◆後藤・保田が辞めて10年経つわけだが◆

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603【続保田圭2011】
数日後、都内、TVAX局の”ミュージック・キューブ”収録スタジオ。

保田圭は楽屋でリハーサル開始を待っていた。

新曲『祈り』は事前の発表を一切せず、この番組で初公開されることになっていた。
「娘。」時代にも何度か出演したことある、生放送の歌番組だ。
彼女の新曲の内容を知る関係者は少なかったが、前評判は上々だった。
ウワサはウワサを呼んで、この番組出演の注目度は高くなっていた。
でも保田自身そんなことはどうでも良かった。

今日のことは、連絡の取れる限りのメンバーに手紙で知らせてある。

みんなに見て欲しい。

(できれば紗耶香にも……)

相変わらず市井とは連絡が取れないままだった。

リハーサルまでまだ時間がある。

彼女にはしなければならないことがあった。
今日の放送で共演する予定のまだ金貨を渡せていないメンバー。
彼女は楽屋を出て、別の部屋の前に立った。

「高橋 愛 様」

ドアにはそう書かれてあった。