不定期ドラマ「タイフーン娘。」(前話は
>>696-699)
●第09話「今なんて言ったの?春一番高橋の意外な秘密」
突如富士山に現れた男――列車つーくに、マリは質問をぶつける。
「台風界の力が弱まってるって・・・どういうこと!?あなた何か知ってるの!?」
「知っとるのは、俺やない。このお方や」
そう言ってつーくは振り返る。彼の後ろから現れたのは、マリの見覚えのある少女だった。
「・・・1年の高橋さん!」
間違いない。保田の選挙の時、小川と一緒にいたのを見たことがある。
しかしなぜ、彼女が?そんなマリの疑問に、高橋は意外な事実を口にする。
実は自分が、「春一番」の妖精であること。
闇に支配された妖精界から逃れて、人間界に身を隠していること・・・。
台風界の人間であるマリだから信じたものの、普通なら誰も信じないおとぎ話である。
「このつーくは、私と一緒に妖精界から逃げてきたしもべなんですよ」
「・・・この人も妖精なの?」
マジマジとつーくを見るマリ。なんかこう、どことなく胡散臭い。
「なんや、失礼なやっちゃな!こう見えても俺は列車の妖精やで!あと上沼恵美子に似とるし」
「それ関係ない」
――閑話休題。
「・・・でも、妖精界が闇に支配されたってどういうこと?」
「すべては、魔王ユーコのせいなんです」
魔王ユーコ。マリにとって、初めて聞く名である。
高橋が言うには、魔王ユーコはこの世界すべてを闇に染めようとしている、悪の根元らしい。
「それが、台風界を襲っているというの!?」
「今はまだ、外堀を埋めている段階です。しかし、魔王ユーコが本気になれば、
いくら台風界と言えどもひとたまりもないでしょう・・・。妖精界が征服されたのも、あっという間でした」
マリは唇を噛んだ。自分の故郷が、そんな危機に陥っていたなんて。
父王や母君、妹、そして辻加護たちの姿が脳裏に浮かぶ。
「・・・いったい、どうしたらいいの?台風界を救うにはどうしたらいいの!?」
「そのために、あの手紙を出したわけや」
つーくがニヤリと微笑む。そう、マリやよっすぃー、後藤たちが受け取った「タイフーン娘。」の手紙である。
「あの手紙を受け取った方には、多かれ少なかれ台風界人の血が流れているのです」
「マジで!?」
意外であった。マリは当然ながら台風界の人間だが、よっすぃーや後藤にも同じ台風の血が流れていたとは・・・。
マリと親しくなったのも、必然なのかも知れない。
「手紙を出したのは、あんたと愛様を含めて11人や。全員揃えば、魔王ユーコとも互角に戦える」
「いったい、あと誰に出したの!?」
「それが・・・」
841 :
3:02/09/12 01:16 ID:3AAYuNsW
つーくは言葉を濁す。手紙には意志があり、勝手に台風界の血を引く人間のところへ飛んでいったのだという。
つーくという男、登場が謎めいていた割には役立たずであった。
「ほっとけ!」
それにしても、ことは重大である。台風界を征服すれば、魔王ユーコは人間界にもその魔手を伸ばすだろう。
台風界を救うためにも、一刻も早く「タイフーン娘。」を集結させる必要がある。
だが、それはそう簡単なことではない。マリ、よっすぃー、後藤、飯田先生、高橋の他に、あと6人もいるのだ。
「・・・それでも、やらなくちゃ!その、よく知らないけど年増っぽい魔王なんかに負けてらんないもん!」
「その通り!」
聞き覚えのあるその声に、マリはハッと振り向く。
そこには、よっすぃーがいた。
「帰りが遅いから、見に来たんだ。偶然立ち聞きしちゃったけど、あたしも関係あることだからいいよね?」
よっすぃーの目が燃えている。戦いと聞いて、格闘家の本能に火がついたのだろう。
「やろうよ、マリ!マリの故郷が危ないんでしょ?だったらなおさらやんなきゃ!」
「よっすぃー・・・」
よっすぃーは、マリが台風界の人間であることを承知でそう言ってくれている。
それはマリにとって、あまりに心強い言葉であった。――少なくとも、つーくより何百倍も。
「だからほっとけちゅーねん!」
842 :
4:02/09/12 01:17 ID:3AAYuNsW
高橋がマリたちの前に進み出る。
「こうしてはいられません。すぐに学校に戻り、残りのタイフーン娘。メンバーを捜しましょう」
力強く頷くマリ、そしてよっすぃー。今ここに、タイフーン娘。はその第一歩を踏み出したのである。
一方その頃。
ひとけのないモーニング学園の職員室では、飯田先生が嵐の吹き荒れる窓の外を見つめていた。
「・・・ついに、タイフーン娘。が始動する・・・。あの人と戦うために・・・」
美しい横顔に、憂いの色がにじむ。
「・・・彼女を、目覚めさせなければならない・・・。私の手で・・・」
ピカッ。稲妻が、飯田先生の姿を照らす。その目の光は、狂気じみた決意に満ちていた。
そしてまた一方その頃。
富士山九合目の山小屋では、一向に帰ってこないマリとよっすぃーの身を案じつつ、
ますます強くなる風雨にビビっている小川たちがいた。
「マ、マリさんたち、どこまで行っちゃったんでしょうか・・・?」
「あいつらのことだから心配は要らないけど、あたしたちどうなんのかしら・・・」
その途端、突風が山小屋の屋根を吹き飛ばした。
「ぎにゃーっ!」
「助けてー、ヘルプミー!」
「おぼえてらっしゃい、マリーっ!」
「・・・次回までに、下山できてるといいけど・・・」
もうすっかり山岳部なんかどうでもよくなっている一同であった。
(次回に続く)
――あと4話で収拾つくのかなぁ、とちょっと不安になってきた矢口。
(〜^◇^)<紺野、もうすぐ出番あるよ。
川o・-・) <ここまで引っ張ったんですから、かなりいい役ですよね?
(〜^◇^;)<・・・・・・・。