586 :
名無し池:02/11/28 22:30 ID:ouVQj7/U
裕ちゃんが歌う9時まであと40分くらい。
そんなに時間はないけど焼肉の誘惑には勝てず、圭ちゃんと一緒に焼肉をほお張る。
圭ちゃんに『んまいんまい』言いながら食べてたら誰かに肩を叩かれた。
振り向くとあたしの頬に食い込む指…
こんな子供みたいなイタズラするのって…
「…はやかー!!」
…口に入ったお肉と頬に突き刺さった指とでうまくしゃべれなかったけど、
そこにはまぎれもない紗耶香の姿が……
「おっす!矢口っ!」
左手を軽くおでこに持っていって、軽い感じでする挨拶。
変わってないなあ…
「紗耶香、何やってんのよ! こんなとこ来てていいの?」
「うん、風が強くてさー。
機材が倒れちゃったんだよね。
そんで遅れてんの」
風で髪が乱れた後頭部を掻きながら話す紗耶香。
その軽い口調にわたしの複雑な思いも幾分かほぐれた。
587 :
名無し池:02/11/28 22:31 ID:ouVQj7/U
「紗耶香…、この前ありがとね……」
「え、何がー?」
そう言いながら圭ちゃんのお皿からお肉をつまみ取ろうとして、
圭ちゃんに手をはたかれている…
「あんた、これから歌うんでしょ!」
「いいじゃんよー、一切れくらい。
ねー?矢口」
「あ…あのさ…この前のMステのこと…」
「あー、いいって、あたしが好きで勝手にやったんだし」
「…あ、うん……でも、うれしかったよ、紗耶香…
それだけは言っておきたくて…」
「いいって、いいって」
手をわたしに向かってひらひらとさせながら、
今度はわたしのお皿からお肉をひとつまみ…
「紗耶香ーー!!」
圭ちゃんが咎める前に紗耶香は歩き出し、上を向きながら肉をのどに流し込んでいる…
588 :
名無し池:02/11/28 22:32 ID:ouVQj7/U
「ほんじゃーね」
紗耶香の後ろ姿にわたしは声をかけた。
「紗耶香!あのさ…今日迷ってたおいらがここに来たのは
ごっつぁんに言われたからなんだ。
…ごっつぁんも紗耶香に言いたいこといっぱいあるけど
きっとうまく言えなくて悩んでる…
あんな風に見えても強がってるだけだから、ごっつぁんは……」
…紗耶香は立ち止まると、今度はおもむろに圭ちゃんのお皿に手を伸ばし
またお肉を取ってのどに流し込んだ……
「…じゃあ、行ってくる」
お肉を噛みしめながら紗耶香が去っていく……
「まったく…、何しに来たんだか…あのコ……」
そう言いながらも圭ちゃんはうれしそうだった。
わたしもなんだかうれしい
素直に紗耶香へ言葉が出てきたことに…
ごっつぁんのことを少しでも伝えられたことに……
589 :
名無し池:02/11/28 22:34 ID:ouVQj7/U
時間ぎりぎりまでお腹いっぱい食べて、7階に上がるとものすごい風が吹いていた。
マイクが風の音を拾うくらいの強い風。
昔『抱いてHOLD ON ME!』を歌ったときくらいの強い風。
あのときは冬だったから鼻水が凍りそうなくらい寒かった…
そんな中、今日は紗耶香と裕ちゃん、そしてソニンちゃんやともえちゃんまで歌ってた…
わたしが今まで聴いたことがなかった『この素晴らしい愛をもう一度』って曲を
坂崎さんのギターにのせて…
わたしのタイムリミットが来る。
紗耶香や裕ちゃんにもう一回会えないまま、わたしはその場を後にした。
圭ちゃんはそのまま残って二人とあの焼肉会場に戻るんだろうけど…
これから2時間の生放送、今日ばかりはラジオがあることを恨めしく思った。
先週でさえ、そこまでは思わなかったのに…
オールナイトニッポンのスタジオに入ったのが本番30分前。
小走りでスタジオに入ったら、焼肉のせいもあってお腹が痛くなってきた。
うぅー、死にそう……
生まれて初めて死にそう……
あ、またリスナーから投書がくる、こんなこと言ったら……
保全。
あ
592 :
名無し池:02/11/30 16:37 ID:/s7aE2X0
◇ ◇ ◇
矢口真里編(4)-2
593 :
名無し池:02/11/30 16:38 ID:/s7aE2X0
仙台でのコンサートのリハーサル。
1曲終わったあとに、りんねがなっちのところに急いで近付いてきて聞いてた。
「なっち、体調悪いの?」
「そんなことないよー。なんで?」
「だってモニターで見てたら、なっちの顔真っ白なんだもん」
「いや違うってりんね…
りんねの顔も充分白いって」
「えー? わたし体調悪くないよー」
なっちは手を伸ばしてりんねの頬をこするとその指先をりんねに見せた。
「日焼け止め塗り過ぎ!!」
「あー! そっかあー」
相変わらずボケボケなりんね。
なんかりんねが牧場に戻ってないとかそんなことを石川が言ってたけど…
体調不良じゃないってことはなんなんだろう…
…そんなことを思いつつも自分自身、今日のコンサートを乗り切れるか不安だった。
