>>594 不定期ドラマ「タイフーン娘。」
●第08話「もう泣かないで!木枯らし小川は悪くない!」
「いくらあんたたちの頼みでもねぇ・・・」
生徒会長・保田が困り顔でクルクルとペンを回す。
彼女に詰め寄っているのはマリと吉澤、そして1年の小川麻琴であった。
「部員が1人しか居ないんじゃ、廃部にするしかないでしょう?」
「そこをなんとかしてって言ってんじゃん!」
熱を帯びるマリと保田のやりとりを、遠慮がちに小川が止める。
「あの・・もういいです。私が悪いんですから・・・」
問題の部活とは、山岳部。小川は、その唯一の部員なのだ。
しかし、学校の規定では部員が5人以上いない部は、廃部になってしまう。
前回の一件で仲良くなった新垣から小川の話を聞いたマリたちは、なんとかしてあげねば、と乗り出してきたのだ。
「・・・小さい頃からそうだったんです。私の入るクラブはすぐ廃部になったし、通った塾は倒産しました。
委員会も解散したし、子供会も人数不足ですぐになくなりました。
まるで私の行くところ行くところ、いつも冷たい風が吹くようで・・・。みんな、私のことを木枯らしって呼ぶんです」
校庭の片隅で、うつむきながら小川は語る。巡り合わせの悪い境遇である。
「でも、仕方がないですよね。これ以上、マリさんとよっすぃーさんに迷惑かけられないですもん。
それに無理に部員を集めるのも、なんか違う気もしますし!」
つとめて明るく、小川は言う。そのカラ元気がいじらしく、哀しい。
マリとよっすぃーが打ちひしがれたその時、背後から声がする。
『・・・小川っていうの、アナタ?』