あれ…。なんやここ。白い…白い部屋。天国?地獄?それとも…全部夢やったの?
体が変な感じや。でも痛ないで。ん…どこにも火傷の跡があらへん。やっぱり夢?
「気がつきましたか」
うわぁびっくりしたぁ。なんやなんやこの白い人等は?お医者さんかぁ?
ゾロゾロ入って来おって。なんか嫌な感じやわ〜。
「自分の名前は言えるかい?」
名前?ふざけとんのか。うちは赤ちゃんやないで。言えるに決まっとるやろ。
「加護亜依」
あれ、うちこない声やったか?ちゃう!ちゃうで!もっとセクスィーボイスやで!
てか、おっさん共、驚きすぎや。なんやそれ、うちは名前ゆうただけやで!おっさん!
「我らの姿を見ただけで、脅え逃げ回ったタイプAとは異なる様ですな」
「あちらは器が優性となった模様、しかしこちらは臓が優性の様です」
「実に興味深い結果だ。君、彼女を検査室へ。くれぐれも慎重に扱えよ」
【何ゆうとんのか、さっぱりやった。訳も分からないまま、うちはどこかへ連れ出された】
【その後、うちは色んなことされた。色んな所調べられた。いっぱい質問された】
【そんな生活が何日も続いた。最後に鏡のある部屋に案内された。そこで見てもた】
誰やこれ?まさか…。そないアホなこと。でも…。これ…うち。これうちか?
【歳の近い女の子…見たこともない顔やった。当然、火傷の跡はない】
【受け入れる受け入れないゆう問題やない。半ば自棄になっとたかな、どうにでもなれて】
【検査の後、個室を一つもらったんや。白い部屋。寝るだけの部屋】
【そしてある日、隣の部屋にも女の子がいることに気付いた】
【担当師が教えてくれた、彼女もうちと同じやて。うちの隣で死んだあの人やて】
果たして願いは…叶ったのやろか?
「ヘロ〜。あいぼんやでぇ」
「きゃ!誰…ですか?」
「あいぼんやゆうとるやないか。自分は?」
「えっと、あの…なっち」
「なっつぁんか。ナァナァナァ友達んなろ」
「え?友達?う、うん」
【偉そうな大人達の空間の中で、うちらは当然の様に仲良くなっていった。】
【なっつぁんが泣いてるとき、うちは変な顔して笑わせたった】
【なっつぁんが寂しそうにしてるとき、うちは傍にいって抱きしめたった】
【身も心もバケモノになってしもたうちやけど、この人の前では天使になろうと決めた】
【なっつぁんの前でだけは、あいぼんは天使なんや】