うっそうと茂る森の中を、二人の姿を追う。
頭上を見上げると、沢山の木の葉の隙間から明るい日差しが見える。
イテ!
オイラは上を見上げていたせいで、足元にあった木に躓いてしまった。
ぶつけた足を見てると、少しばかり血が出ている。
ハンカチで血を拭き、また歩き出そうと立ち上がる。
目の前には誰も居ない。
二人を見失った…。
加護ぴょん!
大声で呼んでみるものの、何も返事は聞こえない。
オイラは少し不安になった。
十分に注意を払いながら、ゆっくりと歩きだす。
一体あの二人は何処へ行ったんだろう?
しばらく歩くと、森を抜けて少しばかり広い場所に出た。
と、言ってもその先はまた森。
それでも、森を抜けたというだけでオイラは少し気分が楽になった。
二人とも何処に行ったのか分からないし、やたらに移動するとますます事態が悪くなるかもしれない。
オイラはとりあえず広い場所の真中に座った。
「ギャー!」
物凄い叫び声が森の中から聞こえる。
オイラは立ち上がり、声が聞こえた方向を見る。
森の木が揺れているのが分かった。
オイラは加護ぴょんと辻ぴょんの名前を呼びながらそちらの方へ走り、また森の中へ入った。
しばらく走ると、ようやく二人の背中が見えた。
そして、その向こうにある何かの姿も一緒に視界に入る。
それは何か大きな人間に見えた。