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309第9話 探していたもの



「・・・それよりさ〜」

みっちゃんがへこんじゃってなにも言わなくなってしまったので、仕方なくあたしが話をふる。
自分で鏡の自分に語りかけてる怪しい人みたいで変な感じだ。

「ご、後藤さんは・・・なんでこんなとこに来たの?」
「・・・あんたらは?」

「あたしたちは、旅の途中でよっただけだよ」

あたしが答えると、後藤さんは「旅人・・・か」と、がっかりしたように小さくため息をついた。

旅人だとなにが悪いんだろう?

310第9話 探していたもの :02/11/29 10:44 ID:osH3/Q30

「旅人じゃ、この町がどうしてこうなったかなんて知らないよね」

途方にくれた声。

「知らないけど・・・・・・後藤さんも知らないの?」
「・・・・・・」

後藤さんは、答えてくれなかった。
いったい、こいつ、何者なんだろう?

「ねぇ、後藤さんってこの町となんか関係あるの?」

あたしは、訊いた。

「さぁね・・・とりあえず、あたし、もう寝る」

後藤さんは、めんどくさそうにそう答えると席を立って部屋から出ていった。
ほんとにマジムカつく。
あたしとは正反対だ・・・・・・多分。
311第9話 探していたもの :02/11/29 10:45 ID:osH3/Q30

「ねぇ、みっちゃん」

まだへこんでいるみっちゃんに声をかける。
みっちゃんは、「・・・・・・なに?」と顔を上げた。
よし、話は聞こえているようだ。
あたしと後藤さんのやり取りも聞いていただろう、そう思ってたずねた。

「どう思う?」
「そんなん知らんわ」

みっちゃんは、あっさりと首を振る。

「真面目に答えてよ」
「せやかて、あんなムカつくやつのこと考えたくないわ」
「ムカつくって失礼な!」
「別にごっちんのこと言うてへんやろ」
「・・・そうだけど」

珍しくみっちゃんに負けた。なんかショックだ。

「まぁ、あの子が何者なんか知らんけど・・・この町と関係あるんは確かやな」

そんなあたしに気づくことなくみっちゃんは後藤さんがいる2階に視線を動かした。