【妄想物語】
−ひなたぼっこ−
今日は日曜日。時刻は七時頃だろうか。親戚の結婚式に出かけるおやじとおふくろの慌た
だしく身支度をする音で目を覚ました。
布団の中でうとうとしていると一階から
『もう出かけるけど、そろそろ起きて部屋の掃除でもしなさいよ!』というおふくろの声が聞こえた。
もちろん返事などするわけ無く、『ガラガラ』と玄関の閉まる音とともに又眠りにつこうとした。
毎週観ているテレビ番組が始まる十一時過ぎまで寝る予定だった。
再び眠りにつこうとしていると『ガラガラ』と玄関の開く音がした。
『何か忘れ物でも取りに来たのか?』すると
『タッタッタッ』と軽快に階段を駆け上がる音がした。
その直後、
『ガチャッ』
部屋の扉を誰かがあけた。
『おっはよー!』
突然の大声にビックリしていると、その声の主は『ぴょん。』とベットに飛び乗るともう一度
『ぴょん。』と飛び跳ねてベットの向こう側へ飛び降りた。
そして勢い良くカーテンを開けると
『なにしてん!めっちゃええ天気やで。』と俺の布団を剥ぎ取った。
あまりに眩しい朝日の光で『ギュッ』とつぶった目をそーっと開けてみる。
そこには澄んだ空気の中を昇る太陽を背負い仁王立ちした、ちょっと小柄な女の子が立っていた。
彼女の名は、あいぼん。隣の家に住んでいる。
俺よりも年下で、小さい頃はまるで本当の兄妹のようによく一緒に遊んだりした。
今は中学三年、受験生だ。
そういえば昨日も受験勉強でもしてたのか、夜遅くまで部屋の灯かりがついてたっけ。
それとも友達と長電話でもしてたのか・・・?
どっちにしても俺が布団に入った2時過ぎには、まだ彼女は起きていたようだ。
それなのに、朝からこの元気!!!
『まだ寝てたん?夜更かししすぎやで。』とあいぼんに言われ
『オマエモナ−』とツッ込んでみた。
するとあいぼんは、ちょっとふくれて
『うちは勉強してたんや!』
と言いながらベランダへ出ていった。
ま、待ち焦がれた新作か!?
つづき期待sage!!
342 :
名:02/11/09 02:32 ID:GCoDO9PM
⊂⊃
@ノハ@
へ( ‘д‘)<あ・・・あう
彡 ノ つ つ
/ ____|
(/ (/
343 :
@:02/11/09 04:31 ID:6sr4HSxl
おー続きが楽しみやね
344 :
@:02/11/09 04:32 ID:6sr4HSxl
ごめんsage。
何かいつもageちゃうな。
ひんやりとした空気が部屋へ流れ込んでくる。
そこであいぼんは、大きく深呼吸をする。
そして、庭に向かって
『ニィニィーッ、散歩に行くよー!』
そう声をかけるとそそくさと一階へ降りていった。
ニィニィというのは家で飼ってる雑種犬で、もとはといえばあいぼんが拾ってきた犬だった。
でも丁度その頃あいぼんの家には弟が産れ、両親に犬は飼えないと言われたあいぼん
の頼みで家でニィニィを飼う事になったのだ。
以来、あいぼんはニィニィの散歩係として家へ通っている。
また、ニィニィと命名したのもあいぼんだ。
捨てられていた時、小猫のように『ニィ。ニィ。』と鳴いていたからだそうだ。
__ ∧w∧
@′ ( ・e・) <ニィ
U U ̄ U U
突然のカキコ、スマソ。
漏れもパート1からこのスレみてました。
さよ姫さん来ないんで、がまんできず、ちょっと妄想してみました。
まったくのド素人なので、あまり期待しないでくださいね。
