サウンドノベル5「赤と青」第六話〜

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847辻っ子のお豆さん
 なつみは希美をゲンコツで殴った。驚きと痛みのあまり希美は思わず頭を抱える。そこ
へすかさず、なつみはもう一度ゲンコツで希美の頭を小突いた。ついに我慢ができなくな
った希美はなつみを睨み付けた。

「なにするの、真希さ…!」

そのとき希美の眼に飛び込んできたのは、なつみの涙であった。真希の涙であった。

「馬鹿!どうして…どうしてこんな真似したのよ!」
「真希さん…記憶…!」
「あんた、自分が警察に追われてること知ってるの?」

希美は首を縦に振った。知らないはずがない、だけど…

「じゃあどうして?どうしてこんな目立つ、危険な所にずっといたの?」
「……だって」
「みつかったら…捕まったらどうするの?人殺し扱いされてるんだよ?」
848辻っ子のお豆さん:02/12/01 16:47 ID:HuHdfMaO
「だって…」

約束だよ。きっとまた会いに行く。
例えこの身が朽ち果てても…

「だって…貴方に…会いたかったんだもん!」

例え名前が全然別の名に変わったとしても…
例えこの顔が…この姿が…全く違うものになっても…

「だってぇ…ぜったい来てくれるって信じてたんだもん」

例え…私の命の灯が消え失せたとしても…

「約束…したよねぇ」

私は必ず君を迎えに行く。
849辻っ子のお豆さん:02/12/01 16:48 ID:HuHdfMaO
「あんたが石川梨華なのかどうかなんて知らない」
「あんたが本当に人殺しなのかも知らない」

ののにはわかるんです。
例え…顔も背も声も性格も…全然違っても……

「私はあんたのことなんて全然知らないし…」
「約束も知らない!」

例えあなたがのののことを忘れてしまっても…

「だけど…なんでだろ?私は今こんなに…」

だって宇宙でただ一人、ののが愛した人なんですから。

「こんなに、あんたが好きだ!」
850辻っ子のお豆さん:02/12/01 16:54 ID:HuHdfMaO

でっかい宇宙に小さな星がある。
その小さな星に小さな島国がある。
その片隅で今二人の娘が口付けを交わした。
地球の歴史からすれば1ページにも満たない小さな出来事。

赤い大地と青い海の惑星は、今日もいつもと同じ、回り続けている



〜最終話 約束の場所で約束のあなたと 終〜

紫の章 END