かなり体調が戻ってきたとはいえ、この暑さ、この陽射し…
先週みたいに倒れちゃったらどうしよう……
594 :
名無し池:02/11/30 16:39 ID:/s7aE2X0
リハーサルが終わり、控え室に戻ってかき氷を食べようとしたら、
すでにかき氷機の前に行列が出来ている。
まあ、並んじゃう原因は分かってるんだけど…
「こらー、加護ー、早くしろー!」
あたしが言っても、かき氷機の回りで高橋や新垣と一緒に
キャーキャー言いながら作ってるから全然聞こえてない。
またシロップのかけ合わせとかしてるんだろう、まったく…
「もう、いいや。氷のまんま食べてこようっと」
つぶやいたら、ミカちゃんがわたしを気の毒そうな目で見てた。
控え室に戻って冷凍庫から氷をひとかけら。
体の中に冷たさが染み込んでいくのが気持ちいい。
もう1個つまんだわたしの横ではなっちと辻が扇風機の取り合いをしてた。
595 :
名無し池:02/11/30 16:40 ID:/s7aE2X0
「ちょっと、ののー! 自分の方ばかりに向けないでよー!」
「ふぇ? だって暑いんだもーん。あちーーー!!」
辻が舌を出して扇風機に向かって叫んでる。
なっちは構わずに自分の方にくるりと向け直した。
するとまた自分の方に向ける辻…
そんな二人がなんだか見てて微笑ましかった。
「今日はなっち念入りにリハやってたねー」
「えー? そうかなあ?」
「またまたー、隠しちゃって。
誕生日だから気合い入っちゃってるんでしょ?」
「うん、まあちょっとはさ…」
なっちももう21歳。
カオリと違って全然21には見えないけど、
制服着ればまだまだ高校生に見えるけど、
わたしよりも年上なんだよなあ。
なっちとカオリと圭ちゃんはもう3人でお酒を飲んだりできるのに、
わたしだけ置いてけぼり…
実際はあの3人で集まって飲むことなんてないのは分かってても、
MUSIX!のBARのコーナーにわたしだけ呼ばれなかったり、
うたばんであの3人が別格に扱われているのが、わたしは寂しかった。
あと一つ年上だったらなんとか3人と一緒にしてもらえたかもしれないのに…
・ ・
596 :
名無し池:02/11/30 16:45 ID:/s7aE2X0
8月10日の仙台。
異常なくらい暑かった。
40℃近い気温、ステージ上は照明の熱も手伝ってさらに暑い…
コンサートは順調に進みアンコール前の『恋のダンスサイト』。
先週みたいにふらふらにならないように何とか気を張っていた。
曲ももう少しで終わる。
ごっつぁんが「こーいーのーダーンースーサーイートーー」って歌っていた……
ああ…ようやく一休みできる……
……ちょっと気を抜いた瞬間、
わたしの視界が歪んだ……
カオリのびっくりした表情と斜めに見えた立ち姿。
それがわたしの見た最後の記憶だった…
…………
…………
597 :
名無し池:02/11/30 16:46 ID:/s7aE2X0
……
…うっすら目を開けると…カオリとなっちと圭ちゃんの声、
それにスタッフさんたちの声も何人か…、
わたしの耳にぼんやりと聞こえてきた…
…わたし寝かされてる……
そのことに気が付いた…
学校の保健室みたいな白い天井と薄暗い蛍光灯の明かり。
横目に仕切りのカーテンみたいなものも見えた…
…わたしどれくらい寝かされていたんだろう?
外の静寂さからいってコンサートがもう終わってしまったことは分かった…
…起きようとしたけど体がいうことをきかない。
…仕方がないからみんなが話す声に耳を傾けていた……
598 :
名無し池:02/11/30 16:47 ID:/s7aE2X0
「夜は12人でやるしかないね…。矢口はこの状態じゃ無理でしょ……」
「でもさーなっち、今さら全部のパート割り直してる時間なんてないよ…
ダンスはそのまんまでいいとしても歌のパート割りが……」
「大丈夫でしょ。わたしたち3人で分ければさ……
ね、カオリ?」
「うーん…、娘。とタンポポはそれでなんとかなるかもしれないけど、ミニモニ。がねー…
口パクでやってるからさあ、矢口なしじゃ変なことになるよ。
今さらののとあいぼんに生歌でやれて言っても無理な話だし……」
「じゃあミニモニ。は全部ナシ?」
「…でもミニモニ。削ると小さい子たち…
ミニモニ。目当てで来てる子がいっぱいいるから…」
3人が真剣に話す声…
わたしは聴いてて胸が裂けるような思いがした。
わたしのせいで…わたしのせいで……
みんなに迷惑かけてる……
599 :
名無し池:02/11/30 16:48 ID:/s7aE2X0
「…おいら、できるよ……」
カーテン越しに声をかけた…
すると…カーテンがレールを滑り、窓からの陽射しが白い布団の上に差し込んだ…
わたしの顔の真上に圭ちゃんの顔が覗く…
「矢口! 気付いたの?」
「あー…うん……おいら、どのくらいここで寝てた?
