紺野のエロ小説書いて〜 第2章

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190小紺高
そう、私は石川さんのことが好き。
この恋は一目惚れだった。
大草原に一人立っていて、風が全身を吹き抜けていった感じ…。
瞬きも許さないくらいの衝撃。
いつだったか読んだ小説の主人公のような恋に落ちていった。
そして、その主人公もまた、女性でありながら……女性に恋していた。
大きく違っていたのは、私が恋した人には、既に恋人がいたこと。
191小紺高:02/08/23 00:47 ID:qG+Lg4E2
「てか、今日 暑過ぎじゃん?チョー喉渇いたよ」
BOXに入るなり まこっちゃんは乱暴な様子でソファーに倒れ込んだ。
繊維やホコリっぽいものが空気中に漂う。
つい吸い込んでしまい少しむせてしまった。声には出さないが、愛ちゃんも さっきまでの暑さに脱力気味で、もう一つのソファーにポテッと座る。
暑さで二人とも憔悴しきっていたけれど、私は 外でかいた汗がクーラーで冷やされて 寒くてしょうがない。「……そういえばさぁ、うちら何にも食べてきてなくない?」
「あ〜、そうだったね」
喋るのも面倒くさいといった感じの まこっちゃんだったが、食べ物に関しては 声のトーンが上がる。
192小紺高:02/08/23 00:49 ID:JiiP/D68
「なんか頼む?わたしは…ウーロンとピザにしようかなぁ。あさ美ちゃんは?」
隣に座った私に愛ちゃんがメニューを一緒にみようと ピッタリとくっついてくる。
向けられたメニューを一通り見てから サンドウィッチと、愛ちゃんと同じ烏龍茶に決めた。
朝から何も食べていないのに、お腹は全く空いていなかった。
「あさ美ちゃんにしては少ないねぇ。ダイエットとか?痩せとるのにぃ。それとも何?夏バテ?なわけない……痛っ!!何すんの!?」
「あさ美ちゃん、あたしにもメニューかして」
「あ、はい」
193小紺高:02/08/23 00:50 ID:sRge0wX4
私の手元を顎で指す
まこっちゃんの目の奥が光った気がして、声がうわずった。
「ありがと。なんにしよーかな」
「まこっちゃんのバカ」
頭にヒットした 街頭でもらったウチワを拾い上げて 愛ちゃんは頭をさすりながら まこっちゃんを睨んだ。まこっちゃんは鼻歌を唄って知らないふりをする。
そうするうちに 今度は愛ちゃんがウチワをまこっちゃんに向けて投げたが それは小さな弧を描いて全然違う方向へ飛んでいった。
194小紺高:02/08/23 00:51 ID:qG+Lg4E2
歌う曲は 大体はハロプロ関連のモノばかりだった。
それ以外では、愛ちゃんが他の女性アーティストのバラード系の曲を歌うくらいだ。
今ちょうど愛ちゃんが歌っている。
当たり前なことだけれど、私なんか足元にも及ばないほど上手い。前を真っ直ぐに見据える意志の強そうな歌声。
歌っている時の愛ちゃんには 何かが舞い降りたような 神秘的なものを感じられた。
自分が歌えないことへのコンプレックスがそう思わせるのかもしれない。
憧れでもあり、妬ましくもある有望な同期。思わず湧いてきた嫉妬と羨望の感情に戸惑ってしまう。
195小紺高:02/08/23 00:52 ID:mbiRIjOu
次何を歌おうかな…。ページをめくることにより黒い感情を誤魔化した。
誰かに見られている気配を感じて まこっちゃんへ視線だけを動かすと、鋭い瞳に捕えられた。
冬の夜空に息を殺し、独りで燃える星みたいに凍てついた光。
私を通り抜けて ずっと向こうの景色まで見えていそう。
目を合わせたまま強張っている私に まこっちゃんは立ち上がると隣に座ってきた。
手にしていたグラスに唇を寄せ、薄暗い室内の明かりの下で琥珀色に鈍く輝く液体を喉に流す。
動作の全てがスローモーションに見え、戸惑いが恐怖に変わる。
196小紺高:02/08/23 00:54 ID:sRge0wX4
「気になる?」
声を潜めて 愛ちゃんを横目で伺う。
目は笑っていた。
「何が?」
「……別に」
「まこっちゃん、ワケ分かんないよ…」
何が言いたいの?
変に自信満々な時もあれば、今みたいに言葉を濁すこともある。
こうゆう時は 相手にしないのが無難だが、まこっちゃんは そうはさせてくれない。
無視して曲選びを始めた私のページをめくる手を制し、熱い掌を重ねた。
指と指を絡ませる。
テーブルの下では 両足の間に、足を割り込まれていた。
「やだ、やめて。人がいる前で…」
愛ちゃんは、陶酔しきった表情で歌い続けている。
197小紺高:02/08/23 00:57 ID:sRge0wX4
完全に自分の歌に酔っている。
気付かれてはいないだろう。だからと言ってこのまま まこっちゃんのペースに持っていかれるわけにはいかないし…。
「抵抗するのは人前だから?それとも……ちゃんの前だから?」最後の方はよく聞き取れなかった。
聞き返そうとしたけれど、瞳に映った悪魔の笑みに言葉は飲み込まれた。
「たまにはさぁ こんなトコでするのも面白いと思わない?しかも観覧者付きでさ」