「そうだ!里沙ちゃん!里沙ちゃんがいない!」
「あれ、ほんとだ。どこ行ったんだろ?」
(もしかしてさっきの人影は里沙ちゃん?でも、だとしたらどうして逃げたの?)
探しにもう一度外へ出ようと振り返りました。すると扉が向こう側から開いたのです。
私とひとみさんは思わず身構えました。ですがすぐにほっとして顔をほころばせることに
なったのです。扉の向こうから現れたのは、眠そうな顔をした里沙ちゃんでした。
「里沙ちゃん!どこ行ってたの!」
「どこって、おしっこだけど…どうしたの、そんなに慌てて?」
「ねえ、丘の方まで来た?」
「ううん、行ってないよ。どうしたの、ののちゃん」
ウソ…を言ってる様には見えない。いつもと同じ里沙ちゃんでした。結局、この日はそ
のまま眠りに就くことになりました。孤島での一日目はこうして過ぎていったのです。
二日目の朝、私が起きたときには、もう皆起きていました。ただ一人、あさ美だけは相
変わらず意識の戻らないままでした。
「あのさ、昨日夜私とのので散歩に行ったんだけど、その時後ろに誰かがいたんだ」
ひとみさんが他の皆にしゃべっている声が聞こえました。昨晩の人影についてでした。
「誰か心当たりない?」
「ごめんなさい、二人が出ていった後、すぐウトウトしちゃって…わかんない」
「私も寝てたからわかりません」
「んあ〜、気が付いたら朝だった」
「私、トイレ行きたくなって一回起きたけど…特に何も気付かなかったです」
予想通りの答え。みんな寝ていた時間帯だ。分かるはずないとは思っていました。する
と、首を傾けながら麻琴が言いました。
「じゃあ、私達の他に誰かいるってことですか?」
もし私達以外に誰かいるのなら、それが飛行機事故の生存者か、それ以前からの漂流者
かはわかりませんが、探し出したいと全員の意見が一致しました。こんな小屋が建ってい
るのだから、過去に人が存在したのは間違いないのです。私達は食料探しを兼ね、三つに
分かれて人探しに出ることにしました。グループはジャンケンで振り分けました。
私と真希さん。
里沙とひとみさん。
麻琴と梨華さん。
(やった!真希さんとだ!)
私が笑みを抑えながら真希さんの所へ駆け寄ったとき、ひとみさんが少し悔しそうな顔
でこちらをチラリと見た気がしました。
「昨日よっすぃーと散歩したんだ」
二人きりの山道、小屋を離れて皆と別れてからしばらくは少し無言が続いた。先に話し
掛けてきたのは真希さんの方でした。
「うん」
「うちらのこと、しゃべった?」
私と真希さんのこと?
私は真希さんが好きだっていうこと?
一緒に暮らそうって約束?
1.ひとみさんの想いも含め、ありのままを話す
2.ひとみさんの想いは除き、ありのままを話す
3.しゃべっていないと言う