紺野のエロ小説書いて〜 第2章

このエントリーをはてなブックマークに追加
550『恋の行方は……』
 石川さんが何かを囁いて顔を離した後、あさ美ちゃんの表情が強張った。
 それとは対照的に、石川さんは頬杖をついて あさ美ちゃんの反応を楽しむように、切れ長の瞳に媚笑を湛えた。

 それから暫く、食事もそこそこに急に帰りたいと言い出したあさ美ちゃん。
 何を思っているのだろう、頑なな彼女は。

「あさ美ちゃんからウチに来たがるなんて初めてだね」
「そうだっけ?」
「うん。だからなんか変な感じする」

 誰もいない家の中。 静まりかえった空気にひやり。

 ソファに彼女が腰をおろす。
 あたしの強要ではなく、彼女の意思で彼女は此処にいる。
 それだけで あたしは嬉しい…。

551『恋の行方は……』:02/11/17 10:49 ID:jKentbkl

 でも、

「あさ美ちゃんさぁ…やっぱ今日いつもと違う」

 あさ美ちゃんの変化を素直に受け止められない。
 どうしても引っ掛かる事があるから。

 心のビジョンに繰り返されるのは、あさ美ちゃんに囁きかけた石川さんの眼と、あさ美ちゃんの人形みたいな生気のない顔。

「お昼食べないし、ウチに来たがるし、絶対に変」
「私だって食欲ない時あるよ。それに、まこっちゃんの家に行きたいと思うのっておかしいこと…」
「ほら、またそうやって愛想笑いで誤魔化す」

 だからぁ、それがオカシイっつーの。
 あたしの家に来たいってトコが。

 あたしの指摘に、あさ美ちゃんはムッと口元を結んだ。
 けれど、すぐにまた緩む。
 何か言いたげに震える唇。

552『恋の行方は……』:02/11/17 10:52 ID:dJ5YjmxW
「別に愛想笑いなんてしてないよ。私は、まこっちゃんの家に遊びに来たかったの。それでいいじゃない…」

 ほんと何を考えてんだか分からないわ。

「はいはい。じゃあ、いいよそれで」

 半ば投げやりに言うと、あさ美ちゃんに背を向けるかたちでソファに座る。
 か細い溜息が一つ聞こえた。

 今日といい昨日といい、やけに色々とあり過ぎて目が回りそう。 脳の許容量は、とっくにオーバー。

 それでも鮮明に思い出せるのは、
 熱を帯びた滑らかな褐色の肌。

 紅く尖った乳首に舌を絡めると、細い指が髪の毛をかき乱し、もっと強い悦びを求めてあたしの腰を太腿で挟み込む。
 溢れ出る愛液は蜜のように甘く、揺れ動く乳房はみずみずしい果実。

 快楽に囚われて正気を失っている“石川梨華”の裸体。
 カラダの細胞一つ一つが覚えている。
 “禁断の実”の甘さと舌触りを。

553『恋の行方は……』:02/11/17 10:54 ID:jKentbkl
 どれくらい経ってからだろう、背中を何かが小突いた。
 弱々しい衝撃は、恐る恐る触れたといった感じ。

「……今日は…しないの…?」

 声も同じように弱々しい。
 驚いて振り返ると、あさ美ちゃんの顔がすぐ目の前にあった。
 大きな垂れた瞳が、ジッと見据えてくる。

「あっ…まこっちゃん」

 言葉より先にのびた手。思わずそのふくらみをさすり上げた。
 微かに開いた唇からは、熱っぽい吐息が洩れて、あたしの中のケダモノじみた血を騒がす。

 でも、すぐに手を引っ込めた。

554『恋の行方は……』:02/11/17 10:56 ID:jKentbkl
「どうして…?」
「それは…こっちが聞きたいよ。今日のあさ美ちゃんオカシ過ぎる」

 あたしを欲しがっている彼女の眼が切なそうに潤む。

 あさ美ちゃんがあたしに抱かれるコトを望んでいる、…嬉しい…一時の気まぐれでも嬉しいよ…、だけど…。

 求められた喜びも、戸惑いによって掻き消されてる。

「あさ美ちゃ…ん?…んんっ!?」

 我慢しきれなくなったのか、あさ美ちゃんが覆いかぶさる恰好でキスをしてきた。
 油断して開けてしまった唇から舌が滑り込み、絡めとられる。

 けして上手いわけじゃないけれど、慣れない動きで一生懸命舌を重ね、舐めるあさ美ちゃんの深い口づけに、頭の芯から溶けてしまいそうになる。
 あさ美ちゃんのことが好き過ぎて、触れているだけで気持ちよくなっちゃう。

555『恋の行方は……』:02/11/17 10:58 ID:+7kh4Y6G
「ふぁ……ぁん…」

 受け身だった あたしから、あさ美ちゃんの口腔内を貪るように舐め回しはじめると、彼女は声を洩らした。 舌を吸ったり、その舌の裏を舐め上げる。  長く深いキスを貧るようにする。

「…んふっ…んっ」

 あさ美ちゃんの身体から力が抜けたのを見計らって、そこでやっと唇を離した。
 2人を透明な糸が繋いでいる。

 それを指で掬って口に含むと、あさ美ちゃんの顔が紅くなった。