紺野のエロ小説書いて〜 第2章

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392小紺
 あさ美ちゃんは、あたしが声をかけるまでずっと柴田さんの姿を見送っていた。
 自分を認めてくれないさえざえとした冷たい横顔に、あたしは苦々しい思いを隠せなかった。
「‥‥みんな待ってるよ。行こう」
 くぐもった嫉妬深い声が出た。めっちゃカッコ悪い。
 向こうもそう思ったのか、振り返るなり、何も言わずにあたしの横を素通りしてメンバーの集まる場所へと歩き出す。
 艶やかなポニーテールが歩調に合わせて揺れるのを、あたしは黙って追うことしかできない。
 ねえ、あさ美ちゃん、あたし何かした?
 ……心辺りたくさんあるけど。
 だからって、なんでそんな唐突に冷たい態度をとるの?
 柴田さんとは何を話していたの?
 そんなことを聞ける立場じゃないけれど、教えてほしい。
393小紺:02/10/05 15:38 ID:vKxE68xq
「あさ美ちゃーん、まこっちゃーん!早くぅ」
 前方から愛ちゃんがあたしたちを呼んできた。
 それに応えるように、あさ美ちゃんはスキップを踏むような弾んだ足どりでメンバーに合流する。
 そして、愛ちゃんに話しかけられると、ふわっとした笑顔を浮かべた。
 あたしの大好きなあさ美ちゃんの、大好きな笑顔。
 その笑顔を、彼女は、彼女の大好きな人に見せる。
 当たり前の法則。
「どうしたの、小川?顔 恐いぞぉ」
 今日もスマイル、スマイル〜♪と石川さんが人差し指を頬にあてて笑いかけてくれても、あたしは上手く笑えない。
 その時、あさ美ちゃが石川さんの声に反応してこちらを見たのだが、すぐに前に向き直った。妙な印象をうけた。
394小紺:02/10/05 15:43 ID:q45z7w2z
 愛ちゃんと喋る あさ美ちゃんのすらっとした背中に想いの篭った吐息をつきながら、あの日、あの背中を抱きすくめて犯したことを改めて後悔する。
 俯いたあたしを石川さんは、今度は真剣な面持ちで覗き込んだ。「何か嫌なことでもあった?」
 それはまさに絶妙なタイミング。
 油断していたせいで思わず頷いてしまい、このことも のちに後悔するはめになる。
395柴紺:02/10/05 15:46 ID:Z67k3vB2
 後でメールするってこうゆうことだったのか。しかも、今日相談しろと。
 収録が終わった後の楽屋で、思いがけない人に声をかけられた。 同じグループ、同じユニットに所属しているのに、未だに話す時に緊張してしまうあの人に。
 あの人とは当然、
「柴ちゃんからメールきたんだけど‥」
私の戸惑いなんて知る由もなく微笑む石川さん。
 それは石川さんからのお誘いではなく柴田さんからのお誘いで、ちょっと残念だと思ったのは正直な気持ち。 でも、柴田さんが私を気にかけてくれているのは嬉しかった。
『紺野ちゃんのことよーく見てるからね』  はにかんだ笑顔が可愛らしい4才年上の優しい人。
 娘。の先輩も優しいけど、やっぱり気兼ねはしてしまうから。

396柴紺:02/10/05 15:51 ID:DiUPFlWU
 スタジオのロビーで待つこと30分。仕事を終えた柴田さんが小走りにやってきた。
「お待たせしました。ごめんねー。紺野ちゃんお腹すいてるでしょう?どっかで何か食べて行こうか」
 そう言われてみると空いているかも。
「それとも、ウチに来て食べる?」
「柴田さんの家ですかぁ?」
「うん。だって、ほら、込み入った話しがあるだろうし」
 家族の方に迷惑なのでは…と言うと、仕事でいないから平気だと言ってくれた。
 断るのも悪いし、何よりも柴田さんと二人きりになれることに魅力を感じた私はOKする。
「そうですね。お願いします」
 でも……相談はしずらい。言っちゃったら、柴田さんの澄んだ瞳は曇ってしまいそうだから。
「よしっ!じゃあ、途中で何か買ってこう」「え〜?柴田さんが作ってくれるんじゃないんですかぁ?」
「‥‥作ってほしい?」
「いや‥いいです」
 そう返すあたしの頭を「なんでよ〜」とこずく柴田さん。
 自然と二人の腕が触れ合う距離になり、柴田さんは私の左手に右腕を絡めた。