視界に真っ白な光が飛び込んできた。
ここどこだっけ?
あたしは、重い頭をふって今、自分がいる場所を確認する。
長方形のテーブル、その上には携帯と聞いていたらしいMDウォークマン。
半開きになったロッカーには見慣れたバッグ。
TV局の楽屋だ。ハッと気づく。
そっか、あたし、ドラマの待ち時間で寝ちゃってたのか・・・・・・・・・・・
トントン――
ノックの音がしてADさんが顔をだした。
「後藤さん、そろそろ準備お願いしまーす」
「んぁ、は〜い」
あたしは、返事をして立ち上がる。
急に立ち上がったせいか一瞬ふらつく。
なんだか現実感がない。変な感覚だ。
ずっと長い長い夢を見ていたような気がする。
そう、確かすごく大切なことを得たような・・・・・・
あれ?
どんな夢だったっけ??
思い出そうとしてその記憶がなくなっていることに気づいた。
「んぁ〜、なんだったっけ〜」
髪を撫で付けながら楽屋を出ようとした。
その時、背後でメールの着信音がなる。
あたしは、見に行くべきかどうしようか迷い、けっきょく履きかけた靴を脱いだ。
メールをチェックする。
意外にたくさんのメールがきていた。
そのメールたちを見てあたしは嬉しくなる。
「そっか、これか〜」
意味もない納得。
でも、あたしの中のなにかがその言葉を言わせていた。
夢の内容は、もう思い出せないけどつまりはそういうことだったんだろう。
「・・・って、ヤバッ。のんびりしてる場合じゃないや」
時間に気づいて、あたしは急いで楽屋を飛び出した。
END