・・・今日は本当に色んなことがあった・・・。
つんく♂・・・(今はとても「さん」をつけて呼ぶ気分にはなれない。正直、頭にきてる。)
つんく♂に呼び出されてから3・4時間くらいしかたってないのに。
この数時間がかなり長く感じられた。それはやっぱりあんな体験をしたからだろうか。
私の体を乗っ取ろうとしたあの黒い男。いや・・・「した」と過去形にするのはおかしいか。
今も奴は私の体を乗っ取ろうとしてるんだ。
ひょっとしたら、今この思考も奴は読み取ってるのかも知れない。
考えてみれば最悪だ。こいつは世に言うストーカーとかの比じゃない。
どんなストーカーよりもしつこく悪質で、しかも一生付きまとわれる。
(何かバイオ3の追跡者みたい・・・。)
そして、その追跡者を呼び出してくれたつんく♂・・・。それに石川梨華・・・。
いや、彼女を攻めるのはよそう。彼女も私と同様に強引にスタンドを呼び起こされたのだ。きっと。
もう彼に尊敬の念とかは全然無い。むしろ怒りや恨みの感情の方が大きい。
私は、死ぬまでこの絶望感を背負わなければいけないのか・・・。
イヤだ・・・。
暗い思案をひたすら頭の中で繰り返す吉澤。自分のもう一つの影(スタンド)に怯えながら・・・。
その吉澤の50メートル程後ろに、もう1人の追跡者が迫っていた。
!!見つけた!!あの野郎・・・いきなり走り出すもんだからビビったが・・・
普通に歩いていやがる!!ったく・・・久々に走ったもんだから足が痛ぇぜ・・・。
メタルボックスの本体、そして自らを<情報伝達班>の一員と名乗る男である。
あの女を軽く締め上げて、秘密を吐かせる。
それを上に報告するだけで、俺の元へは大金が転がり込む・・・。
それも今までの収入じゃあ考えられないような金額だ!!
その金があれば俺は一生遊んで暮らせる!!バラ色の未来が俺を待ってるんだ!!!
だが、こんな時に決して欠いてはいけないのが冷静さ。
この土壇場でミスしたら・・・全てが台無しになってしまう。
最後まで冷静に・・・クールにだ。
男は息を整えると少しずつ歩くペースを上げながら吉澤に接近していく。
<・・・。>ところで奴はどこに向かって歩いているんだ?
吉澤の足取りは道往く人達と全く同じ方向に向いている。
大体、予測がついた。
<・・・駅か。>こいつ、電車を使ってたのか。さっきの奴はタクシーだったのに。
電車には当然、かなりの人間が乗っている。そして駅にもかなりの人がいる。
あまり公衆の面前で吉澤を締め上げるのはまずい。
俺の姿は見えてなくとも周囲の奴らが不審に思うからな。
つまり、他の人間達に気づかれてしまったら俺の仕事は失敗と判断していい訳だ。
って事は・・・駅に向かわれるのはまずい。
何とかしねーと!!今、この場所と駅までは目と鼻の先。
ここから50メートル程言った所にある信号を2つ超えれば、もう駅の入り口が見える。
あと、ちょっとしかねーじゃねーかよ!!
まずいぞ・・・!危機はあのブスとの激突だけだと思ってたのに!!
そうだ・・・こういう事態はあらかじめ予測しておくべきだった・・。
いくらこの透明の能力があるといっても、秘密を吐かせるには誰の目にも
触れない場所に連れ去る必要があったんだ!!
男は窮地に立たされていた。このままだと逃がしてしまう!!
その時、蝿が男の横に現れた。
!!!こいつはストーキングフライ!!
蝿が男に話し掛けてくる。(これはスタンドを通じてなので一般人には聞こえません。)
「よお。どうした?久賀さん?随分ピンチみたいだな。さっきは余裕って言ってくれたのに。」
<うるせえ!!テメー何しに来やがった!?>(根にもってやがるな・・・。)
「お前を笑いに来た・・・嘘。嘘だよ♪糞野郎。たった今、電話が入った。
<和馬>からだ。彼は今、吉澤が行こうとしてる駅のホームにいるらしい。」
<和馬か・・・。それで?>
「見たところお前は吉澤に電車に乗られると困るみたいだな。
だが、安心しろ。 和馬に頼んでしばらく電車を止めてもらう。
恐らく吉澤は山手線を使うはずだ。山手線を2・3時間止めてやる。
それまでに吉澤に秘密を吐かせろ。殺す必要は無い。
殺害は我々、<情報伝達班>の仕事じゃないからな。」
<それは分かっている。が、山手線を止めるって言うのはどういうことだ?そんな事が出来るのか?>
「出来るさ。たった一人の命と引き換えにな・・・。」
そう言うと蝿はその姿を消した。
<あっ!待て!!・・・・・。どういう事だ?一人の命と引き換えとは・・・?>
吉澤はもう駅前の信号まで来ていた。男もその3メートルほど後ろにいる。
今、2人は信号待ちをしている所だ。
<と・・・とにかく止めてくれるなら早くしてくれ!これが青になったら!後、この2つの信号を渡ったらアウトなんだよ〜!!!>
男は汗をダラダラかきながらもう、すぐそこにある駅に目を向けた。
この駅は日本有数のターミナルステーションであるため、構内がかなり大きくつくられている。
そしてその構内の上に設置されたホーム。ここから見てもホームにはかなりの人がいる。
信号2つの距離・・・30メートルくらいだな。
この30メートルが俺の生命線・・・もうダメぽ・・・。
信号が青になり、吉澤を含めた駅に向かう通行人達が歩き出した。
<終わった・・・。>
そう思った次の瞬間!!
キキキキキィィィッ!!!
けたたましい金属音が周囲に響き渡る。
思わず通行人たちも足を止め、視線を上(つまり構内の上に設置されてるホーム)にうつした。
どうやら電車の急ブレーキ音らしい。実際に電車がホームの真ん中という中途半端な場所で止まってる。
それとほぼ同時に駅のホームから悲鳴が溢れ出した。
<何だ!?まさか・・・人身事故か!?>
「うわあああああああああああ!!!」「キャアアアアアアアアアア!!!!!!」
この五月蝿すぎる悲鳴・・・人身事故に間違い無さそうだ。和馬がやったのか?
ここで男はさっきのことを思い出した。
あいつが言ったこと・・・「和馬が駅のホームにいる」・「山手線を2・3時間止める」・「一人の命と引き換え」そして人身事故・・・。
そうか!!頭の中のピントが全てあった!!
和馬がスタンドを使ってホームにいた一般人を突き飛ばしてくれたのか!!
確かにスタンドを使えば、完璧に死んだ奴の自殺に見える。
そして死体とかの処理で山手線は機能を停止する!!
なるほど!!わかったぜ!!くくく・・・感謝するぜ!和馬!希望とやる気って奴が沸いてきた!!
絶対に・・・この造ってくれた時間内で・・・あいつに秘密を吐かせてやる!!
男は吉澤の背後に迫っていく・・・!!
<途中経過>
メタルボックスの男・・・「久賀」という名前らしい。現在、やる気と希望が漲っている。
吉澤ひとみ・・・追跡されている事に気づいてない。ピンチ!!
和馬・・・ストーキングフライの男や、メタルボックスの男と同じく <情報伝達班>の一員。
久賀のために一般人をホームに突き落とし、電車の機能を停止させた。
ふう・・・。駅の描写が全然ダメだ・・・。
後、事務所ってどこにあるんだろ・・・?