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あたしたちは、汚い机を囲んでどう声をかけるべきかお互いを意識していた。
「あのさ〜」
あたしは、切り出した。
ほとんど同時に「あんたさ〜」と、彼女も切り出した。
「なんで――」
「あたしと――」
また、声が重なった。
ここまで一緒のタイミングで話さなくてもいいのに――思わず、苦笑する。
「っちゅうか、あんたら双子なん?」
そんなあたしたちをじれったく思ったのかみっちゃんが口を切った。
「んなわけないじゃん」
「初めて会うよ」
あたしたちは、同時に答えた。
みっちゃんは、変な顔をしてあたしたちを見比べる。
「・・・まんま双子やけど・・・・・・・・・・・・名前はなんて言うん?」
「後藤真希」
後藤さんの(自分で言うのも変な気分だ)答えを聞いてみっちゃんはあたしを見た。
あたしは、どんな顔をしていいのか分からずに曖昧に笑う。
「あんたは?」
「うちは、平家のみっちゃんや」
みっちゃんが後藤さんの質問に答えると後藤さんはふっと鼻で笑い、
それからあたしに挑むような視線を動かした
「あんたじゃなくて、あたしと同じ顔の方に聞いてるの」
みっちゃんがへこむようなことを平気で言ってのけた。
ひどいヤツだ。あたしのほうがまだ優しさがある。愛のあるいじりだし。
「・・・・・・あたしは、えっと、ごっちんで」
とりあえず、答える。
同じ顔で同姓同名なんて嫌だろうし・・・・・・気配り上手だな、あたしって。
そんなあたしの気配りも後藤さんの「変な名前」の一言で一蹴された。
こいつ、マジムカつく。