紺野あさ美のシンデレラ小説スレ

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472シンデレラに憧れて

普通、夢はこういう場面でさめるものだが、矢口が目をさましたのは
草むらの上だった。
まださっきの怒りがおさまらない。
「くそう!なんだよあいつら!言いたい事があるなら直接言ってみろ
てんだ!」
独り言を大声で言うと、矢口に老人が話し掛けてきた。
「チビでわがままで、整形してもブスでうるさいか。大変じゃのう(微笑)」
矢口は怒りに満ちた視線を老人にむける。
小さいからこそ、自己主張をすることを得意とした矢口は、
老人を睨み付けたまま、強い口調で言う。
「チビでブスでうるさいかもしれないけど、整形なんてしてないし、
少なくとも辻加護よりわがままじゃないよ!」
「ほう。まあ、自分の姿ってのは見えないもんだからのう。」
わかったような口を聞く老人に、とうとうきれてしまった。
「何、じゃああなたは私の何を知ってるの?
あなたはなんのために生きてるのよ。」
その問いに、激しく老人の目が開かれた。
矢口は背筋が凍るような、凄まじい恐怖を感じた。
そんな矢口の反応を知ってか知らずか、老人はまた落ち着いた口調で、
ゆっくり話し始める。
「人が死ぬときっていつだと思う?」
473シンデレラに憧れて:02/09/27 22:14 ID:aMYLCBZb

何をまたいきなりと感じていた矢口だったが、老人がなんとなく、
悲しみのオーラを放っているのに気づいた。
黙って話しを聞こうという姿勢の矢口に、老人は続けて言う。
「わしはな、他の人間から忘れられた時だと思うんじゃ。」
哲学のような答えに、矢口は苦笑いをする。
「おぬしはまだ何かを求めておるな…幸せの証拠じゃ。」
結局それが言いたかったのかと呆れている矢口を見て、
今度はとても小声で、独り言のように話す老人。
「巻き込まれるぞ、気をつけな。」
小さな声だったが、聞き逃さなかった。
「…何!私何かにまきこまれるの?」
ふらふらと向こうへ歩いて行こうとする老人に、矢口は尋ねた。
しかし、老人はふっと消えて、同時にまわりは暗闇になっていった。
ここからが、信じられない悪夢だった。
まるで走馬灯のように、脳に直接叩き付けられる何か。
めまぐるしく場面が変わり、気分が悪くなっていく。
どんな場面にいっても、矢口がやらしい事をされているところだったり、
陰口を叩かれている場面だったり、ファンがやめろと言っていたりという
酷く醜いシーンばかりだった。
いつまでも終わらない悪夢に、流石に矢口も発狂した。
「イヤーーーーーーーー!!!!!もう何も見たくない!!!!!!」
474シンデレラに憧れて:02/09/27 22:19 ID:aMYLCBZb

そりゃあね、酷い夢だったよ。最近はそうゆう夢は見てなかったし。
私一生の夢の中でも、上位にはいるくらい、嫌な夢だったよ。
でも、あんな夢を今まで見なかった訳じゃないし。
多分、みんなが似ている悪夢を見ただけ。
ごっつあんの卒業とか、ユニットの再編成とかで、
みんな疲れてるから。きっとそうだ。

矢口はそれでも、老人の一言が気になってしょうがなかった。