いい年こいて、モーニング娘。かよ(w   

このエントリーをはてなブックマークに追加
199名無し娘。

家に着くと、おにいちゃんの白い粉ぐすりのお陰で、体調の良くなった
おかあちゃんが、晩御飯の用意をしていた。
さばの味噌煮の甘い匂いがする。いつもなら、すぐにおかあちゃんのところへ
行って、御飯まだ?と尋ねるところやったが、なんかそんな気にならへんかった。

手を洗い、ちゃぶ台の前へ座る。そしてため息をつく。
一体、ののは何を考えてるんやろう。

ののの立場ってなに?
夢をみるって何?

ののは病気やねん。それも死ぬかもしれないほどの重症や。
そんな人間がどんな夢をみるんやろう。
助かること?治ること?
それは、きっとウチのおにいちゃんがなんとかしてくれるはず。
それはののもわかってくれて、信じてくれているはず。

ウチは思わず頭を抱えて、
「あー、もう、ようわかれへん!」
と、叫んだ。

すると、台所からおかあちゃんが顔を覗かせて、どないしたん、と聞いてきた。
ウチは、今日のいきさつをおかあちゃんに説明する。
しばらくしておかあちゃんは、台所で野菜を刻みながら、
「そうかあ。ののちゃんも女の子やからな」
と、笑った。
200名無し娘。:02/08/08 11:50 ID:kco0nlXU

「は?ウチも女の子やん」
ウチはおかあちゃんの言っている意味が分かれへんかった。
「そらそうや。せやけどな、ののちゃんも15歳やろ。もうええお年頃やしな」
「ウチかてそうやん。それにののより、大人っぽいと思ってるで」

それを聞いておかあちゃんは笑いながら、
「あんたは、好きな男の人とかおるんか?」
と、聞いてきた。

「は?」
ウチは驚いた。そしてなぜかおにいちゃんの顔が頭に浮かぶ。
思わず、それを打ち消しながら、
「そ、そんなんおらへんし。それに男の人なんておにいちゃん以外あんまり知らへんよ」
と、口篭もりながら答えた。
おかあちゃんは、台所からウチの顔をまじまじと眺めると、
「おかあちゃんがあんたの年ぐらいのときは、好きな男の子の一人や二人おったもんやけどな」
と呟く。
「そ、そうなんか。せ、せやけど、男の子の知り合いなんて殆どおらへんからしゃあないやん」
「戦争やったからなあ。まあ、ののちゃんも、ウチのおにいちゃんが初めて出会う
若い男の人やったんやろうな」
201名無し娘。:02/08/08 11:52 ID:kco0nlXU
「ええ?じゃ、じゃあ?」
ウチはそのおかあちゃんの答えに驚いて、思わず立ち上がる。
それを見て、おかあちゃんは笑いながら、
「ののちゃんは、ウチのおにいちゃんに惚れたんちゃうの?」
と言って、また台所に戻る。

「うそやん。ウチのおにいちゃんになんで惚れるん?」
ウチはようわからへんかった。おにいちゃんは、ののの主治医。
それに兄のような感覚で接しているはず。
せやのになんで、なんで好きになるん?

ウチが呆然とした表情をしていると、
おかあちゃんは笑いながら、
「まあ、わからんけど、ののちゃんも女の子やからね」
と答える。
そして、さあ、晩御飯できたから、冷めんうちにはよたべ、と
ちゃぶ台に食事を並べはじめる。

ののは、おにいちゃんのことが好きなんか?
それはウチが感じている好きとは性質の違うものなんか?
なんだか、頭が熱くなってきて、よくわからへんようになってくる。
そして、ウチはもうそれ以上何もおかあちゃんに聞かれへんかった。

おかあちゃんの作ってくれた、さばの味噌煮は甘辛くておいしかったけど、
なんだか複雑なキモチで、御飯をおかわりすることがでけへんかった。