吉澤は街路を抜け、学園正門へ向かう大通りに並行して走る裏路地を通っ
て駅方面に向かった。大通りと交わる角に陣取る狙撃手に後ろから近づく。
「様子はどうだ、兄弟」
吉澤に声をかけられ、狙撃手は学園側を睨みながら答える。
「ああ、女子校のくせに骨ぇ折らせるぜ」
「生意気な学生だよなぁ」
軽口を叩きながら吉澤はライフルに手をかける。狙撃手は振り向きもせずに
暫しライフルを吉澤に預けて遊ばせるが、程なく手を出して返却を要求する。
吉澤は素直に応じる。
「まったく、いつまでこんな戦を続けるんだろうなぁ」
そう言った狙撃手は眼の隅に不吉な光を捉える。
「ほんとだよね」
狙撃手が振り返ると、見たこともない女が抜き身を突きつけて笑っているで
はないか。
「わーっ!」
男は悲鳴をあげて街路に飛び出した。吉澤は後を追ってその背中を斬りつけ、
投げ出されたライフルを拾って嬉しそうに眺めた。だが、大通りの向こうか
ら、悲鳴を聞きつけた敵のバイク隊が迫っていた。慌てて逃げだす吉澤。そ
れを追う四台のバイク。吉澤はやり過ごそうと路地に逃げ込みジグザグに進
むが、追跡者は執拗に吉澤に迫った。
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