…次のライブまであとどれくらいある?」
「まだ2時間くらいあるよ…次の回までに…」
「…じゃあ大丈夫だよ。回復するって。
おいらやれるよ、次の回」
「そんなこと言ったって、あんたちょっと前にステージの上で倒れたんだよ。
これ以上無理してもしょうがないでしょ。
またあんた倒れるよ…」
「大丈夫だって。夜だし…
少しは気温も下がるでしょ?」
言いながら起き上がろうとしたけど、やっぱりダメだった…
圭ちゃんに手伝ってもらってやっとベッドの上に起こしてもらった。
600 :
名無し池:02/11/30 16:54 ID:/s7aE2X0
部屋を見渡すと、そこにはわたしを見つめるなっちとカオリの心配そうな顔…
「…おいらが倒れたあとどうなったの…?」
3人から返事はなかった。
「ねえ、聞かせてよ…どうなったのか…」
カオリが重々しく口を開く…
「…あたしの真横で倒れて…、
あたし、矢口が転んだだけだと思ったから起こそうとしたんだけど、
矢口が全然自分から起きてくる力がなくて……、
呆然としてたら、下手からスタッフの人たちが出てきて矢口のこと運んでいった…」
「…その後は?」
「…先週と一緒。動揺してるメンバーをなだめて、パート変更決めて…
あとはMCとかはいつも通りに…」
「会場の反応は? 何にも問題なかった?」
「…分かんない。あたしたちも台本通りに進めるので精一杯だったから。
会場の反応までいちいち気を配ってなんていらんなかったよ…」
「それで、今までおいらはここに寝かされてたってわけか…」
『でっかい宇宙に愛がある』も歌えず、お客さんに挨拶も出来ず、
中途半端に終わらせちゃったってことか…
それになっちの誕生日だったのにこんなことになっちゃって……
601 :
名無し池:02/11/30 16:56 ID:/s7aE2X0
「ゴメンね、なっち。…それにカオリも…
せっかくの誕生日のコンサートを台無しにしちゃって。
今週はスタミナつけたりして体調には気を使ってたんだけど…」
「いいよ別に…、気にしなくて。
…それより次の回、どうするか結論出さないと……」
「やるよ、おいら」
スタッフさんにも向き直して言った。
「やりますからね。出ますよ、わたし」
「矢口…、あんた少しは自分の体、大事にしなさいよー。
無理する必要ないでしょー!」
602 :
名無し池:02/11/30 16:57 ID:/s7aE2X0
「…あるよ。
ここで頑張らないでどうすんの?
ここでおいらが次に出なかったら、ファンはやっぱりなって思うよ。
わたしたちに対して夢も希望もなくなるよ。
そんなこと思わせちゃったらモーニング娘。失格でしょ?」
「でもさ…」
「圭ちゃんだって、なっちだって、カオリだって、
おいらと同じ立場だったら、絶対に『出る』って言うよ。
歌える機会を自分から放棄するわけないでしょ?みんなさ…」
「…………」
みんな歌が大事なのは分かってたから…
ステージが大事だって分かってたから…
603 :
名無し池:02/11/30 16:59 ID:/s7aE2X0
結局2回目のライブはミニモニ。の『アイーン!ダンスの唄』と
アンコールの『本気で熱いテーマソング』を減らすことを条件に参加を許された。
わたしは最後までこの2曲を減らされることに抵抗したけど、
なっち・カオリ・圭ちゃんの3人もこの2曲を削らなければ
わたしの参加を認めないって言ったから……
2回目の夜公演が終わって…、結果的に2曲削ったことは正解だったんだろう。
わたしたちが2回目のことで話し合ってる最中に、雷雨があったことや
夜になって気温が下がったことも理由だったけど、
どうにかわたしは倒れることなく夜公演を乗り切ることが出来た。
ただ…、わざわざ仙台まで足を運んでくれたお客さんたちには申し訳なくて……
しかも今日はなっちの誕生日、夏休みでもあったし、
全国各地から遠征してきたような人が多かった…
それなのにわたしのせいで、コンサートは台無しになってしまって…
メンバーは気にするなって言ってくれたし、
なっちのファンもなっちの誕生日を祝えたことだけで満足できたみたいだったけど、
わたしの心は晴れなかった…
歌をきちんと歌いきれなかったこと…
自己管理ができなかったこと…
そんな自分がイヤだった…
ほぜん。
保
606 :
名無し池:02/12/02 22:24 ID:AwKhNiY5
◇ ◇ ◇
矢口真里編(4)-3
607 :
名無し池:02/12/02 22:24 ID:AwKhNiY5
…またあの子供たちがスタジオにやってきた。
24時間テレビを3日後に控えた今日、
わたしたちはいつものスタジオでハロモニの収録。
ゲームの1本目、ハロプロキッズの子たちがチョロチョロと
スタジオをうろついていてメチャクチャ目障りだった。
それはこの子供たちを見るたびに思う…
ゲームも玉入れや風船割りなんていう、こんなの放送してていいの?って内容で…
裕ちゃんもボソッと
「なんか、ホント夏休み企画って感じ」
ってイヤミを言ってたし。
なっちが映画の撮影に行ってていなかったから、
わたしにチームリーダー役が回ってきたらどうしようって思ってたけど、
今回は辻加護に回って何とか難を逃れた…
608 :
名無し池:02/12/02 22:25 ID:AwKhNiY5
子供たちとの収録が終わると続けて2本目の収録。
収録の準備の合間に石川に聞かれた。
「あれ? いつもの黒いマイナスイオンリングどうしたんですか?