短い話ですけど見てやってください。
347 :
@:02/11/09 07:56 ID:zEqZAeDu
>>345 ニィニィですか。
やっぱ眉毛は太いの?(笑)
349 :
@@:02/11/10 02:28 ID:oKkJhkwx
久々にやってきたら新作! 楽しみにしてますよ。
ニィニィ ワラタ
部屋の中には、ほのかに女の子独特のなんともいえない匂いが残っている。
『ふわっと』した気分になりまたもやまぶたが閉じそうになった。
しかし目の前の河川敷で練習する野球少年の声が大きく、とても眠れそうにはなかった。
『ふぅーっ』
ため息をつくと俺はベランダに出た。
あいぼんがニィニィに引っ張られて目の前の土手を登るのが見えた。
あいぼんもこちらに気がつき、
『いってきまーぁす』と大きく手をふった。
パジャマ姿の俺は、小さく右手を挙げた。
もう眠れそうも無いので、着替えて居間に下りてテレビのスイッチを入れる。
『ふあぁぁぁ』
大きなあくびが出る
『つまんねぇ』
『・・・・。』
まだ少し冷たい空気の流れる川辺。
水面がキラキラと光っている。
河川敷き沿いに土手の上を歩くあいぼんとニィニィ。
すれ違うジョギングをするおばさんに
『おはようございます』
元気よく挨拶するあいぼん。
おばさんもニッコリして『おはよう』とかえす。
自然と鼻歌がでてきた。
小さい頃から、あいぼんは歌が大好きだ。
『フフーン、フーン・・』
『ニィニィ。今日はちょっと遠回りしようか!』
『ワン!』
退屈な時間が2時間ほど過ぎた頃だろうか
いつもよりあいぼんの帰りが遅いので少し心配になってきた
いつもなら河川敷の土手沿いを行き、橋を渡って対岸をぐるっと周ってくるコース。
一時間もすれば帰るはず。
『あいぼん遅いな?』
『まさか事故なんかに遭ってないよな!?』
なんだか急に心配になりだした。
『そうだ携帯!』
『090-@ノハ@-@ノハ@』ピッ!
プップップッ
プルルルルル・プルルルルル
『よしっ!』
プルルルルル・プルルルルル
『ん?何か二階できこえる?』
『ああーーーーーーっ!!!!!!』
あいぼんの携帯は俺のベットの上で鳴っていた。
『今朝、飛び跳ねたときに落としたんだ!』
打つ手の無くなった俺は、両手に携帯を持ってとぼとぼと階段を下りた。
『はぁ、鬱だ』
居間のテーブルに携帯を置くと『へたっ』と座り込んだ。
『何処にいるんだ、あいぼん・・』
シーンと静まり返った家の中。耳をすますと遠くから歌声らしき声が聞こえてきた。
居間から縁側の方を見てみる・・・・
『・・・・・♪ 』
だんだん近づいてくる
『♪ ここにいるぜぇ♪ 』
間違い無い、あいぼんだ!
354 :
@:02/11/10 23:18 ID:dA/MQf3e
十餅さんお疲れさまです。
彼は相当心配性ですね。まぁ自分も同じ状況になったら心配するだろうな。
かなりの心配性だから。
十餅どん、楽しみにしとるバイ!
しかし、なんてでかい声で歌ってるんだ。心配していたこっちの気も知らないで。
楽しそうに歌うあいぼんの声を聞いたら急に力が抜けてしまった。
『ただいまー』
ニィニィを連れたあいぼんが縁側の向こうにピョコッと現れた。
『ずいぶん遅かったけど、何処まで行ってたんだ。』
少しきつめの口調で聞いてみた。
『となり街』
『ハァ!!!!!』
となり街なんてとても歩いて行こうと思う距離じゃぁないんですけど?
