手が痛くなるほど強く壁を叩く。
そして、声が枯れるほど大声を出す。
壁の向こうからも叩く音が聞こえてきた。
やった!気付いてくれたか!
壁に耳をつけて静かにすると、加護ぴょんの声が聞こえてきた。
しかし、どうやったら外へ出れるのかわからない。
外の加護ぴょんに大声で扉を開けるように言うが、どうも声は届いてないらしい。
今度はひたすら蹴りまくった。
なんとかして開けてもらわないと。
壁に蹴りを入れていると、向こうもどうやら壁を蹴っているようだった。
そして、笑い声が聞こえてきた。
笑ってる場合じゃないだろ!
そんなオイラの声も向こうには届いていないようだ…。
早く…あの二人が帰ってくる前になんとかしなくちゃ。
オイラは今度は体当たりを始めた。
しかし、一回当たるたびに体が痛い。
後ろにいた、「リカ」にも無理やり体当たりをやらせた。
「バキッ」
何回か体当たりをしていると、物凄い音がしてオイラの体はひっくり返った。
全身に痛みが走る。
そして、すぐそこで加護ぴょんの声が聞こえた。
「何遊んでるの?」
どうやら両側から激しく叩きつけたおかげで、壁が崩れたようだった。
オイラはほっとすると同時に、加護ぴょんと辻ぴょんのあまりの能天気さに全身の力が抜けてしまった。
とにかくここから逃げよう!
オイラは二人にそう言い、立ち上がった。
「なんで?なんで逃げるん?」
それはオマエらのせいで…まあいいや…とにかく逃げよう。
「あのぅ…私は…」
リカも一緒にだ!
いいからとにかく逃げよう!
オイラは少しヒステリックぎみに叫んだ。
「おやびん、きっとお腹すいてるんれすね」
違う!