珍しいですね、付けてないなんて」
「…あー、あれね…
付けててもいいことなかったから…
2回も倒れちゃったし…
なんか、どうでもよくなって外しちゃった。
…気分転換にもなると思って」
「…そうなんですか……」
「おまえが暗くなるなよー」
「だってぇ…」
「いいんだよ、近い内に外そうと思ってたから。
なっちとの話の手前、付けてただけで…
丁度いいきっかけになったよ」
「…………」
それ以上話は続かない。
続けたくもなかったから、早々と辻にちょっかいを出して遊ぶことにした。
石川もそれにのっかってハシャいでいる。
気持ちの切り替えの早さはもうわたしよりも遥かに早い石川だった…
609 :
名無し池:02/12/02 22:26 ID:AwKhNiY5
2本目は味覚を試されるゲームだった。
目隠しをしていろんな食べ物を食べさせられて…
クラッカーの上に乗せられた食べ物を当てるゲーム、
豆腐とキムチが乗っかってるのに、紺野がイチジクとザクロで迷ってた。
しかも、もう一つの答えがマーガリン!
さんざん迷ってて答えを決めないから、ちょっと注意する。
「紺野、早くしなさいよ」
そしたら裕ちゃんがさらに一言。
「どっちでもいいよ!
どっちみち違うから。
知らないよこんな味音痴!」
うわっ、裕ちゃんきっつー。
紺野も言われてぽかーんと口を開けてしまった。
問題が終わった後に裕ちゃんが紺野に聞いてた。
610 :
名無し池:02/12/02 22:27 ID:AwKhNiY5
「どれがマーガリンで、どれがザクロだって思ったの?」
紺野は自分の回答がかなりショックだったみたい。
自分がただの大喰らいで味覚がないことが…
これからはもっとちゃんと味わって食べますって決心してた。
マジメに答えてる紺野を見て裕ちゃんは大笑いしてたけど。
勝利チームへの御褒美で出てきたミラクルフルーツにはみんなビックリ!
それを食べるとレモンがミカンみたいな味がするようになって…
加護や紺野はそれが面白かったらしく収録が終わった後もずーっと食べてた。
辻なんかエンディングを撮ってるのも構わずにずーっと…
番組の途中で「お前はキッズ以下だな!」って言ってやったけど
辻は全然気にしてなかった。
最近はなっちの言うことじゃないと聞かないんだから…
611 :
名無し池:02/12/02 22:28 ID:AwKhNiY5
3本目の収録はプッチモニのラスト…
圭ちゃんたち3人がプッチモニの衣装に着替えてスタジオに入ってきた。
発表されてからまだ2週間しか経ってないのに、
この2週間あっという間だったのに、
プッチモニはもう最後を迎えなければならない。
これが電波にのる放送の最後の収録…
変声機を使って声だけで圭ちゃんを当てるゲームで
プッチモニとしての最後の意地を3人に見せつけられた。
ごっつぁんとよっすぃーは8人の出題者の中から
一発で声を出した圭ちゃんを当てた。
よっすぃーがそのワケを説明する。
「5番がね、出だしに『はいっ』って言ったの」
「あたしわざと『はいっ』ってつけたんだよ」
「圭ちゃん、ラジオとかね、絶対『はいっ』って最初に言うから…」
「クセなんだよー『はいっ』って言うの」
3人でやってきたラジオがあったから…、
わたしたちに見抜けないクセを知ってたんだ…
やられちゃったな、3人に…
612 :
名無し池:02/12/02 22:29 ID:AwKhNiY5
…最後に裕ちゃんが聞いていた。
3人それぞれにとってプッチモニとは何だったのか、
どういう場所だったのか…
「自分にとって本当に自分を大きく変えられた場所だったから…
すごく大切なところだった…」
圭ちゃん、話し終わると大きく息をはいてた。
いっぱいいっぱいだったんだね…
「モーニング娘。で全然出来なかったことをー…
プッチモニで年齢に合った後藤をみんなに見せることができてー、
…自分を自己主張できるようになったところ……
すごい居心地の良かった場所でした…」
ごっつぁんの話のまとまりのなさが、かえってプッチモニへの思いの大きさが分かり…
教育係の紗耶香と、プロとしての意識を教わった圭ちゃんと、
後から入って娘。の中での親友になったよっすぃー。
プッチモニで得た人間関係には思い出がいっぱいあるよね?ごっつぁん。
