警告音が止まった。
ミカぴょんが止めてくれたようだ。
おいらは雑巾でコーヒーで汚れた床を拭きながら、ミカぴょんに何が起きたのかを聞いた。
「たぶん…エンジンの故障ミタイ」
そうなんだ…よくわからないがエライ事になってしまったようだ。
でもどうして急に宇宙船の向きが変わったんだ?
「ソレハ…近くの星の重力圏に入ったからカナ」
なるほど。つまり、墜落してるわけだ。
おいおい。
「あー!おやびん!」
また辻ぴょんが叫んだ。
今度はなんだ?ジュースか?8段アイスか?
「なんか星が向かってくるれす!」
それは星が向かってくるんじゃなくてこっちが向かってるんだ。
ってそんな事言ってる場合じゃない。
おいらは雑巾を放り投げ、ミカぴょんのところに行った。
「なんとか着陸しないと」
ミカぴょんは必死でマニュアル片手に色んなスイッチを押した。
窓の外の星はみるみるうちに巨大になり、そうかと思うと宇宙船に衝撃が走った。
宇宙船は激しく揺れて、おいらはつかまっているので精一杯だった。
窓の外は真っ赤になり、宇宙船の照明がついたり消えたりした。
…しばらくすると、急に静かになった。
窓の外は青く輝いている。
宇宙船はゆらゆらと揺れているようだが、それほど酷い状態ではなかった。
「つかまっテ!」
ミカぴょんが突然叫んだ。
おいらは必死に柱につかまった。
下から突き上げるような、物凄い衝撃がした。
おいらはしばらく目を瞑っていたが、静かになったようなのでゆっくりと目を開けてみた。
コクピット内は無事なようだった。
照明もついていて、特に妙な音もしてなかった。
ただ一つ気づいたのは、辻ぴょんが寝転がっている事だった。
おいらはとっさに辻ぴょんに駆け寄った。
大丈夫か?ケガは?
辻ぴょんは目をぱちくりさせていた。
「びっくりしたのれす」
ああ、大丈夫そうだ。
おいらはホッと胸をなでおろした。
「おやびん」
後ろからミカぴょんの声がした。
おいらが振り返ると、ミカぴょんは何も無かったかのように椅子に座っていた。
おいらはミカぴょんのところに行った。
「おやびん、不時着したミタイ」
「ココは…たぶん…プッチ星?」
おいらはそう聞くと、窓の外を見てみた。
少し薄暗い。
そしてどうも森のようなところに落ちたようだ。
窓から先が見えないほど木がいっぱい見えた。
木があるという事は大気があるという事なんだろう。
少しはマシなところに落ちたか、と思った。