いい年こいて、モーニング娘。かよ(w   

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60名無し娘。

家に戻ると、おにいちゃんは隙間風の入る場所を修理し始めた。
女のウチらにはできん仕事やった。

「やっぱり男の人がいるとたすかるなあ」
と、おかあちゃんはその姿をうれしそうに眺めていた。
「それはおにいちゃんやからやで」
ウチはかなづちを叩いているおにいちゃんの横に行くと、
何本かのくぎを手渡した。

トントンとくぎを叩く音がする。
ウチはそのリズムを聞きながら、おにいちゃんの背中を眺めていた。
それは頼もしくて、なんか死んだおとうちゃんにそっくりやった。
61名無し娘。:02/07/05 13:41 ID:CAindea0

おにいちゃんは、修理を終えるとおかあちゃんの診察をしようか、と言った。
おかあちゃんは、脚が痛いと言っていた。
どうやら、おにいちゃんによると、製鉄所での重労働が答えて、
腰が悪くなっているらしい。背骨の神経がやられて、脚が悪くなったとのことやった。

「それで、なおるん?」
ウチは尋ねた。
おにいちゃんは、とりあえず、痛み止めと、神経のお薬を使うしかないなあ、と言った。
そしてかばんの中からまた、白い粉薬を出した。

「これ、のののと一緒なん?」
ウチにはその区別がつかんかった。
「そんなわけないやろ」
と、おにいちゃんは笑いながら答えた。
「ウチにはさっぱりわからへんわ」
ウチはおにいちゃんがいろんな種類の薬を使い分けるのをみて、驚いとった。
そしておかあちゃんはお水と一緒にコクリとそれを飲んだ。
62名無し娘。:02/07/05 13:42 ID:CAindea0

晩御飯を済ませて、おにいちゃんはお布団を引いた。
火鉢のそばでそれをみながらウチは、やっぱり疲れてるんやろな、と思った。
ウチはお茶飲むか?と尋ねた。
おにいちゃんは、いらんよ、と答えると、布団の中に入った。

おかあちゃんは少しお薬が効いたのか、起き上がっておにいちゃんの布団を
直した。そしてありがとうな、と嬉しそうな顔をした。
おにいちゃんは検査をせないかんから、また勤め先が見つかったら一緒に行こうな、
とおかあちゃんの手を握った。
久しぶりに見るおかあちゃんの嬉しそうな顔をみて、
なんだかウチまで嬉しくなった。

ウチは部屋の明かりを消して、おにいちゃんの寝ているお布団に入った。
その中は前とは違って、暖かくて、おにいちゃんの匂いがして、それが落ち着いた。

「あったかいやろ」
おにいちゃんは布団にもぐりこんだうちに囁いた。
「おきとったん?」
と、ウチが尋ねると、あいぼんが寝る前に暖めたろと思ったんやと笑った。
ウチは笑いながら有難う、というと、おにいちゃんはゆっくりお休みな、と言って、
いつものように頭をクシャクシャと撫でてくれた。

ウチはその感触から、今日の、ののの姿を思い出した。
ののはもう味わえへんねんな。
おにいちゃんがおれへんねんもんな。
ウチだけこんな思いしてごめんな。
そう考えるとなんだか悲しくなった。