「今までのプッチモニを、胸においてー……
新しいプッチモニだけど今までやってきたことを忘れないで、
元気なプッチモニを残してやっていきたいなって思います」
613 :
名無し池:02/12/02 22:31 ID:AwKhNiY5
よっすぃーが限界だった。
今まで一滴の涙も見せずに、常に笑顔で乗り切ってきたよっすぃーが
圭ちゃんとごっつぁんのコメント、自分への励ましの言葉を聞いて…
それ以上話したら泣いてしまうと思ったんだろう。
裕ちゃんがよっすぃーの言葉を遮るように
「みんな期待してるからね」
って言って、それ以上よっすぃーに話させないようにして…
収録のOKの合図が出ると裕ちゃんがよっすぃーの両肩を優しく包んでる…
「よぉ、頑張ったな。最後まで泣かんと…」
「……はい…」
二人の姿を見ていたら…わたしが泣きそうになった……
切なくて、切なくて……
隣にいた石川も同じような表情で見ていた…
これからこの先どんどんごっつぁんの卒業に向けた番組が増えていく。
そしてわたしもタンポポとしての収録が最後になる日も近付いてくる…
…たぶんダメだ…わたし……
よっすぃーみたいに泣くのを我慢するなんてできない、きっと……
(0゜―゜0)<………ザクロ。
保全。
617 :
名無し池:02/12/05 22:03 ID:VvuMHeKW
◇ ◇ ◇
矢口真里編(4)-4
618 :
名無し池:02/12/05 22:04 ID:VvuMHeKW
「矢口! 元気ー?」
「あー、紗耶香。今来たのー?」
「おう!ちょっと前にね」
言いながら紗耶香がキョロキョロと回りを見てる。
誰かを探すように…
「……後藤は?」
やっぱ、ごっつぁんか…
いつものMUSIX!のクイズの収録。
紗耶香のユニットは今日の1本目の収録に参加することになっていた。
「ごっつぁんなら今ドラマのロケに行ってるよー。
2本目には帰ってくる予定だけど」
「…ふーん、まいっか……」
「何が?」
「いや…今日は会わない方がかえって良かったか…」
「何なのよー!」
「内緒なんだけどさあ…」
紗耶香はそう言うと回りを窺って声を潜める。
619 :
名無し池:02/12/05 22:05 ID:VvuMHeKW
「後藤の卒業特番やること決まったでしょ?テレ東の。
あれにあたし出れることになったから。
シークレットゲストで」
「マジで? よくOK出たねえ。
今まで番組中の会話すら許されなかったのに」
「ほら、この前の焼肉のとき。
矢口は出らんなかったけど、あのとき和田さんもきくちさんもいてさ、
それに裕ちゃん付きのスタッフさんたちもいっぱいいたから…
なんとか後藤とあたしのけじめを9月23日までにつけたいって言ったら
無理してねじ込んでやるって言ってもらって…」
「…そんで、出れるんだ?」
「そうみたいね。
あのとき裕ちゃんも圭ちゃんもかなりけしかけてくれたからさあ…
まあ今さらあたしがモーニングと一緒のステージに立つのも恥ずかしいんだけど、
でもこれが最後の機会だからねえ…」
「恥ずかしいなんてことないよ。
本当だったら紗耶香が立ってなきゃいけないステージなんだから……」
「いやあ、今さらさあ…
特に4期のコたちとは顔合わせづらいし。
今日だって石川と吉澤と一緒でしょ?
やりづらいんだよねー、トシも近くて」
「ツいてないねー紗耶香。
よりによって今日はおいら以外誰も残ってないもん、昔のメンバー」
なっちはエンジェルハーツのドラマロケ。
カオリと圭ちゃんは映画撮影。
ごっつぁんはなっちと途中まで一緒で、MUSIX!の2本目だけ参加。
さらに今日はエンジェルハーツのチアリーディングの大会があって、
そのせいで年少組がごっそりそちらに行ってしまっていた。
だから残ったのはわたしと石川とよっすぃーだけなんだけど…
620 :
名無し池:02/12/05 22:07 ID:VvuMHeKW
「紗耶香ぁ…ごっつぁんのときに出れるんだったら
来年の圭ちゃんのときもどうにかならないの?
圭ちゃんだってずーっと待ってるのに」
「分っかんないよー、そんなこと。
この先どうなるか知れたもんじゃないしさー。
案外あたしと圭ちゃんでユニット組まされたりするかもよ」
「えー! そんなのズルいよー!
