>>206-207の続き
「わあ綺麗!」
小屋から一歩出た私は思わず声をあげた。
まだ暗い空一面に星が散りばめられていた。
都会ではまず見られないその景色に、うっとりと見とれた。
つい北海道が懐かしくなる。
――いつだったろうか。友達とキャンプに行ったときの星空に似ていた。
山の頂上で見るともっと綺麗なんだろうか…。
「あさ美?起きたの?」
早々に荷物をまとめ始めている麻琴が言った。
「うん。きょう頑張ろうね!」
「今度こそ頂上行ってみたいんだ。あさ美もしっかりね」
山での食事は高カロリーの物が意識されているので、今朝は煮込みうどん。
従兄弟に聞いたところ、朝からラーメンなんかを食べることもあるらしいが、
さすがに…ということで、愛ちゃんが提案したものだ。
今回食事は愛ちゃんの担当で、昨夜も手作りのカツ丼(もちろんソース)が
とても美味しかった。今朝のうどんも格別で、料理下手な私は、なんとなく羨ましかった。
「遅くとも4時半には出たいから。それまでに荷物まとめてね」
「うん。愛ちゃん。これすごく美味しいよ」
これを食べて、片づけて、荷物をまとめて、1時間で終わらせないと。
さんざん小屋を散らかしてしまっているので急がないと。
ふと見ると、麻琴と里沙が「頑張ろうね」と、やっているのが目に入った。
――大丈夫。運動には自信あるし、絶対頂上まで行ける。
私は自分に言い聞かせると、残ったうどんの汁を口の中に流し込んだ。
勝手に
川*’ー’川…料理人
川o・-・)…料理下手
って設定にしちったけど、本当のところはどうなんだろう…
夜間〜深夜にかけて新しいほうから、かなりのレスへの
リンクが出来なくなるようです。その場合は、アドレス欄の
一番右の数字のみを変更してやってください。今現在ですと
276にします。そうしますと、レス番号276だけが表示されて
全てにリンクされています。
278 :
名無し募集中。。。:02/08/25 10:57 ID:NWGa5WrK
現在編キターーーーーーー!(^o^)/
オーディション編の更新期待。
>>271-272の続き
「そうだけど…加護さ〜ん」
新垣の呼ぶ声に、辻と話していた加護は顔だけふりむいた。
「なーにー?」
「今日夢って何みましたー?」
「えー?夢?…うーん、うちは覚えてないなー。ののはなんか見た?」
加護はきょとんとした表情で、辻に話しをふった。
「んー、ののはね、今度のハロモニでゲームに勝って、いっぱい食べ物を…」
「なんや、また食べ物の夢かいなー(笑)」
加護がにこっと笑うと同時に、車内が明るい笑い声につつまれた。
「そんなんやから太るんやで〜(笑)」
「良いじゃん!夢じゃ太らないんだし!あいぼんの馬鹿〜!!(怒)」
「そうだよねー。私たちもそういう夢見る事あるし。ねーまこっちゃん♪」
高橋は自然に、なおかつ抜群のタイミングでフォローをいれた。
紺野と新垣は、やっぱ愛ちゃんは凄いなと、心の中で見直していた。
「結構あるんだよねー。
で、起きてから夢で食べてたもの食べちゃう!(笑)」
小川も高橋のフォローにのって、笑顔で答えた。
実は、ちょっと気になる事を言ってしまったのだが、
別に嫌な気分にはならない。高橋は、自分をけなすために
言った訳では無いと、わかっているからだ。
「でも、三人が同じ夢をみるのって十分気持ち悪いと思う…。」
一番後ろで、新垣と座っている紺野が会話をもとに戻した。
「だよねぇ。何かあったらどうしよう。」
少し弱気な小川に、高橋は笑顔で答える。
「大丈夫、全然幽霊とか関係なさそうだったもん。」
「あれやないの?まこっちゃんと愛ちゃん、同じベッドで寝て、
あーしたりこーしたりとかしてるから同じ夢を…(笑)」
笑いながら茶化してくる加護に、小川は顔を真っ赤にして否定した。
「そんな事ないもん!」
「私たちの愛は永遠だもんねー(はーと)」
高橋はまるで気にしちゃいなかった。
それどころかほっぺたにキスをしようとしてくる。
「もうっ!やめてよ愛ちゃん!!(笑)」
小川は高橋のほっぺたをぐいとおしのけた。
車内はまた明るい笑い声につつまれた。
皆がそんなやりとりをしている間、紺野は不安な気持ちでいっぱいだった。
感じたのは自分だけなんだろうかと。あの妬みの視線のようなものを。
訂正:最後の一文。
夢の中での、あの妬みの視線のようなものを。
283 :
名無し募集中。。。:02/08/25 19:06 ID:UBOgN2Fl
シンデレラに憧れては結構イイ!(^-^)
285 :
名無し募集中。。。:02/08/25 21:48 ID:yeYZqidv
このスレの小説の種類は
始めのころにくらべでかなり増えたな。
後藤さんの視線に気付いたのは、些細なことがきっかけでした。
―――
昨年も行われた「モーニング娘。のミュージカル」。
それは今年もまるで当然の流れのように開催されることになり、もちろんわたしを
含め昨年の8月に加入した第5期メンバーにとっては、初めての経験でした。
「すごいねー、アタシ達もやるんだ、ミュージカル!」
麻琴ちゃんは、いつものように明るい口調で言いました。底知れないほどエネル
ギッシュな彼女は、わたし達4人のムードメーカーです。ダンスが得意な麻琴ちゃ
んは、舞台やコンサートが人一倍好きだと公言してるのです。
「あたし何の役かなぁ」
早口でぼそりと呟いたのは、年長の愛ちゃんです。彼女の独特な言葉の訛りは、
どことなく雰囲気を和ませる力を持っているように思います。何でも器用にこなす
愛ちゃんなら、どんな役でもものにしてみせるのでしょう。
「安倍さんと一緒にできるんだぁ、楽しそうだなぁ。嬉しいな」
目をきらきら輝かせながらそう口にしたのは、最年少の里沙ちゃんです。彼女は
全面的に安倍さんの崇拝者でした。純粋に、誰に憧れていると口に出せるのは、
彼女が幼く、素直であるが故でしょう。少し、うらやましくも思えます。
「ねえっ、あさ美。ホント、どんどんあたし達も活動の枠が広がってくね」
「…そうだね……」
麻琴ちゃんが嬉々として話し掛けて来てくれるのには気付いていましたが、わたし
の意識は残念ながら彼女には向けられていませんでした。
生返事を返しながら、わたしは後藤さんをただ見ていました。
( 後藤さん、何だか眠そうだなー )
( 鼻高いなぁ、うらやましいなぁ。カッコいいなぁ… )
この時まだ、わたしは自分の気持ちに気付いてなんていなかったんです。後藤さん
を見ていたのは、正直その端正な横顔に見惚れていただけであって。
そう、例えるならば、手の届かない憧れの先輩をこっそり盗み見ているような、そん
な感覚と思ってもらえれば間違いないでしょう。
そこに複雑な感情などは生まれていませんでした。
少なくとも、そのときはまだ。
だから、そのとき。
後藤さんを見ていなければよかったんです。
そうしたら、何も気付かなかったのに。何も気付かず、ただ平穏に時は流れていっ
たはずなのに。
……ううん、きっと違う。
遅かれ早かれ、わたしはきっと自分の気持ちに気付いていたでしょう。そして、その
瞬間こそが、この時この場所から始まったのであって………。
ともかく、わたしが後藤さんを見続けていたその視線の先に、全ての始まりが存在
していたんです。