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カンカンと足音が響く。
じめっとした地下道をあたしたちは小走りで駆け抜けていた。
辻と加護は、どうやらあたしたちを殺す気はないみたいだ。
ただ、後ろから抵抗されないように用心深く銃を向けてるけどね・・・・・・・・・・・・
チラッと後ろに顔を向けながら加護に話しかける。
「あのさ〜」
「私語はしないでください」
加護は、真面目ぶった顔で言う。似合いはしねぇぜ!
「ねぇ、辻・加護、ちょっと止まっていい?」
「な、なんでうちらの名前・・・」
「ののたちも有名になったもんれす」
あたしの問いかけに驚く加護とノンキな辻。
対照的な二人にあたしは笑いそうになる。でも、ここは笑う場面じゃない。
みっちゃんは、頼りにならないし。ここはいっちょあたしが話し進めないとね。ま、いつものことだけどさ。
「あんたたちなにしたの?」
あたしは、二人を振り返る。
すると、加護を押しのけるようにして辻がチッチッと顔の前で指を振る。
「ののたちにそんな口聞いていいと思うんれすか?」
「うん」
あっさりうなづくと辻は傷ついたような目であたしを見て、それから、加護に逃げるように抱きついた。
「・・・・・・アイボン」
「はいはい。んなことで泣くな、のの」
加護は、辻の肩をポンポン叩いて慰めながらあたしのほうを見る。
「・・・うちらはな、泣く子も黙る強盗なんやで」
「へぇ〜あんたたちがね〜」
イメージ的には、悪の道に入った小学生って感じだけど。
「そんなことより、あんたらこそなにもんや?うちらのこと知らんやなんてこの街の人間ちゃうやろ」
加護が、疑り深いまなざしをあたしに向ける。
辻は、状況が飲み込めないのかほぇっと加護を見ている。
「まぁね。なに?あんたたちってこの街の人間なら誰でも知ってるほど有名なわけ?」
あたしは、首をかしげながら問う。
「あったりまえれす!!ののたちは、天下の大泥棒れすよ!!」
いきなり辻が身を乗り出してきた。
加護は、それをなぜか温かな目で見ている。あたしたちの世界ではあんまり見られない光景だな。
どっちかっていうと二人で暴走するか、暴走するののをうらやましそうに加護が見つめる・・・とかだし。
こんな母性的な加護を見るなんて正直変な気分だ。
「ご、ごっちん」
不意に後ろから肩を叩かれる。
ようやく現実逃避から復活してきたらしいみっちゃんがまだ不安そうに辻と加護を見ながら立っていた。
「どうしたの?」
「うちら、殺されるんちゃう?」
ぼそっと耳打ちされる。
あたしは、みっちゃんから目の前に立っている辻・加護に視線を動かした。
普通に考えて殺されるわけはないと思うけど・・・・・・
でも、あたしの世界とは勝手が違うし強盗だし、微妙だな〜。
あたしは、首をかしげた。
途端にみっちゃんがまた現実逃避モードに陥ろうとする。
「殺しませんよ」
「へ?」
「大切な人質れすからね」
辻が、わざと悪ぶったようにニヤリと笑った。