二人が組んでるときにおいらは子供のお守なわけー!?」
「例えばだって。
矢口だっていきなり子供たちとのユニット解消されて
新しいユニット組まされたりするかもよ」
「そんなもんかなあ?」
「そんなもんだって。
だいたいなんであたしが今ユニット組んでると思ってんのよ?」
「ちょっと紗耶香…」
「…いや、今はもうわだかまりないからいいんだけどねー」
本当はソロでやりたかったのに、一人でやりたかったのに、
ユニットを組まされた紗耶香…
本心ではどんな思いで今の活動をしているのか…
それは圭ちゃんにすら話したことはなさそうだった。
621 :
名無し池:02/12/05 22:08 ID:VvuMHeKW
「あたしさあ、来週ライブで旭川行くから、
時間あったらあそこに寄ってみようと思って」
「あそこ?」
「ふるさと」
「ああ…」
「ま、時間あったらっていうか…ライブが終わっちゃえばヒマなんだけどさ」
「そんなこと言うなよー…」
「とにかくもう一回あそこに行ってこようと思って。
あたしが復帰してきたときに最初に歌ったのも、
モーニングを辞める前にいろいろ考えるきっかけをくれたのも、
やっぱ『ふるさと』だからさ…」
明日香が辞める直前から『ふるさと』を経て『ラブマ』までの濃密な時間。
タンポポのアルバムを作って、
モーニングのアルバムを作って、
海外にPVや写真集の撮影に行ったり、
タンポポで単独のライブをやったり、
そして歌番組には『真夏の光線』や『ふるさと』で出たり…
もう過ぎ去った思い出だけど、やっぱり紗耶香も大事にしている思い出…
『ふるさと』を歌ってた頃にはごっつぁんとの出会いもあった…
「紗耶香、本当はわたしたちと歌……」
…それ以上言えなかった。
聞いてしまったら紗耶香はウソを言うしかなくなる…
わたしのせいで紗耶香にウソをつかせるようなことしたくない。
ココロの中で分かり合ってればいいことだね…
・ ・
622 :
名無し池:02/12/05 22:09 ID:VvuMHeKW
2本目のMUSIX!の収録が終わると石川とよっすぃーと一緒に
急いで竹芝のホテルインターコンチネンタルに移動した。
これからごっつぁんのMUSIX!最後の収録。
ごっつぁんはわたしたちがここで待っていることは全然知らない。
なっちがドラマの収録と偽ってここまで連れてくるはずだった。
なっちとごっつぁんがスタッフさんたちをいっぱい引き連れてやってくると…
なっちがドラマ仕立てでドッキリを仕掛けて…
ごっつぁんにスペシャル番組の収録であることを告げた。
ワゴンから飛び出すわたしたち3人。
でも石川とよっすぃーとじゃ足の速さが違う…
わたしだけどんどん置いていかれて…
「ちょっと待ってよー!」
わたしがごっつぁんのところに着いたときには、
石川とよっすぃーの突然の登場に驚いたごっつぁんがすでに泣いていた。
「なにー? 何なのよー?」
「いいからごっつぁんこっち来てー」
わたしはごっつぁんの手を引いて桟橋の方まで連れていく。
片方にはごっつぁんの手、もう片方にはなっちの手、
こんなこと滅多にないなあ…
なんだかうれしい…
623 :
名無し池:02/12/05 22:10 ID:VvuMHeKW
桟橋に停泊している船にわたしたちが乗り込むと、すぐに船は動きだす。
ごっつぁんの最終回スペシャルだっていうのに取れる時間はごくわずか…
すべてを駆け足で移動する大急ぎのロケだった…
わたしたちの乗った船は2階立てのそんなに大きくない船だったけど…
その2階に上がると東京湾の鮮やかな夜景がわたしたちを迎えてくれた。
品川や新橋あたりの高層ビルの明り。
レインボーブリッジやフジテレビを始めとするお台場のイルミネーション。
それに雲一つない夜空に浮かぶ満月。
「きれー!!」
「すごーい!!」
みんな口々に叫んでた。
暑さの残る東京の夜…
強い海風と潮の香りがわたしたちを吹き抜けて…
それもまた気持ち良かった…
さっそくごっつぁんと石川とよっすぃーがタイタニックを真似て遊んでる。
そんな3人を置いて、なっちと一緒にわたしは下の階に降りた。
これからなっちに最後のことばを書いてもらわなくちゃ…
「なっち、寄せ書き書いてね、ごっつぁんへの。
さっきおいらと石川とよっすぃーは書いたから。
あとはなっちだけだよ」
スタッフさんから色紙とペンを受け取るとなっちに手渡す。
わたしは何を書くか思案してるなっちを横目に
みんなが書いた内容をじーっと読んでいた…
624 :
名無し池:02/12/05 22:11 ID:VvuMHeKW
ごっちん LOVE
大すきー ごっちんといるとなぜか落ち着くのよ
同じ空気が流れてるからかしら?
また一緒にたこたこーーって踊ろうね(笑)
応援してるわ!! よっすぃーより。
ごっちんのマイペースなトコロ大好きよ。
これからもマイペースに後藤真希でいてネ。
いつまでも応援してるよ
ごっちんならできるさ!!
信じてるよ。 かおりより
そしてわたしはといえば…
ごっつぁんへ
モーニング娘。として、一緒に過ごした3年間
本当に楽しかったよ!! ありがとうごっつぁん!
