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辻、みっちゃん、あたし、加護の順番で地下から地上に出るハシゴを昇る。
「気をつけてくださいね」
あたしが昇る順番になったときに加護が声をかけた。
人質にそんな言葉かけなくてもいいのに――あたしは、頷きながら地上へと向かう。
上へ上がるとそこには太陽の光はなくて人工的な蛍光灯の光があたりを照らしていた。
どうやら屋内に通じていたらしい。
辻は、どこか緊張したようにあたしたちに銃を向けている。
本当に天下の大泥棒なのかな?
それにしては、あんまり慣れてないみたいだけど・・・・・・あたしがそんなことを思っていると少し遅れて加護が昇ってきた。
「アイボン」
「どわっ!」
辻が加護に抱きつく。加護は、驚きながらも慣れたようにそれを支える。
どうもここの辻って変だ。
確かに辻は甘えん坊だけど加護には甘えないし・・・・・・まぁ、別人なんだから当たり前か。
あたしが知ってるみっちゃんはこんなにすぐに現実逃避するキャラじゃないしね。
「ねぇ、加護。ここ、どこなの?」
あたしは、あたりを見回しながら尋ねた。
「ここは、うちらの隠れ家ですよ」
「気安く声をかけるんじゃねーれす」
加護にまとわりついたまま辻があたしを睨む。
その言い方にむかついてあたしはわざといやみったらしく言った。
「はいはい。申し訳ありませんでしたね」
「ののをバカにすると怒りますよ!!」
辻は頬を赤くしてあたしに叫ぶ。かなり面白い。
「もうええやん、のの。それより、ご飯にしような」
加護がいさめるように辻に声をかけると辻はすぐに笑顔に変わる。
ここでも食欲旺盛なのは変わらないらしい。
あたしがその変わり身の早さに呆れてみていると加護と目が合った。
加護は「あ、あんたたちの分もちゃんと用意しますよ」といって笑った。
別にご飯が欲しいから見てたわけじゃないんだけどね。まぁ、いっか。
あたしとみっちゃんは少し遅めの昼食を取った。