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辻っ子のお豆さん:
ようやく『かまいたちの夜2』プレイしました。
推理できてなくても絶対クリアできる所が納得いかなかった。
おまけより本編にもっと力入れてほしかった。以上、不満点。
正直、むすめたちの夜2にしなくて良かったと思っています。
「赤と青」はあれよりおもしろくできる自信が間違いなくあります。
BAD END No.4「バーウッドストック」
直前の選択肢
2.担任だった中澤先生
でリプレイします。
「裕ちゃん。」
私は担任だった中澤先生に声を掛けた。口元にハンカチを当てて涙を見せていた彼女は、
もうすぐ三十路だというのにまだまだ若く美しく見えた。声を掛けられた為無理矢理泣く
のを止め頭を上げた裕ちゃんは、私の顔と制服を見て少し驚いた表情を浮かべた。
「なんや、あんたか。」
つんく校長や他の教師陣の証言により、殺害された女性は当校の教師、村田めぐみでま
ちがいないと確認がとれた。村田は今年の4月に教職に就いたばかりの新人教師であった。
その美しい容姿から、男性教師の間では相当な人気を誇っていたそうだ。集まった教師陣
は皆、刑事からいくつかの質問を受けていた。
「被害者の対人関係について、何か不信な点とかありましたかねぇ?」
「安倍に言われてもなぁ。なんか変な気分やわ。」
「裕ちゃん、もう子供じゃないんだから、そゆこと言わないでよ。」
「ごめんごめん、せやな、安倍ももう一人前にやっとるんやな。」
確かに、3年前の教え子が警察として質問してくるなんて、複雑な気分だろうと思う。
私だって、できればもっと違う形で再会して裕ちゃんと色々おしゃべりしたかったよ。
「村田はなー、変な子やったでほんま。」
さすが裕ちゃんと思った。他の教師達は「良い人だったのに」とか「明るくてまじめで」
と大概いいイメージを語り、死者をけなしたりはしない。いきなり「変な子」とは、こう
いう所が裕ちゃんの長所でもあり短所でもある。
「根暗なくせに無理矢理周りに合わせて明るく振る舞って、そんで空回りしてる様な。
だけど特定の誰かと仲良くするの避けてるふしがあったわ。いつも一歩引いてる感じ。
自分のこと、ほとんど話そうとせん子やった。」
新人教師のことなんて全然興味なさそうに見えた裕ちゃんが、意外なほど詳しく語り出
したことに少し驚いた。
「それで私が一度説教したの、そしたらあの子生意気に口答えしてきて。」
鬼の裕子と恐れられていた中澤先生に、口答えできる教師なんてそうはいなかった。な
かなかたいした人だなぁと思った。
「生意気やったけど、その分かわいかったんや。そんな村田がこんなことになって…」
そこから先は言葉にならなかった。裕ちゃんは再び口元にハンカチを当て、泣き崩れた。
その姿を見ていた私の中に怒りの感情が芽生えてきた。こんな残酷な殺人を起こした犯人
が、気丈な裕ちゃんを泣かした犯人が、許せなかった。
この事件のせいで、その夜は結局日が昇るまで大忙しだった。流石にきつくなり、署の
ソファで小一時間程仮眠をとっていたら、誰かに肩を揺さ振られ起こされた。圭織だった。
「安倍、二階の会議室集合。捜査会議だって。」
「うん。」
私は隣で丸まって眠る真里を起こし、一緒に会議室へ向かった。時計を見たらまだ午前
6時だった。
『私立夕凪女子校殺人事件捜査本部』
会議室の入り口にそんな仰々しい立て看板が設置されていた。会議室には署長をはじめ
部長課長と署の上層部が総動員していた。私と真里は会釈をしながら、一番後ろの席に腰
を下ろした。見ると、圭織は最前席にいた。席の順に特に決まりはないが、偉い人程前と
いうことが暗黙の了解になっている。そして捜査会議は始まった。
「被害者の氏名は村田めぐみ。21歳。女性。既婚。短大を卒業後、今年の春、私立夕凪女
子校に赴任。夫は二つ年上の建設業者で短大卒業と同時に結婚したそうです。」
簡単に被害者の履歴が述べられる。
続いて、事件現場の状況、鑑識の結果等がそれぞれ担当の者から述べられた。
全員に配られた用紙に、要点が簡単にまとめられていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
事件場所:私立夕凪女子校2F理科準備室内
死亡推定時刻:午後6時前後
発見時刻:午後7時55分
第一発見者:女子校生徒 藤本美貴
理科準備室の鍵:被害者のポケットに有り
現場状況:荒らされた形跡無し。窓施錠。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
全ての説明が終ると、最後に刑事部部長が立ち上がり捜査方針を語り出した。
その横にはなぜか圭織も立っていた。
「本事件の総指揮を彼女、飯田圭織警部補にとってもらう。」
部長の言葉により室内に驚愕の空気が流れる。だがその空気も署長の説明により納得の
色に変えられた。彼女がこれほど短期間で昇進してきたことには学歴だけではない、ちゃ
んとした理由があったのだ。天才だったのだ。飯田圭織はこの二年で、数百に及ぶ難事件
を解決してきたのだ。彼女の手に掛かって解決しなかった事件は過去に存在していないと
いう。この事件の総指揮を任されるのも至極当然のことと言えた。
「本事件の指揮をとる事になりました飯田圭織です。」
静まった会議室にただ一人、彼女の声が響き渡る。
「皆様の御助力よろしくお願い致します。」
署の刑事全員を前にし圭織は堂々としていた。私は一番後ろの席でただそれを眺めるこ
としかできなかった。このときわかったんだ。私と圭織の間には、すでに決して届く事の
ないくらい絶望的な差が存在していることを。
「以上、解散。」
部長の締めで会議は終了し、またそれぞれが慌ただしく持ち場に分かれる。
午前7時を回っていた。真里が私の肩を叩いた。
「そろそろ生徒の登校時間だね。聞き込み行こうか、なっち。」
このときの私の気持ちは…
1. 圭織に負けたくない。この事件は私の手で解決してやる!
2. 圭織に従って行動した方が無難そう。
3. もうどうでもいいや、眠いから寝よう。