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「犯人に告ぐ!抵抗をやめてでてこい!!!」
外から拡声器でひび割れた声がする。
ようやく目が光に慣れてきてあたしはチラッと窓から外を見た。
外には、制服姿の機動隊とパトカーのサイレンの光が回っている。
少しおおげさすぎじゃないか?
「ちょっと・・・マジやばいって」
あたしの口からそんな言葉が自然漏れていた。
と、加護がすばやく視界を遮るようにカーテンを引く。再び暗くなる部屋。
「アイボン」
辻は、いつのまにかあたしたちの傍に来ていた。
加護は、辻のほうに顔を向けるとなにやら二人でひそひそと話し始めた。
「ねぇ、どうすんの?」
まだなにやら話している二人に尋ねる。
「後藤さん、心配しすぎですよ」
加護が答える。
「そうですよ、このぶりうんの教科書に逮捕なんて言葉はないのれす」
それをいうなら辞書でしょ?
なんて突っ込みはおいといて、どう考えてもこの状況――ふるいプレハブ小屋を取り囲む制服の集団――から
誰一人捕まらずに逃げられる方法なんてないような気がするんだけど・・・・・・
二人は余裕綽々と言った感じにさっきまであたしが見下ろしていたカーテンの隙間から外の様子を眺めている。
なにか策でもあるんだろうか?
「じ、自首したほうがよくないか?」
みっちゃんが二人に向かって言う。
二人は、みっちゃんのほうを振り向くとニッコリと笑って「そうですね」と答えた。