【ある日、亜弥が二つの死体を引きずって帰ってきた】
「お前何やそれ…あのガッコの生徒やないか」
「フン、当然の報いだよ。こいつらあややの友達殺したんだから」
「!!」
「じい、後で自殺に見せかけてどっかの山奥に捨てて来ておいて」
「亜弥お嬢様。お痛が過ぎますぞ。先月のバラバラ事件といい…
いくらお父様のお力でもこれ以上成さると…」
「うるさいなぁ。小言なんて聞きたくない。行こ、亜依」
「あ、うん」
【松浦亜弥と二人きりで話す時間が増えた。彼女の友達という子が死んでからや】
【亜弥はののを話を好んで聞いてきた。うちらの微妙な関係がお好みらしい】
【ののがあれからずっと原宿にいるという話をしたとき、亜弥が提案してきた】
「ねえ亜依、そのなっちて人、わざと原宿に連れていったらどう」
「ハァ、何言うとんのや?そないこと何の意味があんねん?」
「なっちさんは覚えてないんでしょ。奇跡は起きないんだってこと、教えてあげればいい」
「ののに現実を…」
「そしたら私達の仲間に誘える。もうその子にも行き場はないんだから」
いい考えかもしれへん。これ以上、待ち続けても仕方あらへんし。
おそらくののは行き倒れるまで、あそこで待ち続けるやろ。
それよりかは、亜弥の言う通りにした方がええんやないやろか…でも、だけど。
「もし、もしもや。なっつぁんが記憶を取り戻したら?」
「んん?」
「なっつぁんが約束を思い出したら?奇跡が起きたら、どうするの?」
「簡単よ。殺しちゃえばいい。亜依を見捨てた裏切り者でしょ」
「え?」
「よーし決まりね。ウフフ楽しみ。そのときはあややも手伝うよ〜♪」
【断ることができへんかった。ケリを付けたいうち自信があったんや】
大丈夫。大丈夫。大丈夫。なっつぁんはうちの知ってるなっつぁんでしかない。
のののことなんか覚えてへん。気付きもせえへん。奇跡は起きひん。
「なっつぁーん、うち夏休暇とれて暇やねん。そっち遊びいくで〜!」
「亜依!」
「せっかくやから色々連れてってーな。案内頼むわ〜」
【うちはなっつぁんに嘘の電話を掛けて呼び出した】
【久しぶりの再会。うちは冗談言ってなっつぁんを笑わせた】
【天使のあいぼんがそこにいた。笑顔を他人に向けたこと…いつ以来だろう】
「原宿!うち原宿行ってみたい」
【そしてうちはあの街へとやってきた。ののに気付かれない様急いで飛び出す】
【うちははしゃいだ振りして、わざとなっつぁんからはぐれた】
【なっつぁんは予想通り駅の前へと戻って行く。うちは隠れて後を追う】
【大丈夫。頭にその言葉がリフレインしとった】