血眼になってツルハシを振るい続ける石川の背後に敵の影が忍びよる。気
付いたときにはもはや手遅れだった。石川は固く目を閉じて死の瞬間を待っ
た。だが、敵は短い呻き声を漏らして石川に覆い被さってきた。男の下から
這い出してみると、その背中には矢が刺さっていた。部室棟の屋上からメロ
ン弓箭隊最後の生き残り、大谷が矢を放って石川を救ったのが分かった。
「ありがと〜」
石川が手を振るが、大谷は返事もせずにそのまま屋根から滑り落ちた。彼女
もすでに致命傷を負っていたのだ。
* * * * *
吉澤は四本目の剣の柄に手をかけた。引き抜きざまに反転して背後に迫る
敵を斬った。勢い余って剣が折れる。それを投げ捨て、五本目を後ろ手に探
して引き抜く。
「ヒョー、ノッてきた、ノッてきた!」
吉澤は迫るバイクに正面から飛び込んだ。相手は驚いて急ハンドルを切り、
泥で滑って転倒する。吉澤はスピンしながら迫るバイクをジャンプでかわし、
着地と同時に乗り手を刺す。
「次!」
意気揚々と立ち上がる吉澤は周囲を見回して新しい標的を求めた。
* * * * *