紺野のエロ小説書いて〜 第2章

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143小紺
シャワーを浴びた後、私は髪をドライヤーで手早く乾かし、帰る支度を始めた。
まこっちゃんは ベッドの上に座り、TVのリモコンを両手で持って、
「おねが〜いフラッシュ!」
と言いながら電源を入れた。
その声、その笑顔が、何故かカラ元気に感じられる。
まあ……どうでもいいけど…。
私は とにかく一刻も早くこの場から去りたかった。
とにかく、深い眠りにつきたかった。
「あさ美ちゃん、もう帰っちゃうの?」
まこっちゃんの舌っ足らずな甘い声が背中を包む。
「うん……なんで?」声に含まれていたほんの少しの憂いに、つい問い返してしまった。
144小紺:02/08/16 17:13 ID:DBms48Nz
悪い癖だな…。
そう思った時にはもう遅い。
「暫く家に誰もいないし、二日オフなわけだし……今日も泊まっていかない?」
「……う〜ん」
「ダメかな?」
まこっちゃんは珍しく消極的だった。
いつもの有無を言わせない威圧感さえない。泣いてしまいそうな笑顔で私の返事を 両手を握りしめて、静かに待っている。
TVから聞こえる笑い声が 部屋の中を行き場なくうろつく。
「泊まりたいけど、でも…着替えないから」そう言って、今着ている昨日と同じシャツとスカートを指した。
145小紺:02/08/16 17:16 ID:/QSBnNFS
半分言い訳で、半分本音。
怠い体を真夏の日差しにさらしながら今帰るよりは、今日一日まこっちゃんの家で ゆっくりして明日帰るのもいいかもしれない。
でも、あいにく着替えは持ってきていない。今回のお泊りは予定外だったのだから。
「やだなぁ、着替えくらい貸すって。それなら泊まってくでしょ?」
私の言い訳がましい言葉に、まこっちゃんは向日葵のような満面の笑みを浮かべた。
私に深い影をつくる無邪気な光。
善は急げとばかりに、さっそくクローゼットへと立ち上がる。
……また胸がチクリと痛む。
146小紺:02/08/16 17:18 ID:DBms48Nz
「ジャージとか適当なのでいいよ…」
「オッケー♪」
いつの間にか泊まることになっていたけど、今はそんなこと気に止めなかった。
まこっちゃんの後ろ姿を ただ見つめていた。
不意に頭を掠めた言葉は、『ごめんね』。
誰に向けてなのか、どうゆう謝罪の意が込められているのか…。
漠然とそんなことが浮かんだ。
147 名無し募集中。。。:02/08/16 17:26 ID:owGE0prU
141さん・142さん>レスありがとうございます。
放棄小説……そう言われると痛いですね。
当然のお言葉なのですが。
やはり放棄は良くないと思い、また書かせていただきました。
ふらふらですみません。
暗くてもいいのなら書きたいのですが…よろしいですか?
駄目でしたら即刻 退散します。


注)エロのさじ加減は微妙…。でも、頑張ります。
148 :02/08/16 18:03 ID:OMFDhkhd
>作者さん
エロとか関係なしに、自分はこの小説の続きが読みたいでふ。
これからも続きをお願いします。
149名無し募集中。。。:02/08/16 20:42 ID:kaoEDUAH
>>147
それでいいんですガンガレー
保守保全はお任せください。マターリ続けていきますんで
150小紺:02/08/16 23:10 ID:sUeVso4D
謝罪の向こう側に見えたのは、まこっちゃんの顔。
ごめんね…って、
謝ってる?私が?
「まこっちゃんに…?」
極めて不可解。
笑えない冗談だね。
でも、私の口元は笑っている。
「なに笑ってるの?」呼び掛けられたと同時に目の前に、ジャージとシャツが差し出された。
なんの変哲もない、青いジャージと白いシャツ。
混沌とした思考を吹き払うスカイブルーに、漂う真っ白な雲のイメージ。
「ううん。なんでもない」
「一人の世界に行っちゃわないでよね」
別段 気にしたようでもなく、まこっちゃんは笑った。
151小紺:02/08/16 23:11 ID:/QSBnNFS
その様子に、独り言を聞かれてはいまいかと内心冷や汗をかいている私と、他人ごとみたいに眺める私がいる。自分の中に別の誰かがいる気分だ。
やはり疲れているのかもしれない。
…眠りたい……じゃあ、眠ろう。
「もうちょっと寝るね」
毛布とシーツでグシャグシャなベッドにダイビング。
体は二・三回 軽くバウンドして やがて受け止められた。
「スプリング壊れちゃうって」
続いて まこっちゃんも隣に体を沈める。
「きゃっ!…まこっちゃんの方がベッド軋んだぁ」
「あたし そんな重くないもん」
「私だって重くないよ」
152小紺:02/08/16 23:15 ID:DBms48Nz
「食べてばっかなのにぃ?」
「それは、お互いさまでしょ」
さっきまでTVの声だけが部屋に満ちていたけれど、今は違う。
ベッドの上で二人向き合ってじゃれている。少しだけ あの頃に戻れた気がするよ。
「あさ美ちゃん また一人で笑う〜」
「まこっちゃんだって笑ってるじゃん」
「笑ってないよ、ほら」
寄せられた顔に 顔を近づけた。
「……ん…っ」
そっと重なる唇。
そして、すぐに離される。
優しい味。
「もっとしてほしいの?」
照れ隠しに首を激しく横に振る。
「…じゃあ、この手はなーんだ」
153小紺:02/08/16 23:19 ID:DBms48Nz
口づけを受ける時の条件反射で まこっちゃんの首に絡めていた手を掴まれた。

