117 :
小紺:
「もぅ…自分で洗う……からぁ」
スポンジが胸に触れる前に まこっちゃんの手に自分の手を重ねて動きを止めた。
そのままスポンジを彼女から奪い取る。
「…はぁ……はぁ」
いつの間にか額に汗をかいていた。一筋の汗は頬に流れて首までつたう。
嫌な汗。
「あさ美ちゃん…?」「……じ、自分で洗うからいいよ!」
言った後、何かやられ返されるかも…と身構えたけれど、まこっちゃんは珍しく強気に出た私に驚いているみたいで何もしてこない。でも、呆気にとられていたその顔は、すぐに不可解な微笑を浮かべた。
118 :
小紺:02/08/12 01:51 ID:1DtEThYy
「……まあ、スポンジない方が都合がいいし」
私の持つスポンジを一瞥すると、熱湯によって赤くなった肩を冷やしているシャワーを止めた。
シャワーのノズルが壁に掛けられる。
「もう少し冷やさないとダメだよ」
「いいから、いいから」
そう言って、私に向き直った まこっちゃんの瞳には厭らしい光が湛えられていた。
こいゆう時のまこっちゃんは、私の知らない人みたいになる。
一体、何を企んでいるんだろう。
……恐い。
119 :
小紺:02/08/12 01:59 ID:0eclscxj
「あさ美ちゃん…」
体が引き寄せられ、名前を囁かれる。
蛇口から漏れた水滴がタイルに落ちた音と、無意識に高鳴り始めた鼓動の音が混じり合い、頭の中をグルグルと回りだす。
私、やっぱり…狂ってるのかも……その声に何か期待している。
「体…洗おうか」
そんな私のフシダラな気持ちを知ってか知らずか、まこっちゃんは少しトーンの落ちた声で呟き、掌にボディーソープを直接出して、その手で私の首をゆっくり撫でた。
ぬるぬるとした冷たい液体が肌を滑る。
「あっ、や…っ。なにしてるの…?」
「体洗ってるの」
平然と言ってのける
まこっちゃん。
スポンジの時よりも生々しく伝わってくる手の動きに翻弄されちゃいそう。
120 :
小紺:02/08/12 02:02 ID:3NhB3+ti
「いいよ、自分で洗うって……ん!…んふっ…んっ…」
首を撫で回していた両手で顎を持ち上げられて、なんの前置きもなく唇を吸われた。
堅く閉じた唇を、まこっちゃんの舌が強引にこじ開ける。
「んっ、ん……ぅっ」絡めとられた舌が吸われ、その裏を細かく舐め上げられる。
互いの唾液が唇の端から溢れて顎を濡らすけれど、不快ではなかった。
体の芯が溶けてしまいそうなキス。
無意識のうちに私はまこっちゃんの背中に手を回して体をより密着させて、貧るよう唇に吸いつき、彼女を求めていた。
121 :
小紺:02/08/12 02:08 ID:3NhB3+ti
キスってこんなに気持ちいいんだ…。
まこっちゃんのことを好きとか嫌いとかなんてもうどうでもいいかも。
太陽に背く考えを頭に掠めさせるくらいの激しい口づけ。
正常な思考を妖しく狂わせる。
「ぅん……ふぁ…」
唇が離れると、鼻にかかった溜息が漏れた。細い透明な糸が私とまこっちゃんの間にできて…消えた。
「……続けるよ」
切れた糸の行方を名残惜しそう見つめていた視線を外し、まこっちゃんはまたボディーソープを手に出す。
シルバーピンクの綺麗な色の液体。
いい匂い。
ボディーソープの桃の香りが、二人の間に漂う濃厚な空気に溶け、淫靡な香りに変わってゆく。
「うん…」
私は、まこっちゃんの問い掛けに 迷いなく頷いた。