しかしあいぼんはサラッと言ってのけた。
『だって天気が良くて気持ちよかったんだもん』
俺は、さらに全身の力が抜けた。
『ポカーン』としていると
『はい、おみやげ』
と、にこにこしながらビニール袋を渡された。
『だ、団子だ・・・・』
『おいしそうなお団子屋さん見つけたんや』
『早くたべよ、たべよ』
そう言いながら縁側から居間のほうに上がり押し入れから座布団を取り出し
縁側にポンと置くとその上に『ちょこん』と座り込んだ。
まるで自分の家にいるように・・・。
『何してんの?団子にはお茶でしょ!』
と、きたもんだ。
『はいはい。お待ち下さいねー。』
『なんで俺がお茶の用意してるんだよ!?』と思いつつも
やかんを火に掛け、湯飲みを探す。
そうこうしているうちに、お湯が沸いた。
『はい、おまちどうさま』
お茶を運んでくるとあいぼんは縁側でまぁるくなっていた。
遠くまで散歩して疲れたのか、受験勉強の疲れかすやすやと寝息をたてて寝ている。
縁側の中ほどまで『ぽかぽか』と太陽の光が降り注ぎ、うっすらと赤く染まったあいぼんの
頬をなでている。
まだ子供だと思っていたけど、最近少し大人っぽくなったあいぼんのその寝顔につい見とれてしまった。
も、もしや…、添い寝か?!
359 :
十餅:02/11/15 22:12 ID:MlxkYO4b
ここでちょっとしたいたずらを思いついた。
『そうだ、この前買ったばかりのこのカメラ付き携帯であいぼんの寝顔を・・・』
スピーカーを手でふさいで
『パシャッ!』
『よしよし、うまく撮れたぞ。これをメールで送信!』
居間のテーブルの上であいぼんの携帯が鳴った。
『しまった!あいぼんが起きちゃう!』
でもあいぼんはよほど眠かったのか、気持ちよさそうにスースーと寝息を立てている。
『あぶない、あぶない』
これを見てどんな反応をするか楽しみだ。
『フフフッ』
360 :
十餅:02/11/15 22:13 ID:MlxkYO4b
携帯を置くとあいぼんのとなりに腰をおろした。
『昔はこの縁側でよく遊んだなぁ』
そんなことを思いだしながらごろんと横になった。
『ならんでお絵書きしたり、おままごとを無理矢理やらされたコトもあったっけ』
ちょうど顔の横にきた床に、木目に入り込んで落ちなくなったクレヨンの跡が見えた。
これはあいぼんがようちえんの頃、二つ並んだ木の節を目にしてうさぎの絵を描いた時のものだ。
なつかしい・・・・
背を向けたあいぼんに五センチ程擦り寄る。
五センチ・・・。
これが精いっぱいだ。
361 :
十餅:02/11/15 22:16 ID:MlxkYO4b
ぽかぽかと太陽が寄り添う二人をあたためてくれている。
ふんわりとあいぼんの香りがした。
不思議な事に、あいぼんと居ると心までぽかぽかしてくる。
それはとても心地いいものだった。
『あぁ、もうダメだ。』
スースーとあいぼんの寝息が俺を夢の中へ連れていった・・・・・
どれくらいたっただろうか『ぼーんぼーん』と 時計の時報がきこえた。
『んんー』
意識もはっきりしないまま時報を数える。
『1、2、3・・・もう十二時かぁ。あと少しこうしていよう。』
ふたたび意識が薄れる。
『あれ?何か忘れているような・・・?』
『・・・・・・』
『あっ!』
そう、毎週見ているハロモニを忘れていた!
慌てて飛び起きると居間の方へと滑り込みテレビをつける。
しかしそこに映っているのは、呑気にパチンコを打つ斉木しげるだった・・・
362 :
十餅:02/11/15 22:21 ID:MlxkYO4b
ふと、あいぼんがいた事を思い出す。
しかし縁側を見ると、そこにあいぼんの姿は無かった。
そして、だんごも消えていた。
突然、俺の携帯が鳴った。
あいぼんからのメールだ。
件名:アフォ兄!
『アフォにぃ?』
『ん?写真付きだ。なんだろ?』
その写真は、アホ面で寝ている俺だった。
『やられた・・・』
その日は一日中ニヤニヤしっぱなしだった。
たまには早く起きてみようかなぁ
−おわり−
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