手の甲にキス。

二の腕にキス。

肩にキス。

優雅な仕草にうっとりとしてしまう。
次は唇…そう思って瞼を閉じたけれど、唇に触れたのは指だった。「今はオアズケ、ね。起こす時にしてあげるよ」
呆気にとれる私に まこっちゃんは柔らかく微笑む。
それじゃ まるで私がキスしてほしくて堪らないみたいじゃない。「…おやすみ」
睡魔は すぐに襲ってきた。
手足から力が抜けてゆく。
髪を撫でる まこっちゃんの手が心地好い。
154小紺:02/08/16 23:20 ID:aj/rO8Ym
瞼の裏に広がる霧深い森。
そこでも私は眠っている。
誰が来るかも分からない、誰も来ないかも分からない。
不意に通りがかった誰かが私に口づけた。

アナタはダレ?

まこっちゃん?それとも…

155小紺:02/08/16 23:22 ID:owGE0prU
あさ美ちゃんは瞳を閉じると すぐに眠ってしまった。
寝息にしては少し大きな音が耳に入る。
いびき…?
吹き出しそうになった口を慌てて抑えた。
午後は どうしよっかな?
一日はまだ始まったばかり。
こうやってのんびり過ごすのも悪くはないけど、時間もったいないし。
「あさ美ちゃん どっか行きたい?」
囁きに あさ美ちゃんは 微かに眉をひそめる。
イエス?ノー?どっちだか分からない。
起こしてから決めればいいか。
「…ぅん……」
寝返りをうってこちらに向いた あさ美ちゃんの手が シャツをギュッと掴んだ。
依然 眠ったまま。
あたしは髪を撫でる手を引っ込めた。
156小紺:02/08/16 23:24 ID:sUeVso4D
ふと思う。
あたし こんなふうに あさ美ちゃんの傍にいる資格あるのか?
あさ美ちゃんの無垢な寝顔が、言っている気がする。
今すぐその手をどかせ、と。
これ以上 私を汚さないで、と。
髪を撫でられたって、優しく囁かれたって、そんなんじゃ私は癒されない――。

急に恐くなって、あたしは、シャツを掴む あさ美ちゃんの手を外させ、ベッドから起き上がった。
その瞬間、タイミングを見計らったように携帯が鳴った。
唾が喉を通る。
誰だよ こんな時に。
157小紺:02/08/16 23:26 ID:/QSBnNFS
テーブルの下に無造作に放り投げられて鳴いている携帯は あたしの携帯で、
「…タイミング悪過ぎだし」
乱暴に拾い上げて 見たディスプレイに点滅していたのは、アイツの名前だった。
あさ美ちゃんの方に視線を置きながら あたしは口を開いた。
「はい…もしもし」
あさ美ちゃんは まだ眠り続けている。
死んだようにベッドへ沈み込んでいる。
そのまま深く深く眠り続けて。
起きた時 あさ美ちゃんの傍にいるべき相手は あたしじゃダメなんだから。
あたしは、眠り姫を目覚めさせる王子様にはなれない。