サウンドノベル5「赤と青」第六話〜

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872辻っ子のお豆さん
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何時間くらい経ったんやろ?怖い。うち、このまま死んでしまうんかなぁ?
さっきから爆発音みたいなん聞こえる。それにえらい蒸し熱い…
向こうからパチパチって音が近づいとる。何やこの音?堪忍してやぁ。
音がバチバチになってきよった。いやや、いやや。来んといて!
火や!火の音や!やだやだやだやだ!熱いよ熱いよ熱いよ熱いよ〜!!
なんでうちがこない目に合わなあかんの?そない悪いことした?
生きたまま焼かれるなんて嫌や!死にとうない、うち死にとうないよ!来ないで!
熱い!痛い!痛い!嫌!熱い!助けて!痛い!燃えとる!熱い!熱い!ウワアアアン!
死にたい!もうヤダ!殺して!熱いよー!痛いよー!熱いよお!ああっ!
いやああああああああああああああああああああああああ!!!!
873辻っ子のお豆さん:02/12/04 19:17 ID:HVoI+pkS
【そんとき機体の一部が爆発して海に落下したんや、うちも一緒に】

えっ?この感覚。うち、落ちとる。前が青い。海?うわあああああああ!
痛い痛い!痛い痛い!痒い痒い!痛い!痛いよー!

【全身火傷のまま海水に放り込まれるんは地獄やった。あれは言葉にできるもんやない】
【痛みと痒みに耐え切れず、うちは全身を掻きむしった。それが更に痛さを呼んだ】
【そして飛行機が最後のどでかい爆発や、うちはその衝撃で沖へと吹き飛ばされたん】
【そこで気絶でもしとったら楽に死ねたんやろけど、痛みがそれも許さへんかった】
【掻いても掻いても、何をしても、痛みは増すばかり。もがくことしかできへん】
【どんだけ苦しみ続けたかわからん、浜辺に流れ着いた時には辺りは暗くなっとった】
【海に映る自分の顔を見た。そこには皮膚がボロボロに溶け落ちたバケモノがおった】
【痛みで眠ることもできへん。とうに潰れた喉で、うちは声にならない鳴咽をあげ続けた】

アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!!!

【そや、あそこで、あいぼんは死んだんや】
874辻っ子のお豆さん:02/12/04 19:18 ID:HVoI+pkS
【涙も枯れ果てた後、確かうちは森の中をさまよったと思う】
【歩くだけでも気が狂う程痛みが走った。いやもうとうに狂うとったかな】
【そこでうちは見てもうた。ののがいたんや。誰かと笑ってたんや】
【うちがこない苦しんでるときに、うちを見捨てたあいつが笑っとるんや!】

「そうかなー。あいつも同じ星を見てるかなー。」
「うん。私達みたいに笑って、絶対この星を幸せな気分で見ているよ」
「やっべー。なんか超会いたくなってきた」
「会えるよ。生きてさえいれば、必ずまた会える」

【ののと誰かの会話が聞こえた。激しい衝動に駆られたうちはその場を逃げ出した】

幸せ?生きてさえいれば?会える?なら死ねばええ!死ねば会えへん!殺せ!
みんな死ねばええ!なんでうちだけ苦しまなあかんねん!みんな苦しめ!
何が幸せや!何が友達や!この痛みがわかるか?この苦しみがわかるか!
許せない!何もかも許せない!お前等みんなに味合わせたる!この痛みを味合わせたる!

【バケモノんなったんは、顔だけやなかった…】