なんだ、あれが僕達の探している青い鳥なんだ。
僕達はずいぶん遠くまで探しに行ったけど、本当はいつもここにいたんだ。
−メーテルリンク
1
もうそろそろこの旅も終わりだな。
大きな丘を越えながら漠然とそんなことを思った。
とりあえず、メンバーの皆(厳密には本人じゃないけど)には会ったわけだし・・・・・・
ま、そうはいっても戻り方が分からないことにはどうしようもないんだけどね。
あたしは、小さくため息をついた。
あたしたちは、さっきからずっと緩やかな傾斜を上っている。
緩やかでもそれが続くとさすがに疲れてくる。
どうせ、みっちゃんのことだからまた道に迷ってるんだろうけど――
あたしは、もうそれを当たり前のことと受け止めていたからなにも言わずにいた。
「おかしいなー」
あたしがなにも言わずにいると先にみっちゃんが首をひねった。
やっぱりか。
あたしは、なんとはなしにみっちゃんを見る。
それを勘違いしたのか慌ててみっちゃんは弁解をはじめた。
「いや、ちゃうんやで。確かにこの近くに街があったはずなんよ」
「はいはい。街があったはずだよね〜それがいきなり消えちゃったんだよね。分かるよ」
あたしは、みっちゃんを適当にあしらいながら足を進める。
とりあえず、丘をのぼりきればなにかが見つかるかもしれない。
そう思いながら早足で駆け登る。
たらたら歩くと長く感じていたのに意外にあっさりと丘を登りきることができた。
「・・・!?」
そこから見えた景色にあたしは思わず息を呑んだ。
「ちょっと待ってーな」
息を切らしたみっちゃんが少しおくれてあたしの隣に来た。
膝に手をついて息を整えている。
「ちょっとみっちゃん・・・」
「なん?」
あたしが呼ぶとみっちゃんは頭をあげた。
そして、あたしと同じように息を呑み「・・・なにがあったんや?」と、小さくつぶやいた。
2
あたしたちは呆然と眼下に広がる景色を見て立ち尽くす。
なにもかも、そう、まさしくなにもかもが壊れてしまった街並み
人っ子一人いない。のどかな空間に紛れ込んだ異物。
地震や竜巻、もしくは戦争か――
あたしたちにはこの街にそういったなにか悲惨な出来事があったと予想するしかない。
「どうする?」
もう日も暮れ始めている。
今から、次の街にたどり着くには到底無理だろう。
みっちゃんが当てにしていた街がこの様子じゃ、もちろん宿屋なんてないだろうし・・・・・・
今日は、野宿になるだろうな。
そう思いながらあたしはとりあえずみっちゃんに聞いてみた。
「そうやな、今から他の街なんて行けへんし・・・・・・」
みっちゃんは、困ったように頭に手をやった。
それから、少し考えて
「一応、下まで降りて使えそうな建物使わせてもらおか」と言った。
確かに、ボロボロの廃墟でもこのままここで寝るよりはましかな。
あたしは、考えて頷いた。