【加護たんと添い寝したい奴の数→】Part2

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(あいぼん、あいぼんに会いたい。会っていままでの事を、あやまりたい....そして....。)

(そして....。)

俺はペダルをこぎ、息を荒げながら下宿への一本道を駆け抜けた。
いずれ見つかるであろう、あいぼんの後ろ姿を求めて....。

しかし、自転車はやがて下宿についてしまった。

( もう、家に帰ったのだろうか? )

俺は、携帯を取り出すと、あいぼんの部屋の灯りを見ながらTELしてみる。
だが、家にはまだ帰っていなかった。
あいぼんの携帯にTELしてみる....。電源が切られている。

 俺は下宿の前できょろきょろしながら考える....。

こんな時間、しかも、あんな事があった後、一人でどこにいったんだ?
あいぼん、傷ついた心のままいったいどこに?

傷ついた心....。

( あっ....!!)

俺は急に思い立ち、自転車に飛び乗ると、今来た道を逆走した!!
155さよ姫:02/09/12 22:32 ID:tFQvE0wC

夜の児童公園....。俺は自転車を降りる。

だだっ広いわりには遊具が少ないこの公園は....夜の静寂の中、ひときわ寂しい情景だった....

コンクリート製の、うさぎ....象....。

滑り台....回転遊具...藤棚....ベンチ....

....誰かが忘れた三輪車....

その全てが、昼間の明るさとは対象の強烈な寂しさをにじませていた。

そして、その何よりも寂しいその姿....

ブランコを揺らす、ひとりぼっちの少女の姿....

あいぼん....。

夜の静寂の中、わずかにブランコをゆらす金属音がここまで聞こえてくる。

キイ....キイ...キ....

俺は自転車を置くと、公園を横切ってゆっくりと歩んだ。

ジャリ...ジャリ....ジャリ....

ライトに照らされて、長くのびる俺の影に気づいたあいぼんはゆっくりと顔をあげる。
目が泣きはらして真っ赤である。
156さよ姫:02/09/12 22:33 ID:tFQvE0wC

俺は静かに言う

「あまり驚かないんだな....?」

するとあいぼんは....

「ここで、寂しくしてたら、先生が迎えに来てくれると思ったの....。」
そして、鼻をぐしゅっと一回すすると

「....そしたら、本当に来ちゃった。」

そう言って、やさしく微笑んだ。

「ばかだなあ....小6のクリスマスの時と一緒じゃないか....。」

(....甘えん坊のあいぼん....。)

「先生びじょぬれじゃないの?夜半から雨だっていってたやん?」
「俺はいつも鈍感なんだ....。」  俺も鼻をぐしゅっとさせる。

「圭織さんは....?」

「別れた....。」

あいぼんは目を丸くする。 ブランコの鎖をぎゅっと握り締める。
157さよ姫:02/09/12 22:35 ID:tFQvE0wC

「 どうして?どうして?先生、圭織さんの事、大好きだったじゃないの?」

「............。」

「先生、あんなにがんばってたじゃないの?」

「............。」

「圭織さんあんなに綺麗じゃないの....?」

「............。」

矢継ぎ早に質問をあびせてくるあいぼん。
 
 熱い想いが胸にこみ上げて、こんな状況にあっても、ぐるぐると考えている、相変わらずの俺がいた。
まず、ぬいぐるみの事あやまって、圭織との事説明して、ユウキとの事を聞いてそして....。
そして....いろんな手順が思い浮かぶ....でも....でも....。

「....あいぼん....好きだ....。」

俺は唐突にだが、息を殺していった。

あいぼんの言葉がぴたりと止まった。

「もう一度言って....先生。」

「....あいぼん....大好きだ....。」
俺は真っ赤になって、両手のコブシを固め、下をうつむいてくりかえす。
158さよ姫:02/09/12 22:36 ID:tFQvE0wC

