675 :
辻っ子のお豆さん:
「愛を誘拐しようと企む犯人だ!」
よく見ると男の手にピストルが握られ、テーブルの下で愛の方に向けられている。ガラ
ス越しにでも、愛が恐怖に脅えているのが分かる。私がそう言うと、今にも泣き出しそう
に肩を震わせながら亜弥ちゃんが口を開いた。
「そうなんです。真里さん、なつみさん、愛を助けてあげて!」
なんてことだ。この平和な街でこんな凶悪事件が発生するなんて。しかも人質にされて
いるのが可愛い妹分の愛だ。どうにかして助け出してやらないと。私は真里と顔を見合わ
せた。真里の表情は怒りに満ちている。こんな顔を見るのは初めてだ。それも仕方ないだ
ろう、血の繋がったたった一人の兄弟なんだ。その怒りは私より強いに決まっている。
「行こう」
「よし」
私と真里は決死の想いでマックの内部へと乗り込んだ。
真里は自分の命に代えてでも妹を守る気だったんだ。中に入るなりいきなり、真里は男
に飛び掛かった。そして耳に飛び込んで来たのは一本の銃声。真里の体が大きく振動し崩
れ落ちた。真里が撃たれた。愛が悲鳴を上げた。
ドクン…
怒りを越えた感情の波が押し寄せる。私の中で何かが変化した。体が前へと突き動く。
男が止まれと叫ぶ。止まらない。銃口が私に向く。でも止まらない。
(撃ってみなよ)
ピストルを握った男の指が動く。同時に私は体を一気に下へと落とす。銃弾が頭の上を
通り越える。遅いよ。男が次に撃つ体勢に戻るまでに私は間合いを詰めることができる。
バキッ!!!
拳が男をぶっ叩いた感触。一撃で男は床に沈んだ。愛を誘拐しようと企む犯人を倒し、
私は無事愛を救うことができた。だがまだ血が騒ぐ、男に打ち込んだ拳が熱い、もっと強
い奴と闘いたいと思っている。これが本当の私なのか?
修羅の目覚めであった。
修羅に目覚めた私は、血に誘われるまま拳の世界へと入る。あらゆるジャンルの格闘家
達と闘った。そしてその全てで私は勝利を収めていった。やがてそんな噂を聞きつけて私
の前に現れた男がいた。つんくという物好きだ。彼は地上最強を決める大会を開くから、
それに出場してみないかと言ってきた。強き者を求めていた私に断る理由はない。
『勝者!!安倍なつみ!!』
だが私の中の修羅を満足させる者はいなかった。私は当然の様に決勝戦にまで勝ち上が
っていった。しかしそこで驚くべき人物と再会する。
『決勝戦!安倍なつみVS飯田圭織』
飯田圭織。そこにいたのは私の知っているエリート刑事ではない、一介の格闘士だった。
彼女もまた私の後を追って、拳の世界へと入り込んだのだ。
「どうやら、あんたとは中々切れない縁があるみたいだ。」
「…そうね。」
『第一回モームス最大トーナメント!!優勝は安倍なつみ選手だああああ!!!』
圭織との決勝戦は死闘だった。だが私は勝った。栄光を手に入れたのだ。チャンピオン
なっちの誕生。それからも私は勝ち続けた。風の噂で、圭織がTAP会館という道場を起
こしたと聞いた。やはり一度の敗北で落ちる様な女ではない。あいつとの縁はこれからも
続きそうだ。私にできることはただ勝ち続けること。第二回大会も私は優勝を収めた。
そして第三回大会決勝。一人の少女が私の前に立つ。
夢を見ていた。マキと名乗る少女の夢。この日ようやく夢の意味が理解できた。あの夢
は予言していたんだ。私の修羅を完全に満足させるたった一人の女のことを。そして私は
初めての敗北を知る。だけど終ってはいない。私の修羅はまだ死んじゃいない。
赤き血を焦がす炎の王者 安倍なつみ
青く冷たき氷の王者 後藤真希
赤と青の本当の闘いはまだまだこれからだ!
END No.7「モームス最大トーナメント」
679 :
!!!:02/09/04 21:25 ID:J/Z38kJ0
激ワラ!前スレって実はこのスレの後の出来事だったのか!
次は1でお願いします!
ENDリスト(現時点までの分)
青END No.1「殺戮の始まり」
青END No.2「まんぷくなのれす」
青END No.3「落下」
赤END No.4「バーウッドストック」★
赤END No.5「熱き鼓動の果て」
青END No.6「ぶりんこうんこ」
赤END No.7「モームス最大トーナメント」★