終末時計

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143第二章
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 矢口たちもそれなりの覚悟はしていた。
 前夜三人で宿泊したホテルで話し合った結論は、口を利いてもらえなくても頑張ろうね、だった。な
るほど、自分たちが逆の立場、すなわち既存のメンバーとして追加メンバーを受け入れる立場ならば、
やはりいい気にはなるまい。多少は冷たくされても仕方がないのではないか。
 そう、あくまで、多少は冷たくされても、だ。

 ところが実際に対面してみると、五人のオリジナルメンバーたちは実に素っ気なかった。あたかも自
分たちのことなど歯牙にも掛けていないかのようだ。
 事実、オリジナルメンバーの一人・中澤裕子は当時を振り返ってこう証言している。
「三人の印象ですか?ないです。何も思わなかった」
 さらに中澤は続ける。
「心配はあったんですけど、仲良くなる必要はないと思ってたから……」
 他の四人も似たようなものだった。自分たちなど意に介す気もないらしい。