娘。の奇妙な冒険

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598レクイエム ◆8FREQU/2yA
地下行きのエレベーターに乗り込む5人。(つんく♂・石川・吉澤・高橋・安倍)

「下に着いたら本当の事を説明するからな。」そう言いうとつんく♂は<閉>ボタンを押した。

ガシャン。閉じるエレベーターのドア。エレベーターは5人を乗せ地下へと下って行く。

ブーーーーン。それとほぼ同時に廊下の奥から虫が飛んできた。

それもかなりの高スピードで。

その虫はあっ、という間にエレベーター前まで来ると、ボタンの上の階数表示パネルの上に停まった。

まるで階数を確認するかのように。

その虫とはどうやら蝿のようだった。それもかなりの大きさで親指程ある。
599レクイエム ◆8FREQU/2yA :03/02/11 14:16 ID:j43FfO5Q
エレベーターの階数表示パネルが3階・・・2階・・・1階と変わっていく。

そして、パネルは1階を表示したまま、動かなくなった。

つまり、1階で止まった事になる。

すると、蝿は再び羽を震わせ、飛び立った。

この蝿は何処に向かっているのだろうか?

その答えは非常階段だった。非常階段は廊下の一番奥に設けられている。

どうやらこの蝿はそれを知っているらしい。
600レクイエム ◆qWPqRbEpI2 :03/02/11 14:17 ID:j43FfO5Q
ブーン。耳障りな羽音を立てながら蝿はUターンして廊下を飛来していく。

そして、半開きの非常ドアの隙間を潜り抜け、外に出ると一気に下に降下した。

この蝿には空気抵抗や吹きすさむ風は全く関係ないらしく、さっきと変わらない猛スピードで下っていく。

蝿は1階の非常階段まで到達すると、ドアからの侵入を試みる。

1階のドアはストッパーがかけられ、完璧に開いていた。

「フン。無用心な奴らだな。」

今の声は・・・この蝿の声だろうか?普通ならありえない事だ。そう。普通ならば。
601レクイエム ◆8FREQU/2yA :03/02/11 14:19 ID:j43FfO5Q
蝿はロビーを歩く社員達の間を縫うようにして進んでいく。

社員達の目にはその蝿の姿は残像すら映っていないだろう。

とても常人が捕らえられるスピードじゃない。

そして蝿はエレベーター前に到達した。

エレベーターが3つ並んでいる。5人が乗ったのは一番左端のヤツだ・・・。

しかし!!どこにも5人の姿は無かった。馬鹿な。1階で降りたはずだろう?

エレベーターが停まってから1階に来るまでわずか8秒。

まだ、そこらに姿が見えててもいいはずだ。
602レクイエム ◆8FREQU/2yA :03/02/11 14:21 ID:j43FfO5Q
慌てて左端のエレベーターの電子パネルの方に何万もの細かい目を向ける。

なんと、パネルは3階を表示していた。

あの8秒で3階まで戻ったというのか?

蝿は再び外に出ると3階まで上昇した。

3階のエレベーター電子パネルは1階を表示している。

「何だよこれは!?故障してやがんのか!?何で階ごとに表示されてる数字が違ってんだよ!?」

蝿が苛立った感じで怒鳴った。

実はこのエレベーターはトップシークレットである地下に通じているため、
敵にばれない様に様々な工夫が凝らされている。
電子パネルのトリックもその内の一つ。

地下までいった場合、各階の電子パネルには<UG>(アンダーグラウンド)とは表示されず、1階・2階など
ダミーの階数が表示されるようになっている。この蝿はそれに見事に騙されたという訳だ。
603レクイエム ◆8FREQU/2yA :03/02/11 14:22 ID:j43FfO5Q
「畜生〜〜。何処行きやがった・・・。やはり、あの時一緒に乗り込めば良かったか。
 だが、あんな狭い空間にいたら存在がバレる可能性があったからな・・・!!畜生ッ!!」

蝿は忌々しげに吐き捨てると事務所から飛び去っていった。

事務所の道路を挟んで向かいがわに建つ小さなビル。

そのビルの屋上に、携帯の画面を眺めている男がいた。

画面には今、さっき蝿の目に映った映像そのものが映っている。

やがて、あの蝿が男の元へ戻ってきてフッ、と消えた。

「馬鹿な〜〜。この俺のストーキングフライが相手を見失うなんて・・・!!!」
604レクイエム ◆8FREQU/2yA :03/02/11 14:24 ID:j43FfO5Q
男は未だに自分の失敗が信じられないようだ。

「畜生ッ!!」屋上の錆びてボロボロになった鉄柵を思いっきり蹴り飛ばす!!ガーンッ!!

今ので少しストレス解消になったのか、男は荒立つ呼吸を整えると、何処かへ電話をかけ始めた。
605レクイエム ◆8FREQU/2yA :03/02/11 14:25 ID:j43FfO5Q
プルルルル・・・プルルルル・・・。

ガチャッ。<おう。お前か。どうだった?何か秘密は掴めたか?>

「すまない。偵察は失敗した。」

<おいおい!!どう言う事だよ!?偵察や覗き見、ストーキングがお前のスタンドの得意技だろ!?>

電話の話し相手もいささか怒っているようだ。

だが、この男はもっと怒っている。錆びた鉄柵をガンガン蹴り飛ばしながら怒鳴り散らす。

「うるせえッ!!俺だってまさかこんな事になるとはおもわなかったんだよ!!
 そこまで言うならお前がやってみやがれ!!このボケがァァァァッ!!!」

<まあ、そうキレんなって。いいぜ。俺がやってやるよ。早い話があいつらの中で誰かを締め上げて
 秘密を吐かせればいいんだろ?俺のスタンドなら楽勝だぜ。ま、お前は地道に偵察でもしてなさい。ってこった。じゃあな。>

プッ。ツーツーツー。

ここで通話は切られた。「糞がァァァァッ!!!」男はもう一度、鉄柵を蹴り飛ばした。

606レクイエム ◆8FREQU/2yA :03/02/11 14:28 ID:j43FfO5Q
スタンド名<ストーキングフライ> 本体「今はまだ正体不明」

能力:親指大の蝿の姿をしている。攻撃力は望めそうも無いがスピードはかなりのもの。
   監視、追跡、偵察用のスタンドでスタンドが見た映像は携帯電話や液晶テレビに映し出せる。
   向かいのビルにいるにも関わらず、事務所内全域を飛びまわれたので、
   その射程距離・持続力は驚異的だ。

   破壊力E 射程距離A 持続力A 精密動作B スピードA 成長性E


元ネタはクレー自慰ダイヤモンドさん。多少バラメーターや能力が変わってる所はご容赦下さいませ。