568 :
辻っ子のお豆さん:
(犯人はあいぼんだ!)
(飛行機墜落したときにのの達より先に脱出してて、怖くなってその場からいったんは逃
げたけど私達が心配になって、戻ってきたら私が他の人たちと仲良くやっていてあいぼ
んはショックを受けて、私を独占するために他のやつらを殺そうと考えたんだ!)
(あいぼんを止めなきゃ!)
答えを見つけた私は再び走り出した。悲鳴の聞こえた場所に辿り着くと、よっすぃーが
血まみれで倒れていた。あぁ、あいぼんにやられたんだ。
「よっすぃー!」
私は叫びながら彼女の体を抱き起こす。背中から止めど無く血が吹き出していた。でも
まだ意識はあった。よっすぃーは私の顔を見ると、こんな状況だってのに微笑んだ。
「のの…」
「あいぼんでしょ!あいぼんにやられたんでしょ!」
「誰それ…?」
「え?」
「やられた、あいつだ。ずっと寝たふりしてやがった」
「え?」
あれ、話がおかしい?あいぼんじゃないの?それってまさか…
そのとき後ろの草むらがざわっと音を立てた。するどい殺気を感じる。
「逃げろ!ののっ!」
よっすぃーの声に私は振り返る。尖った枝を手にしたあさ美がそこにいた。枝の先が紅
く染まっていた。あまりの出来事に頭が真っ白になって何も考えられない。鬼気迫る表情
のあさ美が私に襲い掛かってきた。
ザクッ
(刺された音…やられた…私殺された…痛い…痛い…痛くない…あれ、痛くないぞ。)
恐る恐る眼を開けると、血に濡れた大きな背中がそこにあった。よっすぃーの背中。
「のの、逃げろ」
「よ、よっすぃー」
ひとみさんだった。ひとみさんが私を庇う為に、傷ついた体を無理矢理起こし、私とあ
さ美の間に入ったのだ。だがそのせいで…。私は崩れ落ちるひとみさんを抱き止めた。
「よっすぃー!!」
「へへっ、痛え…ちっと無理したみたい」
「どうして?どうしてこんなことするんだよぉ!」
「だって…だって私、ののが…」
吉澤ひとみの瞳から一粒の雫が落ちる。
最強のハンサムガールは静かに息を引き取った。
「ののちゃん?私…私…」
あさ美は震えていた。とてもさっきまでの殺人鬼の形相には見えない。
でも間違いない。あさ美がよっすぃーを刺したという現実は変わらない。
「あさ美ちゃんが、みんなを殺したの?」
「違う…違う…お願い、信じて。私何も分からなくて…」
1. 殺人鬼を信じられるはずない、逃げる。
2. とりあえず話だけでも聞いてみる
3. みんなの仇、あさ美を殺す