351 :
辻っ子のお豆さん:
私達は家に寄ることにした。
「おかえりなさいませ〜。」
玄関を開けると中から出迎えたのは、愛の親友の松浦亜弥ちゃんだった。
「あれぇ?亜弥ちゃん。どうしたの。」
「はいー。松浦はぁー。愛が一人で寂しそうだったのでー、お泊りしたんですー。」
友達想いの優しい子だなぁと思った。
「愛〜!真里さん達帰ってきたよー。」
キッチンの方から朝食の匂いがした。中から頬を膨らませた愛が首だけ出してきた。
「もーお姉ちゃん!帰れないなら連絡ぐらいしてよー。」
「わりい愛。それどころじゃなかったんだって。」
「なんかあったんですかー。」
不思議そうな顔で亜弥ちゃんが聞いてきた。真里が言い難そうにしていたので私が代わ
りに応えた。
「二人共、驚かないで聞いて。といっても無理だろうけど…」
愛と亜弥はきょとんとした顔を私の方に向けた。真里は罰が悪そうに俯いていた。
「実は昨日の夜…」
私は二人に話した。
「殺人…ウソ…」
愛は驚いて言葉も出ないみたいだった。
「…」
亜弥はじっと一点を見詰めて何かを思い出している様に見えた。
「昨日の午後6時ごろ、何でもいいから変わったことあったら教えて。」
私が尋ねるとすぐに愛が口を開いた。
「チア部は大抵6時前には練習終るの、昨日もそう。その後はみんな着替えたりおしゃべ
りしたりで解散になるんです。私と亜弥は他の友達とかとおしゃべりしながら帰りの準
備してそのまま真っ直ぐ帰りました。その途中でほら、なつみさんと会ったんです。」
昨日の夕暮れの坂道を思い出した。確かに私はそこで二人と会っている。あの謎の言葉
を残した娘と対面したときのこと、そういえばあの娘は一体…?
(石川って言ったけ、後で会いにいってみよう。)
その後、私達4人は朝食をとり、一緒に女子校へと向かった。
学校の周りは警察や報道関係者、さらに噂を聞きつけた野次馬達でごった返していた。
「うっわー、すごい人ですねー。」
亜弥は口をポカーンと開けてのん気な感想を述べた。愛は下を向いて落ち込んでいるみ
たいだった。あまり親しい人ではなかったとはいえ、これほど身近で人が殺されたんだ、
ショックを受けるに決まっている。
「あーあ、こんな日くらい学校お休みにしてくれてもいいのに。」
一方、亜弥の方はどちらかというとこの騒ぎをおもしろがっている様にも見える。
「じゃあ、また後でね。」
校門の所で私達は二人と別れた。
学校では緊急朝礼が行われ、事件のあった現場付近はしばらく立ち入り禁止ということ
になった。それでも授業は通常通り行われていた。私と真里は生徒と話ができる昼休みま
でしばらく仮眠をとることにした。そして昼休みになった。効率を上げる為、私と真里は
別行動で聞き込みに当ることにした。さらに誰でも彼でもという訳でなく、ターゲットを
絞って当ることに決めた。
安倍なつみ、矢口真里のターゲットをそれぞれ選択して下さい。
1.高橋・松浦コンビ
2.第一発見者の藤本
3.生徒会長の福田
4.謎の娘石川
5.教師の中澤
6.校長の寺田
7.野次馬の稲葉