これから一人で大変だと思うケド、いつまでも
みんなの憧れでいて下さい! がんばれ!
ごっつぁんの無邪気な笑顔が大スキだよ。
その笑顔を忘れないでネ。 矢口!
そんな風なメッセージが、カオリが描いたごっつぁんの似顔絵を中心に
ズラーっと並んでいた。
みんなの空き時間に回しつつ、ちょこちょこと書いていったもの…
なっちがペンを持って書き始めようとしたけど、手を止めた。
625 :
名無し池:02/12/05 22:12 ID:VvuMHeKW
「ちょっと矢口ー、見ないでよー。
恥ずかしいんだからさー」
「見てないよー。
他の人のを読んでるんだよー」
「いいからー、あっち行っててよぉ」
なっちは大きな色紙を抱え込むようにして後ろを向いてしまう。
「いいよーだ。どうせあとで覗いてやるからー」
そう言ってなっちの側から離れた。
2階に上がると、ごっつぁんと石川とよっすぃーの後ろ姿が見える。
船の舳先で手すりにもたれ掛かり…
3人で夜景を見ながら話す姿が寂しく目に映った。
あの3人だけの時間もあとわずか…
邪魔しちゃ悪いと思って、一人で遠ざかっていくレインボーブリッジを眺めていた…
「なーに黄昏れてるんだよ!」
なっちに色紙で軽く頭を叩かれる。
「ほら、書き終わったよ。
これどうすんのさ?」
626 :
名無し池:02/12/05 22:13 ID:VvuMHeKW
差し出す色紙を受け取りながら、そっとなっちの書いたところを読んだ…
ブルーとピンクのサインペンで書いたかわいい字…
ドラマのトキはだましちゃってごめんよー
これから先いろんなコトがあると思うけど、
自分を信じてファイトだよー!
淋しくなったら帰ってくるといいさ。
LOVEだべさ なちみより
……『帰ってくる』か…
なっちはずーっとみんなが帰ってくるのを待っている。
みんなが帰ってくる場所を守っている。
…でも帰ってきた人はまだ誰もいない。
いつまでなっちは待ち続けるのか…
わたしにはとてもなっちの真似は出来そうになかった…
その寂しさに耐えられる自信がなかった…
「なっち…この前も言ったけど…
おいらのこと置いてかないでよ…
おいらも一緒に待ち続けるからさ……」
「……やめようよ今日は、そんな話…」
「……そうだね…」
船のエンジンが止まり、水をかき分ける音だけが聞こえてくる。
ほんの数十分の船の旅…
警笛が旅の終わりを告げていた…
627 :
名無し池:02/12/05 22:14 ID:VvuMHeKW
船が日の出埠頭に戻るとわたしたちはさっきのホテルに逆戻り。
これからみんなで野外バーベキュー。
ホテルからコックさんたちまで呼んでなかなか本格的。
会場にはチアリーディングの大会を終えて、ようやく駒沢体育館から
戻ってきた年下チームも合流しているはずだった…
「お腹空いたーー!」
わたしたちが着くなり辻と加護が代わる代わる叫んでる。
聞けば、大会が終わったあと着替えとメイクと打ち合わせとで
昼前から何も口に入れてないんだとか。
「早くバーベキューしようよー!!」
「ごっちんが来てからね」
駄々をこねる辻をなっちがなだめている。
ごっつぁんはまたドッキリを仕掛けられるために後から来ることになっていて…
ごっつぁんの乗ったバスが着くと、ごっつぁんはアイマスクをつけたまま
手を引かれて降りてきた。
ごっつぁんがアイマスクをはずすと同時にわたしたちは一斉にクラッカーを鳴らす。
それをきっかけにバーベキューが始まった。
カオリと圭ちゃんも遅れながらもなんとか合流でき、13人全員が揃う。
13人全員での初めてのバーベキュー…
そして花火…
もう少し時間があればいいのに…
バーベキューを始めてからたった4,50分で9時をまわってしまった。
メンバーの年齢上、テレビカメラは回せないし、
わたしもニッポン放送に向かわなくちゃならない…
まだみんなが食べてる中、わたしはバーベキューの会場を離れる。
628 :
名無し池:02/12/05 22:15 ID:VvuMHeKW
「矢口さんの分まで食べとくよー」
加護の声が聞こえてきたから言い返してやろうと思ったけど、
なっちと圭ちゃんがわたしに早く行けって、手で合図する…
「いいよーだ。今日はRAG FAIRと会えるから。
見てろよー加護ー!!
