10
カチカチと時計の音がうざい。
あたしは、ある一室に閉じ込められていた。
くらくらと脳がしびれるような感覚。
瞳を閉じてもみっちゃんの倒れる姿はしっかりと瞼に焼きついて消えてくれない。
はきたい様な、めまいがするような気持ちだった。
どのくらいの時間がたったのか、恐ろしく長かったのか、それともバカみたいに短かったのかもしれない
――その時間のあとで、ふいにドアがひらく。
反射的に顔を上げる。見たことのない男が立っていた。
あたしを安心させるような温かい微笑みを向ける。
あたしは、男をキッとにらみつける。
どうせこの男はみっちゃんを撃ったやつらの仲間だ。
泣きそうになるのをこらえて唇を噛み締める。
「気分は、いかがですか?」
「・・・いいわけないでしょ。人殺し!」
あたしが吐き捨てると男は困ったような顔をした。
「・・・・・・なにか勘違いをなされているようですが、あの子からなにも聞いてないのですか?」
「・・・あの子?」
――あの子とは誰のことだ?
あたしは、眉を寄せる。そして、一人だけ思い当たった。
「加護のこと?」
男は、頷く。
「加護がなんなの?なにを・・・・・・だいたい、なんであたしたちが捕まるの?」
混乱して自分がなにを言っているのかが分からなくなってくる。
今回のことは、全部加護が仕組んでいたの?
不意に男があたしの肩に触れた。
はっとして見上げると男は「これから説明します。どうかお座りください」と静かな口調で言う。あたしは、その穏やかな瞳に気圧されて素直に席についた。
あたしが席に着いたのを確認すると男は小さく頷き話し始めた。