サウンドノベル5「赤と青」

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675辻っ子のお豆さん
「愛を誘拐しようと企む犯人だ!」

 よく見ると男の手にピストルが握られ、テーブルの下で愛の方に向けられている。ガラ
ス越しにでも、愛が恐怖に脅えているのが分かる。私がそう言うと、今にも泣き出しそう
に肩を震わせながら亜弥ちゃんが口を開いた。

「そうなんです。真里さん、なつみさん、愛を助けてあげて!」

 なんてことだ。この平和な街でこんな凶悪事件が発生するなんて。しかも人質にされて
いるのが可愛い妹分の愛だ。どうにかして助け出してやらないと。私は真里と顔を見合わ
せた。真里の表情は怒りに満ちている。こんな顔を見るのは初めてだ。それも仕方ないだ
ろう、血の繋がったたった一人の兄弟なんだ。その怒りは私より強いに決まっている。

「行こう」
「よし」

私と真里は決死の想いでマックの内部へと乗り込んだ。
676辻っ子のお豆さん:02/09/04 21:19 ID:RVVCvXNu
 真里は自分の命に代えてでも妹を守る気だったんだ。中に入るなりいきなり、真里は男
に飛び掛かった。そして耳に飛び込んで来たのは一本の銃声。真里の体が大きく振動し崩
れ落ちた。真里が撃たれた。愛が悲鳴を上げた。

ドクン…

 怒りを越えた感情の波が押し寄せる。私の中で何かが変化した。体が前へと突き動く。
男が止まれと叫ぶ。止まらない。銃口が私に向く。でも止まらない。
(撃ってみなよ)
 ピストルを握った男の指が動く。同時に私は体を一気に下へと落とす。銃弾が頭の上を
通り越える。遅いよ。男が次に撃つ体勢に戻るまでに私は間合いを詰めることができる。
バキッ!!!
 拳が男をぶっ叩いた感触。一撃で男は床に沈んだ。愛を誘拐しようと企む犯人を倒し、
私は無事愛を救うことができた。だがまだ血が騒ぐ、男に打ち込んだ拳が熱い、もっと強
い奴と闘いたいと思っている。これが本当の私なのか?

修羅の目覚めであった。
677辻っ子のお豆さん:02/09/04 21:19 ID:RVVCvXNu
 修羅に目覚めた私は、血に誘われるまま拳の世界へと入る。あらゆるジャンルの格闘家
達と闘った。そしてその全てで私は勝利を収めていった。やがてそんな噂を聞きつけて私
の前に現れた男がいた。つんくという物好きだ。彼は地上最強を決める大会を開くから、
それに出場してみないかと言ってきた。強き者を求めていた私に断る理由はない。

『勝者!!安倍なつみ!!』

 だが私の中の修羅を満足させる者はいなかった。私は当然の様に決勝戦にまで勝ち上が
っていった。しかしそこで驚くべき人物と再会する。

『決勝戦!安倍なつみVS飯田圭織』

 飯田圭織。そこにいたのは私の知っているエリート刑事ではない、一介の格闘士だった。
彼女もまた私の後を追って、拳の世界へと入り込んだのだ。

「どうやら、あんたとは中々切れない縁があるみたいだ。」
「…そうね。」
678辻っ子のお豆さん:02/09/04 21:21 ID:RVVCvXNu
『第一回モームス最大トーナメント!!優勝は安倍なつみ選手だああああ!!!』

 圭織との決勝戦は死闘だった。だが私は勝った。栄光を手に入れたのだ。チャンピオン
なっちの誕生。それからも私は勝ち続けた。風の噂で、圭織がTAP会館という道場を起
こしたと聞いた。やはり一度の敗北で落ちる様な女ではない。あいつとの縁はこれからも
続きそうだ。私にできることはただ勝ち続けること。第二回大会も私は優勝を収めた。

そして第三回大会決勝。一人の少女が私の前に立つ。

 夢を見ていた。マキと名乗る少女の夢。この日ようやく夢の意味が理解できた。あの夢
は予言していたんだ。私の修羅を完全に満足させるたった一人の女のことを。そして私は
初めての敗北を知る。だけど終ってはいない。私の修羅はまだ死んじゃいない。

赤き血を焦がす炎の王者 安倍なつみ
青く冷たき氷の王者 後藤真希
赤と青の本当の闘いはまだまだこれからだ!

END No.7「モームス最大トーナメント」
679!!!:02/09/04 21:25 ID:J/Z38kJ0
激ワラ!前スレって実はこのスレの後の出来事だったのか!
次は1でお願いします!
680辻っ子のお豆さん:02/09/04 21:35 ID:1Mwy9gEO
ENDリスト(現時点までの分)

青END No.1「殺戮の始まり」
青END No.2「まんぷくなのれす」
青END No.3「落下」
赤END No.4「バーウッドストック」★
赤END No.5「熱き鼓動の果て」
青END No.6「ぶりんこうんこ」
赤END No.7「モームス最大トーナメント」★