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城を取り囲む通称ナチヲタ・・・・・・違う、なっちの国の国民たち。
そして、守るように城門をバリケードするヤグヲタ・・・・・・違う、やぐっつぁんの国の国民たち。
さらにそれを抑える兵士たち。
先ほどまでの平和なお祝いムードが一転して険悪なものに変わってしまった。
あの警備兵が恐れていたことが現実になってしまった。
「なんや、危ない感じがするな〜今のうちに次の街に行っといたほうがええな」
みっちゃんが呟く。
次の街?
なっちが撃たれたってのに・・・・・・あたしは、とてもそんな気になれない。
かといって、あたしがいてどうにかなることじゃないのは分かっているけど。
・・・待てよ、さっきの怪しいヤツ。
もしかして、あたしって犯人見たってヤツ?目撃者じゃん。
これは、やぐっつぁんに報告。っていうか、話してみたいし。
「みっちゃん、先にゲートに行ってて!」
「な?ごっちん・・・・・・って、ちょっとごっちん!?」
あたしは、呼び止めるみっちゃんを無視してヲタの渦巻く城門へと走った。
ムリヤリ前へと進む。
ナチヲタをすばやく突破。ヤグヲタを交わしながら突破。
あとは、警備兵だ。
あの男がいてくれれば話は早いんだけど。
あたしは、同じような鎧をまとった兵たちの中からさっきの男の顔を捜す。
目的の人物はすぐに見つかった。
意外と偉い人だったのか、兵たちに指示を出している。
「おじさん!!おじさん!!」
あたしは、必死で男を呼んだ。
男が訝しげに振り返りあたしと目があうと不思議そうな顔をして部下らしき兵になにか囁いた。
それから、あたしの元へと歩いてくる。
「なんだ?まだいたのか?早めに出たほうがとばっちりくわなくていいぞ」
開口一番、男は忠告するようにそう言った。
「っていうか、なっちは大丈夫なの?」
男の言葉を無視してあたしは問いかける。
「なっち?あぁ、一応、命はとりとめたが・・・そんなことをわざわざ聞きにきたのか?」
「違うけど・・・あのさ〜、やぐっつぁんに会わせてくれない?」
「やぐっつぁん?」
男は首をかしげる。
「国王だよ。マリッペ」
「なぜだ?」
男の目が鋭く光った。
もしかして、怪しいヤツをみなされかけてる?これは、ごっちんピンチ。
「あたし、犯人見たんだよ」
怪しまれて死刑になったらしゃれにならない。あたしは、速攻で答える。
「犯人?なつみ国王を撃った犯人のことか?どんなヤツだ」
男があたしの肩を強く揺さぶる。
「ちょっと、痛いって」
あまりの力の強さにあたしは顔をしかめ男の手を振り解く。
「すまん。それで犯人はどんなヤツだったんだ?」
「だから、それはやぐっつぁんに話すから会わせて」
「それはできない」
男は即答した。
「じゃぁ、いいよ」
あたしも真似して即答し男に背を向けた。男は、引き止めない。
あれ?ごっちんの完璧な計画だとここで男が引き止めて、やぐっつぁんとご対面ってなるはずだったのに・・・・・・失敗?
あたしが、そう思った瞬間だった。
「分かった。謁見を許そう」
背後で男が、渋々といった口調でいった。