939 :
辻っ子のお豆さん:
【奇跡は起きた】
【ののとなっつぁんは原宿の真ん中でKISSをした】
【二人は世界一幸せそうな顔しとった】
【後ろで銃のトリガーを引く音が聞こえた】
「殺しちゃってよいのかな〜♪」
【うちは首を横に振った】
【あややは不思議そうに首を傾けた】
「フーン、結局そうなんですか」
【あややは銃口をうちに向け直した】
【それでいいと思った。なっつぁんが笑っていたから】
【なっつぁんを幸せにする。それがうちの生きる意味やった】
【そしてそれができるのはうちやなかった。それだけのこと】
【もう意味はなくなった】
「一度、黒に染まった者が二度俗世に戻れることはないの」
「ええよ」
「裏切る者は殺す」
「ええよ」
【彼女は多分そうすると思っていた】
【でも、ののとなっつぁんに会えたのは、間違いなく彼女のおかげである】
【うちはあややに礼を述べた】
「おおきにな、亜弥ちゃん」
松浦亜弥からの返答はなかった。
加護亜依は本物の天使になった。
〜黒の章 END〜
〜エピローグ 赤の章 ある朝の日〜
目を覚ますと、鳥の鳴き声と共に騒がしい声が聞こえる。
朝食作りに奮闘する背中が目に入った。
思わず頬を綻ばせ、私は「おはよ」と呼びかけた。
その声に反応した背中達は、とびきりの笑顔で返事をくれた。
「おはよう真希さん」
「おはようなっつぁん」
〜赤の章 END〜
サウンドノベル5「赤と青」完