おまえの芸なんか及ばないくらいのボイパの達人になってやるんだから」
「はいはい頑張ってくださいねー」
加護がお肉をつまんだ箸ごと手を振っていた。
くっそー、なんだってこうお肉とオールナイトニッポンは相性が悪いのかなあ。
巡り合わせに恵まれてないっていうか…
しかもゲストが来るのに服に染みついた炭と火薬のイヤな臭い…
向こうに着いたら着替えなきゃダメだな、こりゃ……
・ ・
・
629 :
名無し池:02/12/05 22:16 ID:VvuMHeKW
ラジオの収録が終わって、RAG FAIRの土屋さんとおっくんに
「来週の横浜アリーナよろしくお願いします」
なんて挨拶をして別れると、マネージャーさんに1枚のCDを手渡された。
「これ明日のラジオの収録で使うから、一通り聴いてきて」
そう言って手渡された黄色いジャケットのCD。
「あ…、タンポポ…
…出来たんですね……」
ジャケットには今まで出したシングルの写真がずらりと並んでいた。
『ラストキッス』と『王子様と雪の夜』の写真が大きく載せられて…
わたしの昔の写真…彩っぺの写真まで載っている…
フジテレビの玄関で帰りのタクシーに乗るとCDの封を開ける。
ケースの中の黄色一色のCD…
わたしはそのCDをさっそくウォークマンにセットした。
耳に流れてくる『乙女 パスタに感動』。
今でもコンサートで歌うこの曲…
CDを久しぶりに聴いたらみんな声が若かった。
石川なんか今よりももっとヘタクソで…
630 :
名無し池:02/12/05 22:17 ID:VvuMHeKW
クルマがレインボーブリッジを渡る頃には曲も
『恋をしちゃいました!』に変わり……
橋を渡りながら外の景色に目をやった。
みんなでバーベキューをした波打ち際のホテル。
それに船でのクルージング…
数時間前に船の中からわたしは一人この橋を眺めていた…
その橋をまた一人寂しく渡っていく…
そんなことを考えていたら急にせつなくなって…
『恋をしちゃいました』をレコーディングしながら泣いたことを思い出して…
…今も泣きそうになったから…曲をとばした…
ヘッドホンからは『Motto』や『聖なる鐘がひびく夜』が流れてくる…
CDのブックレットに視線を落とせばそこには昔のわたしたちの姿。
富士山やサンフランシスコにまで行って撮った写真。
真っ赤なルージュを塗りたくり、濃いアイシャドウ…
アーティスト気取りだったわたしたち……
……『I&YOU&I&YOU&I』…
わたしたちが最後にレコーディングした曲。
カオリが言ってたっけ、5人で歌ってるみたいだって…
…今なら分かるよ…その意味……
あの3人の頃があって、寂しかった2人の頃があって、
そして悩んだ4人の頃…
それらすべてがあってタンポポなんだ。
ずーっと成長してきたわたしたちがあったから最後にこの曲にたどり着いたんだ…
彩っぺが水や光になってくれたから今のわたしたちがある…
わたしたちがいるから水や光も意味があった……
631 :
名無し池:02/12/05 22:18 ID:VvuMHeKW
曲は最後の『たんぽぽ』のグランドシンフォニックバージョン……
…カオリが言ってた『約束』って……
あの改編を聞かされた日に『あたしは約束を守れない』って言ってた意味……
…わたし、今それにようやく気が付いた。
カオリと2人でいい歌を歌って、感動で人を泣かす…
歌を大事にするタンポポを続けていく……
そんな約束を彩っぺが辞めるときに
わたしたち3人で交わした…
だから彩っぺは『あたしは水や光になる』って言って……
カオリはその約束をずーっと忘れずに、片時も忘れずに今日まで来たんだ…
石川と加護が入ってきたときに泣くまで悩んだカオリ…
そして今『約束を守れない』って悩んでいて…
他人には弱いところを見せまいとするカオリだったけど……
きっとこのことが引っかかっていたんだ……
それに石川と加護……
カオリとわたしに受け入れてもらえない中、
2人なりに精一杯無理して大人ぶって……
歌えないことに苦しみながらも必死にレコーディングについてきて……
632 :
名無し池:02/12/05 22:19 ID:VvuMHeKW
イヤホンから聴こえてくる『たんぽぽ』……
カオリ…
わたし…
石川…
加護…
そして彩っぺ…
5人の声が重なり合い『たんぽぽ』を作り出す……
タンポポの4年間が…
タンポポの4年間の歴史がぎゅっと詰まって…
4年の間にあったいろいろなこと……
たくさんの思い出が蘇ってきて…………
…………
……涙を一粒流したら……
……そのあと止まらなくなった。
止めどもなく涙が溢れて……
633 :
名無し池:02/12/05 22:20 ID:VvuMHeKW
どこにだって ある花だけど
世界中に夢を運ぶわ
どこにだって 咲く花みたく
たとえ悲しくたって 大丈夫
信じ合い支え合って
希望に変えていくわ
たんぽぽの様に 強く
どこにだって ある花だけど
風が吹いても負けないのよ
どこにだって 咲く花みたく
強い雨が降っても 大丈夫
ちょっぴり「弱気」だって
あるかもしれないけど
たんぽぽの様に 光れ
(「たんぽぽ(Grand Symphonic Version)」より)
……やだよ……
わたしこのままタンポポを終わらせたくない……
わたし、もっと歌っていたいよ……
わたしが大好きだったタンポポを…………
保全。
ho