いい年こいて、モーニング娘。かよ(w   

このエントリーをはてなブックマークに追加
362名無し娘。

「そんなもんなんか」
ウチはふーんとうなずく。
「そう。それがね、恋のチカラなの」
飯田さんは、少しうっとりとした表情でそうつぶやいた。
「恋のチカラかあ」
ウチがそういってののを見ると、ののは、
「恥ずかしいれすよぉ……」
といって、両手を振りながら顔を赤くした。

「ごめん、ごめん」
飯田さんは笑いながらののに謝る。
ウチはそんな二人のやり取りがなんだか面白くて、
ちょっぴり、お姉さんがほしくなった。
363名無し娘。:02/09/22 12:05 ID:ll5mVp3W

そんな話しをしていると、二人のお医者さんが
目の前を通りかかる。その一人がおにいちゃんやった。
「あ、おにいちゃん」
ウチは、声をかける。
おにいちゃんは、こちらを振り向くと、軽く手を上げた。
ウチはおにいちゃんを呼ぶ。おにいちゃんは、前を歩く髪の毛の長い
お医者さんに、一言断ると、こっちにやってきた。

おにいちゃんは、ののに気付くと、どうですか?と優しい声で尋ねる。
すると、ののは頬を桜色に染めて、大丈夫です、と答えた。
その表情がまたいじらしくて、可愛かった。
飯田さんが、ののの背中を軽く叩いて、
「先生に、言うことがあるでしょ」
とささやいた。
364名無し娘。:02/09/22 12:06 ID:ll5mVp3W

ののは、しばらくうつむいた後、
キュッとおにいちゃんを見つめると、
「先生。手術を受けることにしたのれす」
と、言った。
その瞳は、真剣で、強い意志があるように感じた。

おにいちゃんは、分かりました、というと、
ののの頭をいつもウチにするように、くしゃくしゃとなでて、
頑張ろうね、と微笑んだ。

ののの頬は、桜色から、真っ赤に変わって、
恥ずかしそうに、うなずいた。

「で、あいぼん、何の用やねん?」
おにいちゃんは、不思議そうに尋ねる。
「あ、えーと……」
ウチ、なんでおにいちゃん呼んだんやろ。
そんなことを考えながら、おにいちゃんを見つめてると、
おにいちゃんは、なんや、ただ呼んだだけか?と笑った。

「別に用がなくてもええやん。めったに帰ってこうへんのに。
たまには帰らんと、おかあちゃんが寂しがるで」
ウチは、少し唇を尖らせる。

寂しいのはおかあちゃんだけちゃうけどな。
ウチも寂しいんやで。
でもな、おにいちゃんが、ののや、ほかの患者さんのために
一生懸命働いとるのは分かってる。
せやから、ウチは文句はいわへん。
でも、やっぱり寂しいで。
365名無し娘。:02/09/22 12:08 ID:ll5mVp3W

すると、おにいちゃんは、ウチの頭をいつものようにくしゃくしゃとなでて、
すまんな、とつぶやいた。
その感触が、優しくて、暖かくて。胸がきゅんとなった。

この感覚はののと同じ何やろか。
ウチはおにいちゃんが、好きや。
ののも好きやと言っている。
でも、ののの好きは「恋」。
ウチの好きとはちょっと違う。
恋するキモチってどんなんやろう。
人を好きになるってどんなんやろう。

そんなことを考えていると、おにいちゃんは少し急いだ様子で、
ウチらの元から去っていった。

366名無し娘。:02/09/22 12:23 ID:ll5mVp3W

「なあ、のの。ののは自分のおにいちゃんのこと、好きやったやろ?」
「あ、うん。大好きれすよ」
「それは、ウチのおにいちゃんが好きなのとどう違うの?」
「え?うーん……」
ののは、ちょっと悩んだ顔をする。
飯田さんはくすくすと笑いながら、それを見ている。
そして、そのままののは
「難しい質問なのれす……」
と、つぶやいたまま、うんうん唸っていた。

「加護ちゃんも、そのうち分かるときが来るよ」
飯田さんはくすくすと笑ったままウチに言った。

ウチは恋をするんやろうか。それはどんなキモチなんやろうか。
そして、まだ、一生懸命考えているののが、
なんだか、ちょっぴり大人に見えてうらやましかった。