小説「七人の娘。」

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292カコイイ名無し
 剣豪肌の後藤は部隊の指揮には向かなかった。足手まといになる部下を校
舎に逃がし、後藤は一人で一〇人からの敵を相手にした。気合いを孕んで青
光りする名刀薔薇一文字。豪雨を弾いて霧を生み、ひとたび薙げば紅い嵐が
渦を成した。敵は瞬く間に一〇人が八人、八人が五人と数を減らす。かつて
聞き及んだ事とてない魔剣の冴えを目の当たりにし、敵は恐怖に駆られる。
 小川を捜しに来た加護は、血煙に舞う後藤の華麗な剣さばきに見とれた。
勇んで傍らに駆け寄り剣を構える。
「助太刀するでぇ」
後藤が少々迷惑そうな顔をしたのに加護は気付かない振りをした。
293カコイイ名無し:02/10/18 22:39 ID:FtONjjdn
 紺野は後藤の指示に従い一旦は校舎に入ったが、心配になって様子を見に
出てきた。案の定、裏手から校舎に侵入しようとする一団がいる。紺野は手
製の連射ボーガンを両手に持って敵のただ中に突進した。太く短い矢を受け
て敵は次々と倒れていくが、あと一人というところで矢が尽きた。残った男
は肩に刺さった矢を引き抜き、矢尻についた自分の血を舐めながらゆっくり
紺野に近づいてきた。紺野が身構えると、男は笑いながら言った。
294カコイイ名無し:02/10/18 22:40 ID:FtONjjdn
「お嬢ちゃん、おイタしちゃだめじゃ……」
言い終わらぬうちに男の横っ面に紺野の鋭い回し蹴りが炸裂する。紺野が空
手のチャンピオンだと知っていればもう少し用心したかもしれない。だが、
結果は同じだ。口をパクパクさせて倒れる男を見下ろしながら紺野が言う。
「最後の武器も完璧です!」

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