熱くなった上に乗る二人のうち一人は、さっきみた槍のようなものを振り回し、ぴょんぴょんとヤスダザウルスの背中で飛び跳ねた。
ヤスダザウルスはそれに反応したのか、オイラ達の方へゆっくりと向かってきた。
オイラは深呼吸をし、意を決してヤスダザウルスの股の間へ一目散に走った。
一瞬目を瞑ってしまったが、気が付くとそこは宇宙船の出入り口だった。
上手くいった。
ヤスダザウルスの上の二人は、オイラ達が二手に分かれた事で少し困惑しているようだ。
オイラは思い切り叫んだ。
デブとか食いすぎとかそりゃもう自分が言われたら思わず相手の首をしめてるような言葉を…。
その言葉に、さっきの一人が異常に反応した。
そいつはヤスダザウルスの首根っこを掴み、力ずくで方向転換させ、オイラの方へ向かせた。
もう一人は…そいつのあまりの怒りようにただ、ぽかんとしていた。
通じるかどうか分らないが、オイラはとにかくぴょ〜ん星で相手を罵倒するしぐさをいくつもやってみせた。
そして、思惑通りヤスダザウルスはオイラの方へ向かって歩き出した。
もう少し。
あともう少し。
もっと引き付けないと。
オイラはじっとタイミングを伺った。
今だ!
もう目の前までヤスダザウルスが迫った。
宇宙船の出入り口の淵に立つオイラとの間は1mもあるだろうか。
オイラは上に向かって銃を2,3発撃った。
そして大声で叫んだ。
今だ!ミカぴょん!
それからとにかく全力で股の間をすり抜けた。
勢いあまって壁に激突した。
そして大声で加護ぴょんと辻ぴょんに何かにしっかり掴まるように言った。
上手くいってくれ!
瞬間、宇宙船は身震し、すぐにエンジンの騒音が聞こえてきた。
オイラはヤスダザウルスの方を振り向いた。
ヤスダザウルスは、まだ方向転換すらしてなかった。
オイラの作戦通り、興奮しているときに咄嗟の出来事に素早く反応出来てないようだ。
そして、ヤスダザウルスがなんとか方向転換をし始めたとき、宇宙船がゆっくりと動きだした。
出入り口方向を下にして、浮き上がりはじめた。
床がみるみる内に急坂になっていく。
オイラは加護ぴょんと辻ぴょんに、なんとか落ちないようにしっかり踏ん張れと指示した。
そして、まるで滑り台のような急な斜面にまでなった。
ヤスダザウルスより先にオイラが落ちそうだ…。