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「・・・それよりさ〜」
みっちゃんがへこんじゃってなにも言わなくなってしまったので、仕方なくあたしが話をふる。
自分で鏡の自分に語りかけてる怪しい人みたいで変な感じだ。
「ご、後藤さんは・・・なんでこんなとこに来たの?」
「・・・あんたらは?」
「あたしたちは、旅の途中でよっただけだよ」
あたしが答えると、後藤さんは「旅人・・・か」と、がっかりしたように小さくため息をついた。
旅人だとなにが悪いんだろう?
「旅人じゃ、この町がどうしてこうなったかなんて知らないよね」
途方にくれた声。
「知らないけど・・・・・・後藤さんも知らないの?」
「・・・・・・」
後藤さんは、答えてくれなかった。
いったい、こいつ、何者なんだろう?
「ねぇ、後藤さんってこの町となんか関係あるの?」
あたしは、訊いた。
「さぁね・・・とりあえず、あたし、もう寝る」
後藤さんは、めんどくさそうにそう答えると席を立って部屋から出ていった。
ほんとにマジムカつく。
あたしとは正反対だ・・・・・・多分。
「ねぇ、みっちゃん」
まだへこんでいるみっちゃんに声をかける。
みっちゃんは、「・・・・・・なに?」と顔を上げた。
よし、話は聞こえているようだ。
あたしと後藤さんのやり取りも聞いていただろう、そう思ってたずねた。
「どう思う?」
「そんなん知らんわ」
みっちゃんは、あっさりと首を振る。
「真面目に答えてよ」
「せやかて、あんなムカつくやつのこと考えたくないわ」
「ムカつくって失礼な!」
「別にごっちんのこと言うてへんやろ」
「・・・そうだけど」
珍しくみっちゃんに負けた。なんかショックだ。
「まぁ、あの子が何者なんか知らんけど・・・この町と関係あるんは確かやな」
そんなあたしに気づくことなくみっちゃんは後藤さんがいる2階に視線を動かした。