込むように体を前に倒すと、当然のようにそれに手を延ばした。
「冷たい」
涙交じりに、一言。
泣き喚く人は誰一人もいないが、この部屋にいる全員が静かな悲鳴を上げている。
ゆらりとドア口に人の影。
見上げると、安倍さんがそこにいた。
「どう、なってるの?」
部屋の奥だけをじっと見詰める安倍さん。
瞬きも忘れたその瞳には涙が溜まっている。
こちらを見ていた安倍さんは、加護ちゃんが死んだことを察したのだと思う。
「向こうは……?」
矢口さんがどうにかそれだけ聞いた。
辻ちゃんの悲鳴。あれは一体なんだったのか。
この質問にも、安倍さんの様子は変わらなかった。
「加護の部屋で新垣が、死んでた。 それを、辻が見つけたみたいで……」
一言一言を確認するように、安倍さんの唇が動く。
真っ先にその台詞が示す事の重大さに気付いたあさ美が、小さな悲鳴を上げて顔を手で覆った。
200 :
名無し:02/12/01 00:44 ID:/t0RtYD1
連続更新お疲れさまです&ありがとうです。
昨晩青い顔をしていた新垣ちゃんは犯人を示す何かに気づいたとか?
作者さん乙です。
がんがってください。
すいません。「放棄?」なんて失礼なこと言って。これからこうゆう事の無いようにします。
ホゼム
ふと思ったんですけどこの小説のタイトルってなんて言うんですか?
終止符オーディション
ごめんなすいません。
ぼぜーん
保全!!
一日イチsage?NO?
210 :
伊園和男:
ホセ=メンドゥーサ