ブランコの鎖を握って、ゆっくりと立ち上がるあいぼん....。
俺の体にぴったりと身を寄せた。そして、俺の腰に腕をまわすと....。

「あたし でもいいの....?」
と目をうるませて俺の顔をゆっくりと見上げた。

「あいぼんじゃなきゃいやだ....!!」

俺はあいぼんを抱きしめた。

俺に呼応して、あいぼんが強く抱きかえしてくるのが感じられた。
あいぼんの暖かな体温....。
やさしげで豊かな胸の感触がじかに感じられた。おたがいの心臓の鼓動が直接伝わる。
俺達はきつく、きつく抱き締め合った....。

「 あたしも大好きよ....先生....。」

熱い息をとぎれとぎれに吐き、湿った声であいぼんはつぶやいた。
そして、まぶたを閉じてゆっくりと顔を向けてきた....。

俺は、初めて真剣に真近に見るあいぼんの、紅潮したほおや、まつげ、つややかな、くちびるに しばし
見入った....。
本当にかわいかった。恋しいと思った....。
159さよ姫:02/09/12 22:37 ID:tFQvE0wC

すると、あいぼんはパッチリと目を開け。

「先生のあほっ!!おきまりやろっ!!」 と言って、コブシでどんと俺の胸をたたいた。

「そっそうか....。」

咳き込みながら、俺が言うと、あいぼんは再度、まぶたをゆっくりと閉じた。

俺が右手で髪をかきあげると....左に....。
左手で頬をなぜると....右に....。

あいぼんは ゆっくりと いやいやをしながらも、くちびるを確実に近づけてくるのだった。

 ....ちう....

しめった音をたてて、俺とあいぼんはくちづけた....。
お互いのすれ違い、乾いた心をあわてて埋め合わせようとするかの様な深い深いくちづけだった。

脱力したのか、がくっとあいぼんが腰をおとした....。
急に俺の腕にあいぼんの体重がずっしりとかかった。
俺はあいぼんを抱いたままゆっくりと膝を崩していった。

夜の公園....

俺とあいぼんは立てひざのまま、首を左右に波打たせてお互いのくちびるをむさぼりあった....。
160さよ姫:02/09/12 22:38 ID:tFQvE0wC

長い長いキスの後、俺とあいぼんはしばらく何もしゃべらなかった。

俺はあいぼんの肩を抱きゆっくりと公園を横切ると、自転車の元にあるいていった。

俺はハンドルをにぎる、あいぼんは後ろにのって、きつく俺の腰に腕を廻す。
俺は自転車を出発させる。

しだいに遠ざかってゆく公園....あいぼんは何度も何度もふりかえる。

ファーストキスの場所を目に焼き付けておこうかとする様に....。

俺は、あいぼんが自転車のカゴに入れた買い物袋について問う....。

「これはなんだ....?」

「この話には続きがあるんや....。」 とあいぼん。

「どういう事....?」

「これから先生の誕生パーティをするんや....。」 とあいぼん。

ちらりと、袋からケーキの箱が見える。

「誕生パーティをするんや....先生のお部屋で....!!」
161さよ姫:02/09/12 22:42 ID:tFQvE0wC

自転車は下宿についた....。

そして、俺は一つの予感、確信に近い予感に打たれて下宿の前で自転車を止めた。

俺とあいぼんはゆっくりと自転車を降りる....。
眼前に広がる木造二階建てのアパート。部屋の大半に暖かな光がともっている。

俺はゆっくりと全体を見渡す。いとおしさに抱きしめたい様な気持ちになる....。

俺は今まで、いろんな夢や希望を「どこか」に探してきた。
そして「ここ」は夢の途中、通過点にすぎないと思っていた。 でも....でも....

俺はあいぼんの肩を強く抱く....。
あいぼんはきょとんとして俺を見上げる....。

もしかすると、ここが俺の最後の場所....

そんな気がしたんだ....!!



                    
                
       ☆☆☆☆☆☆☆ 2002/9/12   さよ姫 【あいぼん☆下宿の娘。】   【おわり☆】