いい年こいて、モーニング娘。かよ(w   

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279名無し娘。

「あ!あのときのおっちゃんやん。どうしたん?」
ウチの心にあのときのことが鮮明によみがえった。
その人は、青い髪飾りをウチに持ってきてくれたおっちゃんやった。
「いや、いや、義足を作りにきたんや。で、あんたのおにいさんが勤めてるって話を聞いてな」
そう言って、おっちゃんは膝から下が無い足を振り上げてみせる。
「ほんまに」
「よかったなあ。あんたうれしいやろ」
「ウチもホントはあかんかと思っててんけど。
でもウチのおにいちゃんは約束守ってくれる人やから。で、会えたん?」
「いや、なんか忙しいらしくて」
「そうやねん。なんかめっちゃ忙しいねんなあ」
そう言ってウチは少し唇を尖らせる。
「あんたは元気にしてるんか?」
「ぼちぼちやね。ほれ、青い髪飾りもってるで」
そう言ってウチはぽけっとからそれを出す。
おっちゃんは懐かしいなといいながら、それを眺めていた。
ウチはそれを見ながら物思いにふける。
280nanasi :02/08/28 12:32 ID:8oSHVnfw
このおっちゃんは、おにいちゃんと同じ部隊にいた。
ということはのののおにいちゃんの部下でもある。
そう、ののの赤い髪飾りも持って来てくれた人や。
のののおにいちゃんにもお世話になったとのことやった。
でも、ののはいま命を削りながら一生懸命闘っている。
おっちゃんは、そのことを知っているのやろうか?

「あ、辻少尉の妹さんに、赤い方を渡してくれたか?」
おっちゃんは思い出したようにそう言った。
なにか心を見透かされたようで、おもわず驚いた表情をする。
「どないしたんや?」
「あ、うん……」
おっちゃんはウチの表情を見逃すことはなかった。
少し怪訝そうな顔をして尋ねる。

少し考えた後、ウチはゆっくりと、
「ののはな、いや辻少尉の妹さんは、いまここで入院してるねん」
と、答えた。
「なに?悪いんか?」
すると急におっちゃんは、声を荒げてウチの肩をつかんで叫んだ。
鈍い痛みが走る。
281名無し娘。:02/08/28 12:33 ID:8oSHVnfw

「おっちゃん、痛いって」
「あ、すまん。いや、驚いてな」
「ウチの方がおどろいたわ」
「すまんて。でどのぐらい悪いんや」
ウチは、その答えを告げることが出来なかった。

ののは、意識がもうない。のののおにいちゃんの部下であり、
その思い出を語ることの出来る人間と話すことはできないんや。
あんなに大好きだったおにいちゃんの話をしてくれる人が、
いま、すぐそこにいるのに。

おっちゃんはなおもウチにしきりに聞いてくる。
その勢いに押され、
「一緒にいこか……」
と、ウチは奥の個室を指差すと、おっちゃんとのののいる部屋へと歩き出した。