いい年こいて、モーニング娘。かよ(w   

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222名無し娘。


それから、暫くの時間が経った。
六甲の山々は白い帽子を脱いで、山肌は鮮やかな緑色に変わっていた。
神戸の海は相変わらず青くて、少しだけ強くなった日差しをきらきらと反射させていた。

ウチはあれからのののところへ行かんかった。
おにいちゃんが、あまり来たらあかんと言ったこと。
そして、おにいちゃんに惚れているののに、会うのがなんか嫌やった。

おにいちゃんは相変わらず急がしそうで、ウチがどうこう言う機会も無い。
ただ、ののの病状は相変わらず、良くなったり悪くなったりで、大変みたいやった。
でもおにいちゃんは、のののことについてはあんまり語ろうとはせんかった。

「来年から女学校に行くか?」
昼御飯を作っていたおかあちゃんが尋ねる。
暇つぶしにはじめた内職をしていたウチは、
「ええ?」
と、驚いた声を上げる。
223名無し娘。:02/08/14 13:03 ID:bhwiPx05

「学校にいきたいやろ?」
「ま、まあ。せやけど難しいやろ」
ウチは、自分の学力に自信がなかった。尋常小学校しか出ていない。
「やってみな、わからんろ」
おかあちゃんは笑いながら言う。
「まあ、考えとくわ」
ウチはそう答える。
すると、おかあちゃんは話を変えて、

「あんた、最近ののちゃんのところ行ってへんみたいやけど、どうしたん?」
「おにいちゃんが、あんまり来たらあかんて」
「そうか。せやけど寂しいやろな、ののちゃん」
「そ、そうやろな……」
ウチは内職の手を止める。

うん、あまり行かな過ぎるもの考え物や。
ののは、病気と闘ってるんや。
それに、おにいちゃんに惚れていることやって、もう気が変わってるかもしらん。
でも、なんか気乗りがしなかった。
224名無し娘。:02/08/14 13:04 ID:bhwiPx05

「うーん、どうしようかなあ」
「まあ、あんた次第やけどな」
おかあちゃんはそう言って、台所からお昼御飯をもってきた。
おいしそうな匂いが鼻をつく。

「あ、今日はなに?」
「コロッケやで」
「ほんまや!ごっつい久しぶりやん」

ウチは、はふはふと熱いコロッケを頬張る。
ジャガイモの少しだけ甘い素朴な味が口の中に広がる。

「おいしいな」
ウチはおかあちゃんにそう言うと、窓の外の景色をみる。
神戸の青い海はきらきらと光っていた。

青い海。

ウチは、もう一度ののにみせてあげると約束したんや。
それに、ののは、病院にいて、おいしいのも食べれへんのや。
そう、ののは、唯一の親友やんか。
やっぱり会いに行こう。

「ウチ、やっぱり行くわ」
ウチがそう言うと、おかあちゃんはにっこりと笑って、
「そうか」
と、答えた。

さっくりとしたコロッケと千切りのキャベツ。
たいした料理じゃないけど、病院の御飯よりははるかにおいしいはずや。
そうだ、ののに、持っていってあげようと、
ウチは半分を残して、お弁当箱に詰めた。